世界を越えし男と数の子たち 第37訓 釣りをするなら大物を狙え |
ミッドチルダ郊外のとある場所
そこにある大きな池のほとりに4人の人影があった。
1人は、黒髪の青年
『五十嵐優斗』
1人は、水色の髪の少女『セイン』
1人は、赤い髪を後頭部でまとめた少女
『ウェンディ』
そして、栗色の長いストレートヘアの少女『ディード』がいた。
彼らの手には、一本の釣り竿
優斗達は、この池で釣りをしていた。
ーーーーーーーーーー
セイン「なかなか釣れないね?」
ディード「そうですね…!」
ディードの竿が大きく振れる。
ディードは竿を思い切り引っ張り、魚を釣り上げた。
ディード「よい…しょ!! …って、またこの魚ですか…」
ディードは落胆する。釣り上げた魚が、カタツムリのように目が出ていて、あちこちに触手のようなモノが生えた、見た目が気持ち悪い魚だったからだ。
ディード「しかしこの池、何でこんな魚ばっかり何ですか? この池は生態系がおかしいですよ」
ユウト「何でも、この辺りは昔に戦争があって、その際に生態系がおかしくなったらしいぜ」
セイン「生態系が変わるって、どんだけ凄かったんだろ…?」
ユウト「さあな…、それよりディード、それもバケツに入れといて」
ディード「ええ!? これも食べるんですか!?」
ディードは「え!? マジで!?」と言わんばかりに驚く。しかし、優斗は「当然だ」とばかりにディードに言った
ユウト「あたりめーだろ。鮟鱇(あんこう)然り、納豆然り。見た目がグロいもん程な、食ったらうめーんだよ」
セイン「そうだよディード。見た目で判断したら駄目だぞ」
ユウト「どんな不細工にもイイ所の1つや2つはあるもんだ」
優斗の言葉にセインも同意する。
2人がディードに語っていると、ウェンディが優斗を呼んだ。
ウェンディ「優斗、セイン、ディード! コレ見て! 何か凄いのが釣れたっスよ!」
優斗達はウェンディの釣り竿の先を見る。
そこには
???「いだだだだだだだだだ!!! アレ?痛くないかも? あ゛っ!!やっぱり痛い!! いだだだだだだ!!」
全身が緑色で、背中に甲羅があり、頭には皿がついていて、牛乳ビンの底のような眼鏡を掛けた『何か』が、ウェンディの釣り竿の針に引っかかっていた。
しかも、クチバシに針が引っかかっており、凄く痛がって、暴れている。
優斗達(ウェンディを除く)の顔が、驚愕に染まる。
ウェンディが優斗達に「コレも食べれるっスか?」と聞いたが、優斗は速攻で池に蹴り飛ばした。
???「あぱァ!!」
ドボン!!
ウェンディ「ああー、夕食ぅぅ!!」
ウェンディは残念そうに言う。
ユウト「今見たことは忘れろ、いいな…」
ディード「…兄様、セイン姉様。今の河童じゃありませんでしたか?」
セイン「何言ってるんだよ、そんなもん居るわけないだろ?アレは…そう! 池に住んでる、ただのハゲたオッサンだよ」
ディード「池に住んでる時点でただのオッサンじゃないでしょ。それに、何か…全身が緑色でしたよ」
ユウト「それはアレだよ……、アルコール依存症」
ディード「アルコールにそんな成分あったら、酒なんて誰も飲みませんよ!! ……ん?」
ディードが優斗にツッコミを入れると、脚に違和感を感じた。
足下を見ると、優斗が先ほど蹴り飛ばした河童が、ディードの脚を掴んでいた。
河童「てんめーら。眼鏡割れちゃったじゃねーかコノヤロー。
親に電話しろォォォ!!弁償してもらうからなァァァ!!」
ディード「ぎゃああああ!!出たァァァ!!」
ディードは優斗達の方を見ると、優斗達は走って逃げていた。
ディード「ちょっ、コラァァ!!置いてくなァァァァ!!」
ディードが叫ぶ。
その時
河童「逃がさん! 住所と名前を言え!!」
河童が、逃げる優斗達に向けて、某恐竜のヨ●シーのように舌を伸ばした。
河童の舌は優斗達の脚を搦め捕り、優斗達を引っ張る。
ユウト「むごォォォ!!」
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優斗達4人は、河童の前に正座で座っていた。河童は凄く怒っている。
河童「あのなァ、オッサンだってなァ、最初から謝れば怒んないよ、そんなに。だけどな、悪いことしたら謝るのが筋だろ、違うか? ん?何で逃げた?」
ユウト「いや、ほら…河童だったから」
優斗の言葉に河童は顔をしかめる。
河童「河童ァ?なんじゃそりゃ。訳の分からん事言って誤魔化そうとするな」
河童は『何いってんだ』と優斗達に言う。
ウェンディ「そう言うアンタが一番訳分かんねーっスよ」
ウェンディの一言に河童がキレる。
河童「オッサンの何処が訳分かんねーんだ!!この小娘ェ!! それから、アンタじゃなくて『グリン』さんと呼べェ!!」
キレた河童…グリンにディードが謝る。
ディード「すみませんでしたグリンさん。あの、私のカチューシャも割りますので、どうか勘弁してください…」
謝ったディードの前にグリンがしゃがみこむ。
グリン「よーし、よく謝ったな、嬢ちゃん。ごほうびにほら、ビスケットだ」
そう言って、グリンはディードにビスケットを渡すが、ビスケットは濡れていてビチャビチャだった。
ディード「(全然嬉しくない…)」
グリンは再び立ち上がり、優斗達に向き合う。
グリン「まあ、割れたのが眼鏡の方で良かったよ。これでお前、もし皿の方が割れてたら流石のオッサンもキレてたね。お前ら全員ボコボコだったよ」
そう言って、グリンは池に戻っていく。
グリン「いいか? 俺の皿だけは、この皿だけは何人たりともさわらせねー…」
グリンが言いかけた時、グリンに向かって『何か』が飛んできた。
グリンに飛んできた『何か』が、グリンの頭にぶつかり、皿が割れてしまった。
ガン!!
グリン「ぐはっ!!」
ユ・セ・ディ『ああああああああ!!』
グリンは池にプカーと浮いている。
ディード「皿が割れたァァァァ!!」
セイン「大変だァァァ!! 皿割れたよ!! 何が大変なのか分からないけど!!」
セインが叫び終えると、後ろから声が聞こえてきた。
???「あ、ゴッメ〜ン、ゴルフの素振りやってたら手ェ滑っちゃった〜」
優斗達は声の方を向く、そこには5人の男達がいた。
髪がセンター分けの男が話し掛けてきた。
男「だから早く出てけって言ったじゃ〜ん。此処はアンタみたいな河童の家じゃない、俺の土地なんだよ〜」
男はグリンに続けて言う。
男「この池も、そこの木も草もぜ〜んぶ、俺が買い取ったんだからさァ」
男に、気絶から回復したグリンが言う。
グリン「やかましーわ。こちとらなァ、てめーらが親父の金●に入ってる頃から、此処に住んでんだ!!何で出て行かなきゃならねェ!! っていうか、あんまコッチ見んな!!」
グリンは途中から恥ずかしがっていた。
どうやら、皿が割れて少しシャイになったようだ。
セイン「(っていうか、意味あるのかな? あの皿……)」
男「俺はな、ここら一帯にどでかーいゴルフ場をつくりたいのよ。それには、この池が邪魔なんだよ!」
グリン「なっ!?」
男「アンタの住む池なら他に用意してやるから、此処から出て行ってくんない?」
邪魔だ、という男に、グリンが反抗する。
グリン「そういう問題じゃねーんだよ!!ここにはなァ、『アイツ』との…」
男「あー、ハイハイ。何かよく分かんないけどこれ以上、俺の邪魔をするならそれ相応の覚悟はしといてよ」
どっからゴルフボール飛んでくるか分かんないよ…
そう言って、男達は帰っていった。
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説明 | ||
俺はこの日、掛け替えの無い奴らに出会った。 俺は車に跳ねられて死んだと思ったら、なんかよく分からんが別世界に行ってしまったみたいだ。 気が付けば、マッドな科学者や12人の姉妹と暮らしていたり、組織にケンカ売って犯罪者になっちまったり。平凡な日々を送っていたり そして−−俺は戦う。ナンバーズ達を、世界を守るために。 |
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