テイルズオブエクシリア〜転生者はイレギュラー〜 |
〜レオンSIDE〜
あれから数時間後、俺達はル・ロンドの海停へ来ていた。ジュードの話によるともうすぐそこに病院があるという。
そんなわけで俺の乗る馬を引いてくれるミラ。ジュードはその横を歩く。
すると、
ゴロロロロロロ
何かを押す音がし、そちらを見ると、
「さあ、まだまだだよ!行けー!」
少女……レイアが車椅子に乗って子どもに押してもらい遊んでいた。
「えっ?」
「あ!人!」
子どもの1人が俺たちに気づき、俺に至っては馬に乗っているので、
「きゃ!どいてどいてー!」
どいてどいてって言われて退けるわけないだろ!
「くっ!」
ミラは急いで馬を引っ張り、ギリギリのタイミングで避ける。
キイィィィィィーー!
ピュゥゥゥゥン!!
「うそ――っ!」
バシャ、バシャ、バッシャァン!
水面で三回も跳ねて海の中へ。
『………』
俺達はその光景を見て、呆れていた。特にジュードは。
「ごめんなさい。大丈夫でした……か?」
海から無事、帰還したレイアは俺たちに謝るが、ジュードのことを見て固まった。
「レイア……ただいま」
「なんで、ジュード?え、ええ!何してるの!?」
ジュードが帰ってきたことに驚いているレイア。
「いや、レイアこそ……」
ジュードの視線は先ほどレイアが乗っていた車椅子に。
「あ、あれはこの子たちがかけっこで競争したいっていうから」
いいわけをするレイア。
「私を押してハンデ付けないと勝負にならないって思って……」
「レイアが一番楽しんで見えたけど……」
ジュードの一言で目が泳ぐレイア。
「そ、それでさ……ジュードは何してるの?」
「知り合いかジュード?」
ジュードの横に立っていやミラが聞いた。
「その、幼なじみなんだ。えっと、彼女はミラ、彼がレオンっていって、なんて言えばいいのかな……」
俺達のことを紹介しようとするジュードだが、どう言ったらいいかわかんないみたいだ。
「よろしく、ミラ。レオン」
そう、笑顔でいうレイアであったが、俺の足を見てその笑顔は一変した。
「え、ちょっと、彼の足!」
そういい、レイアは子どもたちに指示を出す。
「大至急、大先生に連絡お願い。患者さんが来るって」
「ら、らじゃー!」
レイアに言われて走って病院へ向かう子どもたち。
レイアは車椅子を押してくる。
「家に帰るんでしょ?わたしも行く。これ、使って!馬だと足に負担を掛けるかもしれないし、こっちの方が安全だよ!」
そう言われた俺はミラとジュードの肩に手を置いて、車椅子に乗り換える。
そして、ル・ロンドの街に入り、そのまま病院へ直行。
ガラ
病院に入ると数名の患者たちが座っている。
「おお、ジュード。首都はどうだった。楽しくやってたのか?」
「ん、この男性(ひと)は?」
患者たちがジュードや俺を見て話をしていると、ジュードの母親……エリンさんが部屋から出てくる。
ジュードを見て笑顔になるが、俺の足を見るとその表情が一変する。
「先生、診察はまだかい?」
診察待ちの1人が聞いた。
「ごめんなさい。みなさん、急患がいらしたので続きは午後の診察に」
エリンさんに言われると、それがわかったのか頷いて病院を出ていく。
「ごめんね、みんな!またあとでねー!」
「ははっ。レイアちゃんも、すっかりここの仕事が板についたな」
「もう立派な看護師でしょ」
患者たちが出て行くのを見送り、エリンさんが指示をする。
「彼をこちらへ」
そう言われ、ミラは車椅子を押して、診察室へ向かう。
俺は診察室のベットに寝かされ、ジュードの父親が来るのを待っていた。
ガチャ
すると、ジュードの両親が入ってくる。
「ディラックだ。動かないで、そのまま」
「レオンだ。あなたがジュードの父親ですか?」
「そうだ。足に力は入るのか?」
ディラックさんは腕を組みながら俺に聞いてくる。
「いいえ。腰から下はほとんど感覚はないです」
俺がそう言うと、
「うーむ……」
うねりを上げるディラックさん。
「エリン、こちらはもう大丈夫だ。あの子の傍にいてやれ」
「え、はい……」
夫であるディラックさんに言われ、診察室から退出するエリンさん。
「あと、いくつか検査をする。もうしばらくそのままでいてくれ」
そのまま、数分間俺は色々と検査を受けることになった。
検査の結果が出るまで俺は診察室のベットで横になっている。
俺はすることがないので、エリンさんにこの家にある本とかを持ってきてもらい、それを読んでいる。
持ってきてもらった本を全部読み終わると、丁度エリンさんが入ってきた。
「レオンさん。気分はどうかしら?」
「ええ。足に力が入らない以外は元気です。それより、検査の結果はどうでしたか?」
俺がエリンさんに聞くと、俯くエリンさん。
「ええ、そのことは主人の……先生の方から話があると思うわ」
その後、ディラックさんにはやはり、原作と同じで無理だと言われた。まあ、駄目だと思っていたがやはり、鉱山に行かないといけないか……。仕方ないな。
と思っていると、
ガチャ
「ん?」
ミラ・ジュード・レイアの3人が部屋に入ってくる。
ジュードは持ってきた医療ジンテクスを俺の足に付けるが、何も起こらない。
そこで俺は言う。
「なあ、ジュード」
「何?」
「いや、特殊な石ってもしかして、精霊の化石じゃないか?」
「え?」
俺は医療ジンテクスについている石を外す。
「これは精霊の化石が力を失ってただの化石になっている。おそらく、特殊な石だろ」
「精霊の化石って……本当にあるの!?」
驚くジュード。そこでミラが言う。
「ああ、あるぞ?だが、採掘してすぐに使わなければマナを失うと……お前の父親から聞いた」
ミラがそう言うと驚く、ジュード。だが、すぐに表情が元に戻る。
でも、
「何でミラがそんなことを聞いたんだ?」
「ああ、レオンのことが心配で診察室の前で盗み聞きしていたからだ」
………ミラ。お前、変わったな(汗)
「あれ……でも、フェルガナ鉱山で昔、採れたって聞いたことがあるような……」
「何!?それは本当か、レイア!」
血相を変えてレイアに詰め寄るミラ。
レイアは少しミラを怖がる。
「ミ、ミラ!静かにして!……う、うん。本当だよ。お父さんに聞いたことがあったから」
それを聞いたジュードが言う。
「レオン……」
「ああ、わかっている。採りに行くのはいいけど俺も行くかってことだろ?無論行くぜ?でないと、直せないしな」
それを聞き、レイアはここに来るまで乗っていた車椅子を出してきた。
「はい……」
「レイア、ありがとう」
「悪いけど、ミラとジュードが乗せてあげてね」
「レイアは?」
「わたしは準備あるから。じゃ、街の出口で」
そういって、レイアは診察室を出て行った。
その後、俺はミラが車椅子を押して、街の出口に来た。
「さ、準備は万全! 閉山した山だから、気合いれて、行こー!」
何とも、元気なレイアが出発の合図をする。
俺達はそんなレイアを見て、苦笑しながらもフェルガナ鉱山へ向かうのであった。
しかし、その時、俺は知らなかった。原作ではいなかったはずの……『剣』の魔物のことを……倒せば倒すほど強くなっていくあの……剣使いの魔物は鉱山にいることを。
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第19話 ル・ロンド、到着!そして…… | ||
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