世界を越えし男と数の子たち 第25訓 松茸って高級食材の一つだけどアレ普通のキノコと大して味は変わらないんだぜ
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オットー「優斗、流石にこれは毒キノコだと思う…」

 

ユウト「いやいや、こういう見た目がグロいものほど食ったら美味ぇんだよ。塩辛然り、かにみそ然り」

 

ディード「ですが、こんな紫色でイボみたいなのが沢山付いてるのは危ないですって。もう見た目からして毒が有りそうですし。『俺は毒を持ってるぜ近寄るな』って言ってますよ、これは」

 

 

優斗達は、クラナガンから遠く離れた山に来ていた。

今ミッドチルダは秋なので、山には沢山のキノコがあるのである。

そこで優斗達は、キノコ狩りの最中だった。

 

優斗達が目の前にあるキノコの事で話していると、背後からウェンディの声が掛かった。

 

ウェンディ「優斗、オットー、ディード!ちょっとこっちに来てくれっス!」

 

優斗達はウェンディの方を見た。

 

ウェンディが手招きをしている。

優斗達はウェンディの方に向かった。

 

ディード「どうしたんですか?ウェンデイ姉さ…!」

 

ユウト「?。どうした?ディード…!」

 

オットー「みんな、どうし…!」

 

三人は目の前に在るものに驚愕した。

ウェンデイの示した方向には、白眼で、舌をむき出しにして、頭にキノコの生えた熊が倒れていたからだ。

 

ウェンデイ「これ、凄くないっスか?」

 

ユウト「いやいやいや!凄くねえから!何だよこれ!?」

 

オットー「これ…、死んでるの?。動かないし、白眼向いてるけど…」

普段余り表情の変わらないオットーも、少し顔を引き攣らせている。

ウェンデイ「あたしもよく分かんないっス」

 

ディード「て言うか、熊…ですか?、それ。頭にキノコ生えてますけど」

 

ユウト「これは…アレだろ。あんまり頭、使わなかったから…。三丁目の岸部っているじゃん。あそこのジーサンも生えてた」

 

ウェンデイ「マジっスか、気をつけよ」

 

ディードは近くに立っている『キケン!熊出没注意!』の立て札を見ながら言う。

 

ディード「猟師にやられたのか分かりませんけど…、どのみち、そんなに長居出来ませんね。せっかく、こんな遠い所まで来たのに…」

 

ユウト「バカヤロー。怖気づいてんじゃねーよ。まだ松茸の一本も手に入れてねーんだぞ。虎穴に入らずんば虎児を得ずって言うだろ?。熊が恐くてキノコ狩りができるかコンチキショー」

 

ウェンデイ「コンチキショー!」

 

そう言って、優斗とウェンデイは『ま?つ?た?け♪』と歌いながら、山の奥に進んで行く。

 

ディードとオットーはため息をつきながら上を向いた。

 

オットー「優斗、ウェンデイ。うえ、うえ!」

 

ユウト「上?」

 

ウェンデイ「上に何か…!」

 

オットーの言葉に従って上を向くと

 

十メートル以上はあるであろう巨大な熊が立っていた。

 

ユウト・ウェンデイ『………ぐふっ』

 

優斗とウェンデイは地面に倒れ込んだ。

 

ディード「優斗兄様、ウェンデイ姉様!何してるんですか!?」

 

オットー「あれは…死んだフリだね」

 

ディード「それは知ってるけど…って、二人とも!それ迷信ですから!」

 

ディードとオットーは近くの茂みに隠れた。

 

 

ウェンデイ「…優斗、迷信らしいっスよ…」

 

ユウト「………」

 

へんじがない、ただのしかばねのようだ。

 

ウェンデイ「あっ、ズルイっスよ!自分だけ本格的に死んだフリして!熊さーん、生きてるっスよ!この人!」

 

熊に向かって叫ぶウェンデイの頭を優斗がはたくとスパァン!と音がした。

 

ウェンデイ「ほら、生きてたっス!」

 

ユウト「ガタガタ騒ぐな。心頭滅却して死んだフリすれば熊にも必ず通じる。さあ目をつぶれ」

 

ディード「いや、通じませんから!早く逃げてください!」

 

茂みに隠れたディードが優斗達に向かって叫ぶ。

 

そんなことをしている間にも、熊が木々を薙ぎ倒しながら近づいてくる途中、優斗とウェンデイが木と共に吹き飛ばされた。

 

オットーが近づいてくる熊に向かってIS『レイストーム』を放とうとしたとき、男の声が聞こえた。

 

???「オイオイ、今時死んだフリするなんて、レトロな奴らだな」

 

そう言って男は、猟銃のようなデバイスを熊に向かって構え、弾を撃った。熊に当たった弾から白い煙が立ち込める。

ユウト「煙幕か!?」

 

優斗がいきなりの事に驚いていると茂みの方から男が呼んでいた。

 

???「オイ!こっちだァ!」

 

ユウト・ウェンデイ『!!』

 

ーーーーーーーーーー

 

優斗達が茂みに隠れ、暫くすると、巨大熊はどこかに去っていった。

 

オットー「行ったみたいだね」

 

ディード「ありがとうございます、助かりました。それで、あなたは…」

 

ディードが男に問いかける。

 

フォレス「俺の名はフォレス。奴を追う者だ」

 

ユウト「奴?あの熊か?」

 

フォレス「ああ。アレは『正宗(まさむね)』っていってなァ、いわばこの山のヌシだ」

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

五人は、山の中にある川の近くに移動し、鍋を囲んで座っていた。

 

フォレス「あ?キノコ狩り?。今、この山がどれだけ危険なのか知らんのか。お前らも見ただろう、あの妙なキノコを」

 

ユウト「ああ、ありゃあ一体…」

 

フォレス「それは俺にも余り分からん。だが近頃、この山ではアイツの被害が広まっていてな、どこの世界から来たキノコかしらんが、アイツに寄生された奴はみんなキノコを育てるための生きた肥料になる。自我を失い、栄養をキノコに送るためだけに狩猟を続ける化物になっちまう」

 

ウェンデイ「何か、映画とかで出てくる侵略者みたいっスね」

フォレス「侵略者…というよりは、ウイルスに近いな。それも質の悪い。あの熊はそれにかかっちまったみたいだな」

 

フォレスは鍋を食べながら言う。

 

フォレス「さっきの巨熊(おおぐま)、正宗もかつては山のヌシと呼ばれた賢い熊だったが、アレにやられた後は文字通りの化物よ。この下にある里じゃあ畑は荒らされ、人は喰われるわで、壊滅的な被害を受けているそうだ」

 

フォレス「そこで、俺の出番ってわけだ、なに、巨熊如きにひけはとらねぇ」

 

ユウト「報酬目当てか?」

 

優斗がフォレスに問う。

 

フォレス「そんなんじゃねーさ。まぁ、奴とは昔、いろいろあってな…」

フォレスから熊の事を聞いた優斗はため息をつきながら言う。

 

ユウト「…ハァー。あんな化物がいるんじゃ、松茸なんか言ってる場合じゃねえな。仕方ねぇ、俺達は山を降りるとするか」

 

そう言って頭を下げた優斗。その時、ディードは優斗の頭についているものを見てしまった。

 

ディード「って兄様ァァァァァ!頭からキノコ生えてますよォォォォ!」

 

ユウト「うぇっ!マジで!?」

 

ディードが言ったことに優斗が驚く。

 

ウェンデイ「あ、本当っス。まったく、頭ちゃんと使って生活しないからっスよ〜」

 

オットー「三丁目の岸部ってお爺さんみたいになるよ」

 

ウェンデイとオットーが優斗を窘めるが…

 

ディード「いや、あなた達も生えてるから!って、アレ!?私もォォ!?」

 

その様子を見たフォレスは優斗達に言うが…

 

フォレス「ほら、言わんこっちゃねぇ。…奴に寄生されたな。素人が山をナメるからそんな事になるんだ」

 

ディード「いや、あなたも寄生されてますから!」

 

フォレス「えっ、…アレェっ!?なんでェェェェ!?ちょっ…お前ら、この鍋に何を入れた!!」

 

ウェンデイ「失礼っスね!あたしの鍋にケチつけるっスか!?熊の頭に生えたキノコなんてめったに食えないっスよ!超レアっスよ!」

ディード「レアっスよ!じゃねぇよ!アンタ何してんの!死体に生えたキノコ入れる奴があるかァァァァァ!!」

 

オットー「落ち着いて、ディード!キャラ変わってる!」

 

怒りのあまり、キャラが変わってしまったディードだった。

 

ディード「これ、最悪じゃないですか!私達、一体どうなるんですか!?」

 

フォレス「不味いな…。このままじゃ奴らの仲間入りだ。キノコに寄生された生きる屍と化す」

 

フォレスはみんなに言い聞かせる。

 

フォレス「だが慌てるな。初期段階なら里にある薬を使えば治療は間にあう。だがそれまでは頭のキノコに触れるな!何が起こるか分からな『ブチィッ!!』…って、人の話しを聞けェェェ!」

フォレスが話している途中、ウェンデイが頭のキノコと取ってしまった。

 

すると、ウェンデイの頭にポコポコとキノコが生えてきた。

 

ディード「ちょっと、何か増殖してますよ!!」

 

ウェンデイ「おおー、何か凄いっス!あ!この緑色のかさに白い水玉模様は…噂の1UPキノコじゃ…」

 

ユウト「あ、そっちの赤い方は大きくなるやつじゃ…」

 

ディード「って二人とも、言ってる場合ですか!?フォレスさん、どうすればいいんですか!?何とかしてくださいよ、あなたなら何とか出来ないんですか!?」

 

フォレス「人をキノコ博士みたいに言うな!」

そう言い終えたとき、近くでドスン!と音がした。

音のした方を向くと、巨熊がいた。

 

ディード「最悪じゃないですかァァ!よりによってこんな時に!」

 

フォレスが銃を構え、正宗に向けて撃つ。

 

しかし、熊は無傷だった。

 

フォレス「オイ、俺がコイツを引きつけるから、その間にお前らは里に逃げな」

 

 

フォレス「男の喧嘩は神聖なモンだ、邪魔はいらねー

 

 

 

なあ?、正宗よ」

 

巨熊がフォレスに襲いかかる。

正宗の攻撃は地面をえぐった。

 

正宗が攻撃した場所にフォレスはいなかった。

 

 

フォレス「アレ?」

優斗が、正宗が攻撃する直前にフォレスを担ぎ上げ、走り出したからだ。

 

ユウト「何考えてんだ!死ぬぞアンタ!」

 

フォレス「うるせー、ほっといてくれ!お前らには関係ない!」

 

暫く走っていると、先の方に大きな木があり、根っこの所が穴になっている。

 

ディード「兄様!あそこに隠れましょう!」

 

ーーーーーーーーーー

 

 

優斗達は穴の中に逃げ込んだ。

熊が穴の入り口から顔や腕を覗かせている。

 

フォレス「こりゃ長くはもちそうにないな」

 

ユウト「ここも、俺達もな」

 

フォレス「…ったく、余計な事をしてくれやがって。お前らのせいで予定が狂わされっぱなしだぜ」

ユウト「何だよ。熊に喰われるのがアンタの予定だったのかよ」

 

フォレス「…少し昔話をするか…」

 

 

フォレスは熊を見ながら、自分の過去を話した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

オットー「…そんな事があったんだ」

 

フォレス「アイツは人間に復讐しようとしている。無慈悲に親を奪われ…、身勝手に人間に捨てられた」

 

 

フォレス「奴をあんな化物にしちまったのはまぎれもねえ

 

 

 

…この俺だ」

 

フォレスは銃を肩に担いだ。

 

フォレス「奴の苦しみも、里の者達の苦しみも、俺が里の掟を破ったことで生まれた」

フォレス「アイツを止めるのは俺しかいない、俺が止めなきゃならねーんだ。

 

たとえ止められなくても奴の手にかかって死ぬ。俺にはもう…、それ位しかしてやれる事はねーんだよ」

ドォン!!

フォレスは熊に銃を撃った。

 

しかし、熊は少し怯んだ程度だった。

 

フォレス「やっぱ効かねーか。そのドタマのキノコぶっ飛ばすしか、お前を救う道は無さそうだな」

 

フォレスは再び銃を撃つ。銃の弾が熊に命中する。

 

フォレス「(…殺ったか!?)」

 

そう思ったとき、熊の腕がフォレスに襲いかかる。

 

フォレス「ぐはぁっ!」

 

フォレスは吹き飛ばされ、銃も遠くに飛んでしまった。

 

倒れたフォレスに熊が再び襲いかかる。

もうだめだ、そう思ったとき、優斗とディードが熊を剣で殴り、一瞬だが怯んだ。

 

オットー「フォレスさん!」

 

オットーがフォレスに銃を投げる。

 

フォレスは銃をキャッチし、自分に向かって走り出した熊に銃を向ける。

 

フォレスと熊が睨み合う。

 

フォレス「!」

 

熊が摩理之介に大人しく頭を下げた。

 

フォレス「ま…正宗…」

 

フォレスは、まだ正宗が小さかった頃を思い出した。

 

フォレス「すまねぇ…」

 

 

あばよ…正宗

 

フォレスは銃のひき金をひいた。

 

山に、ドォォォン!!、と音が響いた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

優斗達は山を降り、里で治療してキノコをとった。

里の入り口にて

 

 

フォレス「何だか、いろいろ迷惑かけちまったな。これからお前らはどうするんだ?」

 

ユウト「もうキノコ狩りはウンザリだからな」

 

ウェンデイ「次はブドウ狩りっス!」

 

フォレス「フッ、懲りねぇ奴らだな」

 

ディード「あなたはどうするんですか?」

 

フォレス「フン、俺も掟だなんだってのはもうウンザリなんでな」

 

フォレス「これからは自由に生きるさ、アイツの分までな…」

 

説明
俺はこの日、掛け替えの無い奴らに出会った。
俺は車に跳ねられて死んだと思ったら、なんかよく分からんが別世界に行ってしまったみたいだ。
気が付けば、マッドな科学者や12人の姉妹と暮らしていたり、組織にケンカ売って犯罪者になっちまったり。平凡な日々を送っていたり
そして−−俺は戦う。ナンバーズ達を、世界を守るために。
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ほのぼの キャラ崩壊に注意 コメディ スターオーシャン ツッコミはディード ナンバーズがメイン ブレイブルー リリカルなのは 残酷な描写あり 銀魂ネタが多い 

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