仮面ライダーエンズ 超クロスオーバー大戦GENESIS 前編
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発光を続けるリターンメモリ。そのリターンメモリに向かって、どこからともなく出現した三枚のコアメダルが飛んでいく。

「あのメダルは!?」

驚く光輝の目の前で、コアメダルがリターンメモリの光の中に入った時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メモリとメダルが消えて、青年が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年は両肩が蛇の頭部となっている鎧を着ており、髪はショートカットの端整な顔立ちをしている。青年は光輝を見て言った。

「お前からアンリミテッドフォースを感じる。何で人間がその力を使ってやがるんだ?」

「えっ…?」

「喋った…」

光輝は青年の言葉に息を呑み、フェイトは青年が言葉を発したことに驚く。

「まぁいい。それよりも…」

青年は、ある人物を見た。その人物とは、なんとドナルド。

「俺がお前に封印されてどれくらい経ったのか知らないが、まさかまだ生きてたとはな。ドナルド」

「久しぶりだね、ウロボロス。本当なら二度と会いたくなかったけど」

「その名は捨てた。今の俺の名は、創世の使徒だ。」

創世の使徒と名乗った青年。その瞳には、明らかな憎しみの光が宿っている。

「俺が復活した。その意味はわかるな?」

ドナルドは答えない。創世の使徒が言っていることの意味がわかっており、またそれがどれだけ重大なことかわかっているからだ。

「そうだ。時は、来た!」

創世の使徒は高らかに宣言する。

「今こそ全ての次元世界を滅ぼし、この俺が支配するにふさわしい新世界を作り上げる!!」

「何だと!?」

突然現れてとんでもないことを言う創世の使徒。そのとんでもないことを今すぐやるという事実に、光輝は驚いた。

「まずは見せしめといくか…」

創世の使徒はフェイトを睨み付け、右手の人差し指から光線を撃つ。

「!」

フェイトはそれに反応できない。だが、横から飛び出してきた皇魔に突き飛ばされたおかげで、光線を喰らわずに済んだ。

「ちっ、邪魔を…」

舌打ちする創世の使徒。

「怪我はないか?」

「は、はい…」

皇魔はフェイトに尋ね、フェイトは戸惑いながら答える。

「皇魔さん!?」

「貴様…その声はクロスか。」

AtoZ事件以来の再会を果たした光輝と皇魔。遅れてレスティーが来る。

「何?知り合い?」

「この男が余を転生させたクロスだ。」

「この子が…」

「…あの…どちら様で…?」

おずおずと訊く光輝。

「私はレスティー。皇魔のパートナーよ」

「レスティー。」

「本当のことでしょ?」

「…ふん。」

「僕は白宮光輝。クロスの変身者です」

二人は互いに名乗る。フェイト達は前から皇魔について聞かされていた。と、

「おい。お前らずいぶんと余裕だな?」

ずっと無視されていた創世の使徒は、額に青筋を浮かべている。怒りを隠そうともしない。

「別にいいけどさ、状況わかってんのか?俺が全次元世界を滅ぼす。お前らは全員死ぬんだよ!」

創世の使徒の全身が発光を始める。一同は思わず身構えた。

「お前らと殺り合うつもりはないが、止めたかったら俺を追ってこいよ。」

創世の使徒は、いつの間にか空に現れていた黒い月に向かって飛んでいく。

「何だったんだろう?」

「創世の使徒?また無限の使徒繋がり?」

なのはとはやては首を傾げる。と、光輝のクロスフォンに照山から電話が掛かってきた。

「照山?どうしたの?」

「光輝か!?すぐテメンニグル学園に来てくれ!いきなり学園の隣にもう一つの学園が現れて、ウチの生徒がその学園の生徒と一触即発状態でかなりヤバイことになってんだ!」

「もう一つの学園?わかった。すぐ行く」

光輝は電話を切る。フェイトは尋ねた。

「どうしたの?」

「テメンニグル学園の隣にもう一つ学園が現れて、大変なことになってるって…」

「…もう一つの学園?」

その言葉に何かを感じる皇魔。

「だから行かなきゃ。」

「…余も同行しよう。」

「皇魔さん?」

光輝は皇魔を見た。

「嫌な予感がする。もしやと思ってな」

「…わかりました。みんな、じっとしててね!飛ぶよ!」

一同は光輝の瞬間移動によって、テメンニグル学園へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは!?」

光輝は我が目を疑う。テメンニグル学園の隣には、照山から連絡があった通り、もう一つ学園が現れていた。

「やはり…」

しかし、そのもう一つの学園が何なのか、皇魔とレスティーは知っている。いや、知らないはずはない。

「どう見ても、ロストグラウンド学園…よね…?」

レスティーが呟いた通り、学園の正体はロストグラウンド学園だった。だが、ロストグラウンド学園がここにあるはずはない。その理由を、ドナルドだけは知っていた。

「創世の使徒が復活した影響で、二つの世界が融合したんだ。」

どうやら、創世の使徒の仕業らしい。

「そういえば、創世の使徒って何者なの?」

なのはは、結局聞く暇がなかった疑問を訊いてみる。

「…昔、ウロボロスっていう神がいた。死と新生を司る神で、神帝と同じく無限の象徴たる存在。でも…」

ドナルドはつらそうに語り始めた。

 

 

 

 

ウロボロスは同じ無限を象徴する存在でありながら、いつも注目されもてはやされている神帝に嫉妬していた。そこでウロボロスは、光を司る創世神と闇を司る創世神を倒してその力を吸収し、融合、新生させた。それがアンリミテッドフォースを超える力、ジェネシスフォースである。ウロボロスはそれを使って神帝に勝利したが、結局自分より神帝が優遇されるという状況に絶望し、創世の使徒を名乗って今ある次元世界全てを破壊しようとした。だが、創世の使徒は初代神帝の命を懸けた戦いに敗れて、封印されたという。

「それがあいつなのか…」

光輝は創世の使徒を思い出す。確かに、彼の視線からは並みではない憎しみを感じた。あれは間違いなく、嫉妬から来るものだ。

「っていうか、ドナルドくんずいぶん事情に詳しいなぁ?」

はやてが訊くと、ありえない答えが返ってくる。

 

 

 

 

 

 

「ドナルドがその初代神帝だからね。」

 

 

 

 

 

………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ええええええええええええええええええ!!!!?」」」」

ありえなさすぎる答えに、光輝、フェイト、なのは、はやての四人は驚くしかなかった。皇魔とレスティーは、そもそもドナルドと面識がないので、驚きようがない。

「だから、今回はドナルドのせいでもあるんだよ。ウロボロスを創世の使徒にしちゃったのも、復活を許したのも…」

創世の使徒は、万が一自分が封印された時を見越して、復活のための布石を打っておいた。それが、リターンメモリ。二回起動すると、創世の使徒が復活する仕組みになっていたのだ。ドナルドはすぐそれに気付いて破壊しようとしたのだが、もう彼に力は残されておらず、そのまま死んでしまい、今の時代、今の姿に転生した。もちろん転生したあとすぐにリターンメモリを捜索したが、どこにあるかなどわかるはずもなく、現在に至るというわけなのである。

 

と、

「おーいお前ら!」

照山が来た。

「こいつらを止めるの手伝ってくれ!バージルやアークライト会長だけじゃ、抑えきれねぇんだ!」

血相を変えて焦っている照山。ちなみに彼らの眼前では……、

 

 

「おう何だてめぇは!?」

「やんのかオラァ!」

「今日こそ覚悟しろダンテ!!」

「やめろって言ってんだろベオウルフ!!」

「貴様らいい加減にしろ!!」

「兄さん。今夜は外食にしないかい?」

「私も同席させてもらおう。そうだ、イーノック。お前も誘いたいが、今夜の予定は大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない。一番いい店を頼む」

「いいですとも!」

 

 

とまあこんな具合に、メンチ切り合ってたりどさくさ紛れに気に入らないやつに喧嘩挑んだり全然関係ない話してたりで、恐ろしくカオスな光景が展開されていた。

「…大変だね。」

「だから手伝ってくれって!」

照山は再び人混みに飛び込んでいくが、光輝でさえ、もうどうしたらいいかわからない。困惑する光輝に、皇魔は言った。

「それより、創世の使徒を倒す方が先ではないか?」

確かに、創世の使徒は全次元世界を破壊しようとしている。放っておけば、どんな行為に出るか見当が付かない。

 

 

だが、

 

 

「どうやら始めたみたいだよ。」

 

 

ドナルドが告げた通り、少し遅かったようだ。

 

 

 

 

 

 

周囲に灰色のオーロラが出現し、中から様々な怪人達が溢れ出してきている。創世の使徒の仕業だ。

「もはや一刻の猶予もない。レスティー!もう一度貴様のコンボを使うぞ!」

「オッケー!」

「変身!」

 

〈クレアボヤンス!サイコキネシス!テレポート!ク〜レ〜イト〜♪〉

 

皇魔は素早くエンズ クレイトコンボに変身。

 

「よし、じゃあ僕も…」

 

〈CROSS!〉

 

「変身」

 

〈CROSS!〉

 

光輝もクロスに変身し、

 

〈ETERNAL!〉

〈INFINITY!〉

〈CROSS/ETERNAL/INFINITY!〉

〈UNLIMITED!〉

 

そのままクロスアンリミテッドに強化変身する。互いに変身を終え、創世の使徒がいる黒い月に向かって瞬間移動しようとする二人だが、

「光輝!私も行く!」

フェイトが同行を申し出てきた。

「フェイトはここでみんなを守りながら、僕達の帰りを待ってて。」

「でも!」

「大丈夫。ちゃんとと戻ってくるから」

「…わかった。」

クロスのことを心配しながらも、その指示に従うフェイト。

 

一方エンズのもとへは、別れたはずの音無達が来ていた。

「皇魔!レスティー!」

「音無!なぜここに?」

「気が付いたらいたんだ。それより…」

音無は空を、そして黒い月を見る。

「…行くんだな?戦いに。」

「うむ。」

「だったら、お前の留守中は俺達に任せとけよ!」

「この僕がいるんだ。大船に乗ったつもりでいるといい」

「絶対に帰ってきなさいよね!」

「皇魔くんが帰る場所は、あたし達が命を懸けて守るから。」

「だから気にせず、派手なケンカをしてきな!」

「全力を出せ。」

「お前の力を見せてやるといい。」

「負けたら承知しないぞ?」

「やっと光への道を歩き始めたんだ。お前はまだ死ぬべきじゃない」

「…勝て。俺が言えるのはそれだけだ」

「頑張れ!」

「お前ならやれる。」

「生きて帰ってこい。」

日向、直井、ゆり、かなで、カズマ、劉鳳、アーカード、ブラック、しおん、クラウド、ザックス、ルルーシュ、海馬は、エンズを激励する。

「…余は必ず戻ってくる。」

エンズは帰還を約束したあと、

「レスティー。それまでの間、頼むぞ。」

「…ええ。」

レスティーに命じて、一足先に瞬間移動した。

「…やっぱり、あの人少し変わった。」

「えっ?」

「何でもない。じゃ、行ってくるね」

クロスも瞬間移動で追いかける。

「…私も…私にできることをやらなくちゃ。」

フェイトはロストドライバーを装着し、

 

〈FATE!〉

 

フェイトメモリを起動して、

「変身!」

 

〈FATE!〉

 

仮面ライダーフェイトに変身。さらにバルディッシュを起動させ、ガイアモードに変形させる。

「私達も!」

「うん!」

なのはとはやても互いのデバイスを起動し、怪人軍団の迎撃に当たる。

「オイオイ…」

ダンテは呆れていた。今さっきまで争っていた両学園の生徒が、突然団結して怪人の撃破を始めたからだ。

「要するに似た者同士ってことかよ。」

「ダンテ。俺達も行くぞ!」

「あいよ。」

 

〈SLASH!〉

〈BLAST!〉

 

バージルとダンテはソウガドライバーを装着し、バージルはスラッシュメモリを、ダンテはブラストメモリを起動させて、

「「変身」」

 

互いのベルトに装填。さらに二人の腕を空中で重なるように交差させ、

 

〈SLASH/BLAST!〉

 

風都を守るもう一人のライダー、ソウガに変身する。

「俺も!」

音無もビーツドライバーを装着して、ヘンシンコアメダルを装填し、

「変身!」

 

〈Music Start!!〉

 

ビーツに変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

クスクシエと呼ばれる店の近く。映司は押し寄せる怪人を、単身で退けていた。

「くっ…何なんだこいつら!?」

苦戦する映司。一瞬の隙を突かれ、背後を取られてしまう。

 

 

その時、

 

 

「ハッ!」

翔太郎が現れ、怪人を蹴り飛ばした。

「あなたは!」

「また世話になっちまうな、オーズ!」

翔太郎はWドライバーを装着し、

 

〈JOKER!〉

 

「行くぜ、相棒。」

ジョーカーメモリを起動して、フィリップに呼び掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風都署。

琉兵衛との面会に来ていたフィリップの腰に、Wドライバーが現れる。

「行くのかね?来人。」

「…ええ。相棒が待ってるから」

「…頑張れ。我が自慢の息子よ」

「…はい!」

父親の応援を受けたフィリップは、

 

〈CYCLONE!〉

 

サイクロンメモリを起動。そして、

 

 

 

 

 

「「変身!」」

二人はそれぞれのメモリをベルトに装填し、

 

 

 

 

〈CYCLONE/JOKER!〉

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーW サイクロンジョーカーに変身した。

「映司!」

アンクもようやく到着し、映司にメダルを渡す。

「よし!」

映司はオーズドライバーを装着して、三枚のコアメダルを装填。

「変身!」

オースキャナーでベルトをスキャンし、

 

 

〈タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ♪タトバタ・ト・バ♪〉

 

 

仮面ライダーオーズ タトバコンボに変身。反撃に転じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは創世の使徒が全次元世界を滅ぼし、新たな世界を生み出すための空間。この黒い月の正式名称は、創世領域。創世の使徒はここから各次元世界を操作し、怪人軍団を様々な世界に送り込んでいた。

「…いらない。」

創世の使徒は思い出す。

「こんな世界はいらない。」

死力を尽くして得たジェネシスフォースを。それを使って勝ちを取ったドナルドとの戦いを。

「世界も…そこに生きてるやつらも…」

勝ってもなお、自分の強さと力に見向きもしない者達を。

「俺を認めないものは必要ない!!全て消し去ってやる!!」

ドナルドへの激しい嫉妬。そして世界と住民達への恨みは、今まさに、全てを滅ぼそうとしていた。

 

「…」

だが、創世の使徒は口を閉ざす。

「まさか本当に追って来るとはな。」

背後に出現した者達の気配を感じ取ったからだ。

「しかもドナルドじゃなくてお前らが。」

それは、クロスとエンズ。クロスは創世の使徒に向かって叫ぶ。

「創世の使徒!もうこんなことはやめるんだ!」

「こんなことだと?お前らに何がわかる!誰にも認めてもらえない者の気持ちが!」

創世の使徒は、自分がやろうとしていることを『こんなこと』呼ばわりされるのが許せなかった。

「だから全部消してやるんだ。消して俺だけを崇める世界を作り上げる…ゆえに俺は創世の使徒!」

「…貴様を崇める者が、一人もいないと思っているのか?」

「…何?」

エンズは質問する。

「貴様が元々神だというのなら一人くらいはいたはずだ!その者どもの想いをないがしろにして消し去るというのか!?それでは貴様を慕う者を裏切ることになるぞ!!」

「黙れ!!もう決めたことなんだよ!!」

頑として聞き入れない創世の使徒。

「これ以上の問答は無意味だ。」

そんな彼は両手を左右に広げ、自分の胸の中心に紫の光を出す。

「これがジェネシスフォース。そして…」

創世の使徒の右手にリターンメモリが。左手にセイシンコア、ニクタイコア、マイナスエネルギーコアが現れる。

「リターンメモリ!」

「ヤプールのメダル…!」

「こっちのメモリは俺の復活材料。で、こっちのメダルは俺の肉体、精神、それからジェネシスフォースを安定させるために必要なもの。」

創世の使徒が封印されたのは、もう数千億年とか数千兆年とか、そういう数では表せないほど前の話。そんな気の遠くなるような時間を封印されたまま過ごした彼の肉体、精神、ジェネシスフォースは、非常に不安定となっていた。だからこそ、偶然見つけたヤプールのメダルを手に入れることで、それらを安定させたのだ。

「見るがいい。」

今はもう役目を果たしたアイテム。それらをジェネシスフォースの中に入れた創世の使徒は、その特殊な状態となったジェネシスフォースを自らの肉体に取り込む。

 

「変身!」

 

次の瞬間、発光した創世の使徒は蛇をモチーフとした鎧を纏う戦士へと変わっていた。それだけならまだわかるのだが、この戦士、どうにも妙だ。クロスとエンズは思う。この戦士の姿は、まるで…、

「仮面ライダー…?」

クロスが呟いた通り、戦士の姿は仮面ライダーに酷似していた。戦士は名乗る。

「さしずめ、仮面ライダージェネシスといったところだな。どうした?せっかくお前らに合わせてやったんだから、もっと喜べよ。」

創世の使徒は、仮面ライダーとなったのだ。目の前の二人のライダーに合わせるために。

「ふざけるな!」

怒声を張り上げたのは、クロス。

「今お前がやったのは、仮面ライダーを冒涜する行為だ!」

「目的を果たすための手段としてライダーの力を使う…お前らと俺の何が違うんだ?むしろ感謝して欲しいな。本来お前らに自由なんか与えず消滅させてやるところだが、俺はお前らに戦わせてやるという自由を与えてやったんだぞ?」

クロスに質問し、さらに優越感に浸るジェネシス。それに対して反論したのは、エンズだった。

「違うな。貴様のそれはただ自分の欲望を満たすためだけの力であり、信念や誇りが伴っていない。そして何より、守るために使っていない!それでライダーなどと…片腹痛いわ!!」

かつては創世の使徒と同じように、力を取り戻して世界を支配するために戦っていたエンズ。しかし友という名の、信頼という名の光を手にしたことで、彼は真のライダーへと成長していた。

「…ごたくはいいんだよ。それに、問答は無意味だと言った!」

ジェネシスは自身の力、ジェネシスフォースを解放する。

「ここからは言葉ではなく、力と行動で俺に意見しやがれ!!」

「望むところだ。貴様に戦士の…仮面ライダーの何たるかを教えてくれる。」

「負けるわけにはいかないんだ。世界のためにも、僕達を信じて戦っている、みんなのためにも!!」

 

跳躍し、飛び掛かってくるジェネシスと、それを迎え討つクロスとエンズ。

 

 

 

 

 

こうして三人のライダーは戦いを始めた。

 

 

 

 

守るべき者達のために。

 

 

 

 

己の信念のために……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創世の使徒から世界を守るため、それぞれが戦う。だが、怪人達は倒す度に現れ、一向に数が減らない。怪人達は創世の使徒が出現させているので、創世の使徒さえ倒せば終わるのだが、現れ続けているということは、まだ創世の使徒が倒されていないということだ。

「これじゃキリがないね…」

なのはは呟いた。ちなみに、創世の使徒のことについてはドナルドが全員に説明済みだ。

「せめて向こうの様子がわかればいいんだが…」

こちらの世界と創世領域は別の次元に存在しているので、ビーツが言ったように向こうの様子は全くわからない。それを聞いて名乗りを上げたのは、

「俺とイーリャンで何とかする!」

なんと、瓜核とイーリャン。

「レスティー!今すぐ俺と一緒に、俺の家に瞬間移動してくれ!」

「えっ?いいけど何するつもり?」

「スイカがいるんだ!」

「…わかったわ。」

インペライドスロッターを起動させて一緒に戦っていたレスティーは了承し、瓜核とともに瓜核の家へ。まもなくして、二人は山ほどのスイカごと瞬間移動で戻ってくる。なぜかテレビと延長コードも一緒に。

以前にも説明したように、瓜核のアルター能力はスイカを媒体にしなければ発動できない。大規模な技を使おうと思えば、それだけ大量のスイカが必要なのだ。そのため、瓜核の家にはビニールハウスがあり、中で一年中収穫可能なスイカを育てている。

「準備はいいかイーリャン!?」

「いつでもいいよ!」

「よぉし…瓜核ドライブ!!」

テレビを接続後、瓜核が叫ぶと、全てのスイカが蔓になってほどけ、再びより集まってイーリャンを空に押し上げていく。これは情報を集めるための技であり、イーリャンの絶対知覚と組み合わせることで、より広範囲の知覚を行うことができ、またテレビなどのモニターに知覚した場所を映し出すことまでできる。

「絶対知覚」

自身のアルターを発動し、知覚を開始するイーリャン。

「うまく見つけられればいいけど…」

祈るような気持ちで知覚領域を広げていく。と、

「っ!見つけた!」

どうやら知覚できたらしい。

「映像、来るよ!」

イーリャンはテレビに知覚した場所を映す。

 

 

 

 

 

 

テレビに映ったのは、ボロボロになっているクロスとエンズ。そして悠然と立っているジェネシスだった。

 

 

 

 

 

 

 

「「「光輝(くん)!!」」」

「「「皇魔(くん)!!」」」

映像を見ていたフェイト、照山、なのは、ビーツ、かなで、劉鳳は思わず叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

クロスは荒い息を整えながら、アンリミテッドフォースで強化した拳をジェネシスに放つ。ジェネシスはそれを易々と受け止め、お返しとばかりにクロスを殴り返した。入れ違いでメダジャベリンを持ったエンズが切り込むが、柄を押さえつけられてから顔面を蹴り飛ばされる。それでもメダジャベリンを放さなかったエンズは、そのままメダジャベリンを杖にして自分を支えた。

「どうした?お前らの力はそんなもんか?」

ジェネシスは全くの余裕。さっきからずっとこんな感じである。

「おのれ!」

 

〈トリプル!スキャニングチャージ!!〉

 

エンズは素早くメダジャベリンにセルメダルを三枚投入してスキャン。エンズアルカイドを発動した。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「絶対破壊の槍か…旧世界の力だな。」

しかし、ジェネシスはその一撃を、あろうことか受け止めてしまう。横から柄を掴むのではなく、真正面から刃を掴んで。

「な、何!?」

「ほらよ!」

「ぐあっ!!」

エンズはジェネシスの衝撃波に吹き飛ばされる。

信じられなかった。エンズアルカイドは、触れたもの全てを破壊してしまう一撃。仮に無効化しようとしても、無効化するという法則そのものまで破壊できる。にも関わらず、ジェネシスはそれを無効化した。クロスのアンリミテッドフォースで強化した攻撃だって、耐えられるはずはない。だが、神帝として覚醒したクロスのアンリミテッドフォースは、どんな方法を使っても無効化できないはずだ。しかし、ジェネシスにはどう見ても効いていない。

 

そこで、クロスは恐ろしい結論にたどり着いた。

 

 

「無効化されてるんじゃない。効いてないんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジェネシスフォース以外の力が効かない!?」

フェイト達はドナルドから、創世の使徒が持つ特性について聞いていた。

 

創世の使徒は自身の力の新生を行った際、どのような常識、理論、法則、存在にも当てはまらない、全く新しい存在に進化してしまった。ゆえに、彼を進化させた要因であるジェネシスフォース以外の力、能力、特性は、効かないのだ。

「それじゃあ勝ち目なんてないじゃない!」

エンズアルカイドも、アンリミテッドフォースも通じない以上、ゆりが言った通り、創世の使徒を倒す方法はない。

「単純に創世の使徒を力で倒すというのはどうだ?」

劉鳳はドナルドに訊く。

「ジェネシスフォースは無限を超えた力だからね。単純に力で打ち負かすなんていうのは不可能なんだ」

「ドナルドくんがあれだけ警戒しとったからただ者やないとは思っとったけど…そこまで厄介な相手やったとは…」

はやては、改めて創世の使徒の力を思い知る。

「っていうか、ドナルドくんはよくそんな相手に勝てたよね?どうやって勝ったの?」

なのはは疑問に思った。こんなどう考えても倒せない相手を、ドナルドは封印したのだ。何か方法があるに違いない。ドナルドは、自分が創世の使徒を封印した方法を話す。

「マイソロジーフォースだよ。」

マイソロジーフォースとは、無限の力と無限の可能性が融合することによって生まれた、無限を超えた無限の力だ。創世の使徒との決戦時、偶然この力を発現させることができたドナルドは、創世の使徒を封印することができたのである。

「けど、無限を超えた同士じゃ条件が同じになるだけで、決着つかなくねぇか?それに、ジェネシスフォース以外の力は効かねぇんだろ?」

照山の疑問ももっともだが、

「これも偶然だけど、マイソロジーフォースはジェネシスフォースと同じ性質を持っているんだ。だから通用するし、それにジェネシスフォースよりマイソロジーフォースの方が強いんだよ。融合させてる力の大きさが違うからね」

ドナルドの言い分だと、マイソロジーフォースはジェネシスフォースと全く同じ性質を持つらしく、それなら通用するとのこと。しかも発現には他者から力を分けてもらうことが絶対条件で、ドナルドの時は人の想いの力。神の力よりも、人の想いの力の方が強いらしい。

フェイト達は思い出す。かつてクロスが風都の住人達の想いで発現させ、Wとともに仮面ライダーエターナルを破り、アンセスター・ドーパントをも打ち倒したその力を…。

「でもね、マイソロジーフォースって、本当はもっともっと力が出せるんだよ?」

「えっ?それって、エターナルやアンセスターとの戦いで光輝が見せた以上ってこと?」

フェイトは尋ねる。

「うん。ただそのためには、運命の巫女の歌声が必要になるけどね。」

ここでまた新しいワードが飛び出した。ドナルド曰く、運命の巫女とは生まれつき神帝の伴侶となることが約束されている女性のことであり、その歌声には神帝を強化する力があるという。とはいえ、実際に運命の巫女の歌声が神帝を強化した前例はなく、それが現れたのはドナルドが創世の使徒を封印する時のみ。そう、マイソロジーフォースは運命の巫女の歌声によって発現したのだ。これはドナルドも完全に予想外だったらしい。

 

と、なのはは運命の巫女の特徴について気付く。

「神帝と結婚する…」

「歌声…ということは…」

はやても気付いて、二人である女性を見た。

 

 

 

「「フェイトちゃん!?」」

 

 

 

「うん♪そういうことだね♪」

ドナルドは頷く。

「あーっ!!そっか!!それに関係あるかわかんねぇけど、フェイトの名前って、運命って意味じゃねぇか!?」

「え、ええっ!?」

照山からも指摘を受けて、フェイトはたじろいだ。

「決まりだな。」

「じゃあ早く歌って、二人を助けて。」

ビーツとかなではフェイトに頼む。

 

しかし、

 

「多分無理だね。」

 

ドナルドが待ったをかけた。

 

 

「何でだよ!あのバケモンを倒す方法は見つかったじゃねぇか!!」

猛抗議する照山。ドナルドは理由を言う。

「ここからじゃ歌声が届かないんだよ。ドナルドの時はすぐ近くで歌ってもらえたからよかったけど、今はまた状況が違う。歌声を届けるだけのパワーがいる」

「そんな…」

「せっかく光輝くん達を助ける方法がわかったのに…」

なのはとはやては絶望する。

 

そこで、レスティーがあることを思い出した。

 

「かなでちゃん。最近歌関連のガードスキルを作ったって言ってなかった?」

「それってジョイントのこと?」

かなでが最近作成したガードスキル・ジョイントは、自分が弾くピアノと歌、他に演奏に使われる楽器や歌い手の数に応じて力を生み出し、それを他者に与えるというものだ。

「それよ!」

レスティーは瞬間移動し、軽音部の部員達を連れてくる。

「ど、どうしたんだ一体…?」

「できることなら、早く安全な場所に避難したいんだけど、な…?」

澪と入江は怯えながら訊く。

「どこへ逃げても同じよ。このままだと、みんな確実に死ぬわ。」

レスティーはありのままの事実を伝える。創世の使徒を倒さない限り、死ぬしかないと。

「フェイトちゃん。確か、新しい持ち歌があるんだったわよね?」

「う、うん…」

「なら、やるべきことは簡単よ。」

フェイトに確認を取ったレスティーは、超能力を使って自分が考えた作戦を、その場にいる者全員の脳に叩き込んだ。

「わかったわね?わかったなら、行動開始よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ?これでお前らがどれだけ絶望的な戦いをしているか、わかっただろ?」

ジェネシスは勝ち誇る。

「どんな相手だろうと、僕達は仮面ライダーだ!」

「命尽きるまで、諦めるわけにはいかん!」

食い下がるクロスとエンズ。

「…はいはい、わかりましたよ。だったら…」

二人の決意に呆れで返したジェネシスは、片手を二人に向け、

 

 

 

 

「死ねば諦めもつくな。」

 

 

 

 

光線を放った。

 

 

 

「うわああああああああああああ!!!」

「ぐあああああああああああああ!!!」

 

 

 

圧倒的不利な状況で、背水の陣を強いられるクロスとエンズ。

 

 

 

着々と打たれていく逆転の秘策は、果たして間に合うのか?

 

 

 

 

 

急げ。希望が潰えるその前に!

 

 

 

 

 

 

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創世の使徒 イメージCV千葉繁

 

全次元世界の消滅を願う究極の存在。正体は死と新生を司る神、ウロボロス。

 

光を司る創世神と闇を司る創世神を倒して力を吸収、融合、新生させた結果生み出された、無限を超えた無限の力、ジェネシスフォースを操る。また、ジェネシスフォースを生み出した際、どのような存在、常識、法則にも当てはまらない全く新しい存在に進化したため、自分を進化させた力、ジェネシスフォース以外の如何なる力、能力、特性が効かない。だが、同じ性質を持つマイソロジーフォースなら効く。

 

初代神帝であるドナルドに嫉妬し、ジェネシスフォースを生み出して戦いに勝利したが、結局どう転んでも全てがドナルドしか認めないという状況に絶望し、全次元世界を破壊、自分だけを認める新しい世界を創造しようと画策。しかし、マイソロジーフォースを発現させたドナルドに封印される。その時自分を復活させるための布石としてリターンメモリを生み出しており、二回起動すると復活するよう仕込んでいた。

 

新世界の創造は諦めておらず、それを阻もうとするクロスとエンズを苦しめる。

 

 

仮面ライダージェネシス

 

創世の使徒がリターンメモリとヤプールのメダルを使って変身したダークライダー。創世の使徒曰く、『お前らに合わせてやった』。

 

ジェネシスフォースと己の特性を利用した戦いにより、クロスアンリミテッドやドナルドをも凌駕する戦闘力を発揮する。

 

必殺技は、ジェネシスフォースを収束した、全次元世界を一撃で滅ぼすキック、ジェネシスジェネレーション。

 

パンチ力 測定不能

キック力 測定不能

ジャンプ力 測定不能

走力 測定不能

 

ジェネシスジェネレーション 測定不能

 

 

ジェネシスフォース

 

創世の使徒が光を司る創世神と闇を司る創世神を倒して力を吸収、融合、新生させることで生み出した、無限を超えた無限の力。マイソロジーフォースと同じ性質を持つという長所を持つが、その長所自体が弱点に繋がっている。

説明
今回は前編です。
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