乱世を歩む武人〜第十九話〜
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反董卓連合戦からもう暫くたつ。

 

董卓さんの消えた後漢にはすでに力のかけらも存在せず諸侯の小競り合いを抑える力もなくなった。

 

ならばその後に待っている時代はただひとつ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー群雄割拠

 

 

 

 

時代は大きな荒波を迎えようとしている・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

季衣

「桂枝兄ちゃん!このお団子美味しいよ!」

 

桂枝

「そうか。季衣が食べたいって言うから作った団子だ。好きなだけ食うといい」

 

季衣

「うん!」

 

ここは中庭にある休憩所。私は今書類作業をあらかた終えたので季衣に頼まれたのので団子を作ってやりまったりとしている。

 

桂枝

「しっかしまぁ・・・よくこんなに食えるもんだ。」

 

季衣

「えぇ〜?このくらいは普通だよ〜」

 

といいならがもすでに3皿目に手を出している。ちなみにひとつの皿には50個ほどいれてあった。

 

桂枝

「・・・まぁいいんだがな。燃費悪いのはわかってたし。それはそれとしてだ季衣。

 

 

 

 

ーーーーーーーなんで膝の上に座る?」

 

 

そう、季衣は大抵私を見かけると膝の上にやってくる。北郷も似たような経験があるとか言ってたが彼女には何か膝の上に座りたい衝動でもあるのだろうか。

 

 

季衣

「えー、なんか座りたくなるからなんだけど・・・ダメ?」

 

桂枝

「いや。ダメとは言わないさ。ただなんでいっつも座りに来るのかな〜と」

 

季衣

「えへへー。兄ちゃんは兄ちゃんで座りやすいんだけど桂枝兄ちゃんの膝の上はなんか落ち着くんだよねー。いつも暖かいし。」

 

そういいながらも団子を食べる手は休まらない。

 

そういや似たような事言ってた奴がいたなぁ。「落ち着くし、暖かいから寝るのに丁度いい」といって私休んでるといつもすっと割り込んできたものだ。

 

桂枝

「そうか・・・まぁ好きにするといいさ」

 

そういやあいつ元気かなぁ・・・東郡にまだいるかもしれないし手紙でも書いて見るか。

 

そんなことを考えていると凄まじい足音がこちらに向かってきてた。そして

 

李典

「完成やーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 

 

とてつもなくやかましい来客が現れた。だから・・・・

 

 

桂枝

「さて、季衣。ソレ食ったら片付けていくか」

 

無視することにした。

 

季衣

「え〜もうちょっと休んでからがいい」

 

桂枝

「そうか。じゃあもう少しゆっくりしていこう。お茶でも飲むか?さっきから手付かずだが一応用意してあるぞ?」

 

季衣 

「あ、頂戴。ちょうど喉乾いてたんだ。」

 

桂枝

「そうか、ほら。熱いから気をつけるんだ「無視せんといて!ウチ結構傷つくから!」

 

・・・ちっ。ダメか

 

桂枝

「はいはい、それで?何が完成したんだ?」

 

李典

「ふっふっふっふ・・・よくぞ聞いてくれました。それは・・・コレや!」

 

そういって出したのは・・・大きな双剣だった。

 

双剣というには刃が大きくその形は偃月刀に類似している。そしてそれぞれの逆刃には丁度手が収まりそうな返しの部位が。

 

桂枝

「・・・それは?」

 

李典

「これこそがウチが開発した荀攸兄さん専用の武器や!」

 

桂枝

「・・・は?」

 

専用武器?そんなのを頼んだ覚えはないんだが。

 

李典

「イヤな。兄さんいうとったやないか。武器を多く準備して初めて春蘭様と互角に戦えるようになるって」

 

桂枝

「ああ・・いったな、それで?」

 

李典

「そこでこいつの出番や!これならば双剣はもちろんこうやってくっつければ・・・」

 

そういって柄と柄をくっつけた。

 

李典

「どうや!これぞ二刀一刃!これにさらにここの取っ手部分をもつことで長物にもなる!近、中、遠距離に完全に対応してまさに兄さんにうってつけの武器や!」

 

そういって高々と掲げてみせた。

 

・・・・ふむ、確かに面白そうだな。

 

桂枝

「季衣、ちょっとどいてくれ・・・李典、ちょっとソレかしてくれ」

 

李典

「もちろんや。これはウチが兄さんのために作ったんやさかいな。」

 

そういってその武器を渡された・・・重さ申し分がない。

 

桂枝

「さて・・・こう使うのかなっと!」

 

李典

「お・・・おおーっ!」

 

私はその武器の柄の部分をもちながらグルグルと回し始めた。そして刃の部分の取ってに手をかけて軽く振り回してみる。更に取っ手部分を外して双剣状態でも振ってみた。

 

桂枝

「なるほど・・・俺専用というだけあるな。いくつか改善点があるが訓練すれば全然いける。」

 

李典

「改善点ってなんや?」

 

桂枝

「まずは分離のしづらさだな。このままだと分離する時にどうしてもひと手間かかってしまう。合成時の硬さをそのままにそうだな・・・片手で分離できるようになると最高だな。」

 

李典

「ふむふむ」

 

桂枝

「そして・・理想を言うならもう少し刃を逸らしてくれるとありがたい。柄の部分に鎖なんかがつけられるともっといいな。全体的にはいいものだし、使わせてもらうよ。」

 

李典

「なるほどな・・・じゃあその改良をしたら改めて兄さんに渡しますわ。それでな・・・?」

 

桂枝

「む?ああ・・・研究費用か?それならちゃんと言ってくれれば開発費は俺がだそう。」

 

李典

「ホンマ!おおきに〜。いや〜コレ作って結構かつかつやった・・・ってちゃうねん!」

 

桂枝

「・・・違うのか?」

 

李典

「いや、それもそうなんやけど・・・こいつに名前つけてやってほしいんや」

 

名前?武器に名前か・・・そういえばみんな着いてるんだっけな。

 

桂枝

「じゃあ・・・「無形」で」

 

李典

「随分あっさりやな・・・」

 

感覚でつけたものだししかたない。

 

桂枝

「まだ李典にはピンときてないのだろうがな。これが俺の思う通りになるのならばその時にこそこの名の意味を理解できるだろうさ。」

 

李典

「ん〜まぁええやろ。じゃあ無形の改良ができたらまた渡すんで開発費の方頼みますわ」

 

桂枝

「あいよ。特別賞与もつけておいてやる」

 

李典

「ホンマ!?いよっしゃぁぁぁぁぁやったるでぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

そう言って燃える李典。うむ、これだけの熱意があれば大丈夫だろう。

 

季衣

「桂枝兄ちゃん。話し終わった?」

 

桂枝

「ああ。またせたな。じゃあ行こうか。」

 

季衣

「うん!」

 

一刀

「あ、お前らこんなところにいた!」

 

皿を片付けに行こうとした所で北郷がこちらに向かって来た。なんだか慌てた様子だ。

 

桂枝

「どうした?血相変えて。また夏侯惇さんにでも追っかけられてるのか?」

 

一刀

「ちげぇよ!さっき見張りの兵から報告があったんだ!

 

 

 

 

ーーーーーーーーなんでも呂布がみつかたらしい!すぐ軍議を開くから王宮の間に集まってくれって!」

 

 

 

 

 

 

季衣

「えっ!?」

 

桂枝

「・・・ほぉ」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーまたこれから忙しくなりそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳

「全員揃ったわね、桂花。呂布がみつかったとのことだけど?」

 

桂花

「はい、あの戦いの後、南方の小さな城に落ち延び、そこに拠点を構えることにしたようです」

 

そういって姉が地図をさした。そこは周りの大きな勢力がない無法地帯のような場所。

 

陳宮さんの提案かな・・・さすがに呂布さんのこととなると頭の回転もいい。

 

夏候淵

「私が聞いた報告ですと陳宮と華雄も呂布と行動を共にしていると聞き及んでおります。」

 

桂花

「・・・どうしますか?呂布とやりあうとなればこちらの被害も覚悟しなくてはいけませんが・・・」

 

私が姉に話してあることもあるしもともとの噂からしてあの人は異常だ。全員に緊迫した空気が流れる。

 

華琳

「・・・今は放っておきましょう。」

 

桂枝

「・・・妥当ですかね。」

 

桂花

「桂枝!?」

 

姉が驚いている。まぁ無理もない、しかしだ・・・

 

「いや、それでええとウチも思うな。恋はいまいち何考えとるのかわからんし・・・」

 

桂枝

「ええ、そして「守るための戦」のほうが強い方ですから。更に言うならば陳宮さん、華雄さんは脅威には成り得ません。正直ほうっておくのが一番無難でしょう。」

 

それでも周りの空気はまだ堅い。姉はともかく元董卓軍の霞さんと私だけの意見では他の武将たちには信用が薄いのだろう。

 

桂枝

「・・・わかりましたよ。ええ、最悪攻めてくるようならば私達が説得にあたります。霞さんもそれでいいでしょうか?」

 

「せやな。まぁよっぽどのことがない限りウチらのところにせめて来ぃひんやろ。」

 

華琳

「そうね、あの辺りは治安も悪いし、南蛮の動きにも気を配る必要もでてくる。しばらく様子を見ましょう。」

 

桂花

「華琳様がそうおっしゃるのでしたら・・・」

 

姉も私達の言葉を聞いて引き下がってくれたようだ。

 

華琳

「それに・・・今はもっと警戒するべき相手がいるわ。秋蘭、情報はあつまっている?」

 

秋蘭

「はっ。先日の袁紹と公孫賛の争いですが・・・予想通り、袁紹が勝ちました。公孫賛は徐州の劉備の所に落ち延びたようです」

 

一刀

「劉備って出世したんだっけ?」

 

桂枝

「ああ、今は徐州の太守だ。平原と比べたら随分と出世してるぞ」

 

なんだかんだで反董卓連合で美味しい思いをしてたみたいだな・・・まぁ主人も領地増やしてるけど。

 

華琳

「それで袁紹の動きは?」

 

桂花

「河川四州はほぼ袁紹の勢力下に入りました。北はこれ以上進めませんから、後は南へ下るだけかと」

 

袁紹・・・ねぇ。正直姉が見限ってるようなやつだ。あんまり興味はない。

 

一刀

「なら次に狙われるのは劉備か・・・」

 

桂枝

「いや、多分そうはならないだろう。」

 

一刀

「?どういうことだ?」

 

桂枝

「袁紹といえば姉貴が仕えていたのにそれを見限るくらいの馬鹿だ。そんなやつが理にかなった行動を取るとは思えない。そうだろう、姉貴?」

 

桂花

「よくわかってるじゃない。」

 

華琳

「いい予測を立てるわね桂枝。麗羽は派手好きでね。大きな宝箱と小さな宝箱を出されてどちらかを選ぶように言われたら、迷わず大きな宝箱を選ぶ相手よ」

 

やっぱりか・・・まぁある程度話を聞く奴だったらあんなに早く出て行かないわな。

 

華琳

「そういうことだから国境の各城には万全の警戒で当たるよう通達しておきなさい。・・・それから河南の袁術の動きはどうなってる?」

 

袁術か・・・そういや孫策さんどうしてるんだろう。あの人とはよければ出会いたくない。すっごい嫌な予感がするというか戦ったらヤバイと何かが告げているというか。

 

桂花

「特に大きな動きはありません。我々や劉備の国境を偵察する兵は散見されますが・・・その程度です」

 

華琳

「あれも相当な俗物だけれど・・・動かないというのも気味が悪いわね。警戒を怠らないようにしなさい」

 

桂花

「は、そちらにも既に指示は出しております。そうでしょ?桂枝」

 

桂枝

「当然、国境周辺は最近物騒だと聞いていますのでね。交替人数を含め通常より少し多めに割いておりますが」

 

華琳

「構わないわ。」

 

一刀

「おー、桂花も荀攸も大変だなぁ・・・」

 

桂花

「コレが華琳さまに与えられている仕事だもの、名誉に思いこそすれ大変と思ったことはないわ。」

 

華琳

「そうね、桂枝が入ってからは随分と楽になったみたいだけど・・・」

 

桂花

「・・・・他に使えそうな奴もいませんし、いりません。」

 

「まぁウチらの仕事は殴り合いをすることやかいに。いや〜、そんな中華琳にも桂花にも頼られて隊の仕事まで完璧にこなしてくれる。ホンマにウチの副将は優秀やなぁ♪」

 

桂枝

「・・・そういいながら抱きつかないででください。」

 

「ちぇ〜。ええやんか減るもんやないし」

 

桂花

「ちょっと!ウチの弟に何やってんのよ!」

 

そう言って始まるいつもの言い合い。なんだか最近よく見る光景だ。主人も若干呆れている。

 

華琳

「はぁ・・・桂枝。桂花を手伝って情報集めを続けてちょうだい。他の皆も準備は怠らないように。いいわね?」

 

桂枝

「御意。ホラ、二人共もう終わるから離れて離れて」

 

そうして今日の軍議は終わりを告げたのだった。

 

 

 

 

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数日後の朝

 

 

桂枝

「・・・・ふっ!」

 

私は改善された「無形」の訓練をしていた。李典の言うとおり近距離から遠距離まで全てにおいて対応可能になるこの武器だがいかんせん癖が強い。

 

桂枝

「おっと!」

 

手から投げ出される無形。そのまま地面に突き刺さってしまった。

 

桂枝

「う〜む・・・やはり回転させながらの分離は難しいかな・・・しかし出来ないってほどでもないか。」

 

そういってもう一度やり直そうとする。そこに

 

兵士

「荀攸様!非常召集です!袁紹軍に動きがありました。」

 

と連絡が入ってきた。

 

桂枝

「あいよ。了解。すぐ行く。」

 

まったくもって慌ただしい。そう思いながら王宮の間に急いだのであった・・・

 

 

 

 

桂枝

「おまたせしました。袁紹が動き出したとのことですが?」

 

 

華琳

「そうよ。馬鹿は決断が早すぎるのが厄介ね。秋蘭、敵の情勢は」

 

夏候淵

「敵の主力は全て揃っているようです。その数、およそ三万・・・。ですが、敵の動きは極めて遅く、奇襲などは考えていない様子。むしろ、こちらに自らの勢力を誇示したいだけという印象を受けたとの報告です」

 

華琳

「馬鹿の麗羽らしい行動ね」

 

夏侯惇

「それで、報告のあった城に兵はどのくらいいるのだ?三千か?五千か?」

 

3万相手ならばまぁその程度はいるだろうなという数字しかし帰ってきたのは。

 

夏候淵

「ああ。城におよそ七百といったところだ」

 

あまりにも少ない数字だった。

 

夏侯惇

「ななひゃくぅ!?」

 

皆が騒ぎ始める。当然だ3万相手に7百でやりあえというのは死ねと言ってるも同義だ。

 

桂枝

「7百っていうと・・・あそこか。よりにもよって一番手薄なところを・・・」

 

数字を担当している私としてはそれがどこだかすぐに把握できる。姉と相談してまず来ないであろう所。よりにもよってそこを突かれたのだ。

 

夏侯惇

「そんなもの、手も足も出んではないか!籠城したところで一日と保たんぞ!」

 

華琳

「桂花、今すぐ動かせる兵士はどのくらいいる?」

 

桂花

「いくらなんでも相手の動きが速すぎます。半日以内に二千、もう半日あれば季衣や凪たちが戻って来る予定ですから、なんとか二万は・・・」

 

華琳

「少ないわね。季衣と流琉がいない今、手の空いている親衛隊を加えればどうなる?」

 

桂花

「なら、もう5千は・・・」

 

華琳

「・・・七千か。それでも心許ないわね」

 

桂枝

「霞さん、ウチの部隊ならば動かせるのでは?」

 

「う〜ん・・・援軍にいっても籠城ではウチらの部隊は力でんよ?」

 

そんな話をしている時、夏候淵さんが不意にこういってくる。

 

夏候淵

「華琳さま。それが・・・兵の増援は不要だと」

 

桂花

「なんですって!?」

 

夏侯惇

「馬鹿な。みすみす死ぬ気か、その指揮官は!」

 

流石に全員が驚きの声を上げている。当然だ。3万に700で持ちこたえる方法など存在するはずがない。

 

とすると・・・

 

華琳

「・・・分かったわ。ならば増援は送らない」

 

桂花

「華琳さま!?」

 

主人の言葉に姉貴が驚愕する。逆に主人のその何かを掴んだような顔をみて私は何か策がある、とそう思った。

 

桂枝

「姉貴・・・主人のことだ。何か負けない方法を見つけたのだろう。」

 

華琳

「あら、察しがいいわね桂枝。内容までわかるの?」

 

桂枝

「いえ。そこまでは。」

 

華琳

「そう、それで、城の指揮官は何という名前?」

 

夏候淵

「はい、程cと郭嘉の二名にございます」

 

程cと郭嘉・・・か。聞いたことないな。程cの方は似たような名前を知っているんだが・・・

 

華琳

「なら、その二人には袁紹たちが去った後、こちらに来るように伝えなさい。皆の前で理由をちゃんと説明してもらうわ・・・そうでないと、納得できない子もいるようだしね」

 

夏候淵

「・・・承知しました」

 

やはりあの言動からして何かを掴んているのだろう。私は主人を信じるのみ。

 

その後は主人が兵を勝手に動かすなとの指示を出した、。・・・守れなかったものは厳罰に処すとまで言って。

 

それだけいってもどうしても納得の行かなかった夏侯惇さんが増援に行こうと躍起になった。

 

慌てて止めに行った所で主人が登場。夏侯惇さんに三百の兵をつけ城へ行く事を許可したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏侯惇さんが援軍向かい今はもう真夜中。

 

私と霞さんは城壁の上にきていた。

 

「なぁ桂枝・・・ホンマに大丈夫やと思う?」

 

桂枝

「夏侯惇さんのことですか?・・・まぁ大丈夫なのでは?」

 

一刀

「変な所で適当だなお前・・・」

 

そんな話していたら北郷も城壁を登って現れた。

 

桂枝

「ん?北郷か。どうした?」

 

一刀

「いや・・なんだか眠れなくてな・・・」

 

「それより桂枝。さっきの大丈夫っていうのはなんか理由があるんか?」

 

桂枝

「理由・・・理由ですか。そうですねぇ・・・強いて言うならば・・・主人の「眼」ですかね・」

 

一刀・霞

「「眼?」」

 

桂枝

「ええ。我らがの主人は完璧主義ですからね。それこそ食事一つをとっても。そんな人が何の考えもなく城を落とされるのを見ているわけがない。

 

・・・具体的にはわかりませんが、あの人は勝ち筋を見出している眼をしていた。ならば大丈夫なのでしょう。」

 

「・・・華琳のことよく見とるんやな」

 

桂枝

「当然、生涯仕えると決めた主人ですからね。」

 

「・・・さよか」

 

何故か知らないが機嫌を損ねてしまったようだ。

 

桂枝

「・・・なんで怒ってるんです?」

 

「・・・怒ってへん」

 

桂枝

「・・・そうですか」

 

どう見ても怒ってるんだがなぁ・・・

 

一刀

「なぁ・・・じゃあなんでここまできたんだ?お前も春蘭が心配だったとかじゃないのか?」

 

桂枝

「いや・・・そうじゃなくてなんとなーく気になってな?」

 

一刀

「春蘭の無事じゃなくて・・・か?」

 

桂枝

「ああ。なんというか・・・今まってないと確実に損をする。そんな気がしてな・・・」

 

一刀

「・・・なんじゃそりゃ」

 

私にもわからないものを他人がわかるはずもない。そんな時

 

「おい・・お前ら!アレ!」

 

一刀

「え?・・・まさか!」

 

桂枝

「ん?おお・・・早かったな。」

 

霞さんのさしたほうがくにはもうもうと上がる砂煙。そこには言った時よりも明らかに多い騎馬隊の数。

 

一刀

「おいおい・・・いくらなんでも早過ぎないか?」

 

桂枝

「そうだよなぁ・・・数も減ってなさそうだし・・・ぁぁ。そんなに馬鹿だったのか袁紹って」

 

「桂枝それってどういう・・・まさか!?」

 

桂枝

「ええ霞さん。あいつら文字通り戦ってないんですよ」

 

「うわ〜・・・さすがにウチでもそんな事せんわ。」

 

一刀

「え?どういう意味だよ荀攸。」

 

桂枝

「説明すると少し長い。霞さん、私は主人に連絡してきます。お前は出迎えに行ってくるといい。」

 

一刀

「え?・・おい!ちょっと!・・・」

 

止める北郷を無視して私は主人に報告しに行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桂枝

「主人。夏侯惇将軍が帰って来ました。」

 

華琳

「そろそろだと思っていたわ・・・案内しなさい。桂枝」

 

桂枝

「御意」

 

私は中庭に主人を案内する。

 

華琳

「それにしても本当にアナタは落ち着いているわね。桂花ですら慌てていたっていうのに」

 

桂枝

「私は軍師ではありませんからね。わからなくとも信じること位はできますよ。あ、あちらですね。」

 

そういって夏侯惇さん達の方を向く。北郷たちを含めて何やら賑やかだ。

 

華琳

「お疲れ様。出迎えご苦労だったわね。春蘭」

 

春蘭

「はぁ・・・」

 

夏侯惇さんもイマイチ納得できていない様子。このあと説明は必須だろうなぁ・・・

 

そんなふうに考えていたその時・・・・

 

華琳

「で、そこにいるのでしょう。出てきなさい。程c、郭嘉。」

 

 

 

 

程c

「・・・はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかで聞いたような声が一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

郭嘉

「はっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてもう一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその姿を見た時に理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桂枝

「おや、風と稟だったのか。名前が違うので気づかなかったよ。」

 

「んー?おおー。そこにいるのは桂枝さんではありませんかー」

 

 

「桂枝さんっ!?どうしてここに!?。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寝たらいけないという予感はこの懐かしき出会いのためであったと。

 

説明
袁紹戦突入。



明日明後日と用事が重なっているため更新出来ない可能性がありますがご了承ください。
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コメント
刃を逸らしてくれルトありがたい⇒くれると 袁紹といえば姉貴仕えていた⇒姉貴が 最近物騒だと聞きていますのでね⇒聞いています 手の開いている親衛隊⇒空いてる 生涯使えると決めた主人⇒仕える 風と稟かじゃん⇒風と稟じゃん 無形の名づけや再会時のしゃべり方に違和感が・・・(黄金拍車)
>>siasiaさん 実は知り合いだったんですよ。そのあたりは次の話でちょっと書いてあるので御覧ください。(RIN)
>>アルヤさん オマタセシマシタ。続きを掲載しましたので良ければ見てやってください。(RIN)
なんと・・・、知り合いだったのか!(siasia)
なにやら知らない縁が。ツヅキマダー。(アルヤ)
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