万華鏡と魔法少女、第二十六話、接触と忍
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家族との繋がり…

 

 

それは、その暖かさに触れ強固に結びつけられた絆

 

強固に結びつけられたそれは、決して解ける事は無くずっと存在し続ける

 

はやてに、シグナムやヴィータのようなヴォルケンリッターの騎士達

 

俺は彼女達から、そんな掛け替えの無い絆を貰って本当に良いのだろうか…

 

 

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ある日の夜、うちはイタチは海鳴街にある公園のベンチに腰掛けていた

 

暗い闇が支配し、一閃の灯が照らしだすベンチ

 

 

人の気配は無く、静かに沈黙したまま彼はある人物を待ち続けていた

 

予定通りならこの時間帯に現れる筈なのだが…

 

 

「…い、イタチ!」

 

 

ふと、自分の名前を呼ぶ声が聞こえる

 

 

すかさず、ベンチに腰掛けていたイタチはその声のした方へと視線を向けた

 

 

黒い特徴的な髪に相変わらず変わりない子供にも関わらず、大人びた様なその雰囲気

 

 

イタチの視線の先にいるその彼は唖然とした表情で目を見開いていた

 

 

そんな、驚愕の表情を浮かべる彼にイタチは柔らかく微笑んだままこう告げる

 

 

「…久しぶりだな…クロノ…」

 

 

そうイタチの前に現れた人物、

 

 

それは、彼が死んだと言われてフェイトや今は亡きプレシアの責を全てイタチに押し付ける様に尽力した人物であり親友…

 

 

クロノ ハラオウンの姿であった

 

 

イタチが行方不明になった後に、彼女らから責められるという立場に進んで協力し、

 

 

イタチが世話になった憎まれ役を買ってでてくれた掛け替えの無い人物だ

 

 

そんな、クロノはベンチの前にいる彼の姿に目を白黒させていた

 

 

「…ほ、本当に…君なのか?」

 

 

「…ふふ、少し若くなってしまったが間違いなく俺だ…」

 

 

そう言って、イタチは恐る恐る自分に近づいてくるクロノの肩に手を置く

 

 

…自身の肩に触れる暖かい手の感触

 

クロノはその手の温もりに触れ、震える手で彼のその手を掴んだ

 

間違いなく、うちはイタチその人…

 

 

自分の事を友と呼びユーノと同じく、深い絆で結ばれた大切な人物

 

 

過ごして来た時の中でクロノがイタチにこうして再び出会える事ができたのはいままでで一番嬉しかった出来事だった

 

 

 

クロノは涙腺が緩んだ眼を片手で抑えて、笑顔を作りながらイタチに話出す

 

 

「…あの時から…君を救えなかった自分が許せなかった…だけど、こうしてまた会えるなんて…」

 

 

「…すまなかったなクロノ、辛い役柄を君に押し付ける様な形になってしまって…」

 

 

クロノはそのイタチの言葉を否定する様に左右に首を振る

 

 

違う…一番辛かったのは間違いなくイタチの方だ

 

 

彼女、フェイトやアルフと過ごす幸せな時間を投げ捨て、葛藤した挙句に下した判断

 

 

彼女達の為に、自らを憎まれ役に置き罪を全て被って…挙句に慕っていたフェイトやなのはを裏切るという立場にたった

 

 

本来なら、ジュエルシードなどと関係が無かった筈の彼が自らを犠牲に…

 

 

だから、そんな葛藤や彼等を裏切り、辛い思いを一番したイタチを知るクロノは彼の言葉を聞いてそんな事は無いと制した

 

 

「…僕は君に携わったことを後悔なんてしていない…寧ろ感謝しているぐらいだ…それにしてもまさか、翠屋にいた僕に烏に文を巻きつけて呼び出すなんてよく考えたな」

 

 

「…明るみに出る様な接触、連絡手段では管理局の情報部に感ずかれる危険があるからな、念を押してだ」

 

イタチは半年前に派遣された管理局員、十六人を殺害、及びジュエルシード事件の首謀者とされている

 

 

イタチが死亡したという情報と身元が確認出来ないということであの事件は一応あやふやになってはいるがあの時に十六人の管理局員を派遣した上層部

 

 

彼等はイタチから十六人の優秀な管理局員を殺されるという損害を与えられ、イタチな生きていると知れば恐らく良くは思わないだろう

 

 

イタチとしても彼等に知られるのはなるべく避けておきたい

 

 

だから、敢えてこの様な接触をクロノととっている訳である

 

 

無論、クロノもその事を察していたのでそれに対して異を唱える事はなかった

 

「それで…今日君を呼んだ事なんだが…」

 

 

「…?なんだい?」

 

 

イタチはそう言って、話の本題、クロノをこの場に呼び出した理由について語り始める

 

そう、彼をこうして呼び出したのには当然それなりの理由がある

 

 

…はやてが起動させたという闇の書

 

 

彼は当然、大切な部分

 

すなわち、その主が誰であるとか、シグナムやヴィータなどの守護騎士達の事は伏せ

 

 

クロノから、あの書物についての情報を得ようと考えていたのだ

 

 

守護騎士達の事は家族の様に信用しているし疑うつもりもない、寧ろ、はやてを救ってくれる者たちだと思っている

 

 

だが、闇の書(あれ)は別だ、あからさまに曰く付きの様な闇の書と言われているからにはあれに関して何かしらの危険(リスク)が本の持主であるはやてに訪れる可能性がある

 

そんな事になれば取り返しなどつかない、だからこそ早めに動いておかなければ…

 

 

はやてや騎士達が大切な存在となった今のイタチにはそういった考えがあった

 

 

「…闇の書…か…、」

 

 

「…何か知っているのならば是非教えて欲しい…」

 

 

ベンチに座り、考え込んでいるクロノに懇願するように言うイタチ

 

 

暫しの間、険しい表情を浮かべて考え込むクロノ

 

 

彼はふと思い当たる節があったのか、重い口調で彼に語り始める

 

 

「…そう言えば、聞いた事は何度かある…確かロストロギアの類のものだった…」

 

 

「…成る程な確かにあまり聞こえは良くない、所謂、ジュエルシードの様に膨大な力を持っているものになる訳か」

 

 

クロノはイタチのその言葉を肯定する様に頷く

 

 

そう、ロストロギアとは失われた超高度文明から流出する、特に発達した技術や魔法の発達したものであり、その総称

 

 

特に危険なものが多く、クロノによればそれらは大概、管理局が保管しているという

 

 

だが、そんなロストロギアが何故はやての様な一人の少女の手に渡ったのか…

 

 

二人はそれについて、この時真っ先にその事について疑問を抱いた

 

 

「間違いなく、これは…」

 

 

「…あぁ、恐らくな…」

 

 

考える程このおかしな出来事に対して呟くクロノに頷くイタチ

 

 

そう意図して、彼女の手元に渡るように仕組まれていたのでは無いかという疑惑

 

 

確信は無いが、事を起こそうとしている人物がいるかもしれないという可能性

 

 

イタチはすかさず、クロノに闇の書について更に詳しい事を知る人物について訪ねる事にした

 

 

「この書物について君より詳しい人物はいないか?」

 

 

「…僕が知っている人で、ギル グレアムって恩師がいるその人なら恐らく何か知っているかもしれない」

 

クロノは何処か先程よりも暗い雰囲気を漂わせながらイタチにそう言った

 

 

さっきから闇の書と話した時からだ

 

 

何かを間違いなく彼は隠している、恐らく闇の書についてだ

 

 

長年培われた忍の勘だろうか、イタチはクロノの何かそういったものを感じ取った

 

 

「…なぁクロノ、本当は何か闇の書について知っているんじゃないか?」

 

 

「………」

 

 

唐突なイタチから投げかけられる問い

 

 

クロノは沈黙したまま静かにイタチから視線を逸らすように俯いていた

 

 

それはやはり、彼が抱えているであろう心の闇

 

 

だが、それはいずれグレアムがイタチと話をすれば明るみになる話である

 

 

遅いか早いかの問題だ

 

 

クロノは内心あまり自分の口から語る事を拒んでいるような感じではあったが重い口調で自身の口からその出来事をイタチに語り始める

 

 

「…十一年前の事件の事だ…」

 

 

悲しげな表情を浮かべて語り出すクロノの話にイタチは黙って耳を傾ける

 

 

そう、それは十一年前の事件

 

 

クロノがまだ幼かった頃、彼にはクライドハラオウンという尊敬していた父がいた

 

 

いつも、クロノが憧れていた背中…

 

 

時空管理局提督の地位を持ち、クロノが誇りにしていた人物だった

 

 

クロノは最後にそんな父との最期のやり取りの事を思い出す

 

 

『…父さん! がんばってね!』

 

 

『あぁ、帰ったらクロノと一緒にご飯を食べような』

 

 

確か…母と交わしていたのはそんな他愛ない会話だった…

 

 

その姿を最後にクロノの前からクライドは消えた

 

 

自らを犠牲にして、その時乗っていた艦エスティアと運命を共にして…

 

 

クロノの母、リンディは悲しみにくれていたそうだ…

 

 

当時、彼自身も何でこんな事になったのか、理解できないでいたらしい

 

 

…悲劇だった…

 

 

淡々と語るクロノの話にイタチは黙って耳を傾けて聞いていた

 

 

クロノの過去、しかしそれが闇の書とどういった関連性があるのか…

 

 

どうやら、イタチの中ではその時点で察しがついたのだろう納得した様に俯いて語っていたクロノに視線を向けた

 

 

成る程…そう言う訳か…

 

 

そうして、イタチは感謝の気持ちと共に深々とクロノにお礼を述べる

 

 

「…クロノ、話してくれてありがとう…」

 

 

親がどんなものか自分も良く理解している

 

 

失う辛さも悲しさも…

 

 

望んでもそれは返ってはこない、俺は後悔しか残らなかった

 

 

だからか、彼がどれほどこの事を自分に話すのを躊躇していたかイタチにはわかった

 

 

多分、この十一年前の事件…彼も最近になって調べてわかった事なのだろう

 

 

だとすると闇の書はクロノの仇となる、彼が憎んだとしても理解ができる

 

 

だが、恐らく、今回闇の書がはやての手に渡ったのは彼が実行やった事ではない

 

 

全く、別の人物

 

 

そう、十一年前に起きたその事件の事を根に持っていて、はやての手に渡る様にし向ける事ができる人物

 

 

大方、今の主であるはやてを上手く利用し闇の書をどうにかしてしまおうと考えているのだろう

 

 

そこまで、クロノから聞いた話から推測したイタチは黙ったまま思考を巡らし、出来るだけ得た情報を元に自分の中で整理をつける

 

 

そんな時だ、

 

 

ふと、クロノが真剣な表情で考え込んでいるイタチに思い出した様にある話をし始める

 

 

「…イタチ、フェイトには会わないのか?」

 

 

イタチは一瞬だけ、クロノから掛けられたそのフェイトという言葉に反応する

 

 

はやてとは別に以前、いや今でもイタチの義妹であるフェイトテスタロッサ…

 

 

半年前、彼女から憎しみを受け取り腹をバルディッシュによって貫かれた

 

 

悲惨な戦い…兄と慕っていたフェイトには耐え難くそして辛かった事だっただろう

 

 

それに、高町なのはもまた、話し合いで自分を救えなかった彼女自身の無力さに嘆き苦しんでいたそうだ

 

 

クロノが言うにはフェイトの母親、プレシアは二ヶ月前ぐらいに息を引き取り、今はリンディの養子で自分の義妹だという

 

 

クロノは自分が望んだとおり、ちゃんと約束を守ってくれた

 

 

その事を踏まえて、イタチは自分が今の彼女には必要では無い存在だとそう中で結論を既に出していた

 

 

勿論、会いたい…フェイトにもなのはにも

 

 

元気な姿をこの眼でみたいとは思っている

 

 

だが、それは闇の書を抱えているはやての側にいる自分には叶わない事なのだ…

 

 

今、管理局に身を晒すわけにはいかないどんな事があっても…

 

 

そうして、イタチは儚げな瞳で空を見上げ、クロノに一言だけこう告げた

 

 

「…クロノ…俺は彼女達に会う事はできない…今、傍らには護らなければ成らないものがあるんだ」

 

 

「…イタチ、それは分かる…だが、それでは君が……何より今もなお、君があげたロケットを大切に身につけているフェイトが…可哀想だ…」

 

 

今でこそ彼女の側にいるから分かる

 

 

彼女がイタチの事がどれだけ好きであったか

 

 

クロノは未だにイタチとの思い出を大切にしているフェイトの事を思い出す

 

 

自分達の前では何事もなく振舞っている彼女

 

 

だが、イタチとの出来事から毎夜、一人でひっそりと部屋の中で泣いていたという

 

 

それは…やっぱり責め続けていたのだろう

 

自分がイタチを手に掛けた事、そしてなによりイタチが側にいない事が彼女には悲しかった

 

 

大切な人間が自分の前からいなくなってゆく

 

 

その苦しみを仕方ないとはいえ、彼女に不本意だが与えてしまった

 

 

クロノの話を静かに聞いていたイタチは自分が取り残してきたフェイトの事を思い返すとやりきれない気持ちになった

 

 

クロノはそんなイタチの表情を横目に、またあのジュエルシード事件の後のなのはについても語りだす

 

 

「…なのは…、彼女もまた君がいなくなって一人で考え込む事が多くなったと桃子さんから聞いた…君がいなくなった日から学校を三日も休んで落ち込んでいたそうだ」

 

 

 

「…そうか…」

 

 

イタチはいつも元気に翠屋で働いていた自分の元に駆け寄ってきていた彼女の姿を思い浮かべつつ、一言だけクロノにそう告げると静かに眼を伏せた

 

 

あの明るかった筈の…なのはが…

 

 

彼女が掲げる、話し合いによって相互を理解し争いを無くす事

 

 

彼女はもしかすると自分がフェイトに殺されたと思い込んでいる事で自身が掲げるそれに疑問を抱き始めたのかもしれない

 

 

話し合いでは、誰も救えないという現実を突きつけられて…

 

 

イタチは自分がいなくなった事により、二人の少女に心の闇を作ってしまった事を改めて後悔した

 

 

…そうか、自分が生きなければ成らない意味

 

 

ようやく理解出来た、アリシアがアルハザードから生き返らせてくれた事

 

 

イタチはベンチから静かに立ち上がり、クロノを置いてその場から立ち去ろうと背を向ける

 

 

「…クロノ、俺は…、不器用な生き方しかできない…」

 

 

「…イタチ…君は…」

 

 

何かを心の中で決め、静かに背を向けるイタチの姿にクロノはもう彼に掛ける言葉が見つからなかった

 

 

彼女達を導く事は自分には出来ない、

 

 

だから、乗り越える壁として自分は彼女達と共にあり続ける

 

 

例え、共に笑い合える時が無くなってしまっても

 

 

「…また会おう…クロノ…」

 

 

振り返り、クロノにその一言だけ微笑み告げるイタチ

 

 

その姿は歪み始め、やがて彼の身体は夜の闇に溶け込む様に変貌してゆく

 

 

赤雲のマントはまるでバラバラに散る様に黒い烏にへと変わる

 

 

クロノはそんなイタチの姿を見て、嬉しそうに顔を綻ばせる

 

 

うちはイタチという友の不器用な生き方、自分は彼のそんなところに惹かれたのかもしれない

 

 

彼もまたその語り合ったベンチを背に消えた彼とは逆の方へと夜の闇の中に消えてゆく

 

 

何者も残らない、漆黒の闇の中で灯に照らされた一つのベンチ

 

 

そこには静かな風だけが過っているだけであった

説明
沢山の血を流し、同じ一族を手に掛けた一人の男


彼は唯一の弟と対峙して命を散らせた。


愛する人も友も家族でさえ手に掛け、たった一人の愛する弟の為に命を賭した


そして、死んだ筈だった彼は自分自身が居た世界では無く、

気がつけば違う世界の中に存在していた

そんな彼の前に現れた一人の金髪の魔法少女


彼女と出会った彼はどの様な結末を迎えるのだろうか…



NARUTO、うちはイタチとリリカルなのはのクロスオーバー作品です未熟者ですが、宜しくお願いしします



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魔法少女リリカルなのは NARUTO ヴォルケンリッター うちはイタチ クロスオーバー 八神はやて リリカルなのは 

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