ゼロの藤甲軍2 − 孟獲散 −
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「ねえ。ホンンとおおぉぉにっっ『アレ』でちい姉さまの病気が治るの?」

ヴァリエール家一同を代表してルイズが質問する。

その声には不審の念がこれでもかと言うぐらい込められている。

「ルイズ殿。そして皆様。あなた方は私共の主の不条理さをご存じない」

「奚泥の申す通り。孟獲様を良識で判断するのは無駄ですぞ」

不安そうな一同を慰撫するように成功の確信に溢れた笑顔で、

全く安心できないことを語る孟獲と共にルイズに召喚された奚泥と土安。

今ヴァリエール邸の庭で孟獲によるカトレアの治療が行われている。

その『治療』とは篝火を焚いた円陣の中央にカトレアを寝かせ、

その周りを孟獲が両手で松明を振り翳しながら、奇声を上げて走り回る行為のことである。

本人曰く『回復の祈祷』らしい。

その効果は蜀軍との戦いで大いに力を発揮したものだが、初見の人間にソレを信じろというのが無理な代物だ。

実際奚泥と土安の二人も魏延と戦い、擬兵の計で重傷を負った爨習(けんしゅう)や孟?(もうたん)が

孟獲の『治療』によって回復したのを目の当りにしなければ信じなかった。

ルイズの後でヴァリエール公爵は蒼白な顔をしている。

あまりな治療内容に娘が心配であるし、

効果を全く信じていない公爵夫人が最終的に許可を出した公爵に

極地もかくやと言うほどの目線を向けているからだろう。

だからと言うわけではないだろうが、多分、きっと、勿論違うだろうが、

カトレアが全快した時、子煩悩な公爵は誰よりも喜んでいたという。

 

ちなみにカトレアは孟獲の事を憎からず思ったが、孟獲は友人としての立場を越えることはなかった。

孟獲の妻、祝融夫人に事がバレた時、わが身に降りかかる惨劇を考慮したからという。

例え異世界と言えども油断はならない、と。

お陰で孟獲はヴァリエール公爵とは同病相哀れむ − もとい、良き友人となった。

後に奚泥と土安の異性に対する好き放題振りが公爵の娘たちにも及んだ時、

公爵夫妻と共に二人を「強く窘めた」のは勿論、私情からではなく、主の責任感からである。

努々疑われぬように。

説明
ルイズに召喚された孟獲+2 のある一日。

大本は四コマ原作の五丈原のネタですが、ちゃんと効果があります。
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