世界を越えし男と数の子たち 第30訓 女性客の多い店って男には凄く居づらいよね |
今回から話が大きく進みます。そして、あの二人に優斗とチンク、ヴィヴィオが出会います。
あー、どうも。五十嵐優斗だ。
現在、クラナガンに新しく出来たスイーツ専門店『ロッシェ堂』にチンクとヴィヴィオを連れて来ていたんだが、そこで困った事になった。
何故なら……
ユウト「………」
チンク「………」
なのは「………」
シグナム「………」
ヴィヴィオ「♪」(チョコレートケーキを食べている)
……機動六課の『高町なのは』と『シグナム』と相席になってしまったからだ。
……凄く居づらい、つーか、何で寄りによって相席の相手がコイツらなんだよ!
とりあえず、どうしてこうなったのか、少し思い出してみるか…。
ーーーーーーーーーー
事の始まりは、アジトでテレビを観ていた時だった。
アナウンサー『え?、今日は、先日オープンしたスイーツ専門店の「ロッシェ堂」にやって参りました』
チンク「ほう、遂にロッシェ堂がオープンしたのか」
ユウト「確か、スーパーの少し先にあった、工事してたとこだよな?」
チンクと優斗がテレビを観ながら会話をしている。
アナウンサー『見て下さい、この行列!沢山の人が並んでいます!』
ユウト「すっげーな」
チンク「ああ」
テレビの中で、アナウンサーが並んでいる人にインタビューをしている。
そして、ロッシェ堂の店長がアナウンサーのインタビューを受けている。
アナウンサー『え?、店長さん。このお店のオススメというのは何ですか?』
店長『そうですね…。『プリンパフェ』とチョコレートケーキが人気がありますね…』
店長がそう言った時、チンクの方から『ぴく』と音が聞こえたような気がした。
そう思っていると、チンクが俺に話しかけてきた。
チンク「優斗、明日ロッシェ堂に行くぞ」
ユウト「何で?」
チンク「決まってるだろう。プリンパフェが食べたいからだ」
ユウト「決まってるだろうって…、まあ、行くのはいいけど、結構混んでると思うぜ」
チンク「甘いもの、特にプリンの為ならその程度私にとっては何でもない」
ユウト「…ま、いいか。行ったら俺も何か食おうかな…」
翌日、優斗とチンク、ヴィヴィオはロッシェ堂に来た。
しかし、ロッシェ堂の外には行列が出来ていて、三人は並ぶはめになった。
ヴィヴィオ「凄く人が多いね」
ユウト「本当だな、開店して一時間でこの行列かよ」
チンク「これは…、思ったよりも時間がかかりそうだな…」
そうして並んでいる事大体40分位、優斗達は漸く店に入る事が出来た。店内は広く、内装はファミレスのような感じだった。そう思っていると、一人の店員さんがこちらへ歩いてきた。赤髪に店の制服を見事に着こなしているかわいい感じの子である。
店員「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
優斗はチンクとヴィヴィオをちらっと見て、三人だ、と答える。
店員「まことに申し訳ございませんが、現在は満席の状態でして、お客様には相席になっていただくしかないのですが、よろしいでしょうか?」
外であれだけの行列が出来ているのだ、店の中が混んでいるのも当然だ。
それに、店の中は女性客が多い…というか殆どである。
自分一人だけなら恥ずかしさもあり諦めるが、今回はヴィヴィオとチンクがいるため、別にいいかと考える。
ユウト「俺はどっちでもいいけど、チンクとヴィヴィオはどうする?」
優斗が二人に聞くと、チンクとヴィヴィオは別に構わないと答えた。
優斗は店員に言った。
ユウト「俺達はどっちでもいいけど、相手側が構わないなら俺達も気にしないんで」
店員「わかりました。では少々お待ちください」
店員はお辞儀をして奥へと行く、少しして戻ってきた。
店員「相席を了承してくださった方たちがおりますので、お席にご案内いたします」
店員の後に続いて、優斗とチンク、ヴィヴィオは歩いて行った。
ーーーーーーーーーー
そして、冒頭に戻る。
店員について行った先に居たのは、『高町なのは』と『シグナム』だった。
とりあえず俺はティラミス、チンクはプリンパフェ、ヴィヴィオはチョコレートケーキを注文した。
そして今、俺達は向き合っている状態である。
ユウト「………」
チンク「………」
なのは「………」
シグナム「………」
暫く無言で向き合っていると、なのはが切り出してきた。
なのは「え?っと、お久しぶり…ですね、優斗さん…」
ユウト「…確かに…久しぶり、だな…高町なのは…」
シグナム「まさか、こんな所で再び会うとはな…」
ユウト「こっちは会いたく無かったけどな」
チンク「優斗、こいつらはまさか…」
ユウト「ああ、まさか、機動六課の奴らに会うとはな…」
そう、優斗達と管理局は敵同士である。
優斗達はなのは達を警戒する。
優斗達が警戒している事に気がついたシグナムは優斗達に言った。
シグナム「待て、私達はお前達を逮捕しようとは思っていない」
チンク「どういう事だ」
シグナムの言葉を聞いたチンクは驚く。それはそうだ、目の前に犯罪者がいるのに、逮捕しないと言うのだから。
なのは「実は、あなた達に、特に優斗さんに聞きたい事があるんです」
ユウト「俺に?一体何だよ?」
なのは「…ジェイル・スカリエッティの事です…」
ユウト・チンク『!?』
優斗とチンクは再び驚いた。
チンク「…ドクターの事を聞いてどうする」
なのは「…以前、優斗さんと闘った時に言われました。『スカリエッティ達の事を大して知らない癖に知ったような事を言うな』と」
ユウト「…あまり覚えてねえな」
シグナム「それで、高町はお前達に聞きたいんだそうだ」
なのは「はい、私は知りたいんです。スカリエッティ達が本当はどういった人なのかを…」
なのはの言葉を聞いた優斗とチンクは、二人に言う。
チンク「…すまないが、私的には、話す事は出来ない…」
なのは「…そうですか」
なのはは頭を下げて落ち込む。
しかし、優斗の言葉を聞いて再び頭を上げる。
ユウト「…ただ、帰っても、他の奴らには絶対に言わないってのと、逮捕しないなら、話しても良いぜ」
なのは「…はい、分かりました」
チンク「な!?優斗!?」
ユウト「ま、大丈夫だろ。確か、シグナム…だっけか?お前は口は固い方か?」
シグナム「私は固い方だ」
ユウト「んじゃ、大丈夫だな」
チンク「…しかし、ドクターの事を私達が勝手に話してもいいのか?」
ユウト「それもそうだな…」
優斗がどうするか悩んでいると、なのはが優斗に話しかける。
なのは「…それなら、優斗さんはスカリエッティ達は家族だ、と言ってましたけど、それは…」
ーーーーーーーーーー
優斗達はなのはの質問に答えていった。
スカリエッティ達と家族というのは?という事から様々な事を聞かれた。
そして…
なのは「…そうだったんですか」
チンク「…もし、優斗に出会わなければ、私達ナンバーズは本当にただの、人殺しの道具のままだったのだろうな」
シグナム「道具、か…。私も、今の主に出会わなければ、道具のままだったのだろうな…」
シグナムが昔を思い出して言う。
なのは「だけど、優斗さん達の話を聞いてると、戦闘機人も私達とあまり変わらないんですね」
チンク「そうかもな、優斗、お前は前に私達に言っていたな、『戦闘機人で無くても人は殺せる。何より恐ろしいのは自覚の無い奴ら』と」
ユウト「ああ、確かそんな事言ったっけ」
チンク「言ってたぞ。…それと、ドクターの事は、本人に聞いた方がいいだろう」
そう言って、優斗とチンク、ヴィヴィオは席を立つ。
ユウト「んじゃ、そろそろ帰るかね」
そう言って、優斗達は帰ろうとする。しかし、なのはに呼び止められた。
なのは「待って下さい!」
シグナム「高町!?」
なのは「優斗さん、チンクさん。…私をスカリエッティに会わせて下さい」
ユウト「はあ!?」
チンク「何を言ってるんだ、お前は!?」
なのはの言葉に思わず驚いた。今日は驚きの連続である。
なのはは続けて言う。
なのは「…二人の話を聞いていて思いました、『スカリエッティはただの犯罪者では無いかもしれない』と。それに優斗さんが言っていた『スカリエッティ達の事を大して知りもしない癖に』というのも。だから私らは知りたい、スカリエッティの本当の事を」
ユウトとチンクはお互いに顔を見合わせる。
チンク「…どうするんだ、優斗」
ユウト「…そうだな…、スカリエッティに聞いてみるか?」
優斗は携帯をスカリエッティに繋げた。
数コール後、スカリエッティは電話に出た。
スカリエッティ「どうしたんだい?優斗君」
ユウト「ああ、実はな…」
ーーーーーーーーーー
優斗はスカリエッティに、なのは達と話した事を伝えた。
そして、なのは達がスカリエッティに会って話がしたいという事も。
ユウト「…まあ、流石に会うわけに『構わないよ』いかない……はあ!?」
チンク「ど、どうした?」
ユウト「…スカリエッティからOKが出た…」
チンク「…はあ!?」
チンクは優斗から電話を受け取り、スカリエッティに聞いた。
チンク「ドクター、良いんですか!?」
スカリエッティ『ああ、私は構わないよ。それに、優斗君達が二人を信用出来るのなら、別に問題は無いだろう』
チンクは優斗に電話を返す。
チンク「どうやらドクターは構わないらしい」
シグナム「…そうなのか?」
ユウト「本人はいいみたいだからな…。そんじゃあ、行くか?」
なのは「…はい!」
そうして、五人は店を出た。
チンク「そうだ、デバイスは預からせてもらうぞ」
チンクが言うと、なのはとシグナムは自分のデバイスをチンクに渡した。
そして、五人はアジトに向かった。
説明 | ||
俺はこの日、掛け替えの無い奴らに出会った。 俺は車に跳ねられて死んだと思ったら、なんかよく分からんが別世界に行ってしまったみたいだ。 気が付けば、マッドな科学者や12人の姉妹と暮らしていたり、組織にケンカ売って犯罪者になっちまったり。平凡な日々を送っていたり そして−−俺は戦う。ナンバーズ達を、世界を守るために。 |
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