超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス |
「((死霊が舞う十六夜|レイス・カーニバル))」
レイスが吐いた身も凍るような冷寒の言霊は一瞬にして夜を更に濃い空間へ、闇夜へと変わっていく。
星の光は喰い齧るように消えていき、地面は亀裂が入りそこから噴水を上げるように鮮血が全てを満たしていく。
血の匂いだけが充満して、とても生物が生きれる様な空間ではないここはまるで、死した幽霊が集う地獄
「自分の深層心理を世界にかたち造る、結界……相変わらず滅茶苦茶だねレイス」
「お前に言われたくはないさ、森羅万象ありとあらゆるものを破壊できるお前に言われてもな」
太ももに突き刺された剣を抜き取り投げ捨て立ち上がる。
レイスは怒気を感じさせながら恐ろしいほど無表情で、空は怖がるように一歩後ろに下がった。
「残念ながら空亡ちゃんに半分、封じられてかなり弱っているんだけど」
「そうか、さすがくうちゃんだ」
ここにはいない愛娘を褒めるようにレイスが光が無い闇夜の空を見上げた。
「なぁ、空」
「……なに?」
「お前は、((何度この世界をやり直してきた|・・・・・・・・・・・・・・))?」
レイスの質問に空の顔が強張った。
「…………」
「答えたくない……か、それじゃ質問を変えようか。お前は何度、ゲイムギョウ界の神を手に掛けた?」
「−−−っ!」
更に一歩、血の沼となったこの空間の中でレイスが一歩、足を進めた。
空はカタカタと自分の体を震わせながら引きづるように足を下げた。
「俺が知っている範囲では、ネプテューヌ、ノワール、ベール、ブラン、ネプギア、ユニ、ロム、ラム、マジェコンヌ、バーミリオン、エクルページュ、フォーン、セピア、カナリア、スプルース、シアン、ソルフェリノ、ヴェルデ、クローマ、ブルーノ、ロゼオ、ヴァイス、アスル、ルアン、ヴァルメリオ、メラン、グラオ、ヴィオレット、ニーヴァ……」
次々に挙げられていくゲイムギョウ界の神達の名前、レイスの声音はまるで空の罪の重さを評しているように俺は聞こえた。
「……っでだ、正解か?」
「……よく、調べたね」
「俺には優柔な従者がいるからな」
レイスの上げた名前はおそらく100ぐらいは行くだろう、空は諦めたように動きを止めレイスを見つめた。
「色々言いたいことはあるが、まずはーーー歯を食い縛れクソ野郎」
大地を満たしていた血の沼が巨大な二つの波紋を作り出した。
一つ目はレイスが飛んだ衝撃で生じた波紋
二つ目はレイスが空を殴り飛ばされてできた波紋
「−−−っ空、!?」
「お前はそこで黙ってろ」
直ぐに駆けつけようとするが大地を満たす鮮血が鞭のように俺を束縛する。
すぐさま、ブラッディハード・エクリプスになろうとするが力が入らない……!
「ここは俺だけの世界で万象は全て俺が管理している。故に新たな((法則|ルール))を作ることなんて容易いなのさ、さすがに空レベルになると半減されたりするがな」
ーーーっ!
レイスの作り出したこの結界内ではレイスが全ての支配者……つまい神様っていうことなのかよ!くっそ……!
「…………」
空に近づき遠くなっていくレイスの背中、必死で解こうともがくが俺の力を嘲笑うかのように血の触手は俺を離さない。
「なぁ、お前は何がしたかったんだ?」
「ぐっ……けほっ」
いつもの純白のコートは既に面影が無くなり血色で染まっているいつもきれいだと思えた黄金色の髪もひどく血で汚れていた。
空は地面にぶつけられた衝撃なのか飲んでしまっただろう血を苦しそうに吐き出し近づいてくるレイスを見た。
「お前、本当にゲイムギョウ界のために活動したのか?」
「………僕には、その質問の意味がよくわからないよ」
「今のお前は、俺から見ても汚れて、穢れているぞ」
血の異臭だけが充満するレイスの深層心理に光はなかった。
空も俺も既に血だらけでこの世界の一部となっているのよう錯覚を覚えるほどこの世界は広くて悍ましく恐怖と鮮血で埋め尽くされている。
「俺の知っているお前は本当に自分勝手で頑固者だ。心が否定しても想いで肯定する、それがどんな事態を招いていてもそれが偶然起きた震災のように片付けるお前の性なのにな」
俺は冥獄界で微かに残っていた日記帳を見たことがある。
文字や絵は酷く破れていて解読は困難で諦めたけどそれを書いたのは空でその日、ゲイムギョウ界でどれだけの人が死んでそれだけの人が生まれたのか入念に記録されていた。そして、その中にも先代の女神についても綴られていた。
「だから、お前は自分の身内で何かあっても自分を咎めるだけで反省も後悔もしない。実験と同じ感覚なんだろう?自分は正しいのになぜか失敗した今度はこうしようってな……」
レイスの抱えている一つのアルバムらしきもの、先ほども見たがあれは冥獄界にあるものだ!内容は知らないがとても空が大事そうにしているが絶対に中身を見るなと教えられたものだ。
「ティシフォネが冥獄界を調べていると偶然見つけて俺に届けて来たものだ。……この中身を見て俺は再度、お前に問い詰める。本当にお前はなにをしたかったんだ?」
「………っ!」
空はそのアルバムを見てひどく動揺した。
カタカタと歯を鳴らし、体を震わせ、信じられないようなものを見る目で空はレイスの持つアルバムらしきものに注がれた。
「お前のことだ、どうせレイさんを基準にした完璧な女神を育成しようと洗脳まがいなことをしていたんだろう、が……お前は本当にバカだよな。自分のことを『空っぽドーナツ』と呼んでこんな……近くに自分を満たしてくれる人がいたのに自分で壊して……愚かだよお前は」
レイスは俺に見えるように開いたアルバムの中には幸福があった。
まだ、立つことも出来ないような赤ん坊たちを慈愛の瞳で抱きかかえる空、赤ん坊達が一斉に抱き着き埋もれてしまったイストワールを笑う空、成長して5歳ぐらいの少年少女達に武術を教える空とゼクスそれを見守るイストワール、勉強を教えているイストワールに真剣な眼差しで聞く少年少女達、その他にも仲の良い本当の親子と思える思い出の写真が綺麗に保存されていた。
「ここに写っているお前は……なにを思っていた?ゲイムギョウ界を秩序と平和を保つだけの道具を製造していたのか?それともレイさんのような完璧な神を造ろうとしたのか?又は、無限の可能性がある子供を育ていたのか?……どっちなんだ空……!」
「うぁ……うっく……」
それは空が残したゲイムギョウ界の軌跡だった。
ネプテューヌ達もだが、生まれてそのままあの姿と言うのはないんだ俺のような後天的に神になるのはともかく、最初から神も誰かに教育してもらわないといけない、生まれて全知全能なんて聞いたことない神も人間も生まれたときは無知なんだ。
そして、ゲイムギョウ界の女神を教育したのは空とイストワールだろう。最近はイストワールのみやロムちゃんラムちゃんのように教祖が子守をすることもあるらしいが……
「−−−苦しいだろう?」
俺もそれなりに空と付き合って分かったことがある。空はとても脆い
「お前は確かに残忍で鬼畜な部分があるがそれはいつも一時的だ、神である時点で人間でもあるお前は本当に半端物で自分を染めきれない。故にお前は自身を維持しきれない」
善人でもあり悪人でもある。
正義でもあり不義でもある。
破壊でもあり再生でもある。
空は破壊神でありながら様々な属性を持っているそれは空の生まれが特殊すぎるからである。
空は自身の神格で神になったのではなく、ただ神より遥かに強い力を持ちすぎる故に神々に恐怖され隔離と呪縛という意味で神様にされたんだ。それは人に造られた者だから
矛盾と言う存在の空にとって自分を構築するのは自身に埋め込まれた他人の知識と記憶、自分は空っぽなのに周囲は全て埋まっていたそれが空の『空っぽドーナツ』の由縁なんだろう。
だから、だからこそ空は渇望し続けた一生、永劫に……全ての肩書を見ない何もない空っぽの自分を見てくれる人材をそして出会ったのがレイさんだった。
しかし、レイさんは死んでしまった希望を失った空の想いは果たしたどれだけの絶望と後悔に沈んだのが到底俺には予想できない
「お前は、この空間の中でどこかで満足してしまったんだろうな。けど、真の意味でお前はレイさんのことを思いすぎた。だからそこに合った続くはずの幸福を拒絶した否定した、壊した……思い出だけを残して」
いつの間にか、大地を満たす鮮血は消え闇夜の空は消え失せて元の場所へと戻っていた。
「俺とお前の付き合いだ。お前の考えていることはなんとなく分かる。だからこそ言わせてもらうお前は十分救われている悲劇のヒロインの役目は終わったんだ。立て、前を見ろ、自分で歩け……じゃないとお前は一生、((アルバム|罪))の数を増やすだけだぞ」
そう言い残し、レイスは四つ這いでただ無言で何もしゃべらなくなった空にアルバムを投げ捨てこの場所から去ろうと春樹始める。
「−−−紅夜」
だが、レイスは思い出したかのように歩みを止め俺に顔を向けてきた。
「お前が主人公だ。お前が救って、お前が断ち切れ……じゃないとこの演劇はBADENDだぞ」
そう言い残しレイスは闇へと姿を消した。
残るのは俺とアルバムを離さない様に抱きしめる空の姿だった
「……空」
「……………」
空はなにも言わないただ思い出を抱きしめるだけだ。
俺はどうすればいいだろう、……いやダメかこれは全て空の思いの性だレイスが言っていたように切欠も場所も用意したあとは空が自分の意思で進むだけなんだ。
そう俺は思い、空を一目見て既に始まっているだろう5pd.のライブ会場へと戻った。
「−−−ごめんなさい」
嗚咽の混じった謝罪の声を聞きながら。
説明 | ||
ようやく完成……これは夏中に終わらすとか無理だな……うん | ||
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藾弑サン>レイス「俺は真面目なんだがな……」紅夜「でも間違ってないぞ?」レイス「ならこれからは中二病っぽく言ってみるか?」紅夜「……一応聞いてみよう」レイス「籠の中で空に憧れる小鳥よ。自由が欲しければこの運命に抗って見せよ!」紅夜「おなかいっぱいです」(燐) んと…レイスさんがメタ発言したと思った俺は末期 クァム「末期だな」(駆蘭) ケリケットサン>レイス「ゲイムギョウ界の神はかなり特殊で神界以外の場所では歳をとるんだよな、それはつまり神であるが人間のように死ぬということであり」 なんか長そうだからカット レイス「あと神様を殺すだなんてよっぽどのことがあるんだな。しかし、人間を滅ぼすことができるのは神様だけど、神を殺せるのは人間だと言うことだな」(燐) クロサン>レイス「色々いたぞ様々なゲイムギョウ界の神がな」 設定上無駄に考えた増やしたね レイス「だな、あと調べて分かったんだが何も女神だけじゃなくて男神も存在していたぞ。確かに比率で見れば圧倒的に女神が多いが」 それはなぜ? レイス「女性のほうが信仰を取りやすいだからだろう」 なるほど……(燐) 風音ツバキサン>レイス「全然満足していないが、少しは気分良くなった」 思いっきり殴ったね君 レイス「あぁ、自分勝手だがあの一撃で空の手によって絶望しながら死んだ神の怨念が少しでも晴れたことを信じたい」 因みに本当なら レイス「押し倒してフルボッコだ」 容赦ない……(燐) 氷室「先代の女神か……。」 レオン「中間は全く知らねぇな。まぁ当然のことだけどよ……。」 エスター「俺たちゃ言っちまえば神への反逆者でさァ。支配者だろうが絶対強者だろうが気に入らなきゃ……殺るだけでさァ。」 ライ(俺は正直レイスと空には勝てる気しねぇな……。)(クリケット) ゼロ「へぇ〜先代の女神ってこんなにいるんだな」クロ「俺もビックリだ」ゼロ「この中にいったい何人のルウィーの女神がいるんだろう・・・(ガクガクブルブル)」クロ「あーお前、ルウィーの女神には頭が上がらないからな〜」ゼロ「いちようは反抗してるぞ!?」クロ「だがその反抗は?」ゼロ「全て無意味だった・・・」(クロ) フウ「呼ばれた気がして」 アリス「いや確かにあなたの過去時代の名前はヴァイスですけどね? 絶対別人ですからね?」 フウ「分かってるよ、言ってみたださて、け」 アリス「あぁそうですか…。レイスさんのお説教で空さんがどう変わっていくか、ですねー」(風音ツバキ) |
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