魔法少女リリカルと恋姫な物語 〜少年の数奇な運命〜 第14話 プレシアの思い |
((稀少技能|レアスキル))。魔法と違い、魔力を必要としない個人が保有する技術。私にはそれが備わっている。
「どうやって治すと言うの?」
「私のレアスキルを使います」
「へぇ・・・、病気を治すレアスキルなんて持ってるのね」
「いえ、私のレアスキルはそのような物じゃありません」
「?私の病気を治すのよね?」
「はい。正確には消滅させます」
「は?」
普通は驚くわよねぇ。体内にある病魔を消滅させるだなんて言われたら、間違って内臓まで消滅されちゃうんじゃないかって心配するわよねぇ。
「ごめんなさい、私には理解できないんだけど」
「ちゃんと説明しますから安心してください。私のレアスキルは((消滅|バニシング))というものです。文字通りの意味を持ちますが、対象もしくは対象を包んでいるものに触れいている必要があります。人体でしたらどこを触っても効果を発揮しますからご安心ください」
「つまり病気が体内のどこにあっても問題ないってことかしら?」
「そうです。それが心臓の内側にあったとしても、手のひらから触れるだけでそれを消滅させることができます」
「・・・そんな危険な物を使おうっていうの?下手したら内臓の一部も消滅させられるかもしれない物なんでしょ?」
「その危険性はありますが、これでも人体に関してはあなたと同じかそれ以上の知識はあります。なのでレアスキルに関しては、私を信用していただくしかありません」
「・・・ついさっき会ったばかりの人物を信用しろというのは無理ね。なにより、あなたは私に対してあまり良い印象を持っていないでしょう?」
それは確かにそうね。フェイトちゃんのことをお人形呼ばわりしたり、死者をよみがえらせるために危険なジュエルシードを集めようとしているんだから良い印象はもてないわね。
「そうですね・・・。しかしあなたを助けたいという気持ちは、良い印象を持っているとかは関係は無いでしょう?もし、指名手配犯が重症で運ばれてきた時、医者が彼を見て「この人は世間で指名手配されてる悪人だから助けたくない」とか思うでしょうか?医者である限り、患者に善悪は関係ないと思います。助けたい助けたくないではなく、助ける助けてみせるという気持ちではないでしょうか?私の今の気持ちはそれです」
「・・・少し時間をくれるかしら?たとえあなたの気持ちがそうだとしても、やっぱり簡単には信用できないから・・・」
「ええ、かまいません。すぐに信用してもらえるとは思っていませんから。ざっと観察したところ、プレシアさんが病魔によって、今すぐ死ぬようなものではないでしょうが、なるべく早いうちにお返事をください」
「わかったわ」
「それでは今日はこのくらいにしましょう。時間も結構経っていますから」
どうやら1時間以上話していたようね。ほんと時間って経つのが早いわねぇ。
「あなたの家の座標を教えてくれるかしら?帰りくらいは私が送るわ」
「あら、フェイトちゃんに送っていただけるとありがたいんだけど・・・」
「私では信用できないと?」
「いえいえ、そうではなくてですね。うちの息子と遊ぶ約束をしているんですよ」
「そう・・・。それなら仕方がないわね」
あら?さっきまでのプレシアさんなら、「そんなことしている暇があったら、ジュエルシードの一つでも探しなさい」とか言いそうなのに・・・。私とお話をしたことで心境に変化があったのかしら?だとしたらいい傾向だと思うわ♪
「フェイト、扉の前に来ているのでしょう?」
プレシアさんがそうつぶやくと、部屋の扉がキィという音と共に開いた。
「・・・ごめんなさい」
「謝る必要はないわ。別に盗み聞きしていたわけじゃないんでしょうから問題ないわ。フェイト、雪乃さんを送ってあげて頂戴。それから今日はそのまま遊んできなさい」
「え?母さん・・・いいの?」
「たまには・・ね・・・。ほら、お友達が待っているんでしょう?それから夜にちょっとお話がしたいから、もう一度戻ってきてくれるかしら?」
「はい、わかりました。・・・ありがとう母さん・・・」
「いいから早くなさい」
・・・フェイトちゃんたら涙ぐんじゃって。ようやくお母さんに優しくしてもらえたのがよほど嬉しかったのね。そうしてフェイトちゃんは来たときと同じように、座標を唱えて私たち三人を転移した。
side out
プレシアside
・・・行ったわね。それにしてもほんと食えない女だったわね。こちらをなるべく怒らせないよう、うまくかわしてくるからほとんど主導権が握れなかったわ。私はソファーに座ったまま、三人を見送った。
それにしても、フェイトを一人の人間として見る・・・か。今までアレを人間として見ることなんてできないと思ってた。だって、アレは失敗作でアリシアではないと思っていたから。そう、思っていたということは気づいていたはずなのだ。なのに私は目を背けていた。アリシアが死んだという事実を受け入れたくなかったがために。だからフェイトを人形としてしか見れなかった。
だが、今日雪乃に言われて改めて気づかされた。アリシアの細胞から作り出したとはいえ、フェイトの体にもちゃんと一つの命が宿っている。そしてアリシアはもういない・・・。
「分かってはいたのよ。でも私にはアリシアが全てだった・・・。だからこそプロジェクトF.A.T.E
でクローンを生み出した。それがアリシアだと、アリシアがよみがえったんだと信じて。でも実際は違っていた。魔力資質も、利き手も何もかもが違っていた・・・。生み出したものはアリシアの形をした別のものだった」
当然よね・・・。たとえ遺伝子を使ってクローンを作ったとしても、その時点ですでにそれは遺伝子提供者とは別の人間なのだから・・・。たとえ同じ人間だったとしても、いずれ違和感が生じてくる。それに気づかないはずがない。だって、アリシアという人物はこの世にたった一人、私が産んだたった一人の娘なんだから。
ならばフェイトは?生まれ方が違っても、人の形をしていてそこに感情と意思があればそれは人間だと雪乃は言った。今、冷静になった頭で考えればそれも一つの真実だと思った。
「・・・そう、アリシアとフェイトは姿が似ているだけのまったくの別人。・・・気づかなければよかったわね。気づかなければこんなにも胸が苦しくなることもなかったのに・・・」
気づいてしまったからにはもうあの子を、フェイトを人形としてなんて見れない。見れるはずがない。だってあの子は人間なんだもの・・・。
「今更私にあの子をどうしろというの・・・。雪乃、あなたはひどい人ね・・・」
私は三人を見送った姿勢のまま涙を流し続けていた・・・。
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こんにちは〜。さて、戦闘描写が少なくて不満に思ってる方、すいません;;どうにも苦手というか、議論とかの方がすきなもので(笑)。しかし、ちゃんと戦闘も書きますのでもう少しお待ちください。 | ||
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