悪魔に転生した彼は老衰を望む |
あれから4年。父さんの鬼畜な修行に耐えきり、今ではかなりの力を持っていると思う。なにせ、最近は父さんの本気に1時間は耐えられるから。あぁ、何回殺されそうになったか…
とういうわけで、現在できるようになった事を報告したいと思う。
まず一つ目
産まれてから今まで、一度も欠かさなかった並行思考だが、今では40まで増えている。並行思考の使用状況は、戦闘時は相手の動きを観察して作戦を考える事に10、魔力操作に15、剣術に10、痛みなどの状態異常への対処に5となっている。といっても、状況によって剣術に思考を傾けたり魔力操作に傾けたりと、臨機応変に対処出来るようにはしているが、基本形はこの比率である。ちなみに一番最後の痛みなどの状態異常への対処とは、堕天使との戦いで痛みに耐えれずに魔力の行使が出来なかったため、その対策である。効果は父さんとの修行で確認済みで、戦闘中は痛みをほとんど感じなくなり、思考もクリアになる。ただし副作用として、戦闘が終わると同時に痛みと精神疲労が出るので、結構つらかった。(しかし最近は慣れてきたのかそうでもない)
日常生活では、いつ何時戦闘が起きてもいいように警戒するのに20、並行思考を増やすのに10、その他に10となっている。最近は物騒なので、戦闘準備はしておいて損はないしね。
んで二つ目
魔力操作だが、これについてもかなりの進化を遂げた。まず魔力についての考察だが、原作において、主人公のメインヒロインの兄である魔王様は、才能の全てを滅びの力に注いだ、みたいな描写があった気がする。なので彼は、滅びの性質だけを持っていたのだろう。しかし、俺は産まれた時から、滅びと空間が7:3の割合だった。つまり、どれだけその性質に変化を与えられるかが、割合になって表れているのではないかと考えた。
なので俺は滅びには7のうち、圧縮に3、滅びの強化に3、操作性に1振り分け、空間には3のうち、形状変化に2、強度に1を振り分けたつもりで魔力操作の修行を続けた。すると、どうやら俺の考えはあっていたようで、今までより魔力球の圧縮がしやすくなり、滅びの力も上がった気がする。操作性は1しか振ってないのであまり実感は湧かないが、少しだけスムーズに動くようになった。空間は、形状変化のバリエーションが多くなり、前までは出来なかった形にも変化できるようになった。強度は、父さんの本気の剣を一瞬止められるようになった(今までは空気を切るような感じだった)。
魔力の性質が同じ場合、魔力の性質の割合が大きい方が勝ちそうだが、魔力の力が10000で性質が10割の悪魔と、魔力の力が20000で性質が7割の悪魔では、後者が勝つだろう。勿論、前者が20000の実力を持ったら話は別だが、割合で負けていても、地力が違えば話は違うと思う。
最後に3つ目
剣術だが、今では父さんとも打ち合えるようになった。しかし経験の差なのか、なかなか勝てない。でも最近、勝てるようになってきたので、実戦経験がついてきたのだと思う。ていうか、最近は父さんが殺気とか出して牽制したりと、ほぼ殺し合いに近いものがあるし、実戦経験はそれなりに付いてなかったら泣くわ。しかも戦い方を変えてくるので、とても勉強になった。
そういえば父さんが今日は話があると言っていた気がする。というわけで父さんの元へ行くことにした。父さんは、畑に居るはずだ。そうそう、俺たちは基本自給自足で生活している。しかし衣服や調味料はどうにもならないので、街に買いにいく。そのときは魔物の毛皮や牙を換金して金を得ている。
と、父さんを見つけたので思考を止める。
「父さん、話って何?」
「ああ、カインか。もう少しで終わるからそこで待っていてくれ。」
「うん、分かった。」
しかし話とはなんだろうか。
「よし、終わった。で、カイン。話なんだがな…」
「どうしたんだよ?歯切れ悪いね、父さんらしくないぞ?」
「いや…あぁ。よしっ」
いや、よしじゃないし。
「少し迷ってたんだけどね、最近は俺に匹敵するほどの力も付けたし。後は経験だけだと思ってね。」
「何の話?」
「なぁ。カイン。旅に出てみないか?」
「はぁ!?」
俺は驚いた。なぜなら俺は昔から旅に出たいと思っていた。それを両親に言うこともあったが、全て断られてきた。
「いったい、どんな風の吹き回しだよ。今まで散々却下してきたのに。」
「当たり前じゃないか、実力もなしに旅に出るなんて死ににいくようなものだろう?だから実力が付くまで待ってたんだ。」
それはそうか、と俺は納得する。父さんは話を続けて、
「お前に足りないのは経験だよ、実力は俺をすでに超えている。でも経験値が圧倒的に足りない。経験を積むには旅が一番いいのさ。俺も旅をしたよ。色々な経験をした、苦しいこともあった、悲しいこともあった、でもそれだけじゃなかった。楽しい事も勿論あったしうれしいこともあった。まあ旅の中で一番の歓喜はミレイに会ったことだけどね。」
と言った。いや、最後のがメインな気がしないでもないけど…でも願ってもないチャンス!
「分かった!旅に出る!」
「そうかそうか!じゃあはいっ!」
「ああ、ありがとう!って、え?」
渡されたものを見る
刃の潰れてない剣
ナイフ
衣服
金
干し肉
それらを入れるバック
「よし持ったな。そのバックはミレイによって見た目よりも多く入るようになってるからな。大きいものも入るぞ。
「え?えっ?」
「俺も、ミレイも、お前が戻ってくるのを信じてるぞ!」ガシッ
「え?あ、うん。じゃなくて!」
父さんは俺の腕を持つ
「5年くらいしたら戻ってこい!死ぬんじゃないぞ!」
「待て待て!話を聞けぇぇぇぇぇっぇえぇぇぇぇ!」
困惑した俺は抵抗できず、父さんは俺を
ぶん投げた。
「てめぇぇぇぇぇぇ!次に会ったらハッ倒す!」
「いってらっしゃーい。」
父さんの気の抜けた声を聞きながら、俺は星になった。
てか父さんどんだけ力あんだよ!勝てる気しねえよ!
ちなみに
「あー、腕の強化しすぎて筋肉がズタズタだ…」
「ふふふ、あの子の為なんですから我慢してくださいよ、あなたっ。」
「あぁ、しかしカインは大丈夫だろうか?」
「大丈夫よ。私たちの子供よ?」
「そうだな。まあそれも5年後になればわかるか。」
なんて会話があったとか無かったとか
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