恋姫無双 槍兵の力を持ちし者が行く 八話 |
嬢ちゃんと話をした次の日、戦える人達を集めるため部下を使って呼び出しているのだが、やはり数が少ない。数は紅蓮団を除き、約四百程、武装もかなり貧弱だ。
「なあ、森羅。これは皆を逃がした方がいいかもな……」
「私もそれは考えてしまいますが、あの劉備に宣言してしまった以上やらなくてはなりません」
因みに、嬢ちゃんとの会話の内容は森羅にも言ってある。
「それにしても、かなり厳しくなりそうだ。はぁ、心が重いよまったく」
「しかし、それでは劉備の理想に負けたということになります。
それに私の考えた策があります。安心して下さい」
「あれのどこが安心出来んだよ!明日に来るとはいえ、大部分俺に丸投げだろ!」
「しかし、それが最も被害が少なく、かつ、一番勝ちに行ける策だと考えます。違いますか?」
「まあ、確かにな……」
策の内容はこうだ。襲撃の準備中に俺が単騎で砦に突入、打ち漏らしを紅蓮団三十程が倒し、保険に森羅が指揮する紅蓮団含む五百程度で村を防衛というスパロボ顔負けの『少数精鋭(単騎)による敵の殲滅』という単純な策だった。
最初は無理だといったのだが、この策を聞いていた紅蓮団のメンバーが「面倒くさがるな」とか、「俺達の上にいるんだから全部やってくれ」とか言われて、実際出来るからと渋々承知された。お前ら面倒くさいだけだろ。つまり似た者同士ってことか……
そんなことを考えている内に全員に森羅が策を教えたようだ。
「蒼様、指示を」
「あいよ、分かってる」
此処でいう指示は、士気を上げる宣言みたいな物だ。俺は馬を中央まで寄せ、全員の顔を見ながらいう。
「全員聞け!策は聞いただろうが、恐らく村に賊がくるだろう。具体的な指示は村に置く指揮者に聞け。
俺は最低限の命令を下す。死ぬな!死にそうになったら逃げろ!そんで隠れろ!で、隙を見つけたらぶっ殺せ!」
自分が気に入っている神狩りの隊長の台詞を借りる。俺の信条的には「命は投げ捨てるもの」とか言いたいが、これは俺に対する俺自身の命令であり、他の奴、特に今回の戦で別れるような奴にはあの命令がいいように思える。まあ、皆口を開けて驚いてやがる。
紅蓮団(こいつ等には別の理由があるのだが……)には毎回戦う前には言ってあるから耐性はついてるが、他の奴はないからな。
「いきなりそんな事を言われて驚くのは分かる。ま、とにかく言いたいのは、生き延びろ!戦いは最終的には生の執着が強い奴が勝つからな!分かったな?」
こう言い終えると、少し間を開けて雄叫びが聞こえる。俺はそのまま一緒に砦に向かう兵の所に行く。
「すまないな。かなりの貧乏くじだが諦めてくれ」
「いやいや、隊長が全部やってくれるでしょ?それにあんなに厳しく訓練したんだし、『アレ』もないのに死ねませんよ」
その言葉にそれもそうだなと返し、笑いつつ軽く会話をしながら砦に向かうため村を出ようとしていきなり前を関羽に塞がれた。
「いきなりなんだ?関羽。さっきの策は聞いただろ?なんか言いたいことでもあんのか?」
「ああ、そうだ。私も連れて行け!李高!」
そう言われ少し驚く、確かに関羽程の豪傑が加わると俺達の生存率は上がる。だがこいつは嬢ちゃんの部下だ。勝手に死地に連れていけない。
「少し聞きたいが、嬢ちゃん…劉備はお前が行くことを許可したのか?」
「ああ、そうだ」
「だが、死ぬかもしれないがいいのか?」
「お前達は知らんが、私は生き延びてやる」
そう言いつつ俺の目を見る。それを見て面白いと思ってしまう。なぜならこいつの目は覚悟を決めるどころか俺を見極めようとしている目だった。
―side 愛紗
今、目の前に傭兵の李高がいる。
李高 雲犬、奴は初対面からどこか恐ろしかった。
今まで会ってきた傭兵は己の命や金の為にどんなに汚いこともやっていた連中ばかりで、すぐ思考が読める。
だが、この男は違う。アイツは名の一部のような雲を想像させ、思考が読めない。
途中までは、ただ戦いたいだけの男に見えた。
けれど、桃香様の理想を否定したと聞いて、また、先ほどの指示を聞き、奴は何かの理想を持って傭兵をやっているように見えた。
だから、桃香様に無理を言い、李高に着いていき、奴の人と為りを見極めようと思った。
「ククク、ハハハハ!」
「何がおかしい!」
「いや、そんなに怒るんじゃねーよ。
うし、合格だよ。俺を見極めようとする目が気に入った。
関羽、お前は俺に着いてきな」
取り敢えずは連れて行ってくれるようだ。
すると、打って変わって思わず此方が構えそうになる殺気を放ちながら言ってきた。
「ただし、攻める俺達はもう1つ守る指示がある。
……『見敵必殺』だ。情けをかけるな。俺達はただ此処の村人達の為に殺す。全員殺す。必ず守れ。いいな」
「わ、わかった。」
「よし、とっとと掃除をするぞ。こんなとこで立ち止まる暇は個人的にないからな。」
先ほどまで出していたナニカを呑み込むような威圧を直ぐに引っ込み軽い口調で私達を率いる。先ほどまでの烈火を想像させたのに、今はぬるま湯のような感覚だ。多重人格とまではいかないかもしれないがそれに近いモノを感じさせられた。
おそらく、この二面性が李高の本質なのではないかと思う。
そして、それを確信させるためにも更に見極めなければ。
説明 | ||
マブラブ×スパロボOGで書いていってます。 試験もあるのに何やってんだろ、俺。 ヒロインはまりもちゃんか夕呼先生か殿下の内一人、または複数にしようかと(それでもなるべく一人で)、ちなみに主人公は原作突入時に30歳になる予定(つまり前二人と同い年) |
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