東方燕狼歌 第十四話 血という名の毒・・・・ |
「ッチ!!」
悠は今まで教わった攻撃を試しているが、紅音はそれを完全に受け流しカウンターを決めてきていた。
強いのはわかってたけど、ここまで差がでると泣きそうになる・・・
クソ!どうにかしてこの状況を打開しないと・・・・
「・・・・・・・」
「はぁ!!」
紅音に回し蹴りを叩き込もうとするが、蹴りを放つ前に止められ投げ飛ばされた。
悠はその投げ飛ばされた勢いを利用して紅音突っ込むが、紅音は突っ込む俺に対して弾幕を展開していた。
だが、悠は速度を緩めず突き進んだ。弾幕がところどころ被弾していくが最低限の動作で弾幕を回避し、紅音の懐に潜り込み殴ろうとするが、逆に死角から蹴りを叩き込まれた。
「っぐ!! 流水!!」
体勢がよろけた悠に紅音はさらに連撃を加えてきた。
悠は反射的に流水を使い受け流そうとするが、防御の対応が追いつかずかなり攻撃いさらにはまた吹き飛ばされてしまった。悠は受身をとり体勢を整え距離とった。
「はぁはぁ・・・・・」
「・・・・・」
このままだとやばいな・・・
流水を使っても対応が間に合わないし、波紋や震空脚を使ってもそれを放つ前に攻撃を止められる。
普通の攻撃じゃあ簡単に受け流されるし、どうすればこの状況を打開できる・・・・?
悠は考えていた実践経験は少ないが、今まで培ってきた経験を活かし、どうすれば相手に有効な攻撃を当て、倒すことができるのかを・・・・・そして、悠は閃いた。
イチかバチかだがやってみる価値はあるな・・・・・
悠はそう思うと、拳を地面に構えて技を繰り出した。
「波紋!! 空震脚・爆!!」
悠が技を繰り出すと地面が少しだひび割れ、そして次の瞬間その割れた地面の欠片が弾丸のような速度で四方八方に飛び散った。
紅音は、その飛び散った欠片をたたき落とすが、全てはたたき落とせなかったのか欠片が紅音の腕に刺さっていた。
残りの欠片を紅音は避けようとするが、回避をした先に悠が一瞬で詰め寄り右拳を叩き込んできた。
紅音は回避しようとするが間に合わず、悠の拳が紅音の顔を捉えた。悠はそのまま止まらず連撃を叩き込んでいく。
紅音は避けようとするが、何発か攻撃を当てられていた。さすがに効いたのか、紅音は少したじろいでいた。悠はまた距離を取り同じ技を繰り出す。紅音は飛んできた欠片を弾幕で撃ち落とうとするが、いくつかの欠片は弾幕を貫いて紅音の体に刺さった。欠片が刺さると同時に悠は紅音に突っ込みかかと落とし叩き込もうとするが紅音はその蹴りを難なくよけるが、悠はその瞬間を待っていた言わんばかりにかかと落としを地面に叩きつけた。
「空震脚・圧(あつ)!!」
その瞬間、紅音の動きが一瞬の止まり、悠はそのスキを見逃さず、拳を構え技を繰り出していた。
「これが俺の全力の波紋だ!!」
そう叫ぶと悠の拳は紅音の体に入り込み紅音吹き飛ばした。
紅音は瓦礫の中に吹き飛ばされ、動かなかった。
「・・・・・やったのか?」
悠はそう言うと体が限界なのか、その場に倒れ込んだ。
ああ、死ぬかと思った。ほんと能力を使わないと危ないところだったぜ。
そう、悠の作戦はこうだった。
まず、自分の血を拳から流して波紋で地面を砕く、そうするといくつかの欠片に血を付着させることにより欠片の強度を上げた。そうして空震脚・爆でその欠片を全方位に飛ばす。
さすがに地面の欠片だから避けようとはせず、叩き落とそうとしていたが血で強度を上げた欠片は壊れずにそのまま紅音に刺さったのだ。次は避けようとしたが、
悠が避ける先に先回りをし攻撃を叩き込んだ。しかも運が良かったのか何発か当たった攻撃は急所だった。紅音たじろいだスキにまた同じ技を繰り出し、しかもその欠片の強度を最大まで上げていた。
それでいくつかの欠片は弾幕を貫き紅音に刺さり、その瞬間かかと落としで決めに行くが、これがイチかバチかの賭けだった。そのまま、攻撃を紅音に受け止められていたら決め手をなくしていた。だが、悠はそんな賭けに勝ったのだ。
紅音はかかと落としを避け。そのまま悠は空震脚・圧で動きを止め、全力の波紋を紅音に叩き込んだのだ。
「・・・・・勝った・・・・勝ったーーーー!!」
倒れながら悠は叫ぶが、次の瞬間悠は腹を蹴られ吹き飛ばされた。
「っぐ!」
そのまま悠は吹き飛び壁に衝突する。次は顔を掴まれまた投げ飛ばされた。また投げ飛ばされ、次も投げられ、悠は受身も取れずに投げ飛ばされ続けていた。
一体何が起きてるんだ?!
悠は訳が分からず焦るが、攻撃の手は緩められない。
そして、悠は王千が戦っている場所に投げ飛ばされた。
ーside 王千ー
「お前、奇妙な物を使うな。」
「クックック、貴様には奇妙に映るかもしれんがこれはかなりの殺傷性を持った武器だぞ。」
「だろうな、だが当たらなければどうということはない。」
王千はそう言うと男に気弾を放つが、男はその気弾を避け小さな卵もような物を投げてきた。
王千はその卵ような物体から飛び退いた。
次の瞬間その卵のようなものが爆発した。そう、これはこの時代にはない手榴弾の技術を応用したものだ。爆発の威力はかなりのもので、さすがの王千も避けなければいけない代物だった。
他にもこの男は、銃や小型ミサイルのようなこの時代ではありえない技術を使い王千の攻撃を防いでいた。
「くっくっく、どうした王千、元鬼の四天王がこの非力な俺を倒せない訳がないよなぁ!」
「・・・・! なぜ俺が、元鬼の四天王だと知っている!」
「貴様に教える必要はないぞ」
「なら、その体にに直接聞くまでだ!!」
そう言うと王千が男に突っ込もうとした瞬間二つの黒い影が飛んできた。
そのうちのひとつは、ボロ雑巾のような状態の悠ともうひとつは、服がボロボロになった紅音の姿だった。
「クックック、残念だったな、これで貴様が俺に勝つことは不可能に近いぞ。」
「ッチ!」
「・・・そうだ、いいことを思いつたぞ。」
男はそういうと、悠に近寄り注射器のような物を悠に刺そうとしていた。
「おいやめろ!!」
「クックック!!そんなにこの小僧が大事か?」
「大事に決まってんだろうが!」
「それでは一ついいことを教えてやろう。」
「いいことだと?」
「そうだ、この容器の中にはな強い妖怪や、位の高い神などの血が大量に入っている。
ここまで言えば分かるよな、そうだこれは毒だ。人間どころか妖怪だって即死できるほどの致死性をもった毒だ。これをこの小僧に刺すとどうなるんだろうなぁ?」
「この、腐れ外道が・・・・・」
「クックック、まあ俺も鬼じゃないお前に猶予を与えてやる。紅音の攻撃を耐え続けたらこの小僧を解放してやってもいいぞ。まあ、貴様には選択肢はないんだがな。」
「・・・・分かった好きにしろ。」
「いい覚悟だ。紅音やれ」
そう男が言うと紅音は王千を殴り飛ばし、そしてそのまま連撃を叩き込んだ。
王千は抵抗をせずただ一方的に紅音にやられ続けられていた。
その姿をみて男はただ不敵に笑っていた。
ー数時間後ー
紅音の攻撃を数時間受け続け、さすがに限界に達し王千は地面に這いつくばっていた。
「元鬼の四天王とはいえ、無様だな。」
「さっさと、そいつを離せ・・・・」
「ああ、いいだろう解放してやろう!!」
男は悠の首に注射器のようなものを刺し、王千に向かって蹴り飛ばした。
「貴様!!」
王千が飛びかかろうとするが紅音がそれを阻んでいた。
そして、毒を注入された悠の体が激しく痙攣をしていた。
「悠!!」
王千が叫ぶが悠の体は急に動かなくなったが、次の瞬間、悠の体から血が溢れ出した。
「なんだこれは!! こんな症状はなかったはずだぞ?!」
男は驚き悠に対してさらに注射器のようなものを刺したが血は止まらずまるで生き物のように蠢き、
いつの間にか悠が立ち上がっていた。
ーside 悠ー
熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い・・・・
血液が沸騰してるみたいだ、頭が溶ける、俺の体が千切そうだ。眼球がはじけ飛びそうだ。脳に酸でもぶち込まれた感じがする。体の骨の関節が全部逆になりそうだ。胃が裂けそうだ。心臓が破裂しそうだ。口の中が乾く、喉が灼ける。皮膚が灼けただれそうだ。一体なんなんだこれは!!
俺の体に何が起こっている?!血が熱い、まるで溶岩でも入れられたぐらい熱くて体が溶け始めそうだ!!俺の血に何が起こってるんだ?!
落ち着け!!落ち着くんだ俺!!まず俺の体がどうなってるのかを調べろ!!
どうやる?! 俺の能力を使うんだ!!急げ急げ!!早くしないと死ぬ間違いなく死ぬ!!
なんだこれは、俺の血じゃない血が入ってきて俺を殺そうとしてるのか?!
クソッ!!どうする、どうすればこの血をどうにかできる?!
そうだ!!この血を俺の血に変えればいいんだ!でもどうやって?そんなことを考えてる暇はない急いでやらないと死んでしまう!!
まずは、どのくらい血を入れられた?どこまで侵食している?どのくらい俺に適合できる?
急げ急げ急げ!!いらない血は外に放出しろ。無駄なことを考えるな。速くもっと速く!!
悠が外に血を放出させるが、また新しく血が入れられてきた。
また・・・・!!熱い熱い熱い!!でもこれはさっきと同じタイプの血だ、これなら!!適応させろ、適合させろ、この俺に合わせろ!!
悠がこの血を完全に支配下に置いた瞬間、悠の意識は覚醒した。
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悠vs紅音 いったいどうなるのか! | ||
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