転生? ま、死なない程度に頑張ろう |
第一話 小1にして彼女ができました
転生してからは色々あった。
俺は気が付くと赤ん坊になっていたのだが、そのせいで黒歴史がたくさんできた。
名前は((山月将矢|やまづきしょうや))から((宮崎翔也|みやざきしょうや))に変わった。名前は字が変わっただけなので別にいいのだが、まだいまいち宮崎と苗字で呼ばれるのになれない。
現在は7歳。ピカピカの一年生だ。
俺は私立聖祥大附属小学校に通っている。
まぁ、原作キャラ達と同じ学校に通っているわけだ。
ちなみにまだ原作キャラ達とは接触していない。
クラス違うし、自分から原作介入をするつもりも無いしな。
でも実は、嫌でも原作介入は最終的にすることになると思ってたりする。何故かって? だって俺の親が翠屋の常連なんだぜ。しかも、士郎さんや桃子さんとも仲がいいみたいだ。この間、母さんに「翠屋には翔也と同い年の子がいるみたいよ。今度一緒に行きましょう」とか言われたし。原作キャラ達との接触回避はもう無理な気がする。
そういえば一度だけ、学校内でこの世界の主人公こと高町なのはを見かけたことがあった。あの時は街中で芸能人と出会ったような気分だったな。それと、自分は本当にリリなのの世界に来たんだなぁと改めて思った。
それから、どうも俺の親は魔導師らしい。親は俺に気付かれてないと思っているみたいだが、俺には有希から能力をもらっているからな。親を解析したら意外と強かった。
父さんの魔力はAAAランク、母さんはAAランク。父さんは攻撃、特に接近戦が得意のようだ。母さんは主に回復や強化の魔法が得意みたいだった。もちろん二人が使える魔法はコピーさせてもらったが。
そんな親のおかげか、俺の魔力はAランクほどあった。チートとはいかないが、普通に戦うには十分だ。それにどうせ相手の能力もコピーできるし……。
その内、親に戦い方を教えてもらおうかと思っている。相手の持っている能力をコピーできても、ちゃんと戦えるとは限らないし。
二人は家に帰ってくるのが遅い。おそらく二人は管理局に務めているのだろう。だったら何故ミッドチルダではなく地球に住んでるのか分からないが、何か理由でもあるんだろう。それについてもその内、教えてもらおうかと思っている。今聞いたら何故魔法のことを知っているのかと驚かれそうだしな。
学校での勉強は楽だ。やってるのは小1の勉強だから、某探偵のように見た目は子供、頭脳は大人の俺には楽勝過ぎる。
問題があるとすれば、それは友達ができないことだろう。どうにも小1特有のテンションになりきれないというか、周りと一緒にバカ騒ぎ出来ないというか。クラスメイトと鬼ごっことかをやっても、全力でやろうという気になれないし。そんなせいか、気が付くと俺は周りから暗い奴と言う風に認識されるようになり孤立した。そのせいで、担任から「友達ができないの?」とか「いじめられてない?」とか無駄な心配をされるようになった。
そして今日も。
「何か辛いことがあったら、先生に言ってね? どんなことでも相談に乗るから」
学校が終わり、放課後。担任の先生に呼び出され、こうして話をしている。
「いえ、あの特に問題ないですけど」
「そう? うん、ならいいけど。無理しちゃだめよ。じゃあ今日は帰りなさい」
面倒なのがこの人には善意しかないってことぐらいだ。今時珍しすぎるほどの善人。今だって本気で俺のことを心配してくれている。ここまでされると何か自分が悪いことをしたかのように思えてきて不思議だ。
「えっと、じゃあ先生さようなら」
「はい。さようなら。寄り道しないようにね」
先生に別れを告げ俺は、家に帰る。
ここの所毎日のように先生と今みたいな会話をしている。もうマジでいい加減にしてほしい。
俺は家に向かいながらこの先のことを考える。
「原作開始まで後、二年ほどはあるよな〜」
今が一年生で、原作が開始するのが三年生になってから。
この二年間のうちにどう行動するかを今俺は考えている。
「そろそろ父さんたちに、戦い方とか教わった方がいいかな〜?」
さすがに何もせずぐーたら過ごす気はない。今のうちに少しでも強くなっておいた方がいいだろう。何が起こるか分からないからないし。
それから俺は父さんたちにどうやって頼もうかと考えているうちに、家についた。
「ただいま〜」
返事がない。今日も仕事で遅くなるのかな?
なんて思いつつ、リビングに向かうと、テーブルの上に一枚の紙があった。
「なんだこれ?」と思いつつ、呼んでみると母さんからで、
『ごめんなさい。今日は物凄く大事な要件ができちゃってもしかしたら帰れないかもしれないの。今日の夕飯は冷蔵庫の中に入ってるから、それを食べて』
何か大変な事件でもあったのだろうか? せっかく戦い方でも教えてくれるように頼もうと思ったのに。
しょうがないので荷物を自分の部屋に置き、着替えてからリビングでテレビを見ながらくつろいでいると、ピンポーン! と家のインターホンが鳴った。
誰だと思いつつ、玄関に行きドアを開けると、
「来ちゃった!」
バタン! と物凄い勢いでドアを閉める。
なんか今見覚えのある人物が、自分と同い年ぐらいになって現れたように見えたんだけど。
あれか? 今までずっと会いたいとか思っていたせいで幻覚でも見てんのか?
もう一度、恐る恐るドアを開けてみる。
「あ、開いた。酷いなぁ、何で閉めるの?」
俺はまた、今度はゆっくりとドアを閉める。
何で、何で有希がいるんだ!? もう会えないんだったよな!? いや嬉しけど、また会えて嬉しいけどさ!?
俺は物凄く混乱している。
ドンドンドン! とドアが叩かれ、外から「開けてよー!」と声が聞こえてくる。
このままじゃ近所迷惑だし、とりあえず中に入れよう。
俺は冷静を保ちずつドアを開け、
「よ、よう。一旦中に入れよ」
「うん。お邪魔しま〜す」
有希が家の中に入ってきので、リビングに案内する。
「えっと、それでどういうこと?」
有希を適当な場所に座らせ、冷蔵庫から麦茶を出し、有希に渡してから何故ここにいるのかを聞いた。
「う、うん。その、あなたに会いに来たの」
う、嬉しいこと言ってくれんじゃねぇか。好きな人からそういうことを言われると恥かしいかすごく嬉しい。でもそういうこと聞きたいわけではなくて、
「そうじゃなくて、どうやってここに来たんだよ。大体、転生させた後じゃ有希たち天使は俺に関わっちゃいけないんだろ?」
「最初の質問のついては、私もあなたと同じように転生してきたの。二つ目については、天使やめてきたから問題ないよ!」
「天使ってやめれんの!?」
「うん。退職金も結構出たし、当分は楽に暮らせるね」
「退職金出んの!?」
「うん。この世界のお金で貰ったから問題もないよ」
もう、わけが分からない。天使って何? 何なの?
「じゃあ神様もやめたりできんのか?」
「え? バカ言わないでよ。できるわけないじゃん」
アハハハ! と笑う有希。
ちょっとイラッときた。
「じゃあ、天使ってマジでなんなの?」
「う〜んと、…簡単に言うと仕事?」
「仕事!?」
「神様に雇ってもらってるの」
「え、えっとじゃあ悪魔も?」
「ううん。悪魔は魔王に雇われてるの」
「魔王いるの!?」
「あれ? 言って無かったっけ?」
「じゃあ魔王に転生してもらっている人とかもいるわけ?」
「それはいないと思うよ。魔王は大抵、無理矢理にでも来た人は悪魔にしちゃうから」
「それ雇ってるとは言わないだろう!? 悪魔に至っては強制労働みたいなもんじゃん!」
「でも、お給料は出るし、それで満足してる人ばっかだよ」
「……もういいや」
深くは聞かないでおこう。何かもう色々と壊れそうだ俺の中のイメージが。
「で、俺に何か用か?」
「あ、うん。その……ね///」
俺が聞くと頬を赤く染める有希。相変わらず可愛いなおい。
って俺の考えてることって有希に筒抜けなんだっけ。と思い有希の顔を見てみると、
「えっと、その……///」
未だに頬を染めながら何かを言おうとしている有希。だが俺が心の中で可愛いと言ったのにこれといった反応はない。
「なぁ」
「え!? えっと……何?」
「今も俺の考えてることとかって分かるのか?」
「ああ。それなら今は無理だよ。あれは天使だからできたことであって、今の私じゃ無理」
そうか。それは良かった。ずっと有希に考えてることが伝わるのはなんか困る。
「それで、私がここ来た要件なんだけど///」
「あ、ああ。何だ?」
「その、あの時の返事をしようと思って」
返事と言うので思いついたのが、あの勢いでした告白のことだ。勢いで告白したとしても有希には本気で惚れている。今でもまだ有希のことが忘れられてなかったからな。あの時、せめてはっきりと振ったりしてくれていれば諦めることもできただろうが、返事ももらえぬままだったし。
「その。ま、まだ私のこと……す、好き?///」
顔を真っ赤にしたまま上目使いでそう聞いてきた。これを見て、好きじゃないとかい言える奴いたら俺は尊敬するね。これは好きじゃなかった人が見ても一発で惚れるほどの威力を持っている。
「いや、その……今でも好きだ」
「ほ、ほんと!?」
「ああ! もちろん!」
「じゃ、じゃあね! わ、私なんかで良ければ」
「……マジで?」
有希はコクリと頷いて肯定する。
俺、人生初の彼女ができました。転生前も含めての初彼女だ。
それから数分間の間、お互いに真っ赤になりながら変な空気だったのだが、
「なぁ有希」
「えへへ」
今は二人仲良く寄り添っている。
え? 仲良くなり過ぎ? 別にいいじゃん。仲良くて何が悪い?
「有希? 聞いてる?」
「えへへ」
有希はさっきからこの調子。俺にくっつきながら、幸せそうな表情をしている。でもそんな表情している有希が可愛いの何のって。
このままいけば、その内バカップル呼ばわりされる気がする。
「有希?」
「えへへ……ん、どうしたの?」
呼びかけること数分、ようやく反応してくれた。
「あのさ、俺のことは名前で呼んでほしいんだけど」
「名前?」
「ああ。有希は俺のこといつもあなたって呼んでるだろ。そうじゃなくてちゃんと翔也って呼んでほしいんだけど」
「しょ、翔也?」
「そ、それでいい///」
思わず顔が赤くなる。
なんか照れるな。
「ねぇ、翔也」
「ん? どした?」
「翔也はハーレムとかを目指してたりするの?」
「何だよいきなり? 別に目指してないけど」
俺個人としてはあまりハーレムを好まない。別に否定するわけではないが、好きな人は一人でいい。
「そっか。よかった」
「有希はハーレムは嫌か?」
「うん。私だけを見てほしいから」
「そっか。まぁ安心しろ。お前以外眼中にないし」
マジな話、有希いれば他はもう何もいらないとかを本気で思えている俺が怖い。
「そういえば、有希はどこに住んでるんだ?」
「え? どこにも?」
「……え? じゃあ今までどうしてたんだ?」
「どうするも何も、すぐここに来たけど」
「すぐ?」
「うん。7歳の状態に転生して」
「転生する際に年齢指定とかできたの?」
「うん」
「それは先に言えやぁあああああああああ!!」
それ知っていれば黒歴史を作ることもなかったのに!
「……まぁ、今更怒ってもしょうがいない。で、有希はこれからどうするんだ?」
「えっと?」
「どこに住む気だよ。家とかは?」
「……何も考えてなっかった」
「おい……」
「…………あ!」
有希は何かを思いついたらしく、笑顔で俺にこう言ってきた。
「ここに住まわせて!」
父さんと母さんになんて説明しよう……。
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