いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した |
第九話 俺、超危なかったよ!
迫りくる敵!追い詰められた俺達!
しかし、俺達には切札がある!
やるぞアリシア!マグナモードだ!
ガンレオンの装甲が凶悪な翼へと変化した!
そして、その翼の間から溢れ出す………………
味噌汁。
英語するとミソスープ。
ええ?!何で?!
何で炎じゃなくて味噌汁が噴き出しているの?!
ああ、いつの間にか手に持っていたライアットジャレンチがポキポキウインナーに、体を纏う黄色い装甲は卵焼きと沢庵(たくあん)。黒い部分は海苔なっていた。
「…ほぉう、美味そうじゃねえか」
ですよね!ガイオウ様!
朝の朝食を身に纏った俺自身もこのガンレオンにびっくり!涎がじゅるり!
…あ、ちょ、ちょっと、たんま。たんまたんまたんまたんまたんまああああああああああああ!
「…はっ。…ゆ、夢かぁああああ」
前回の特訓がいまだに尾を引いていたみたいだ。
そして、目が覚めた俺の耳に届いてきたのは、台所でプレシアが何かをトントンと何かを切っている音。そして、味噌汁の香り。
夢の原因はこれか。
六畳一間のアパートでは六畳一間にプレシアとアリシアの部屋。
俺が押し入れで寝起きしているドラえもん生活。
俺はふすまを開けて自分の着替えをもそもそと取り出しながら登校の準備をする。
そんな俺の動作の音が聞こえたのかスライド式のドアを挟んでアリシアの声が聞こえた。
「…あ、お兄ちゃん起きたみたい」
「そう、それじゃあ、アリシア。ちゃぶ台を拭いてきてくれる?」
「うんっ。おっはよーお兄ちゃん!」
開け放たれた扉の向こう側からパジャマ姿のアリシアがジャンピングタックルしてくる。
満面の笑顔と右手に包丁を添えて…。
「そおいっ!」
俺はアリシアを抱きしめるように受け止めながらも左手でアリシアの右腕を抑えた。
「にゃー♪」
アリシアを俺が抱きとめると猫が鳴くように更に抱きついてくるアリシア。
にゃーじゃないっ。にゃーじゃ!
「こらこら、アリシア。包丁を持って飛び出したら危ないでしょ」
「てへっ♪」
そんな俺とアリシアを引きはがしながら、プレシアがメッと言いながらアリシアに注意をして包丁を取り上げる。アリシアは可愛らしく舌を出して謝る。
「お叱りが甘いよプレシアさん!俺、超危なかったよ!」
可愛いは正義だという奴。出て来い!
被害者側に立ってみろ。超怖かったぞ!
「非殺傷設定の包丁だから安心しなさ…、いた、指を切っちゃったわ」
「非殺傷設定の安全さを疑う事象が俺の目の前で起きているんですけど!」
「それより朝御飯が冷めてしまうからちゃぶ台を綺麗にしてくれる」
俺の命の危険性<暖かい朝食。と、言うことですか。そうですか。
あれ、おかしいな。なんでこんなに味噌汁がしょっぱいんだろう?
今日も特訓を終えて、地球に戻ってくる。と同時に夕食の話になる。
アリシアは疲れてプレシアの背中でおねむ。夕食になったら跳ね起きるだろう。
日が暮れてあたりは暗くなったが
「今朝は悪いことしたから今日の夕食はあなたが好きな所で好きな物を頼むといいわよ」
「じゃあ、あそこのファミリーレストランのハンバーグ」
「お子様ランチ?」
「…ありだな」
プレシアは俺をからかう様な表情を見せたが俺は逆に興味をひかれた。だって、さ。何か欲しくなるんだよね、あの旗。
しかも俺は精神年齢は二十一歳とはいえ、見た目は子供なわけだから別に変ではないはずだ。
「はあ、時々あなたは子どもっぽい。というか、子どもなんだけどそうじゃなくて…。まあ、いいわ。アリシア、起きなさい」
「むにゃー、ごはん?」
プレシアは呆れたかのように俺に何かを言ってくるが聞こえなーい。
男。というか俺はいつだって少年の心を忘れない生き物なのさ
アリシアがプレシアに揺すられて目を擦りながら起きた瞬間に景色が変わった。
「はう?!」
べちゃ。
と、アリシアがプレシアの背中から落ちた。いや、違う。
プレシアが急にいなくなったのでその支えが無くなったアリシアが落ちたのだ。
「…う、はううう」
急に地面に落ちたアリシアはその痛みで涙目になっていた。
俺はそれを見てアリシアの頭を撫でながらアリシアの服に付いた汚れをパンパンとはたく。
「…転送魔法?違うな。でも、プレシアだけが転送されたってわけじゃないよな?」
なんだろう?この風景どこかで見たような?
…あ。
確か、『リリカルなのは』の世界観ではあの激しい砲撃の打ち合いを一般人の目が届かないようにはる結界があったけど…。それに似たような物なのかな?
プレシアはリンカーコアを壊されたから反応しなかった。
俺は多少なりにもあるらしい。アリシアにはリンカーコアは無いもののスフィアがある。
「なんだ?またジュエルシードか?」
とりあえず周りにいた人間もいなくなっているようだから念のためガンレオンを展開。一緒にアリシアともユニゾンしておく。
(なになに〜。特訓はもう終わりって言ってたじゃーん)
ガンレオンの中でアリシアと会話をする。何故か、ユニゾンすると頭に直接響くんだよね、このロリボイス。外にいるプレシアには聞こえていないけど…。
(アリシア。なんだかよくわからんが物陰に隠れて様子を見るぞ)
(よくわからないけど分かった)
俺は近くにあったファミレスに入る。
ファミレスの中にロボットが入店なされましたー。ご注文はオイルですか?
なんて馬鹿なことを考えながら店の中から外の様子を覗うとチカチカとお空で青い光が二つ。赤い光が一つ光っていた。
しかも、物凄いスピードでその三つの光りは空の上を動きまくっている。
(アリシア、見ろ!UFOだ、UFO!)
(え?UFOて、何?)
(宇宙のロマンだ!)
(…男爵?)
(それはバロン!)
栗ではなく男爵と来たか…。アリシアの成長が楽しみである。なんて、考えていたら二つの青い光が俺達のいるファミレスに落ちてきた。
ズドオオオオンッ。
その青い光は魔導師と呼ばれる人だった。…残念。
て、魔導師はやばいよ!プレシアは死んだことになっているとはいえ犯罪者だ。俺やアリシアを経由してばれたら一大事。しかもこの統一感のある制服は時空管理局の物じゃないか!?
慌てて、その場を離れようとしたら青い光を折ってきた赤い光も降ってきた。
「…ちっ。雑魚い魔力の分際で手間かけさせんなよな」
『蒐集』
赤い光は赤いロリータファッションをした女の子になった。…残念。
て、この子なに!?
何か紫色の本で青い光だった人たちにビームを浴びせさせるとそのうちの一人の体の中から何か光る球を吸い上げていった。
「う、うああああああああああああ!!」
尋常じゃないぞ!あのもがきよう!
(…お兄ちゃん)
俺の中にいるアリシアも目の前の光景を怯えている。俺も怖かった。だけど、
「ひ、や、やめてくれ」
「お前達は闇の書の餌だ」
自分お仲間がやられて怯えるもう一人の管理局の人間に女の子は冷たい目で紫色の本を向ける。
「い、いやだ。魔力を奪われたら、俺は、俺の家族が」
…家族?
そういえば、魔力は財産のうちの一つで魔法世界ではそれ一つで家族を養っている人達がいるとプレシアが言っていたっけ?
あの怯えよう。あの人には家族がいるのか?
「ふん。お前の家族がどうなろうとあたしの知ったことじゃねえ」
っ。
…無理だわ。自分を抑えるのが。
…あー、ごめん。プレシア。先に謝っておくわ。
『蒐しゅ…』
「う、うわああああああ!」
ガオオオオオオオオオオオッ!
「「な!?」」
ドオンッ!
辺りに獅子の咆哮鳴り響くと同時に少女はファミレスの外へとぶっ飛んで行った。
俺は少女と紫色の本。管理局の人間の間に割って入り、手にしたライアットジャレンチで紫色の本と赤い女の子をまとめて殴り飛ばしていた。
「早く逃げろ!」
「あ、あなたは…」
「早くしろ!邪魔だ!」
「は、はい!」
管理局の人間だろう人は倒れた人の元に近付いてしばらくすると淡い光になって消えていった。
たぶんどこか遠い所に逃げたんだろう。よし、俺達も逃げるz…。
「てめぇ、せっかくの餌を逃がしてんじゃねえよ!この人形野郎!」
赤い女の子が手にした鋼鉄のゲートボール用のハンマーを振りかざしながら再びファミレスにつっこんでくる。それを俺はライアットジャレンチで受け止める。
ガキィッ。
「やめてくれとお願いしているのに続けるとはどういうことだ。あの怯えようは尋常じゃなった。あの人には家族もいたんだぞ。それなのに…」
「はっ。あんな微量な魔力で出来ることなんて大したことも出来ないさ。たく、逃げられた奴の代わりにお前の魔力を頂くぜ」
「お断りだぁあああああ!」
エンジン全開!全部装備ロックを解除。アリシア、非殺傷設定で眼の前の子どもを無力化するぞ!
(オーケーだよ!私も家族を大切にしない人は嫌いだからね!)
さっきまで怖がっていたアリシアも今では闘争意欲で満たされていた。
本当に悪いな。ちょっとしか見ていないのにこんなことに付き合わせて…。
(細かいことは無しだよ。お兄ちゃん。そんなお兄ちゃんも大好きだから♪)
(本当に…。ありがとうな、アリシア)
「ガンガン行くぜ!ガンレオン!」
獅子の咆哮がまた夜の街に鳴り響いた。
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第九話 俺、超危なかったよ! | ||
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