fate/zero ?君と行く道?
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2話 少女と怪物

 

ずっと神を恨んでいた

誰よりも平等で理不尽な神を

だけど今だけは感謝しよう

こんなどうしようもない、醜く歪んだ自分とあの子を、引き合わせてくれたのだから

 

 

 

 

 

 

 

あの胸糞の悪い爺を始末した後、俺は助け出した女の子を連れて冬木の街を彷徨っていた。

人目につくのは拙いと思い、建物の屋根の上を飛び移ったり、路地裏を通ったりして移動していた。

 

だってそうじゃん、コート羽織らせてるから分かんないけど、裸の幼女抱きかかえてるんだよ?

 

常識で考えればただの変態だよ。

とにかくどこか腰を落ち着かせられる所を見つけよう、こんな風に飛び回ってたらその内見つかって「空飛ぶ不審者出現!」なんて噂が流れかねない。

 

 

 

そんなこんなで1時間くらい跳ね回っていたら、もう使われてなさそうなボロアパートを発見。

試しに忍び込んだら案の定廃屋だった。

所々埃っぽいけど雨風凌げるだけマシってもんだろう。

とりあえず忍び込んだ部屋の埃を払って女の子を床に寝かせる。

 

 

「そういえば、あんな忍者アクションしてたのによく起きなかったな、この子。」

 

どうでもいい事で感心しながらも今の状況を整理する。

まず、ここは俺のいた世界ではなく、俺はこの冬木市とかいう街で行われている聖杯戦争とかいう物騒な祭りの参加者のパートナーとして呼ばれた。

ルールは簡単、7人のマスターとサーヴァントが何でも願いを叶えるというとんでもアイテムを巡って殺し合い、生き残ったペアが景品を総取り出来る。

 

パッと聞いただけでも随分と物騒な話だ。

正当防衛以外で一般人を巻き込んじゃならないって点を除けば、何をやってもOK。

要は少数人で行う現代風の戦争ってわけだ。

そして、どうやら俺はその特別枠で呼び出されたらしい。

 

 

「つってもな〜」

 

俺は聖杯とやらで叶えたい願いなんか無いし、訳の分からない殺し合いに巻き込まれて御陀仏する気もさらさら無い。

 

 

「まぁ、自分の事は後で考えるとして……」

 

そう言いかけた所で、女の子が小さく呻き声を上げた。

 

 

「う…うぅん……」

 

 

イーター「お、目が覚めたかい?お嬢ちゃん。」

 

女の子は虚ろな目で此方を見つめて首を傾げる。

 

 

「あなたは…だれ?」

 

 

「俺かい?俺はお嬢ちゃんのサーヴァント、名前はイーターだ、夜露死苦!( ̄^ ̄)ゞ」

 

 

「いーたー?」

 

おぼつかない言葉運びで名前を吟味する少女に、俺は出来るだけ優しく微笑みながら頷いてみせる。

俺が敵でないと判断したのか、お嬢ちゃんは一度ホッとしたような表情を浮かべた後、キョロキョロと辺りを見回し始める。

 

 

「ここはどこ?」

 

 

イーター「偶々見付けた誰も住んでないっぽいボロ屋。」

 

 

「どうしてわたしはここにいるの?」

 

 

「俺が連れて来た。何か蟲の中に埋れてたから。」

 

“蟲”という単語で何かを思い出したのか、お嬢ちゃんは怯えた様子で問い掛ける。

 

 

「お…お爺様は?」

 

 

「お爺様?」

 

お爺様ってだれよ?

っていうか、この子が置かれてた状況からして考え得るのはあの蟲爺だよな。

 

 

「もしかしてあの薄気味悪いハゲ爺のことか?」

 

試しに聞いてみると、お嬢ちゃんは恐る恐るといった様子で頷く。

その肩は若干震えている様にも見えた。

 

彼女を安心させる意味も含めて俺は満面の笑みで答えた。

 

 

「消してやったぜ。跡形も無くな。」

 

 

「え……」

 

お嬢ちゃんは信じられないことを聞いたような顔をしていた。

 

 

 

あれ?何かマズったのかな?

 

なんて軽く焦っていると、お嬢ちゃんが今度は大粒の涙を流し始めた。

 

 

「え?え!?もしかして冗談とかドッキリとかじゃなくてマジでマズっちまったわけ!?」

 

ヤバイよヤバイよ!いきなり正体不明の地雷踏み抜いちゃったよ!

 

 

俺が一人でオロオロしていると僅かにお嬢ちゃんが何かを口ずさんでいることに気がついた。

 

 

 

「……いの?」

 

 

「へ?」

 

 

「もう…ひどいこと……されなくて…いいの?」

 

途切れ途切れに告げられる安堵の言葉に、俺は思考を停止させる。

彼女が流す涙が、これまでの日々の苦しみを物語る様で、否が応でも思考がクリアになって行く。

 

俺は泣きじゃくる女の子の小さな体を、自分でも驚く程に自然な動作で優しく抱き寄せた。

俺の腕の中で少女はびくりと肩を震わせるが、程無くして俺の着ているタンクトップをぎゅっと掴んで胸板に顔を埋める。

息が詰まってしまわないように背中をポンポンと手のひらで軽く叩きながら、精一杯の慈しみを込めて頭を撫でる。

 

 

こういうのは柄じゃないんだが、まぁ今くらいは良いだろう、この子は今の今まで一人で頑張ってきたんだろうから。

その御褒美にこれくらいのことはしてあげても罰は当たるまい。

 

 

そうして俺は少女の気が済むまで胸を貸し続けたのだった。

 

 

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間桐  ゴッドイーター オリサーヴァント fate/zero 

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