無表情と無邪気と無我夢中3-2
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【無表情と無邪気と無我夢中3-2】

 

 

 

 

 

 

どこですかなのは?!

 

先程ランニングが終わったばかりなのに全力で走り回ります。

 

 

「お、おばさん!な、なな、なのは、なのは」

 

「どうしたんだいおうかちゃん。そんなに慌てて……」

 

「なのは、なのは、来てない、来てない?」

 

「なのはちゃん?来てないけど……」

 

 

さっきのおばさんの所にでも行ったのかと思い訪ねたのですが来てないとのことでした。

 

それを聞いて私はすぐさまその場を後にします。

 

背中からおばさんが私を呼んでますが無視です。

 

 

 

私は早くなのはを見つけないといけないのですから。

 

 

 

 

 

 

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おうかちゃん、様子がおかしかったわね……。

 

察するになのはちゃんがいなくなったみたい。

 

桃子ちゃんは知ってるのかしら。心配になってきたわ。

 

このままおうかちゃんも迷子になっちゃったら大変だし、一応翠屋まで行って桃子ちゃんに知らせるべきね。

 

もしかしたらそこになのはちゃんいるかもしれないし。

 

 

 

 

 

 

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私は何も考えず手当たり次第、私自身も迷子になる勢いで海鳴市を縦横無尽に走り回ってなのはを探します。

 

途中顔見知りの人に会ったらとにかく情報を集めようと話し掛けて、止まることなく。

 

ですがいくら毎日ランニングしてるとはいえ5歳児の身体と体力では力尽きるのも時間の問題。

 

もう足が棒になりかけて息も絶え絶えでTシャツに汗がへばりついて少し透けてます。

 

 

 

それにしても、ここはどこでしょう。

 

 

 

頭がボーッとして今自分がどこにいるか、どこを走っていたかわかっていません。

 

 

 

子供がいますからここは公園、ですか?

 

 

 

土管があります。

 

 

 

公園ではなくただの空き地でしたね。

 

 

 

「ちょっと、何度も呼んでるのに無視しないでよ!!」

 

 

 

…………え?

 

 

 

あぁすみません。

 

 

 

「あぁ……すぃ……せ……」

 

「ん?」

 

「でぁ……こぇ、で」

 

 

 

誰かはわかりませんが貴女にかまってる暇はないのです。

 

 

 

私は、ワタシは、わたしは。

 

 

 

「アンタ、ほらまず息整えなさい。はい、深呼吸深呼吸」

 

 

 

深呼吸?深呼吸……すぅ〜〜はぁ〜〜。

 

 

 

もう頭が働いていません。

 

 

 

私はただただ言われるままに動くだけ。

 

 

 

「はい、落ち着いた?」

 

「……はい……ぁ……」

 

「あ、アンタ!?」

 

 

ドサリ、と。

 

 

深呼吸して空を見上げたらその音と共に背中に痛みが走りました。

 

 

 

あれ、どうしたのでしょう、身体が動きません。

 

 

 

でもそれではダメ、ダメなのです。

 

 

 

なのはを、なのはを見付けなければ……。

 

 

 

 

 

 

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ここは、どこでしょう?

 

見たこと無い天井ですね。

 

確かなのはを探してて、あの土管が置いてある空き地に来て、そこから、そこから。

 

 

「あ、目ぇ覚めたんやな」

 

 

…………?

 

車椅子の、さっきの子?

 

いやさっきの子とは雰囲気が違う。

 

 

「ほんと、何があったのアンタ?」

 

 

車椅子の後ろから同じ顔がもう一人?

 

髪の長さがこっちの方が長いですし、双子の姉妹ですか。

 

これがさっきの子ですね。

 

 

「あの、私どうしてここに?貴女方はどちら様ですか?」

 

「アンタ、さっきのこと覚えてないの?」

 

「あらしが連れてきたときは色んな意味でビックリしたで」

 

 

あらし。

 

それがロングヘアーの方の名前。

 

彼女に私は連れてこられたのですね。

 

よく見たら自分の着ている服がさっきと違います。

 

二人を見て。思わず両腕で胸を隠すポーズ。

 

 

「「いや!何もやましいことして(へん)(ない)から!!!」」

 

「冗談です」

 

「ただ脱がしてキレイにしてあげただけやから」

 

「…………」

 

「……アタシは“あらし”。八神あらしよ」

 

「ワタシは“はやて”。八神はやてや。ちなみにワタシがお姉ちゃんやで」

 

「……あ、高町おうかです」

 

「んで話し戻すけど、あんな汗だくになってぶっ倒れるまでになるなんて何があったの?」

 

 

…………。

 

私はそれに答えずベッドから素早く降りて駆け出します。

 

 

「待てい!」

 

「ぐえっ」

 

 

が、首根っこをあらしに掴まれ息を詰まらされました。

 

 

「無視かい、また無視かい」

 

「放してください!私は、私は……」

 

「まあ落ち着き。そんな焦ってたら見つかるもんも見つからんで」

 

「え、嫌。嫌です!見つからないなんて嫌です!早く、早く見つけないと……!!」

 

 

首根っこ掴まれても手足をバタつかせて暴れます。

 

放してほしい。私になのはを探しに行かせてほしい。

 

 

「なのはを、なのはを見つけないといけないのです。だから、放してぇ!!」

 

 

気付かないうちに大きい声を出していたようです。

 

体力の限界から少し休んだだけなので回復した量は雀の涙ほど。

 

代わりにバタつかせていた手足には力が無くなり弱々しくダランとなります。

 

 

「ひっく……ひっく……」

 

 

私は私を止められず顔を俯かせて、ポロポロと涙を落として床を濡らしてました。

 

 

「「…………」」

 

 

後ろの双子姉妹は顔を見合わせています。

 

今の私は世間一般でいう情緒不安定というやつに陥っています。

 

 

「よし、ゆっくり質問するから答えてや」

 

 

あらしは私をはやての方に向けます。

 

何も考えず、というか考えられず素直に頷きます。

 

 

「まず一つ。その“なのは”というのはおうかちゃんの、妹さんか?」

 

 

コクリ。

 

 

「んーと。ご両親は今どこにいるん?」

 

「……お父さんは病院……お母さんは翠屋」

 

「翠屋って、シュークリームでちょこっと有名なあの喫茶店?」

 

 

コクリ。

 

 

「じゃあそっち行った方がいいかもしれない」

 

「でも、どうなんやろ。忙しいんちゃうか?」

 

「だとしても、病院よりかはね。お医者さんなお父さんよりウェイトレスさんなお母さんに知らせた方がアタシはいいと思う」

 

「ん〜……そやな。じゃあワタシはタクシー呼ぶからあらしは準備頼むな」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

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「到着翠屋!」

 

 

はやてはタクシーの運転手さんに車椅子に乗るのを手伝ってもらっている。

 

ここまで来るのに色々考えてました。

 

このこと何て言えばいいんでしょう。

 

私がちゃんと見ていなかったから、私の所為でなのはがいなくなって、全然見つからないのに。

 

きっと叱られてしまうでしょう。

 

それに忙しいお母さんを困らせたくないのに。

 

だからここだけは避けてました。

 

 

 

……いえ、叱られたくなくてここに来なかっただけです。

 

 

 

「大丈夫か」

 

「ほら、しっかりしなさい。アタシ達もいるんだから」

 

 

なかなか足が動かなかったのですがはやてとあらしに片腕ずつ引っ張られ、私はそのまま二人と一緒に翠屋へ入っていきました。

 

説明
3-1の続きです。
なのははどこに行ったのか……読んでる人はまる分かりか。

とりあえず、今後の重要人物の登場回です。
ー応2-1にちらっと出たあの子です。
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