そらおと/ZERO 第六章「のこされたもの」 |
絶対に守ってみせると誓った。
私に数えきれないくらい大切なものをくれたあの人。
あの人を守る為なら自身の全てをかけてでも戦えると信じている。
だって、私はあの人を愛しているのだから。
そして、私は彼を騙してまで勝利を求めたんだから。
「―――」
あの人の面影を強く残した彼。
何も知らない彼の善意につけこんで、私は多くの事を隠したまま戦う道を選んだ。
この戦いの舞台は、彼にとって侮辱にも等しいカラクリで出来ている。
いや、私達は彼のみらなず一人を除いた全てのマスターを欺いている。
だからこそ、勝たないと。
ここまでして勝てなかったら、私は何のためにこんな思いをしてきたのか分からなくなってしまうから。
「―!」
ああ、でも。
それも終わりが近い。
私はもう助からないだろう。カオスから受けたダメージが大きすぎるのだ。
アルファーと違って、私は自分で大きな傷を癒せない。微々たる自己修復で細々としのぐしかなかった命だ。
だから、これで終わり。
だから。
「………ごめんね、トモキ」
最後に、思い出したあの人の面影に―
「しっかりしろっ! 俺は智蔵だ! 寝ぼけてんじぇねぇ!」
―その面影に、私は無様にたたき起こされたのでした。
「…うっさいわねぇ。大声出すんじゃないわよ」
その大声に、感謝する。
危うく、私は何もできないまま脱落する所だったのだから。
「憎まれ口が叩けるなら大丈夫だな? 茶の間の惨状はなんだ? 何があった?」
「ああ、それはソアラの治療をしたから。悪いけど、後で片づけておいて」
ついでに言うと、その面影にも感謝。
トモキそっくりの顔で叫ばれたら、おちおち寝てもいられないというものだ。
それに、うん。お姫様抱っこされているという状況も悪くないかな。
「いや待て、それはそれで新しい疑問が出てきたぞ。見月が怪我したのか?」
「そうよ。危なかったけど、オレガノが治療したから大丈夫。今は部屋で寝てるわ」
さて、どうせここまでの私だけど。
「…アルファーは?」
「玄関だ。周囲を警戒してもらってる」
出来る限りのものは残して行こう。
彼と、その相棒には最後まで残ってカオスに勝ってもらわなければならないんだから。
「こっちであった事を説明するわ。色々あったから、トモゾウだって知りたいでしょ?」
「そりゃそうだけど、その前にお前の怪我を何とかしないと。イカロスを呼んだ方がいいか?」
「そっちは後でいいわ。あまり余裕もないし、大した意味も無いから」
「意味が無いってお前な…!」
「いいのよ。むしろこれからの方がよっぽど大事」
彼の優しさは心地よい。
でも、それに埋もれる前にやるべき事があるのだ。
「…薄々、分かってるでしょ? 私も、ここまでだから」
「………っ!」
だから、そんな辛そうな顔をしないでほしい。
これは私の失態で、あなたに責任はないんだから。
「状況は最悪になりつつある。トモゾウも、覚悟して聞いて」
「…分かった。その前に、イカロスを呼んで見月の様子を見てもらう。ニンフも別の部屋に行くぞ。このままじゃ落ち着いて話せないだろ」
「ええ。お願い」
私は、最後まで自分の責務を果たす。
だからどうか。あなたも最後まで私を信じてほしい。
私は、あなたを助けたい。
それだけは、嘘偽りのない真実だから。
そらおと/ZERO 第六章「のこされたもの」
イカロスに見月の看病と周囲への警戒を頼み、ニンフを別の空部屋へに運んでベッドに寝かせる。
「どこか苦しくないか?」
「…大丈夫よ。これだけでもだいぶ楽になったし」
それは、嘘だろう。
ニンフの容体はちっとも良くなっていないし、怪我も酷い状態のままだ。
あちこちに深い刺し傷があるし、手足は曲がってしまっている所もある。
「分かった。落ち着いてゆっくり話してくれ」
それでもニンフが大丈夫だと言いきる以上、俺には反論できない。
そもそも俺にはニンフを治してやることが出来ないんだから。
「鳳凰院からの話である程度は予想できるけど、いったい何があったんだ?」
「…そう、やっぱりヒヨリのマスターが絡んでいたんだ。どうりでこっちの戦力を把握してるわけよね。ヒヨリが敵対している以上、アルファーはトモゾウの傍を離れる事ができないんだから」
そうか。俺が風音に執着する以上、俺を守るイカロスがニンフ達の救援に来ることはできない。
それを見越してバーサーカーのマスターは罠を張ったという事か。
「…すまん。俺のせいで」
「いいのよ。私達も手を組んでいたんだから、向こうだってマスター同士で組んでもおかしくなかった。そこまで考えが及ばなかった私に落ち度があったわ」
そこからはニンフの一方的な報告になった。
バーサーカーのマスターがいると思われる廃屋の捜索。
そこでニンフのレーダーをかいくぐり待ち伏せをしていたカオスに奇襲され、真っ先に深手を負った見月。
直接戦闘能力が低いニンフとオレガノでは応戦すらもままならず、見月を助ける様にとオレガノに命令した会長だけがカオスの気を引く為に残り、二人は見月を抱えて逃げるしかなかったという状況。
そして、見月を助けた後に力尽きてこの戦いから脱落したオレガノ。
俺が知る事ができた顛末はそれだけだ。
それだけで、最悪の事態になった事を理解するのに十分だった。
「会長は、無事だと思うか?」
「多分。トモゾウとスガタにとって大事な人質にできるだろうから」
「嬉しいような困ったような理由だな。奴の狙いは各個撃破、か?」
「おそらくね。今のアルファーでも、カオスと一対一じゃ勝つのは難しい。だからこそ私かデルタの援護が必要なのよ」
きっとニンフの分析は正しい。
いくらカオスでも、全能力を取り戻したイカロスと戦うのは手こずるハズだ。それにニンフやアストレアが加われば天秤は大きく傾く。
だからこそバーサーカーのマスターはニンフ達を罠にはめた。そう考えれば辻褄が合う。
「もう残るはアルファーとデルタ、そしてカオスしかいない。カオスに勝つにはどっちが欠けても難しくなる」
「分かった、こっちはアストレアと一緒に行動しないと危ないって事だな?」
もう、ニンフは自分を数に入れていない。
彼女のボロボロの体を目にして、その理由が分かってしまうのが悔しかった。
「その上で、ミサコを救出しないといけない。その策はアンタとスガタが相談して決めなさい」
「そうだな。守形先輩ならいい策も出せると思うし、今のイカロスと俺なら囮にはなれるよな?」
「それは逆よ。囮をするならデルタの方が向いてるわ。あの子のスピードならカオスを振り切る事もできる」
「そっか。参考にしとく」
それを紛らわすために、俺はいつも通りにニンフと今後の作戦を話し合った。
今思えば、俺とニンフの会話の内容はこういったものばかりだった気がする。
もっと他の事、例えば好きな物とかこの町の感想とか色々聞いておくべきだった。
「…ごめんな。俺、お前に何もしてやれなかった」
そんな悔いが、つい口から漏れてしまった。
今更こんなことを言っても、ニンフを困らせるだけだというのに。
「…いいのよ。アンタは私達の事を本気で信じて、心配してくれた。私はそれで十分だったから」
そう言って儚くほほ笑むニンフに、俺はそれ以上何も言えなかった。
やせ我慢とか気遣いじゃなく、ニンフは本当に嬉しくて笑ったと思うから。
「………さて、と。トモゾウ、ちょっとこっちに顔寄せなさい」
「どうした?」
言われるがままに顔をニンフに近づける。何か内緒の話でもあるんだろうか。
「そう、そのまま。動かないで」
ベッドから身を起こしたニンフが俺の頬を両手で掴んで―
ちゅっ
「―――――――――――――」
「これでよし、と。………な、なんで呆けてんのよ」
いや、だって。お前。
「…なんで、キス?」
いくらなんだって、いきなりは困る。
おでこだからセーフな気がするけど、心の準備というものがだな。いや、そもそも何でセーフとか思ってんだ俺は?
「お、おまじないみたいな物よ。万が一デルタまでやられちゃった時の保険というか…」
「保険って、なんのだよ」
アストレアがやられた時の為の対策を打つのは分かる。
でも、それがどうしておでこにちゅーになるんだ。さっぱり意味が分からない。
微妙に恥ずかしそうなニンフを目にするのも、俺には色々な意味で目の毒なんだけど。
「その時になったら分かるわよ。………トモゾウ、一つ約束してくれる?」
「な、なんだよ」
まだ戸惑いが隠せない俺に対して、ニンフは気持ちを切り替える様に咳払いをして言葉を続ける。
「何があっても、必ず生き残って。私達はアンタに酷い仕打ちをしているけど、けっして憎いわけじゃないの」
「ああ、当たり前だ。俺はお前らの事好きだから約束する。絶対に勝って生き残ってやるさ」
ニンフ願いに応える為に、俺は彼女の手を握って約束を交わした。
今はそれだけが、こいつの想いに報いる唯一の言葉だと思うから。
「…ありがと。アンタみたいな奴だから、私も信じられる。ソアラの事もお願いね」
「おう。任せとけ」
安堵して息をつくニンフの姿が次第に輪郭を失っていく。
別れの時が、きた。
「心配すんなよ。俺はちゃんとやるからさ」
「…ええ」
俺は、精一杯強がって数日間だけ同居した協力者を見送る。
「諦めないで、トモゾウ。何があっても、どんな時でも。私は、アンタを助けるから―」
誓う様に、歌う様に。
最後の言葉を紡いだキャスターのエンジェロイドは俺の前から消えて行った。
まるで、儚い((妖精|ニンフ))の様に。
居間に戻ると、イカロスが掃除を終えたところだった。
帰った時に目にした血の跡は消え、散らかっていたタオルも目立たないくらいに片づけられている。
「見月の方は落ち着いたのか?」
「はい。オレガノの治療によりそあらさんの容体は安定していました。ただ、今後は安静を必要とすると思われます」
「それって、完治してないって事か?」
「いえ、傷そのものは完治しています。しかし、失った体力までは取り戻せていません」
そうか。居間にあった血の跡から考えても、相当な出血量のハズだ。
いくらオレガノでも輸血まではできなかったという事だろうか。
「ん? でも、俺の時はすぐに動き回れるくらいだったけど…?」
「マスターの場合は、その場ですぐに治療ができたから出血も少なかったと聞いています。そあらさんの場合はカオスから逃げる為にかなりの時間を必要としたハズです」
「そっか。………そういえば、オレガノにお礼を言えなかったな」
最後まで面と向かって会う事ができなかったメディックのエンジェロイド。
彼女は何を思って俺を助けてくれたんだろう。会長を助ければその事も聞けるんだろうか。
「オレガノは、マスターを嫌ってなんていません。マスターを助けたのは彼女自身の意志のです。それだけは保障できます」
「そうなのか? 俺、会った事も無いんだけど」
「マスターは会っていなくても、オレガノは知っていたハズです。ニンフと一緒に密かに警護していたそうですから」
「それって、お前と会う前の話だよな?」
「はい。ニンフからそう聞いています」
「んー。マスターになる前の俺を警護していたって、なんかおかしくないか?」
前もって知識があった見月や鳳凰院ならともかく、何の予備知識もない俺を注視するって不自然じゃないか?
「………マスターには私たちと契約する適性があったと思われます」
「そうなのか。まあ、実際に契約できたしな」
うーむ、イカロスのやつ急に誤魔化しに来たな。
オレガノを弁護しようとして余計な事まで言ってしまったどうしよう、という感じの慌てぶりだ。
…まあ、今はこの疑問を置いておこう。過ぎた事よりもこれからどうするかが大事なハズだ。
「…夕食の準備をしてきますで、少しお待ちください」
「いいけど。お前も無理しないで休めよ」
「私の方は自己修復によって十全な機能を維持しています。マスターの方こそ、お怪我の具合はどうですか?」
「ん、そういえば」
不思議と鳳凰院の奴と殴り合った時の傷が痛まない。
家に帰るまでは切った口の中や蹴られた鳩尾とかがかなり辛かったんだけど。
「ニンフのおかげ、なのかな…」
あのキスは、そういう意味もあったんだろうか。
本当、ニンフには世話を焼かれっぱなしだったわけだ。
「…マスター?」
「あ! いや、なんでもない! 俺は大丈夫だから!」
「…? そう、ですか。では少しお待ちください」
首をかしげながら台所へ姿を消すイカロスを、俺はドギマギしながら見送った。
………おかしいな。なんでこんなに後ろめたいんだ?
「…ふむ」
それはともあれ、少しだけど時間ができた。
ここは―
1.見月の様子を見に行く。
2.イカロスを手伝う。
*選択肢による変化はその場の会話のみです。メインシナリオに影響はありません。
1.見月の様子を見に行く。
「そうだな。見月の所にでも…」
考えてみれば、俺はまだ帰ってから見月の顔を見ていない。
イカロスとニンフの話から大丈夫だと思うけど、やっぱり自分の目で確かめておこう。
そうと決まればと廊下に出る俺を―
「…どちらに行かれるのですか、マスター」
―獲物を待ち構えるような眼光のイカロスさんが、待っていましたよっと。
「………イカロス君。ごはんの用意は?」
確か台所にいたと思ったんだけど、キミはここで何をしているんでしょうか。
右手に持ったフライパンの上でジュージュー音をたてる目玉焼きが妙に威圧感を出してるんですが。
「ご覧の様に現在進行中ですが。ところで、マスターは何を?」
「うっ。いや、見月に会いに行こうかと…」
今のイカロスからは有無を言わせない迫力があるぞ。
やましい事なんて何もないのに、なんか悪い事をしているみたいじゃないか。
「そあらさんには安静が必要です。明日には目を覚ますと思いますで、それまでお待ちください」
「いやいや、起こす気はないんだ。ちょっと様子を見てくるだけだって」
「………やはり、いけません」
俺の言葉にしばらく考え込んだイカロスはきっぱりとかぶりを振った。
それにつられてフライパンの中で踊る目玉焼きが、俺をいたたまれない気持ちにする。
「…それは、なんで?」
「そあらさんの寝相は、お世辞にも良い方とは言えませんから」
………ああ、なるほど。
パジャマをはだけさせた見月を目にした俺が、邪な気を起こさないようにという気遣いだったのか。
「分かっていただけましたか?」
「ああ。…なら、なおさら行かないとなっ!」
やっぱり男として苦しんでる女の子は看病するべきだよね、うん。
ゴガンッ
「………………」
見月のいる部屋へと駈け出そうとした俺を制する様に轟音が廊下にこだまする。
恐る恐るイカロスへと視線を移すと、右手のフライパンの上にあった目玉焼きは跡形もなく消滅していた。
「………マスター」
「分かった、居間で待ってる。それと、食べ物は粗末にしちゃダメだ」
「はい。申し訳ありません」
すごすごと引き下がる俺をしり目に、ちっとも反省の色の見えない((絶対服従主義|エンジェロイド))のイカロスさんは悠々と台所へと歩いていくのだった。
軽い冗談なのに、何であんなに怒ってんだあいつは。
まさか本気でそんな悪戯をすると思われたんだろうか。俺にだって分別くらいはあるんだけどな。
2.イカロスを手伝う。
「おーいイカロス」
「はい、なんでしょうか」
台所に足を運ぶと、フライパンの上で目玉焼きをひっくり返すイカロスがいる。
…むう、なんか妙に手慣れているな。まるで長年ここを根城に料理を研鑽してきたかのような振る舞いである。
「せっかくだから俺も手伝うぞ。二人でやった方が早いだろ」
「ですが、マスターはお疲れでは…?」
「大丈夫だって言ったろ。俺だって料理の一つくらいできるんだ。この前まで自炊してたんだからな?」
このままだと、何故かこいつに末代までここを占拠されそうな気がする。
人間、胃袋を握られるとあとは尻に敷かれるのみである。自分がマスターだったハズがいつの間にか上下関係入れ替わってましたなんて、あまりにも情けなさすぎる。
「…では、副菜の下ごしらえをお願いします」
幸いイカロスはあっさりと折れてくれた。
よしよし、少しは家主らしい所を見せないとな。
「オッケー。お、キャベツがあったからこれにしよう」
目玉焼きの盛り付けに合わせるなら、これを千切りにすればいいだろう。
「…マスター」
「なんだ?」
「私は、間違っているのでしょうか」
「…さあな。少なくとも俺はお前らに会えて良かったと思う。それだけは言い切れるぞ」
ぽつりと迷いの言葉を漏らすイカロスに、俺はそう答えた。
彼女が何を悔いているのか、何に詫びたかったのかは分からないけど、俺は今この時を肯定したいと思ったからだ。
「ありがとう、ございます」
それだけを呟いて、イカロスは料理に戻る。
「おう」
俺も一言だけ返して包丁の扱いに戻る。
ただ夕食を作るだけの二人の時間。
それだけなのに、不思議と居心地が良かった。
食事の後部屋に戻って横になると、とたんに眠気が押し寄せてきた。
「疲れてたんだな、やっぱり」
見月の看病と家の周囲の警戒はイカロスがやっている。
最初は俺も手伝うつもりだったけど、『今のマスターの仕事は、休む事です』と困った顔で言われたら、何も言い返せなくなった。
実際に体はぴくりとも動かないんだから、イカロスの方が俺の体を理解していたという事だろう。
「それでも、休むのは、今夜だけだ」
今日だけでエンジェロイドの半数が脱落した。
たった一日でオレガノやニンフも、そして風音もいなくなった。
「休んでる場合じゃないんだ、本当は」
残ったのは俺達と守形先輩、バーサーカーのマスターだけ。
決着の時は近い。俺達のするべき事は、会長を助けてカオスを退けるだけだ。
余計な事をしている余裕はないし、する必要もない。
「そういえば先輩とアストレア、大丈夫だったかな」
ニンフにも言われた通り、今後は先輩達と協力していく事が不可欠だ。
先輩もそうだけど、アストレアの方が心配ではある。
「…俺が心配しても、仕方ないか」
まあ、先輩がついているなら大丈夫だろう。
俺よりよっぽどしっかりしてる人だし、会長とは幼馴染なんだから積極的に協力してくれるハズだ。
「負けねぇぞ、絶対に」
倒すべき敵の顔を脳裏に見定めて、眠りにつく。
今日一日でたくさんの物を無くしたけど、ちゃんと得た物だってある。
それに何より。
「…マスター、早くお休みくださいと申したハズですが」
「うん、もう寝る。だから音もなく部屋に忍び込んで覗き込まないでくれるか?」
ちゃんと残ってる物もある。
「では、お休みなさいませ」
「おう。それといつも言ってるけど、朝になってもこの起こし方は止めてくれ」
「………分かりました」
「その台詞、昨日も聞いたんだけど。ニュアンスも全く同じだし」
「今度は、大丈夫です」
ここ数日ですっかりお馴染みになってしまった日常の欠片は、確かにここにあるのだ。
だから俺は大丈夫。
辛くても、悲しくても、ちゃんと前を向いて胸を張れると信じてる。
「分かった。期待しないで待ってる」
「はい」
イカロスが廊下を降りてく音を聞きながら、今度こそ意識を閉じる。
願わくばこの日常がもう少しだけ続いてくれる事を、心の隅で願いながら。
「そりゃ、昨日あんな事があったら学校は休みだよな」
「はい。施設の修復には時間がかかると思われます」
そして翌日。
至極当然の結果を知る事になった俺とイカロスは通学路を歩いていた。
「ま、逆に人払いには困らないか」
それでも二人で学校へ向かっているのは先輩と話があるからだ。
今朝、臨時休校の連絡をしてきた先輩の口から直接言われたのである。
『今後についての話があるから生徒会室に来てくれ』と。
「さすが先輩だよなぁ」
すでに状況を把握し、打開策を練るべく行動を開始しているのだろう。
情報源はおそらく鳳凰院の奴だ。あの時、学校に残っていて事情を知っていそうなのはあいつだけだし。
「マスター、一つお話が」
「いいけど、見月の事か?」
「はい」
見月はまだ家で安静にしている。
意識は取り戻したし朝飯も食べることができたけど、動き回れるくらいには回復していない。
「そあらさんには緊急連絡用の端末を渡していますが、カオスの襲撃があった際に連絡を受けてからでは手遅れになる可能性があります。万が一の場合は((契約の鎖|インプリンティング))のバックアップが必要です」
「つまり、お前を一瞬で見月の所へ送ると?」
「はい。私には本来備わっていない機能ですが、それがあれば一時的に可能かと」
確かに見月からの連絡があってからイカロスが飛んで行くんじゃ遅い。
相手はイカロスと同じエンジェロイドなんだから、学校から家までの数秒の時間でさえ手遅れになる可能性が高い。
「分かった。それを差し引いても今の見月を一人にするのは気が引けるしな」
ニンフの顛末は俺から伝えた。
見月はただ一言、『そう』とだけ口にして唇をかみしめた。
俺は何も言えなかった。
数日とはいえ一緒に戦ってきた相棒を自分の知らぬ間に失ったんだ。
イカロスを助ける事ができた俺に、その気持ちを推し量る事はできない。
「…そあらさんは、強い人です」
「そうだな」
朝食の後、見月は力になれなくて済まないと俺に詫びた。
そんな事は今さらだ。それこそ、最初の夜に見月とニンフに会っていなかったら今の俺はいないんだから。
「恩返しをしないとな」
「はい」
俺達はとっくの前に見月達に助けられている。こっちがお礼を言うならまだしも、謝られる筋合いは無い。
この先、見月がどうするにしても最大限の協力は惜しまない。元々、俺達はそういう約束で共同戦線を結ぶ事にしたんだから。
「とにかく、今は会長の救出だな」
「囮役は、私達ですか?」
「いや、ニンフが言うにはアストレアが適任らしい。その辺は先輩に相談しよう」
校門が視界に入る。あとは生徒会室へまっすぐ向かうだけだ。
さて、ニンフ達に呆れられないくらいには頑張らないと。
まだ俺達は生きてるし、ちゃんとこの戦いを終わらせないといけないんだから。
「…来たか」
「ども。入っていいすか?」
「ああ」
守形先輩に促されて生徒会室に入る。そこにはアストレアの姿もあった。
「よ。無事だったんだな」
「あ、うん。まあね」
この部屋に真の主がいないせいなのか、比喩抜きで住み慣れたハズのアストレアでさえどことなく落ち着かない様子だ。
会長のいない穴は俺が想像する以上に大きいのかもしれない。
「智蔵。昨日の件について詳細な話を聞かせてくれないか」
「いいですけど。先輩はどこまで掴んでるんですか?」
「ニンフとオレガノが脱落し、美佐子が捕らえられただろう事は把握しているが、お前の口から確認したい。俺としても可能な限り情報が欲しい」
思ったより先輩の持っている情報量が多い。
鳳凰院からの話と会長が戻らない事から予想したんだろうけど、確認という言葉が気になる。
「…分かりました」
その辺は後で聞こう。今は先輩の言う通り、情報の共有化が必要だ。
俺からの報告を聞いた先輩は、ふむ、と頷いて言葉を続けた。
「想像よりは、まだマシな状況だな」
「そうですか?」
「ああ。確かにバーサーカーのマスターは狡猾だが、隙も多い。つけ入る事は可能だろう」
虚勢ではなく、確かな自信として言い切る先輩は本当に頼もしい。
そういえば昨日の鳳凰院との喧嘩の時も、この人の言葉で目が覚めたみたいなものだった。
この人なら、会長を助ける事も割と簡単に成し遂げてしまうかもしれない。
「必勝を狙うなら、昨夜の時点で俺か智蔵を始末してしまえばいい。それをしないのは、奴が俺達を見下しているという事だ」
「あ、確かにそうか」
俺は疲れて早々に眠ってしまったし、先輩だって風音の気象兵器のダメージが残っていたハズ。
各個撃破を狙うなら、それこそ昨夜が最適なタイミングだったんだ。
「これも遊戯の一部なのだろうな、奴にとっては」
冷淡に言い切りつつ、先輩が懐から一枚のディスクを取り出す。
「なんですかそれ?」
「バーサーカーのマスターからの言伝だ。昨夜、バーサーカーが持ってきた」
「ふーん………………って、は!?」
それってあいつに襲われたって事じゃないか!
なんで先輩もアストレアも平然としてるんだっ!?
「戦闘にはならなかった。理由は見ればわかる」
あくまでクールな仕草でプレイヤーへディスクを入れる先輩。
それを視界の端目におさめるアストレアが、小さく溜息を洩らした。
そしていまいち状況が掴めない俺の前で、モニターに荒い映像が映し出される。
そこには、数日前に目にしたいけ好かないニヤケ顔があった。
『久しいなサクライトモゾウ。健闘している様で私は嬉しいぞ』
「…ぬかせ」
爽やかな笑顔をちらつかせても悪意が透けて見えるんだよこの野郎。
王様みたいにふんぞり返りやがって。その豪奢な椅子はどこから持ってきたんだ。
『さて、悠長に話しても要らぬ時間を費やすだけだ。本題に入ろう』
おう。そうしろそうしろ。
お前と世間話をする気なんてこっちは欠片もないんだ。
『残るエンジェロイドは私のバーサーカーとお前たちのセイバー、アーチャーのみだ。だが正直な話、二対一ではこちらも厳しいものがある』
………しらじらしい、と言いたいけど実は本当の事なのかもしれない。
少なくともニンフはイカロスとアストレアのタッグなら勝機があると言っていた。
だからこそ、こいつは会長を人質にとって自分に有利な展開を画策していると捉える事もできる。
『そこでだ。正々堂々と一対一で決着をつける為に、そちらも一組に絞ってほしいのだよ。今、こちらでもてなしている客人はその為にご足労願った』
正々堂々とか、どの口で言いやがるんだこいつは。
俺達に会長を人質に取っている事を暗に示しながら、各個で戦わざるを得ない状況にするのが目的だろうに。
いい加減、こいつのニヤケ顔を見るのも限界だ。
「先輩」
「黙って見ろ。この先が本題だ」
先輩の表情はいつになく険しい。この人でも癇に障る事があるのかと少し驚いた。
『とはいえ、こちらが一方を相手にしている間にもう一方が客人を連れ出しても困る』
そりゃそうだ。
こっちは会長を救出すれば向こうの言う事を聞く必要は無くなる。
それが今の俺達にできる現状打開の方法のハズだ。
『故に、まずは((そちらが一組|・・・・・・))になってもらおう。私の言っている意味が分かるな?』
おい。ふざけんな。
それって―
『物分りの悪い者がいたら困るので一応明言しておこう。お前たちが戦い、勝った方が私と戦え。拒否権がない事くらいは理解できるな?』
―俺達と先輩で潰し合えって事じゃないか。
「つまりは、こういう事だ」
先輩がプレイヤーからディスクを取り出し、映像は途切れた。
さっきまで響いていたいけ好かない野郎の声も途切れ、部屋には沈黙が落ちる。
「俺達が奴の望む事以外の行動をとれば、美佐子は殺されるだろう」
「…先輩」
それは、たぶん事実だ。
実際に俺や見月は殺されかけている。助かったのはオレガノの頑張りに幸運が重なったからだ。
その彼女は、もういない。致命傷を負えばそれで終わりだ。
そして今、会長は一番死に近い所にいる。
「悠長に対策を練る時間を与えてはくれないだろう。智蔵、明日にでもやるぞ」
「…やっぱ、やるんですか」
先輩の気持ちは固まっている。そして。
「………アストレア」
「…私、勝ちにいきます。イカロス先輩も本気で来てください」
お互いに視線を重ねて言葉を交わすイカロスとアストレア。
二人の気持ちも決まった。だから、俺も心を決めないと。
「勝った方があの野郎をぶっとばして、会長を助ける。そういう事でいいですよね」
「そうだ。俺達に他の選択肢はない。覚悟を決めろ」
「分かりました。どこでやります?」
「悪いが俺のホームでやらせてもらう。安心しろ、俺とアストレアだけでも奴を倒すには十分だ。お前を死なせる気もない」
「そりゃ、頼もしいっすね」
先輩のホームといえば、町はずれの川原か。
それにしても凄い自信だ。きっとこの人は俺達を倒した後の事まで考え始めている。
「それでも俺、約束したんで。勝つのは俺とイカロスですから」
俺を信じてくれた((ニンフ|あいつ))に誓ったんだ。必ず勝って生き残ると。
「…そうか」
それだけを口にして、先輩は生徒会室を後にする。
動き出した事態は止まらず。戦いは犠牲者を求め続ける。
それでも、もう俺は逃げたりしない。
勝つと約束した相手がいる。その為に犠牲にした人がいる。
「…行きましょう、マスター。私たちも策を練らないといけません」
「おう」
そして、一緒にいてくれる人がいる。
だから俺は絶対に諦めないと、胸を張って言い切れるのだ。
To Be Continued
interlude
「すまないな、アストレア」
「…ふぇ?」
川原への道の途中、守形はいきなり謝ってきました。
「お前は、イカロスを慕っていただろう」
「んー、それはそうだけど」
確かに私はイカロス先輩が好きだけど、今はちょっとした野望もあります。
「せっかくの機会なんだし、一度くらい思い切りぶつかってみたかったのよね」
これって、いつもなら絶対にできない事だし。
「それに、私と守形だけでもカオスに勝てる作戦があるのよね?」
「一応はな。ただし俺の策はマスターを倒す方法だ。バーサーカーを倒す方じゃない」
「ん、それでもいいわ」
ニンフ先輩に口止めされているから言えませんけど、別に私達はマスターの皆を守れればいいだけだから、カオスに勝つ必要はありません。
師匠(のおばあさん)をさらったあの嫌な奴をやっつけてしまえば、私達の戦いはそれで終わりなのです。
「ちなみに聞くが。イカロスと正面からぶつかって勝つ自信はあるか?」
「う〜ん。無理っぽいかも」
シナプス最強は伊達じゃありません。何も考えずに突っ込めば絶対に負けちゃうと思います。
「そうか。ならば搦め手しかないが、それでもいいな?」
「搦め手?」
「やり方を選ばない、という事だ。お前が嫌がる作戦も視野に入れる」
「それって、アイツは大丈夫よね?」
「それはお前とイカロス次第になるが、智蔵は問題ないだろう。イカロスが優秀であるが故に、な」
「むむ」
言い方が少し気になるけど、アイツが怪我をしないで済むなら大丈夫かな。
それに守形は私を勝たせるために考えてくれてるわけだし。
「分かったわ。『((セイバー|さいゆうりょう))』たるもの、マスターを信じないとね、うん」
「いや、これまでの事を考えても最優良はアーチャーのイカロスだろう」
「…だよね」
うん、分かってるけどね。
実際に体を張ってアイツを守ってきたのはいつもイカロス先輩なんだ。
私はいつも蚊帳の外。
今回だって日和さんを止める事もできないで、ただ眠らされていただけ。
「そう腐るな。確かにお前は最優良ではないかもしれんが」
「え?」
「俺はお前と組めて正解だったと思う。イカロスやニンフが相手ではこうも気安い話は出来なかっただろう」
「そ、そうかな? 二人とも優しくていい人だよ?」
いや、ニンフ先輩はちょっと意地悪な人だけど。
「だとしても、どちらも生真面目すぎる。俺としてはお前くらいに気楽に生きている奴の方が相手をしやすい」
「んー、それは師匠みたいにってこと?」
「そう、かもしれんな。あいつも気楽に生きている事には変わりない」
「そーよねー」
そっか、私っていつの間にか師匠みたいな生き方をしてたのかな。ちょっと嬉しいかも。
「師匠、絶対に助けないとね」
「ああ。………ところで以前から気になっていたが、なぜ美佐子を師匠と呼ぶ?」
「いやー、あの人って自分が絶対に正しいって疑わない人じゃない? それってすごいなーって思うのよ」
師匠もそのおばあさんも似たもの同士なのよね。それを言ったら智蔵さんや守形も同じなんだけど。
「…なるほど。お前たちエンジェロイドも他人の影響を受けるのだな」
………そっか。私も少しづつだけど変わっているのかな。
昔は馬鹿で何もできなかった私。
戦う為に生まれたのに、それを命令される事のなかった私。役立たずな私。
でも今の私は違う。
少しづつだけど、確かに変わっているんだから。
「よーし、イカロス先輩にも勝っちゃうんだから!」
「その意気でないと困る。この作戦はお前の理解と実行力が鍵だからな」
「う、頑張ってみるわ」
あの人にだって勝ってみせる。そして智樹を守ってみせる。
私だって成長してるんだって『しょうめい』してやるんだから。
「…この場合、証明でいいのよね?」
「唐突に何を言ってるんだお前は?」
その前に、もう少し頭もよくなりたいなぁ。
ニンフ先輩に馬鹿にされないくらいには賢くなりたいと思います。
「ニンフと!」
「アストレアの!」
教えて! エンジェロイ道場!
「ニンフ先輩、出演お疲れ様でしたー!」
「なにそれ嫌味!? まだ出番があるからって調子に乗るんじゃないわよ!」
「いたい! いたいです! 別に嫌味なんかじゃないですよー。最後に美味しい所も持っていったし、いい終わり方じゃないですかー」
「フン、色々苦労したんだからこれくらい当然の権利よ」
「それにしてもついにイカロス先輩と決闘かぁ。胸が熱くなりますね!」
「アンタのそのでかい胸はそれ以上変わる必要ないわ。ま、頑張って盛り上げるのね。どうせかませ犬でしょうけど」
「そんな事はありませんよー。守形さんの作戦もあるし、もしかしたらもしかするかもしれませんよ?」
「だといいけどね。私としてはどっちが勝ってもいいわ。最終的にトモゾウが無事に生き残れればいいんだから」
「あ、冷たい発言。ところでカオスが急に活発に動いてますけど、何かあったんですか?」
「ああ、それはカオスの再調整が終わったからよ。最初の夜にトモゾウのせいで精神的に不安定になったんだけど、ようやく安定したのね」
「そうなんですか。じゃあこれからは私達が頻繁に狙われるんじゃ…?」
「それはないわ。もう戦いは最終局面を迎えつつあるから、マスターの方がカオスを迂闊に出さない。少なくとも、アンタとアルファーの決着がつくまでは動かないでしょうね」
「ならいいんですけど。それにしても、師匠を人質にとって私達を戦わせるなんて卑怯な奴ですよね」
「何を今さら。あいつの陰湿さなんて私は十分に理解してるわ。むしろ手ぬるいくらいでしょ」
「え〜〜〜? ニンフ先輩、アイツに何をされてきたんですか?」
「………聞きたい?」
「…いえ、遠慮します。ごめんなさい」
「分かればいいわ。とにかく、アンタにしろアルファーにしろ責任重大なんだから気を引き締めるように」
「は〜い」
「と、いう所で今回のエンジェロイ道場はここまで!」
「残すところは3話くらいね。年内完結予定らしいけど。どうなる事やら」
「あ、それ知ってます! 予定は未定ってやつですね!」
「微妙に無駄な事ばかり知ってるわねアンタも…」
各エンジェロイドステータス
*本編で解明されていない個所は伏せられています。
クラス:アーチャー
マスター:桜井智蔵
真名:イカロス
属性:秩序・善
筋力:B
耐久:A
敏捷:B
演算:A
幸運:C
武装:A++
スキル
飛翔:A
空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。
自己修復:A
自身の傷を修復する。
Aランクの場合は戦闘中にもダメージが回復し、戦闘不能に陥っても約半日で復帰可能。
ただし完全に破壊された場合、ダメージを継続的に受け続けた場合は発揮されない。
千里眼:A
遠距離のおける視力の良さ。
遠く離れた敵を視認し、射撃兵器の命中率を補正する。
単独行動:F
クラス別能力。マスターを失っても行動可能。
ただしイカロス自身がそれを望まない為、ランクダウンしている。
武装
永久追尾空対空弾「Artemis」(アルテミス):B
外敵を鋭く貫く殺傷力と、地球の裏側まで届く射程を併せ持つ主兵装。
可変ウイングから直接発射するので使い勝手が良く、出力調整可能。
絶対防御圏「aegis」(イージス):A
あらゆる攻撃を防ぐ全方位バリア。
非常に高い防御力を持ち、その特性を生かして周囲を巻き込まず攻撃する際にも併用される。
ただしAランク以上の攻撃は防ぎきれず、ダメージの軽減のみになる。
超々高熱体圧縮対艦砲「Hephaistos」(ヘパイストス):A
圧縮したエネルギー弾を撃ち出す大砲。
大気圏を越える程の指向性エネルギーを放出し、敵を蒸発させる。
起動と発射には数秒のチャージが必要となる。
最終兵器「APOLLON」(アポロン):A++
弓型のエネルギー兵器。
着弾地点を中心に大爆発を引き起こし、国一つでさえたちまち消し飛ばすほどの威力を持つ。
周囲への被害が大き過ぎる為使用には危険を伴うが、その破壊力は全エンジェロイド中でも最高を誇る。
クラス:キャスター
マスター:見月そあら
真名:ニンフ
属性:秩序・中庸
筋力:D
耐久:C
敏捷:C
演算:A
幸運:B
武装:C
スキル
ハッキング:A
生物、機械に干渉する能力。
対象の性能及び機能を強化もしくは低下させる。
高ランクになると対象の電子頭脳を破壊する事も可能(ただし相手の演算能力を上回る必要がある)
また、ハッキング中は自身のステータスが低下する。
飛翔:B
空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。
陣地作成:B
クラス別能力。自分に有利な陣地を作る。
ハッキングを主としたトラップ陣地を作成できる。ただし対象の選別は困難。
道具作成:D
クラス別能力。有用な道具を作成する。
大抵の事をハッキングで済ませしまうニンフはこのスキルの使い道を把握しきれていない。
武装
超々超音波振動子(パラダイス=ソング):C
口から発する超音波攻撃。
数少ないニンフの武装だが、エンジェロイドに対する攻撃力は低い。
クラス:セイバー
マスター:守形英三郎
真名:アストレア
属性:中立・善
筋力:B
耐久:C
敏捷:A
演算:E
幸運:B
武装:A
スキル
飛翔:A+
空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。
事実上、空中戦でアストレアを捕えられるエンジェロイドはいない。
怪力:C+
一時的に筋力を増幅する。
感情の起伏による怪力を発動。つまり馬鹿力。
過去にインプリンティングの鎖を力ずくで引きちぎった事からも、その腕力は他のエンジェロイドと比べても破格。
騎乗:F−
クラス別能力。乗り物を乗りこなす。
家電の操作(テレビのリモコン等)が限界なアストレアにとってまったく有用性の無いスキル。
逆に操作を誤って事故を起こす可能性が上がる。
勇猛:D
精神干渉を無効化し、格闘ダメージを上昇させる。
アストレアの場合は勇猛というよりただの猪突猛進だが、結果は大差が無い。
Dランクは若干の補正値にとどまる。
武装
???
クラス:ライダー
マスター:鳳凰院=キング=頼朝
真名:風音日和
属性:中立・中庸
筋力:D
耐久:D
敏捷:C
演算:A
幸運:C
武装:C
スキル
ハッキング:A
生物、機械に干渉する能力。
対象の性能及び機能を強化もしくは低下させる。
高ランクになると対象の電子頭脳を破壊する事も可能(ただし相手の演算能力を上回る必要がある)
また、ハッキング中は自身のステータスが低下する。
騎乗:C
クラス別能力。乗り物を乗りこなす。
日和の場合 農耕機の運転経験が数えるほどあったのみなので低い。
飛翔:C
空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。
人間としての生活が長かった日和は飛行を苦手とする。
気象観測:A
農業経験による気象変化への対応知識。
気象兵器「Demeter」(デメテル)による影響を自分とマスターが受けない様にし、気象効果を上昇させる。
武装
気象兵器「Demeter」(デメテル):C
周囲の気象を操作する事ができる。主に気圧を操作し暴風、豪雨、落雷などを広範囲に発生させる。
応用すると人体の鼓膜などに深刻なダメージを与えることも可能。
ただしエンジェロイドへの直接的ダメージは小さい。
クラス:メディック
マスター:五月田根美佐子
真名:オレガノ
属性:秩序・中庸
筋力:D
耐久:D
敏捷:C
演算:C
幸運:A
武装:D
スキル
医療技術:A
シナプスで従事していた医療知識。Aランクは適切な医療器具さえあれば瀕死の重傷さえも治療可能。
ただしシナプスの器具が地上に無い為、普段は腕のいい外科医程度の能力(Bランク相当)にとどまる。
シナプス製の医療器具は彼女が保有する物のみであり有限。それを消費した時に限り本来のランクへ上昇する。
火器管制:C
銃火器を扱う技能。
五月田根美香子が直伝した為、拳銃から機関銃、戦車に手榴弾と豊富な技術を持つ。
ただし扱えるのは地上の火器に限り、シナプス製の兵器は扱えない。
飛翔:C
空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。
医療用として活動してきたオレガノは戦闘用の飛行を苦手とする。
単独行動:C
シナプスでは医療用としてマスターから離れて行動していた為、ある程度離れても活動に支障が出ない。
ただし現界の為にマスターの存在そのものは必要不可欠である。
武装
なし
クラス:バーサーカー
マスター:シナプスマスター
真名:カオス
属性:混沌・中庸
筋力:B(A)
耐久:A(A+)
敏捷:B(A)
演算:A(A+)
幸運:D
武装:A
*()内は狂化による補正値
スキル
飛翔:A
空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。
戦闘続行:B
大きな傷を負っても戦闘が可能。
精神的な高揚により痛覚が麻痺し、痛みを感じずに全力を発揮できる。
ただし自身の保身がおろそかになる為、回避にマイナス補正がつく。
自己進化プログラム「Pandora」(パンドラ):A++
エンジェロイドの自己進化プログラム。他の生物やエンジェロイドを取りこむ事で最適な機能を獲得する。
カオスはこのシステムに一切の制限がなく、常に最適な機能を模索する事が出来る。
これによりカオスは戦闘中1ターンごとに相手より1ランク上回る性能を獲得する。
狂化:B
クラス別能力。全ステータスをランクアップさせる。
元々情緒不安定な面のあるカオスだが、狂化によってさらに不安定になっている。
マスター以外の存在は敵という認識しかなく、イカロス達の事を知識で理解してもそれ以上の思考がされない。
ただし智樹とそれによく似た智蔵は例外。彼らを認識すると著しい精神的負荷が起こる。
武装
対認識装置「Medusa」(メデューサ):A
敵エンジェロイドの電子制御機能に介入し、幻惑する。相手の攻撃や回避にマイナス補正を与える。
油断するとニンフですら幻惑されるほどの性能があり、抵抗にはAランク以上の演算能力が必須。
硬質翼:A
自身の翼を変幻自在に操る。
筋力ステータスに依存した威力を発揮する。
炎弾:B
遠距離戦闘用の射撃兵装。
複数の弾頭を連続発射する事が可能。また、チャージする事で威力がランクアップする。
超高熱体圧縮発射砲「Prometheus」(プロメテウス):A
アサシンを取り込んで獲得した武装。カオスの能力に追随してランクアップしている。
Aランク以下の防御及び耐久を貫通し、同ランクの攻撃を相殺する。
クラス:アサシン
マスター:シナプスマスター
真名:ハーピー
属性:秩序・悪
筋力:C
耐久:C
敏捷:C
演算:B
幸運:C
武装:B
スキル
飛翔:B
空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。
二身同一:B
二人で一つの役割を負う為の機能。
離れていても互いの意思疎通を可能にする。
気配遮断:C
クラス別能力。隠密行動の適正を上げる。
ただし直接攻撃をする際には大きくランクが低下する。
武装
超高熱体圧縮発射砲「Prometheus」(プロメテウス):B
摂氏3000度の気化物体を秒速4kmで射出する。
Bランク以下の防御及び耐久を貫通し、同ランクの攻撃を相殺する。
説明 | ||
『そらのおとしもの』の二次創作になります。 物語的には丁度折り返し地点という所。 二ヶ月以上も開いてしまいましたが、今年中には完結できる予定です。多分。 このシリーズの目標:バトルものシリアス、および中編への挑戦。 完全オリジナルが困難なため、某作品をオマージュ(パ○リ)して練習する。 ただし練習といっても基本全力で。自分がどこまでシリアスに迫れるかを探究する。 *某作品を思わせる設定やストーリーがありますが、クロスオーバーではありません。 つまり某騎士王さんとか赤い悪魔さん達は出てきません。 これまでのあらすじ ある夜、桜井智蔵という少年は背中に羽を持つ少女、イカロスに命を救われる。 智蔵は学校の生徒として生活するマスター達と共同戦線を張るために情報交換を行う。 かつての幼馴染であったライダーのエンジェロイドに苦戦しつつも撃退した智蔵とイカロスだったが、 ニンフ達がバーサーカーに襲われたと知り、急いで彼女のもとへと向かうのであった。 主な登場人物 桜井智蔵:いわずもがな智樹の祖父。基本的に智樹と同じくお馬鹿でスケベ。契約者はイカロス。 見月そあら:見月そはらの祖母で智蔵のクラスメイト。外来の転校生マスター。契約者はニンフ。 イカロス:アーチャーのクラスを担うエンジェロイド。 ニンフ:キャスターのクラスを担うエンジェロイド。 第一章:http://www.tinami.com/view/363398 第二章:http://www.tinami.com/view/370300 第三章:http://www.tinami.com/view/388794 第四章:http://www.tinami.com/view/413461 第五章:http://www.tinami.com/view/429352 |
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コメント | ||
後半に入って次々に脱落していくエンジェロイドたち。そう言えばFate/ZEROもアニメ第一期では誰も脱落しなかったのに、後半はすごいペースで脱落したなあと思い出しました(枡久野恭(ますくのきょー)) BLACK様へ この世界やラストについてはまだ話せませんが、ちゃんとハッピーエンドを予定しています。(tk) この世界は誰が夢見た世界やら・・・。「本当に・・・安心した」っていう終わり方になるのだろうか。(BLACK) |
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