この願いは世界に一つ
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「イタイ! イタイ!! イダダダッッッ!!!??? 肩が?げるっ! 離してお願いだから!?」

「わかりました。その願い叶えましょう」

同時に才人の拘束が緩む。

「た、助かった……」

「それじゃワタシはこれで」

激痛から解放された安堵から地面に座り込む才人に、彼はそう告げるとその場から消え去った。

後に残されたのはへたり込む才人と、一連のやり取りを呆然と見守っていたルイズ。

そして才人達の前に置かれたカップめんの容器だけ。

「今の何だったの一体?」

 

……1時間前。 

「こ、これはカップ麺!何でこんなものが!?」

「カップ麺?」

「俺の国の保存食だよ!」

魔法学院近くで発見した一つの手提げ袋 ― コンビニ袋の中から出てきたものを見て驚く才人。

「食べ物なのコレ?何か変な手触りなんだけど」

「ソレは容器を包装してあるだけだよ。食べる部分は中」

早速シエスタに頼んで調理場で湯を沸かしてもらい、大き目の水差しに入れて部屋まで運んでもらう。

包装を解き蓋を開け湯を注いで待つこと3分。待ちかねた才人が蓋を開ける。

「へろぅ。私はカップメン。あなたの願いをなんでもひとつ叶えてあげます」

ぼぅーん という気の抜けた音と共に何か妙なものが飛び出した。

「え、本当?」

驚くルイズを尻目にいち早く我に返った才人が願い事を言う。

「だったら好物の照り焼きバーガーをたらふく ― 」

いや言いかけるが直ぐに遮られる。

カップメンのパロ・スペシャルによって。

「カップ麺から現れるカップメンに対して、敵たるハンバーガーを願うとはいい度胸だね?」

?げよとばかりに才人の腕をがっちり掴んでのたまうカップメン。

 

そして冒頭に戻る。

 

「ひ、酷い目にあった……」

カップメンが去り漸くして人心地のついた才人。

そんな彼にルイズが声をかける。

「ねえ。あの、カップメンだけど、何でも願いを叶えるって言ってたわよね?

 だったらアナタ使い魔として『ご主人様が魔法を使えるように』 とか思わなかったわけ?」

手にはいつの間にか鞭を持っている。

 

才人の夜はまだ終わっていなかった。

 

ところ変わって地球は日本。

「いやペプシメンのおかげでコンビニ袋を失くすだけで助かりました」

「異世界への召喚に巻込まれるなんてとんだ災難だったな!」

ある自衛隊員がコンビニへ買出しに行った帰りに、乗っていたジープの召喚に巻き込まれたものの、

ペプシメンの力で帰還した後そんな会話を交わしたそうな。

 

ルイズは才人がさっさと帰還しなかった幸運を噛み締めるべきだった。

が、ルイズはおろか当の才人が気づいていないので、互いの関係は原作となんら変わる事はなかった。

 

 

 

― カップメンの注意 ―

 

火に近づけないでください。

無理に曲げたり引っ張ったりしないでください。

食べられません。

傷がつく原因になりますので、金タワシ等は使用しないでください。

食器洗い乾燥機は使用しないでください。

直射日光のあたる場所に放置しないでください。

材料の特性上、多少色ムラがある場合があります。

お手入れは中性洗剤で洗ってください。

カップメン、ペプシメンの特殊能力はこの話のオリジナル設定です。

某カップ麺の精のお話は出版社が二次創作禁止しております。

 

説明
才人とルイズが拾ったものは地球の……
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