とらドラif 竜児×奈々子 9
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息をのんでうずくまっていた奈々子が最初にきいたものは

誰かの叫び声だった。

 

「―――――ィッ!!!」

 

今にも死んでしまうかもしれない。

そんな恐ろしい状況なのになぜか奈々子の胸は安心していた。

 

「香椎いいいいぃぃっ!!!」

 

どういうことか竜児が駆けてきていた。

 

「くっ・・・・!」

 

高須君は半ば私にタックルするようにして私を歩道に押し上げてくれた。

リムジンのほうも私とは反対側にハンドルを切ってくれたようで

二人ともめだったけがはなかった。

 

「だいじょうぶか!?怪我ないか!?」

 

「た、たか、すくぅん」

 

奈々子は極度の緊張から解き放たれ涙が止まらなくなった。

 

「怪我はないみたいだな・・・・・・。本当に良かった」

 

「ありがとうね・・・・・・本当ありがとう」

 

泣き崩れた奈々子を竜児が抱きかかえていると

リムジンの中から一人の女性が飛び出してきた。

 

「大丈夫!?どこか怪我はない?」

 

その女性はいかにもできる女といったかんじでとても美しかった。

なぜか奈々子にはその女性に見覚えがあった。

 

「大丈夫です。私の不注意でこんなことになってしまってすいませんでした」

 

「そう。良かった。そこの男の子が駆け付けなかったらどうなっていたか……。

 私からも感謝するわ。ありがとう。

 申し訳ないのだけど急ぎの用事があるの。もういってもいいかしら?」

 

「ちょ、ちょっとそれはあんまりじゃないんですか?」

 

 

竜児が声を荒げて反論する。

 

「本当にごめんなさい。でも焦らないでも大丈夫。

 あなたたちとはこれからも縁があるようだから。

 あとであらためて謝罪に伺わせてもらうわね香椎さん」

 

そういうと竜児の制止を振り切ってリムジンは出発していった。

 

―リムジン内

 

「ちょっとお母さん!どうだったのよ?あの子に怪我とかあった?」

 

「大丈夫だったそうよ。二人ともけがはなかったみたい」

 

「なーんだ。亜美ちゃんびっくりしちゃったー」

 

そう言って後方をちらっと振り返る少女の名は川嶋亜美。

パッチリした大きな瞳、長いまつ毛、端正な顔立ち、すらっとしたスタイル。

どれをとっても美少女と呼ぶにふさわしい少女だ。

 

「それより亜美。今の子たち多分転校先での同級生よ。

 たしか名簿で見たのと同じ顔だわ」

 

「げっ!あの目つき悪いのも?

いまどきヤンキーやってるようなダサい奴と同じクラスなんて亜美ちゃんやだ」

 

「ふふっ。まあそう言わないの。とりあえず事故にならなくて良かったじゃない。」

 

そう言って杏奈は微笑を浮かべる。

 

 (あの男の子、高須君って言ったかしら。

 いい眼をしてたわね・・・あの男の子と触れ合って亜美も何か得るものがあるでしょう)

 

 

 

「なんだよ、全く。態度わるいな・・・ほら香椎立てるか?」

 

奈々子は差し出された手をぎゅっと握って立ち上がった。

 

「高須君、本当にありがとう・・・・・・高須君が来なかったら今頃・・・・・・」

 

「まあこうして無事なわけだしもう考えるのはやめにしようぜ。

 家まで送って行こうか?」

 

その一言で奈々子は急に現実に引き戻され一瞬で顔が赤くなる。

 

「じ、じゃあお言葉に甘えようかしら」

 

「おう、荷物も持つぞ」

 

死にそうな目にあったとはいえ

思いがけず竜児と一緒に帰れることになったのだ。

こんなことならもう一度くらい危ない目にあってもいいかな

なんて不謹慎なことを考えてしまう奈々子だった。

説明
今回はあるキャラが登場しますが
「なんで大河とかみのりんをなおざりに済まして」
みたいに思う人がいると思うので言い訳だけ少し……

原作にかなり近い時間軸で最初書いていたのですが
あまりに話が膨らみすぎてしまい、書ききれないだろうと思い
必要最低限にとどめさせてもらいました。
大事なところではちょこちょこ絡ませていくつもりなので
目をつぶっていただければ幸いです。

それではよろしくお願いします。
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