IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第30話 |
旅館に帰ってきた一夏達に身体検査が行われた。
比較的全員、怪我らしい怪我はしていなかったので問題はなかった。
身体検査が終え全員で夕食を食べて、その後は大浴場へ向かったのだが、一夏、シャルロット、キラは旅館を抜け出していた。
「ふうっ……」
一夏は旅館を抜き出して海で泳いでいた。
泳ぎ疲れて、今は岩場に腰を下ろして休憩していた。
その時、聞きなれた声が聞こえた。
「一夏……?」
「……シャルか?」
一夏が振り向くとそこには水着姿のシャルロットだった。
昨日とは違い黄色のビキニタイプの水着を着ていた。
「あ、あんまり見ないで、一夏のエッチ……」
「す、すまん」
一夏は昨日とは違う水着を着たシャルロットにドキドキしていた。
(これは……かなり気恥ずかしい……)
「い、一夏……」
「な、何だ?」
一夏は一瞬ビクッと肩を震わせてしまった。
「その……怪我は本当に大丈夫なの?」
「ああ……目が覚めたら何か治ってた」
「そう、良かった……」
一夏の言葉を聞いて安心するシャルロット。
すると、シャルロットの表情はさっきと違い、表情を暗くなっていた。
それに気付いたが一夏が心配して声をかける。
「どうしたんだ、シャル?」
だが、シャルロットは答えずに一夏に抱きついた。
「し、シャル!?」
突然の事に一夏は慌てるがシャルは。
「……怖かった」
「シャル?」
弱弱しく今でも消そうな声に一夏は聞く耳を立てる。
「一夏が福音に落とされて……僕の前から居なくなるんじゃないかって怖かった」
「シャル……」
シャルロットの頭の上に手を置くと優しく撫でる。
「一夏……!」
「ごめんな、シャル、お前に怖い思いさせて、すまなかった」
するとシャルロットは上目遣いで一夏の顔を見ると何かを決心した様な表情をしていた。
「一夏……僕……僕は……一夏の事が……好き!」
「えっ……!?」
「もちろん、友達の好きじゃないよ、一人の男の子として好きなの!」
突然の告白に一夏は唖然としていた。
「覚えている一夏? 一夏が居場所になってくれるって言った時、僕、凄く嬉しかった」
「シャル……」
「一夏と一緒に嬉しい事も悲しい事も全部分かち合って生きていきたい、一夏の傍にずっと一緒に居たい! 大好きだよ、一夏!」
シャルロットの告白を聞いた一夏は優しくシャルロットを抱き返した。
「一夏?」
「俺は、お前が好きだ!」
「え……!?」
思いもよらない一夏の言葉にシャルロットは驚いてしまった。
だが、一夏の言葉を理解したのかシャルロットの目には涙が溜まっていた。
「本当に……嘘じゃないよね?」
「ああ、嘘じゃない、俺はシャルが好きだ……ずっと気付かなかった……だけど、シャルの告白で俺は自分の気持ちに気付く事が出来た、俺はシャルを愛してる」
一夏はシャルロットの目を見つめて、自分の気持ちを伝えた。
そして、シャルロットは嬉しさの余り涙を流すのであった。
「一夏…………大好き」
互いに見つめ顔を近づける。
そして、二人の影は一つになった。
岬の柵に腰掛け、ディスプレイを眺めている束の姿があった。
「紅椿の稼働率は……絢爛舞踏を含めて56%かぁ、これはちょ〜っと予想以上かな?」
束の顔は予測を上回る紅椿の稼働率に無邪気に微笑んでいた。
そして、新しくディスプレイを表示させるとそこにはキラ達のISが映し出されていた。
「この束さんでさえビーム兵器の開発に苦労したのに、私が開発したビーム兵器より完成度が高い、装甲は物理攻撃を無効にするみたいだね、それと性能に制限を掛けているようだけど第三世代よりずっと高性能だね、この機体達には驚かされたよ」
束はキラ達のISのデータを手に入れて満足そうにしていた。
「いっくんの白式にも驚かされたな、まさか操縦者の生体再生まで可能だなんて、まるで……」
「まるで、『白騎士』の様ですか? 篠ノ之博士」
その時だった、岬の森の中から拳銃を構えたキラが現れた。
だが、束は拳銃を向けられているのにも関わらず束は無邪気に笑っていた。
キラは拳銃を構えたまま動こうとはしない。
束は海の向こうを見ながら、話し始めた。
「どうして、白騎士だっと思ったのかな?」
「……まずは((第一形態|ファーストシフト))の白式は白騎士と外見が似ていた、倉持研が真似たとしても、真似る理由が無い、((第二形態|セカンドシフト))の白式はかつての白騎士と同じ荷電粒子砲を搭載され、その姿も余りにも似過ぎている、そして、白式の読み方を変えて並べ替えると白騎士になる」
「ぴんぽーん、大正解、白式は白騎士のコアを使ってるんだよ!」
束は嬉しそうに答える。
だが、キラは今はどうしても確認したい事があった。
「篠ノ之博士、IS学園無人機襲撃事件と今回の福音の暴走事件を引き起こしたのは貴女ですね?」
キラは束が関っているであろう、この二つの事件を聞いた。
すると、束は口を開いた。
「そうだって、言ったら?」
「その時は、僕が貴女を殺します……」
キラは殺気を放ちながら言うが束は平然としていた。
すると束は口を開いた。
「……ねえ、今の世界は楽しい?」
まるで意に介さない様子で月を見上げたまま話し始めた。
「僕は……戦いが無いこの世界が好きです」
「そうなんだ……」
キラは束の質問の意図は読み取れないものの質問に答えた。
そして、束の口から予想外の言葉が出てきた。
「でも、この世界はもうすぐ大きな戦いが起こるよ」
「っ!?」
その時、強い潮風が岬に吹きつけた。
キラは思わず目を瞑ってしまい、目を開けると今まで居た束が何の前触れも無く忽然と姿を消していた。
慌ててキラは束の居た岬の柵に駆け寄り周りを見渡したが束の姿は既になかった。
「戦いが起こる……いったいどういう事なんだ」
キラは束が最後に残した言葉に戸惑うのであった。
次の更新は不定期になります。
説明 | ||
第30話です。 プロローグ http://www.tinami.com/view/463196 設定集(ネタバレあり) http://www.tinami.com/view/502954 |
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コメント | ||
私もシャルロッ党でISのSSを書くときはシャルロットをヒロインにしようと前から思っていましたので、そう言っていただける私も嬉しいです。 ラスボスはオリジナルキャラを担当する予定ですので束はラスボスでありません。 ただ、束をキラ達の味方にするか敵にするかどうかはまだ未定です。 なるべく早く更新出来るように頑張りたいと思います。(L) シャルロッ党たる私はうれしさで胸がいっぱいです・・・しかし、LさんのSSでは読んでみた感じだとラスボスは束さんに感じてしまいますね。どうなんでしょうか?更新については気長に待たせていただきます(鎖紅十字) |
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