デジモンクロスウォーズ 絆の将と魔道の戦士 |
クロスハートのデジモンと500体のガジェット、そしてシグナムがやりあってから数日が経過した。会場となった演習場では今日も喧騒が響いていた。高町なのはが、新入り達をしごいているのである。
「じゃあ今日のまとめ、私一人対みんなでシュートイべーション。」
白を基調としたドレスのようなバリアジャケットを装備したなのはが、空中から呼びかけた。
「はい!!!!」
地上からは四人の新人、そしてクロスハートのデジモン、シャウトモン、バリスタモン、ドルルモン、スターモンズの声も響いてきた。なのはは、彼らの能力や特技を考え、新人と同じポジションにつけて一緒に訓練しているのだ。デジモン達は、基本的にすることがないから、とこの訓練に参加している。工藤タイキも、かつてデジタルワールドで戦っている時は、作戦を考える時間こそあったがこのように訓練を行う時間は無かった事を思い出し、訓練には自分も参加している。ちなみに、シャウトモンはスバルと、バリスタモンはエリオと、ドルルモンはティアナと、スターモンズはキャロと、それぞれ同じポジションについている。
「五分私の攻撃をかわしきるか、私に一発決定打を与えれば合格。」
「このボロボロの状態で、なのはさんの攻撃を五分かわしきる自信有る?」
なのはが合格の条件を提示すると、ティアナは即座に他の面子に聞いた。
「無理。」
とスバル、
「同じくです!」
とエリオ、
「さすがにちょっとキツイな。だが頭数はこちらの方が多い、なんとか前半は回避に徹し、すきをみつけて一気に突撃するとするか。」
とドルルモンが提案し、皆その策で行く事にした。その横でティアナが思った。
(ほんの少し味方の状態を確認し的確な策を考えるなんて、でも関係ない)
「そういえば、シャウトモン達が合体すれば一発で済んじゃうんじゃないかな?」
スバルが突然気付いたように言った。しかし、
「いや、今回はデジモンの個々の力を上げるのが目的なんだ。だからなるべくデジクロスは使わない。」
と、タイキが言った。この言葉に、スバルは少し残念そうにしていた。
「準備はいい?それじゃあいくよ!」
訓練はなのはの掛け声で開始した。最初の攻撃をかわしたスバルとシャウトモンは一番槍を狙い飛び込んでいった。
「「うぉおおおぉぉー!!」」
スバルは拳を、シャウトモンはマイクを掲げて殴りかかった。しかしなのはは、右手でバリアーを展開し攻撃を防御、そのまま遠くへ弾き飛ばした。
「二人とも、いい攻撃だったけど、まだまだだよ!!」
そう言うと、バリアーを展開していた右手から複数の光弾を発射した。
「やべ、ラウディロッカー!!」
シャウトモンはマイクを振り回して飛んでくる光弾を弾き飛ばした。弾きながら思った、
(ベルゼブモンやツワーモンの光弾より速い、これでまだ手加減してるって?)
かつてベルゼブモンらと特訓していた時の事を思い出した。そうしていると、
「しまった!!」
光弾2発を見逃してしまったのだ。相手に気付かれないように弾を放つ、これも高町なのはの技術の一つである。
「え、えぇぇ!!」
スバル本人の驚きは最たるものだろう、前と横に進めない状態で光弾が飛んでくるのだから。
「ああ、もう!!」
ティアナが見かねて援護射撃をしようとしたが、出たのは弾が発射された時の音だけであった。
「ええ!弾切れ!!」
ティアナは大急ぎでカートリッジを入れ替えるも、そんな中でも光弾はスバルへと近づいていく。シャウトモンも駆けつけようとするも間に合わない、しかし、
「ドリルバスター!!」
ドルルモンが額のドリルを二発発射し、飛んでいく光弾を打ち落としたのだ。
「助かったぜドルルモン!!」
シャウトモンが礼を言うと、
「なに、仲間なら当然だろ。」
と、ドルルモンは返した。
一方エリオとキャロ、バリスタモンとスターモンズが何をしていたかというと、キャロはバリスタモンの後ろに控え、エリオはスターモンとピックモンズがデジクロスして作った「スターシューター」に乗っかり、バリスタモンがそれを引っ張っていた。
「大丈夫エリオ君、かなりスピードが出ちゃうと思うけど。」
「大丈夫だよ、スピードだけが取柄だから。」
彼らの作戦はこうである、まずはスバル、ティアナ組がなのはの注意をひき、意識を自分達側へ集中させたところで、エリオが突貫するというものである。
(そろそろだな)
とドルルモンは思ったのか、右後足でこれから突進する闘牛のように地面を蹴った。これがエリオ突貫の合図である。
「今だシスター!!」
合図を受け取ったスターモンズは、キャロに合図した。合図を受けたキャロは、エリオに速度上昇の力を与えた。
「イクゾ!!」
バリスタモンはこう言って、スターシューターから手を離した。すると、エリオは弾丸の如き勢いで飛び出した。飛んでいくエリオは真っ直ぐなのはの方へ向かっていき、見事命中した。
「うわぁぁ!!」
結果は弾き返されたようで、エリオがふっ飛んできた。しかし、
「合格だよ。」
なのはのバリアジャケットには、一箇所焦げ目がついていた。そこにエリオの攻撃が少しあたったようだ。
これにより彼らは最後の訓練を終了した。一度皆で集合した時、
「おい、なんか焦げ臭くねえか?」
突然ドルルモンが言った、
「きゅくうー」
フリードも同じように思っている、とキャロが説明した。
「あ!もしかしたら!」
スバルが思いついたかのように言った、そして屈みこむと自分の履いているローラを確かめた。
「あー、やっぱりだ。相当無理させちゃったかな。」
彼女の抱えるローラーからは煙が立ち上っている。これが焦げ臭さの正体だったようだ。
「それに、ティアナの銃の調子も悪いんじゃないか?」
ドルルモンは、ティアナに言った。
「うーん、まあ、ちょっと現場で使うにはまずかなってくらいだけど。」
ティアナは、自分の銃を詳しく確かめながらブツブツ言っている。
そんな皆を見たなのはは、
「みんなもそろそろ実戦用のデヴァイスに切り替えるべきかな。」
と思ったようで、
「それじゃあみんな、着替えたらメカニックルームまで来てくれる。渡したいものがあるから。」
と言って、訓練場を後にした。
新人四人とタイキとクロスハートのデジモン達が隊舎の前に戻ってくると、隊舎の前に黒いスポーツカーが止まっているのが目に入った。乗っていたのは、
「あ、みんな。」
「訓練終わったんやね。」
はやてとフェイトだった。二人が言うには、フェイトは外回り、はやては聖王教会へ用があるため、二人で出かけるのだという。
「タイキ君は部隊での調子はどうや。」
ふとはやてがタイキにたずねた。
「みんな絶好調です。」
「いつ事件があってもいけるぜ!」
タイキ、シャウトモンの順番で答えた。
「それは良かった。でもあまり空回りせえへんようにな。」
はやては集まっていた皆にこう言うと、そのまま車で目的地へ向かっていった。
しばらくして、訓練用の丈夫で動きやすい服装から、六課の制服に着替えたフォワード四人が、タイキ達と一緒にメカニックルームへやって来た。そこには、クリスタル型の端末がついたペンダント、白いカード型の端末、エリオとキャロが元々持っていた腕時計とブレスレットがあった。四人の新人に渡される新デヴァイスである。
「そうでーす!設計私、協力、なのは隊長にフェイト隊長、リィン曹長にレイジングハート、そしてワイズモン。」
自称六課のメカニックの「シャリオ・フィニーノ」通称シャーリが元気よく言っている。その後、
「後これ、調べさせてくれてありがとう。」
と言うと、タイキにクロスローダーを渡した。実は訓練が終わった後、はやて、フェイトの二人とわかれてからすぐに、シャーリーからクロスローダーを見せて欲しいと言われ、こうして今まで貸していたのだ。タイキ自身も、クロスローダーの仕組みについては気になっていたのだ。
「ほんとにこれ作った人すごいよ、中は精密機械と有機体で構成されていて、それが何を意味しているのかすら私たちじゃまるで分からない。」
すると、扉が開いてなのはとリィンフォースUが入ってきた。
「どうかなシャーリ?午後からの訓練で使える?」
「はい、遠隔操作でのコントロールも可能ですし、状況に合わせて微調整すれば。」
なのはの質問に、シャーリは即答した。そして、四機のデヴァイスの詳しい説明を始めようとしたとき、突如赤い明かりが点灯し警報が鳴った。
「これって、第一級警戒態勢!?」
新人四人は勿論、なのはやリィン、シャーリも驚いた。
報告によると、山岳地帯を走る貨物運搬用のリニアレールが、多数のガジェットに制圧されたのだという。
なので、なのは、リィン、スバル。ティアナ、エリオ、キャロ、そしてタイキ達はヘリコプターに乗って現場へ向かっていった。
「はやて、本当に大丈夫?」
事件発生の報告を聞いていそいそと帰り支度をするはやてに、黒い修道服姿の金髪の女性「カリム・グラシア」がたずねた。
「大丈夫や、カリムのおかげで今六課は好きなように動かせる。」
はやてはこう答えているが、それでも心配らしく、
「でも、最近は新型のガジェットも出てきているっていうけど…」
と、言っている。
「本当に大丈夫や、みんな強いし。」
それでもはやては笑顔でこう言った。カリムは呆れたのか安心したのかは分からないが、
「シャッハ、はやてを機動六課隊舎まで全速力で届けてあげて。」
通信で部下にはやてを送る準備をするように言った。
一方、外回りの用事で高速道路を車で走っていたフェイトは、連絡を受けた場所から一番近いパーキングエリアに来ていた。車を停め外に飛び出すと、
「これから現場に向かいます。飛行許可を。」
通信で現場まで空を飛んでいく許可を求めた。
「了解、飛行許可を与えます。」
通信で許可を取ると、ポケットから三角形の黄色いアクセサリーを取り出し、
「バルディッシュザンバー!セットアップ!!」
と叫んだ。すると、服装がいつもの六課の制服から、動きやすい黒い服の上に白いコートを身につけた服装に変わり、バルディッシュ本体は変形して斧のような形になった。
この姿になったフェイトは空へ飛び出し、それこそ稲妻のようなスピードで現場へ向かっていった。
外へ出ていた隊長二人が行動を開始した頃、ヘリで現場へ向かう新人達はというと、
「今回の任務は、リニアレール内のガジェット全てを逃亡なしで殲滅し、積まれてるロストロギア、レリックの回収ですよ。」
「いきなりのハードな任務かもしれないけど、訓練どうりやれば大丈夫だからね。」
同伴しているリィン、なのはの二人から任務の内容を聞いていた。
新人の中で、スバル、ティアナ、エリオの三人は割りと落ち着いていたが、キャロだけは違った。彼女は任務の内容に不安があったのではない、自分の力に不安があったのだ。
フェイトの保護児童である彼女は、自らの生まれた里に居場所が無かったのでこうしてフェイトに引き取られたのだ。その居場所が無かった理由が、自分の力が危険すぎるから、なのである。
彼女は召喚魔法の中でも特に珍しい竜召喚を行えるうえ、召喚できる竜の中でも特に強力な竜を二体召喚できるのだ。しかし、呼び出すのはともかくとして、肝心のコントロールが上手くいかないため、危険扱いされているのだ。
「どうしたシスター!調子が悪いのか?!」
スターモンズが心配して話かけた、その後、いつだったかに少しだけ聞いたキャロの昔の話を思い出したのか。
「大丈夫だシスター、シスターの魔法でみんなを護るんだ!!」
本人は励ましているつもりなのだろう、ピックモン達と一緒にこう言っている。
「そうだよ、僕やバリスタモンもいる。きっとできるよ。」
「ウム。」
それに続いてエリオ、バリスタモンも励ました。
「うん。」
緊張は抜けないが、それでも決心はついたらしく、キャロは少し力なく返事した。
タイキ、なのは、リィンの三人は、そんな新人達の様子を見て安心していると、
「東の方角より飛行型ガジェット数十機接近。」
現場の様子を遠くから見ているロングアーチスタッフから連絡が入った。
「それじゃあ、私とフェイト隊長で空をおさえるから、レリックの回収はみんなに任せるよ。」
なのはそう言い残すと、自分のデヴァイス「レイジングハート」と一緒に飛び出そうとしたが、
「あ、待って下さい。」
と、タイキにとめられた。タイキはクロスローダーを取りだすと、
「リロード!スパロウモン!!」
と叫んだ。すると、クロスローダーから光が飛び出し、光の中から両手に銃を持った黄色い飛行機型のデジモンが現れた。
「呼んだ?!タイキ。」
ここに来てようやく出番が回ってきたので、スパロウモンは嬉しそうにしている。
「スパロウモン、この人と一緒に空の敵をおさえていて欲しいんだ。」
タイキはスパロウモンに今回の任務について説明した。
「うん、分かった!!」
スパロウモンはこう言うと、早々に飛び出し上空の敵の群れに向かっていった。
「じゃあ行ってくるね。」
なのはもスパロウモンに続き、ヘリから飛び出した。
「レイジングハート、セットアップ!!」
なのはの手元にあった赤い球体のアクセサリーが光と同時になのはがその光に包まれ、光がやむと今日の訓練で装備していたバリアジャケットの姿になった。
「お待たせ、スパロウモンだっけ?よろしくね。」
「そういうそっちは高町なのはだっけ?こっちもよろしくね。」
空で合流した二人は、互いに挨拶を交わした。
(この人、なんかネネに似ているな)
改めてなのはを見たスパロウモンはこう思った後、先行して敵の中に飛び込んでいった。
「ウイングエッジ!!」
スパロウモンは腕の良いパイロットの乗る戦闘機のような動きで敵を上手く誘導し、両翼に仕込んだ刃物でガジェットを切り裂いた。
「アクセルシューター!シュート!!」
なのはも、自分の周りに発生させたエネルギー弾で複数のガジェットを撃ち抜いた。
「なのは、お待たせ!」
フェイトも合流し、なのは、フェイト、スパロウモンによる空中制圧が始まった。
「よし、新人共!俺のヘリじゃ近づけるのはここまでだ。」
一方の新人達は、現場への降下ポイントに来ていた。現場へ向かうのは、スバル、シャウトモン、ティアナ、バリスタモン、エリオ、バリスタモン、キャロ、スターモンズ、そしてリィンフォースUである。タイキは任務が終わるまでヘリの中で後方支援に当たることになった。
「スターズ3、スバル・ナカジマ、シャウトモン。」
「スターズ4、ティアナ・ランスター、ドルルモン。」
「「行きます!!」」
最初にスターズ部隊の二人がヘリから降り、それに相棒のシャウトモン、ドルルモンが続いた。
「俺達ノ番ダ。」
スターズ部隊の後ろで待機していたエリオ、キャロの二人にバリスタモンが言った。
「いこうぜシスター、俺達やフリードと大活躍しようぜ!!」
スターモンズも元気良く言った。
「一緒に行こう。」
最後にエリオに声をかけられ、二人で手をつなぐと、
「ライトニング3、エリオ・モンディアル、バリスタモン。」
「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエ、スターモンズ。」
「「行きます!」」
現場へと降りていく新人四人は、同時に叫んだ。
「マッハキャリバー!」
「クロスミラージュ!」
「ストラーダ!」
「ケリュケリオン!」
「「「「セットアップ」」」」
そして、スバルは動きやすい短パンと半袖のジャケットに、右手にリボルバーナックルを装備した姿。ティアナは白と黒を基調とした服装に、両手に銃を装備した姿。エリオは赤い装備の上に白いコートを身に付け、槍を装備した姿。キャロはピンク色のドレスのようなゆったりとした服装に、甲に宝石のような物がついた手袋をはめた姿になった。
スターズ部隊は車両の進行方向から見て一番後ろの車両に着地し、シャウトモンは持ち前の身軽さで柔らかく着地し、ドルルモンは右側の岩壁をつたって降りてきた。その反対側にはライトニング部隊が着地し、バリスタモンは足のバーニアを使って着地し、スターモンズは持ち前の浮遊能力で降りてきた。
新人達が改めて自分達の身につけるバリアジャケットを見て、自分達の隊長のバリアジャケットに似ているな、と思っていると、車両の内部からガジェットの砲撃が飛んできた。この砲撃が任務開始の合図となり、四人と四体は列車の中に突撃していった。
まずスバルとシャウトモンは、ティアナ達とは別ルートで問題の車両へ行く事になり。スバルは持ち前の格闘技、シャウトモンはマイクを振り回して大暴れしている。またティアナ、ドルルモン組のほうも、得意のヒットアンドアウェイ戦法で確実にガジェットを潰している。
そんな中、彼らに連絡が入った。
「ライトニング部隊、大型ガジェットと交戦。」
ライトニング部隊も、スターズ部隊同様着実にガジェットを潰しながら問題の車両を目指していたが、その問題の車両の扉の前にその大型ガジェットが頑張っていたのだ。
「ヘヴィスピーカー!!」
バリスタモンは腹部のスピーカーから強烈な音波を発射したが、ガジェットの重さに勝つ事が出来ずまるで効いていない。次にエリオが槍で貫こうと向かっていたが、今まさに槍が突き刺さろうという瞬間、突如エリオの槍の先端の魔力が四散してしまった。ガジェットが持つ特有の対魔法用の波長「アンチマギリングフィールド」略して「AMF」の効果である。
ガジェットは持ち前の触手でエリオを掴むと、軽々と外へ投げ飛ばした。
「エリオ君!!」
「俺達がいくぜ!シスター!」
エリオを救出しようと手を伸ばしたキャロに、スターモンズは互いの手をつないで一本のロープのような物を形成すると、一番端のピックモンがエリオの手を取り、反対側のスターモンがキャロの手を取った。しかし、エリオの基本の体重と一緒に、ガジェットに投げ落とされた時の勢いが付加され、耐え切れずにエリオ、キャロ、スターモンズは落ちていった。
落ちていきながらキャロは思った、私がみんなを護るんだ、と。
「フリード、一緒に活躍しよう。ちゃんとコントロールしてみせるから。」
キャロの元にフリードがかけつけた時、キャロとフリードは巨大な光に包まれ。光がやんだ瞬間、落ちていっているエリオとスターモンズを白い飛翔物が救出した。
「竜魂召喚、フリード・リヒ!!」
正体は、キャロがいつも連れている竜フリードだった。しかし今回の姿はいつもの鳥のような小さい姿では無く、畳三枚分はかるくある大きくて立派な翼を持つ逞しい竜の姿となっている。
「これが、フリードのちゃんとした姿。」
「うひょー!かっけえ!!」
この姿を初めてみたエリオとスターモンズは勿論驚いている。
「ウガガガガガガ!!!」
すると、頭の上から聞き覚えのある声がした。見ると、バリスタモンが敵ガジェットの触手に捕まって、今にも落とされそうになっている。
「あ、たいへん!」
「バリスタモンが!」
キャロとエリオがこう言った瞬間、触手の拘束から開放されたバリスタモンが落ちてきた。エリオとスターモンズがフリードの背中で受け止めてから、
「さあ、反撃だぜシスター!」
スターモンズの一言で再び現場に戻って行った。そして、再び件の敵と対峙した。
「キャロ、僕とバリスタモンに強化を!」
エリオは、たった今考え付いた作戦を実行する事にして、みなに内容を耳打ちした。そして、
「フリード、ブラストフレア!!」
フリードが口から大量の炎を吐き出した。普通の相手ならこの一発で灰になるが、ガジェットは特殊な材質の金属で出来ているので並大抵の炎ではびくともしない。だが、大量の炎に遮られ、ガジェットのカメラは前が殆ど見えない。そこに突然、エリオが飛び込んできた。
「いくぞ!!」
エリオは強化された槍を突き刺すと、ガジェットのボディに大きな切り傷を入れた。
「今だ!バリスタモン!!」
「ホーンブレイカー!!」
エリオの考えた作戦は、まずフリードの炎で相手の目くらましを行い、相手の視界が制限された所でバリスタモンに投げてもらい高速で相手のそばに近づき、自分の技で傷を与えた後、バリスタモンでとどめをさす、というものなのだ。作戦は見事成功し、バリスタモンの硬い角はガジェットに付いていた切り傷に当たり、ガジェットは真っ二つに割れ爆発した。
「どうやら、これで任務は終わりみたいですね。」
リニアレールを止めるため運転室に向かっていったリィンは、無事にリニアレールを止めスバルたちと合流していた。スバルたちも、自分達が遭遇したガジェットを全て倒し、問題のブツである「レリック」を回収し、入れ物を抱えている。
この時は皆、これで任務完了と思っていた。
この任務の様子を見ていたのは何も、機動六課の援護スタッフだけではない。ミッドチルダのある場所で一人の男がこの様子をモニタで眺めていたのだ。
「しかしドクター、よろしいのですか?いきなりここまでの戦力をつぎ込んでしまって?」
その後ろでは、一人の女性がパネルを操作しており。作業の途中、女はドクターと呼んだ男に訊いた。
「彼らは仮にも一度世界を救ったんだ。これくらいどうという事もないはずだ。」
ドクターと呼ばれた男は、気味の悪い笑みを浮かべて答えた。
「あっちの方も済んだみたいだし、ここもそろそろ終わらせようか?」
新人達の邪魔をさせないため、空の敵を相手にしていたなのは、フェイト、スパロウモンはそろそろとどめにいこうと考えた。
「アクセルシューター!」
「ハーケンスラッシュ!」
「ランダムレーザー!」
三人はそれぞれの得意技を放ち、残るガジェットを全て打ち落とした。
「二人はどれくらい倒した?」
早速スパロウモンはなのは、フェイトにたずねた。
「四十機かな。」
「私も。」
「僕と同じだ。」
それぞれ四十機という結果だった。
早速新人達のもとへ向かおうとした三人、そして新人たちのもとに驚くべき連絡が届いた。
「巨大なエネルギーを持つ飛行編隊が近づいてきます!」
言われた方向を見ると、鳥やドラゴンのような姿の巨大な生き物がここへ向かって飛んできた。
カットマン
「カットマンと。」
モニタモンズ
「モニタモンズの。」
全員
「デジモン紹介のコーナー!」
カットマン
「今回のテーマはドルルモン。ドルルモンは獣型デジモン。必殺技は額のドリルを飛ばすドリルバスター、とてつもないドリルの回転で発生させた竜巻で吹き飛ばすドルルトルネード、ドリルに乗って回転しながら体当たりするドリルブレーダー。」
モニタモンA
「額のドリルは自分の毛で出来ているので、取れてもまた生えてきますな。」
モニタモンB
「ドリルの回転はミキサーやドライバーにも使えますな。」
モニタモンC
「今度うちのイス直してよ。」
カットマン
「日曜大工かよ!」
全員
「それじゃあまたね!」
次回予告
突如襲来した飛行デジモンの大艦隊。やつらと渡り合う為、ついにやつらが参戦する。
次回「逆転のシャウトモン×3GM」
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第三話 機動六課初出動 | ||
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