DRACU-RIOT! 〜a heretic story〜 第三話
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応接室に通された俺達を迎えたのは、車椅子に乗った女性だった

 

女性「お帰りなさい小夜様

おや?そちらは?」

 

「ああ、ただいまアンナ。こやつはワシの客じゃ。今から込み入った話をするのでな、少し外してくれるか。あと人払いも頼む。」

 

「?はい、わかりました・・・何かあったらお呼びください」

 

少し怪訝な顔をしたが、すぐに指示どうりに退室していった

 

「さて、ここなら邪魔は入らんだろうし、誰かに盗み聞きされる心配も無い。

改めて訊こう・・・この都市と何の関わりも無い筈なのにワシを知っている貴様はいったい何者じゃ?」

 

 

 

さて・・・長年隠してきた「秘密」の暴露だ

どう転ぶかはわからないが、良いにしろ悪いにしろため続けたモノを吐き出せば、少しは気も晴れるだろう

 

「ああ、俺はね?前世の記憶があるんだよ。」

 

 

「はぁ?なにを巫山戯たことを。この期に及んで煙に巻くつもりか?」

 

怒るどころかあからさまに呆れられた。まぁ確かに俺も誰かに同じ科白を言われたら鼻で笑うだろうし、当然の反応だよな・・・

 

「まぁ聞いてよ。

 

 

 

 

俺は前世の記憶を持っている。

前世ではそれなりに出来が良かった方でね・・・勉強なんてほとんどしなかったけど小・中・高と、学校ではなかなか好成績を出してた。運動もそこそこできる方で、大抵の種目で中の上〜上の下くらいのことはできたな

そのせいかどうにも「努力」ってやつをほとんどしなくってね。大学受験では志望校に落ちて、滑り止めの私立に入った。

運動神経は悪くなかったけど、ものぐさで出不精だったから少し太っていてね。

趣味は読書とか、ゲームとか。所謂オタクってやつかな?それで・・・」

 

「いい加減にせんかっ!なにが前世の記憶だ、馬鹿馬鹿しい!」

 

怒鳴られてしまった。まぁ無理もない。そろそろ核心に触れるとしよう

 

 

「ふぅ・・・

気持ちはわかるけどね、ほんとのことなんだよ・・・

まぁもう少し聞いてくれよ

 

 

どこまでいったっけ?・・・ああ、そうそう。

俺は小説だとか、漫画だとか、ゲームだとか、そういった「物語」に触れるのが大好きでね。いろんなものを読み漁っていたんだ。それでね?俺が死ぬ寸前にクリアして、とても気に入った作品があってね・・・

 

ゲームの舞台は構造改革特区 海上都市―――『アクア・エデン』

その島でとある少年が事件に巻き込まれたり、恋をしたりする・・・トキメキヴァンパイアアドベンチャー「DRACU-RIOT!」っていうんだけど」

 

 

「・・・・・・・」

 

おや、だまっちゃった・・・

 

「ん〜・・・まぁ、もう察したと思うけど、これが俺が貴女を知ってた理由だよ。吸血鬼の荒神 小夜市長?」

 

 

「・・な・かな・・・・って・・・か」

 

 

「え?」

 

 

「そんな馬鹿なことがあってたまるかっ!!!

貴様は、ワシ等が、ゲームの登場人物だとぬかすかッ!!

ワシ等の苦労を、苦悩を、苦難を、笑いあった友たちを、志半ばで逝った((同朋|はらから))たちを、すべて、虚構だと

 

、ただの筋書きだと、すべて誰かが考え出した、作られた物語だというのかッ!!!」

 

「さぁ?」

 

「さぁ・・・だと・・!?貴様!巫山戯るのも大概にしろッ!!」

 

「いや、巫山戯てなんかいないさ。本当に判らないんだ」

 

「しかしッ!今貴様がワシ等のことをゲームで知ったとほざいたではないかッ!!」

 

今にも掴み掛ってきそうな剣幕だ。怖い怖い

 

「ふぅ・・・

並行世界ってわかるかな?」

 

「話をそらすな!!」

 

「そらしてるんじゃない。順を追っているんだ

さっき「さぁ?」と言った理由を説明するんだよ。

さて・・・え〜っと?・・・ああそう、並行世界って知ってるかい?或いは可能性世界かな?

世界は無限に分岐する。簡単に。たとえば今、腕を振るとして、縦に振る?横に振る?それとも・・・

この程度のことであるゲームでは世界線って呼んだものがある。読んで字の如く、世界を線に見立てたものだ。世界とは線のようなものであり無数に存在する。

さっき腕をどう振るか、という例を挙げたが、その程度では大した差異は生まれないはずだ。糸を縒り合せて作った紐の、ある糸と隣の糸は確かに違うが、紐の行先は同じなように

閑話休題、並行世界とは、ifの世界だ。もし腕をふったら、もし事故で半身不随になったら、もし可愛い幼馴染がいたら、もし古武術を伝える家に生まれたら、もしマンガの、ゲームの小説のような世界だったら・・・」

 

「・・・さしずめココは、そのゲームの世界だったら、ということか」

 

「かもしれない

どこかで読んだフレーズでこういうのがあったんだ『私たちの世界にある“物語”というものは全て史実で、並行世界の出来事を無意識に垣間見た者が作者として著すんだ』って

俺はこの考えを信じてるけど、それが正しいって根拠も無い。かといって違うという証拠も無い

誰かの書いたシナリオを俺たち、貴女たちはなぞっているだけかもしれないし、俺たち、貴女たちの生き様を誰かが記しているのかもしれない。根拠なんてないし、証明もできない。世界が先か、物語が先か・・・卵と鶏どっちがさきか?円の始まりと終わりはどこ?

きっと皆俺と同じ答えを口にするよ。「さぁ?わからない」ってね」

 

「・・・・・・」

 

「ついでにゲームをクリアしているから未来を知っているかというと、そうとも限らない。

俺という“((異物|イレギュラー))”がいる時点でゲームのシナリオからずれてるかもしれない。バタフライ効果・・・蝶の羽ばたき程度の事が巡り巡ってトルネードのような大きな事象を引き起こすかもしれないって事だが、さながら池に投げた小石が大きな波紋を生むように、俺が生きているだけで世界は変わっているのかもしれない。

一応ヒロインごとのストーリーで五通りほど知っているけど、あてになるかどうか・・・テレビの誕生月占いよりかはましってとこじゃないか?“物語”に関わろうにも今日中には本土に戻るし、ブラックリストにでも入れられたら此処に来ることすらできない。それとも・・・始末しておく?身寄りもないし、案外バレないかもよ?」

 

 

「・・・なぜ」

 

「ん?なに?」

 

「なぜ、ワシにこの話を聞かせた?」

 

「・・・・・・さぁね。強いて言うなら・・・寂しかったからかな・・・

こっちでの両親は急に逝っちゃうし、前世の記憶なんて周りに話したら黄色い救急車呼ばれちまうしな。

でも、貴女なら聞いてくれる、否、聞かざるをえない。十数年隠し続けた秘密をぶちまけて俺は満足だよ。」

 

「・・・始末なぞする訳なかろう阿呆め。内実はどうあれ、書類上でもも社会的にもお主はただの一般人じゃ。それを殺したとなればこの街はお終いじゃろうが。漫画の読みすぎじゃな。」

 

「あー・・・まぁ、言われてみれば確かに」

 

「ということでこの街に住め」

 

「・・・はい?」

いまこのロリババアは何つった?いい歳だしボケたのか?」

 

「まだボケとらんわ。というか誰がロリババアじゃ縊るぞ小童。」

 

「!!・・・読心・・・だと・・・?」

 

「全部口から出ておったわこの戯け。」

 

「待て待て・・・なんで俺がこの街にすむことになるんだよ!?」

 

「お主の話を聞いて考えた結果じゃ。

この街にそう遠くなく厄介な事件が起きる確率が高いのだろう?そしてお主はそれについて多少の情報を知っておる。

ならば、お主をこの街の一員にすることでこの街を守る側に立たせようということじゃ。」

 

「いや、でも・・・その情報だって正しいかどうか!それにその知識を悪用するかもしれないんだぞ!?」

 

「ハッ!お主のようなヘタレにはそんな大それたことはできんだろうよ

それに、未来のことが判らないのはあたりまえ(・・・・・)のことじゃろうが。

でも、誕生月占い程度でも気休めくらいにはなろう。並行世界の知識ならもう少し有用じゃろうしな。」

 

「・・・・・・はぁ・・・わかったよ

俺としても願ったり叶ったりだ。ありがたく思っておこう。」

 

「うむ。お主の“知識”この街のために使うがよい。」

 

「まぁ微力を尽くすさ。

しかし、住むって言ってもどこにだよ?いつまでもホテル暮らしはできないし、後見人もいないから部屋も借りられないぞ?」

 

「ふむ・・・お主はまだ学生なのだから学生寮に住めばいいじゃろう。」

 

「ん、まぁそれが妥当か?」

 

「風紀班で働くことになるからの。精々こき使われろ。風紀班はわかるか?」

 

「わかるけど・・・あそこって結構荒事が多かったような印象を受けたんだが・・・」

 

「言ったじゃろう『この街を守らせる』と。治安維持に関わっておれば少なからず愛着も湧くじゃろう?

手続きなどはこちらでやっておくから本土にもどったら必要な荷物をまとめてここへ戻ってこい。その時に風紀班の者にも会わせる。」

 

「了解」

 

こうして俺は物語の舞台へと足を踏み入れたのだった

 

説明
ここからご都合主義が増えてきますm(_ _)m
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コメント
続きを待ってますぜ。(トマト畑)
更新お疲れ様でした!。そろそろヒロインが出てきそうで私はドキドキです!これからも頑張ってください(さまよう人)
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