fate/zero ~君と行く道~
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7話 対峙するは獣

 

 

その闘争に意味は無い

その戦争に理由は無い

牙を剥く獣に

元より理性など必要無い

 

 

 

 

イーターside

 

 

「■■■ーーッ!!」

 

「ちょっちタンマ!マジでいっぺん落ち着かせてよ!お願いだからさぁ!!ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(;°◇°)┘」

 

「■■■■■■ッ」

 

この俺ことイーターは何故か真っ黒な鎧を着た人から追い回されている真っ最中だ。

何故こんな事になっているかというと、正直俺にもよく分かんなかったりする。

 

アーチャーに喧嘩売って弾幕合戦やってたらいきなりこの黒い人が現れてアーチャーにメンチ切った直後に戦い出すし、それが終わったかと思えば今度はこっちに襲いかかって来た。

ただでさえ出番取られてorzってなってた所にこの仕打ち、あんまりだ……ちくせう。

 

とは言え、呑気に意気消沈してる暇も無さそうだ。

何のつもりか知らないがこのままでは一方的にボコられる事もあり得る。やり返さなければ!

 

 

「調子こいてんじゃ……ねぇ!!」

 

両手持ちで振り下ろされたポールを、上段回し蹴りで迎撃する。

この真っ黒黒助は身体能力と武器の扱いこそ厄介だが、使ってるのは所詮ただの鉄の塊だ。

とっくに人外の域に達している俺の蹴りの前で、そんなものは紙屑程度の障害にしかならない………

 

……筈だった

 

ガギンッという歪な音が鼓膜をノックした。俺は思わず目を見開く。

 

予想では今頃真っ二つになっていた筈のポールは一切変形すらもしておらず、俺の蹴りは完全に止められていた。

何故?そんな疑問が浮かんだ直後に、俺は要因を理解した。

 

バーサーカーが握った地点からポール全体に赤い葉脈の様なものが走っており、鉛色だった外面は真っ黒に染まっている。

初めはあの体中に纏わりついてる黒い霧のせいでそう見えてるのかと思っていたがどうやら違ったらしい。

 

 

「掴んだ物を自分の宝具にしちまう能力か。厄介だなぁおい。」

 

咄嗟に脚を引いて後方に跳ぶ。一端距離を取りたかったのだが、バーサーカーは既に追撃態勢に入っていた。

 

足が地面に着く前に繰り出されれる横薙ぎの一撃。

空中では避けようがないし、防ごうにも足で踏ん張れないから間違いなく吹っ飛ばされる。

だが、いつまでも迷っている訳にもいかない。

 

意を決して両腕を眼前で交差し、ガードの体勢を取るのとほぼ同時に強烈な一撃が入り、中々に笑えない勢いで吹っ飛ばされた。

 

何度か地面をバウンドして、積み上げられたコンテナに激突することで何とか停止する。

大した怪我もしていないが、盛大に転がってたせいで軽くクラクラする。星が見えるのは気のせいだろうか……

 

 

「ホント容赦ねぇな。ちっとは加減ってものを……弁えてるわけ無いか。」

 

パッと見で、常人なら即死級の攻撃だったんだが、残念ながらこの身は人ではない。

骨の芯から毛の先までオラクル細胞で構築され、尚且つありとあらゆるダメージを遮断すべく手当り次第に付与しまくった大量の耐性によって俺の耐久スキルはステータス上はA+だが、本気で防ぐ事にのみ特化した変異を行えばそれ以上のものとなる。

 

さっきアーチャーの攻撃をモロに食らってピンピンしてたのもそれが理由だ。

ありったけの耐性を総動員して全身の構成を防御に特化した形態に変化させたのだ。

宝具の威力がどれだけのものか確かめるつもりでとりあえず受けてはみたが、あまりの破壊力に結構焦った。

まるで大口径の砲弾をシャワーみたいに浴びてるんじゃないかって思ったくらいだ。

あのまま食らってたら今頃さぞかし奇怪なオブジェに成り果てていたことだろう。

 

まぁ何はともあれ、防ぎ切れないことは無いならば、あの宝具になったポールでブン殴られても殴り殺される可能性は低い。

流石に頭蓋を叩き潰されたりでもしたら普通に死ねるが。

 

 

「ともかく反撃開始と行きますか!」

 

自分の頬を両手で叩いて気合を入れると、俺は向かって来る黒い騎士に挑みかかって行った。

 

 

side out

 

 

 

 

 

尋常ならざる速度で駆け抜けながら、イーターは腰だめに拳を構える。

バーサーカーもポールを振り上げて攻撃態勢に入っていた。

お互い、ただ真っ直ぐに突進し、相手が間合いに入った瞬間、全力を込めた一撃を叩き込む。

 

バーサーカーは黒く変色した鉄塊を、イーターは黒い炎に包まれた右手を。

風を切る音を響かせて、二つの黒い影の一撃が真っ向からぶつかり合った。

強烈過ぎる二つの衝撃は爆風の様に周囲へと拡散し、二人の足下のアスファルトに深い亀裂を刻み込む。

 

だが、両者共それで終わりにはしない。

即座に二撃目に移ったイーターが、バーサーカーの右足を狙った左ローキックを繰り出した。

だがそれは、ポールの下を向いている方の先端部を振り上げる動作で防がれる。

しかし、決め切れない事をあらかじめ予想していたかのように次の一撃が放たれた。

 

それは宙返りの様なサマーソルトキック。

結局それも水平に構えた得物で防がれてしまうものの、予想以上の威力にバーサーカーの上体が僅かに仰け反った。

 

得物こそ手放していないとは言え、腰が浮いてしまったことで次の踏み込みまでに一瞬の隙が出来てしまう。

たかが一瞬と侮ってはいけない。このインファイト下での隙は例え瞬き程度であったとしても致命的だ。

現にイーターは既に右足を相手の頭蓋に向けて振り下ろす態勢に入っていた。

 

落下エネルギーを乗せた右足の一撃、つまり踵落としだが、人外の身体能力から引き出される一撃はまるで断頭台のギロチンだ。

そんなものが叩き込まれれば、兜ごと相手の頭蓋は挽き肉になってしまうだろう。

 

その事を知ってか知らずか、バーサーカーは打ち上げられた両腕を強引に引き戻して再び防御の姿勢に入る。

そしてイーターの足がポールに触れた瞬間、「ザンッ」という明らかに蹴りで出せるとは思えない音がした。

 

そのまま着地したイーターが視線を上げれば、そこには真っ二つに“切られた”ポールを持ったままたじろぐ黒騎士の姿があった。

 

綺麗にスッパリと断ち切られたポールの切断面は鋭利なモノで両断されたかの様に滑らかで、これが素手の相手の仕業なのだから驚くよりもむしろ呆れてしまう。

 

しかし、本当に蹴りだけで鉄のポールを切り裂いた訳ではない。

イーターの右足には若干だが黒炎が絡み付いており、それが踵落としに更なる威力を与えていたのだ。

 

 

「さぁて、第二ラウンドだ。飛ばしていくぜ?」

 

軽い口調の割にはその目には油断も慢心も一切無い。

武器を一つ叩き切った所で相手が戦闘不能にはなり得ない。まだ奴には戦う術があると、そう自分に言い聞かせ、抜かり無く目の前の敵に意識を集中させる。

 

現にバーサーカーは真っ二つにされてしまったポールを未だに手放していない。

その事から導き出される次の行動は容易に想像できた。

 

 

「■■■■■■ッ!!」

 

声にならない雄叫びを上げながら黒騎士は突進する。

そして二つに割られたポールを左右から挟み込むように振るったのだ。

 

首筋を狙った同時攻撃を、両腕で受け止めると、両腕に鈍い痛みが走る。

 

 

「チッ!何て馬鹿力してやがるんだよ…ガードしたってのに肩までビリビリ来やがるぜ……ッ!」

 

硬質化しているとは言え、結局は素手で止めている事に変わりはない。

仮にも宝具となった鉄塊で殴打され続けては、生身の守りなど程無くして崩されるだろう。

 

 

「だったら、丸腰で戦わなきゃ良いって話だ!」

 

声を張り上げて足を踏ん張り、目の前でこちらを睨みつける相手に向かって頭突きを食らわせる。

兜越しにでも伝わる衝撃でバーサーカーはたたらを踏んで後ずった。

 

距離が離れた所でおもむろにイーターが掌を頭上に掲げた。

すると、そこに黒炎が集中して行き、不定形な焔が一つの形を成して行く。

そして出現したのは真っ黒な剣の様なモノだった。

 

切っ先から柄尻まで黒炎と同じ闇色で染め上げられ、ノコギリ状の長大な刀身は、いっそ純粋なまでの禍々しさを放っている。

飾り気も無ければ造形美も一切無い。

 

セイバーの((約束された勝利の剣|エクスカリバー))の対極とも言える醜くて毒々しい牙の名を、その主がそっと囁く。

 

 

「((満たされぬ暴食の牙|ヴァナルガンド))……」

 

主の声に応え、漆黒の凶刃が低く唸る、まるでそれ自体が生きているかの様に。

 

 

「“喰らえ”!!」

 

腹の底から吐き出した一声の後に振り下ろされる一撃。

バーサーカーはそれを横に跳ぶことで躱す。

狙いを外した刀身が地面に叩き込まれ、見るからに“斬る”という用途には扱い辛そうな剣は驚く程あっさりとアスファルトに切っ先を埋めた。

 

だが、その埋まり方には違和感があった。

刀身が食い込んだ地点は剣で切られたにしては大きく、鈍器で砕かれたにしては滑らかな痕を残していたのだ。

 

それはもう“斬った”とは言えない。

それはまさしく“抉られた”ような痕だった。

 

これこそがあらゆるモノを無差別且つ無秩序に分解して捕食する、

((喰らう者|イーター))の牙である。

 

 

「まだまだいくぜぇ!オラァ!!」

 

突き刺さったままの大剣を、イーターがすくい上げるように振り上げる。

地面を抉りながら一切の減速を見せずにアスファルトを食い破って迫る一撃を、バーサーカーは右半身を引くことで回避し、大きく開いたイーターの脇腹に向けて左手に持ったポールを突き出した。

 

適確に隙を狙った鋭い突きを、両脚を屈伸させ、低くしゃがみ込むことでいなし、頭上で左腕を突き出した状態でいる相手の胴に向かって低位置からのフルスイングを見舞う。

 

左から右へ払われる大振りはバーサーカーが高く跳躍する事で空を切った。

そして、数メートル上空から両手のポールを振り下ろしての落下攻撃が繰り出される。

 

対してイーターは今度は右から左へと上空に向けて横一文字斬りを放つ。

先程とは逆の立ち位置での攻防。

打ち負けて吹き飛ばされたのはバーサーカーの方だった。

 

両手のポールは最早使い物にならない事が一目瞭然な程に歪んでおり、いくらなんでもこれでは武器として扱う事は出来ないと判断したのか、バーサーカーが鉄屑になったポールを投げ捨てて、傍に積み上げてあった2メートルはありそうな鉄骨を鷲掴みにする。

直後に赤褐色の表面に赤いラインが走り、全体が真っ黒に染まっていく。

 

人の力では到底保持出来る筈の無い鉄塊を難なく振りかざし、バーサーカーは相手をじっと見据えた。

イーターも大剣を肩に担ぐ様にして構える。

 

お互いに構えを取ったまま、共に全く動かない。

暫くの沈黙が続き、一瞬にも永遠にも感じられる間を置いた後、ほぼ同時に両者は駆け出した。

 

 

「■■■■■■■ッ!!!!!」

 

「オラアアァァアア!!!!!」

 

激しい雄叫びを上げて両者が武器を振り下ろす。

直後、先程とは比べ物にならない豪撃による余波で大気が悲鳴を上げ、周囲のコンテナ群が一斉に吹き飛んだ。

 

お互いに向けて叩きつけられた衝撃で二人が少しだけ後退するが、すぐに体勢を整えて次の攻撃に移る。

 

 

「この野郎!いい加減にやられちまえってんだよ!!」

 

表情も険しいイーターが袈裟斬りに剣を振り下ろす。

それを獣の様な咆哮を上げながらバーサーカーがゴルフスイングのようなモーションの一撃で迎撃し、間髪入れずに手先を使ってくるりと鉄骨を一回転させる。

遠心力を乗せ、脳天目掛けて落ちてくる先端部を横薙ぎに払い、そのまま左脚を軸に回転して振り向き際にもう一度左から右へと大振りの攻撃を仕掛ける。

 

だが、回転の勢いで更に加速した一文字斬りは斜めに添えられた鉄骨で上に逸らされてしまった。

そのまま、ついさっきのバーサーカーと同じような体勢になってしまう。

 

 

「やべっ……ぐぁ!!」

 

なす術無く無防備な胴に鉄塊を打ち付けられた。

腹の中のものが纏めて口から出てしまいそうな感覚を覚えた直後、今度は浮遊間に襲われ、気がつけば数メートル程後方に吹き飛ばされており、仰向けに倒れていた。

幸い剣は手放さないでいれたが、思ったよりも良い一撃をもらってしまった為か身体が重い。

 

 

「本当にやってくれるよなぁ……こりゃぁ退屈しないで済みそうだ。」

 

軽口を叩きながらもう一度剣を構える。

そして、仕切り直しと言わんばかりに跳躍して空中から剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

一方、離れた所で戦いを見守っていた者達は二人の黒い戦士の戦いに身を震わせていた。

 

巨大な得物を軽々と振り回し、それでいて力任せでは無い、高い技術を伺わせる剣戟にサーヴァント達は思わず見入ってしまっていた。

 

先程のセイバーとランサーの決闘すらも霞んで見えるような激しいぶつかり合い。

駆け引きも小細工も一切無い全力のぶつけ合いは戦士の戦いの完成系とも言えた。

 

だが、それを憎々しい目で睨みつける者がいた。

そう、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトだけは。

 

突然現れたと思えば聖杯戦争開戦早々に恥をかかせてくれた者に対して、ケイネスは終始憎悪と殺意の目を向けていた。

そしてその者がいま強敵と拮抗した戦いを繰り広げている。

そこでふと彼は思った。

 

 

これはチャンスではないかと

 

 

あからさまにケイネスはほくそ笑み、胸中で呟いた。

この機を生かせば得体のしれないイレギュラーサーヴァントを早々にリタイアさせる事が出来ると。

 

 

「ランサー。」

 

「はっ。如何なさいましたか?」

 

「イーターの注意がバーサーカーに向けられている今が好機だ。バーサーカーに加勢しイーターを討て。」

 

「なっ!?」

 

ランサーが信じられない事を聞いたかのように目を見開いた。

確かにイーターは主に牙を剥いた敵だ。

だが、今目の前で感服すら覚えさせられる剣戟を繰り広げている猛者でもある。

感嘆こそ漏らせど邪魔など出来ようの無い戦士の戦いに横槍を入れよと自分の主は命じているのだ。

 

今繰り広げられているのがただの獣同士の醜い“殺し合い”だったのならば大して躊躇いもしなかったかもしれないが、あの二人は違う。

技量と力を持ってした“決闘”なのだ。

始まり方こそ唐突だったが、それがこの見事な一進一退の攻防に繋がった事実に変わりはないのだ。

 

 

「マスター!そのようなことをなさらずとも彼奴めはこのディルムッドが騎士の誇りに懸けて討ち果たします!この場で邪魔だてする必要などは……」

 

「ならぬ。ランサー、令呪をもって命ずる。バーサーカーを援護しイーターを殺せ。」

 

「くっ……!」

 

これでもう止め用が無い。

令呪はマスターからサーヴァントに対する絶対的命令権を持つ刻印だ。

三度しか使えないが、これを使って命じればサーヴァントはどんな命令でも実行する。

如何に崇高な騎士道精神を持ったランサーと言えども、それに逆らう事は叶わない。

 

悔し気に表情を歪ませるランサーが歩み出た。

他のマスターやサーヴァントがそれを見た途端、各々が大体の事情を理解した。

 

 

 

 

イーターside

 

 

さっきのお返しに剣の腹をバーサーカーの鳩尾辺りに叩き込んだ所で背後から接近する気配に気が付いた。

振り返ればそこには綺麗な顔を暗く曇らせたランサーが佇んでいた。

その表情と雰囲気から大体の事情は理解出来た。

 

 

「マスターの指示かい?」

 

短くそう尋ねると、ランサーは無言で頷く。

 

 

「何シケた面してんだよ?さっきまでめっさ鋭い目つきで睨み付けてたのに。」

 

「しかし……」

 

口ごもる辺り自分でも感情の整理が出来ないでいるんだろう。

俺は見た目余裕たっぷりに口元を釣り上がらせた。

 

 

「まぁ悪いって思うんなら、これでさっきのはチャラって事にしてくれや。」

 

「……すまない。許せイーターよ。」

 

あやや、こりゃ相当堪えてるね。

人様がガチで殺り合ってる所にチャチャいれるなんて良い気分しないってのは分かるんだけど。

 

 

「それにお前さん。何か勘違いしちゃいないかい?俺がこの程度で死ぬとかマジで思ってんの?だとしたらチャンチャラおかしな話だぜ。」

 

背後で立ち上がったバーサーカーにも向けて言い放つ。精一杯の強がりを。

 

 

「二人がかりだろうが関係ねぇさ。つまんないこと気にしてないでかかって来いよ?纏めて畳んでやるぜ。」

 

盛大にニヒルな笑いをかましたけど、実際の所は余裕なんて無い。

ただでさえ拮抗してた相手に加勢が加わったんだ。コイツはガチで腹括った方が良いだろう。

とはいったものの、こちとらみすみす死ぬつもりは毛頭無い。

つい数時間前に護ってやろうと決めた奴がいるんだ。こんな所で終わってたまるか。

 

前後から挟み込むようにして迫ってくる英霊二人を横目見て、俺は剣の柄をきつく握り締めた。

 

 

その時

 

 

「AAAALALALALALALALAie!!」

 

「はああぁっ!!」

 

凛とした二種類の怒声が聞こえたと思えば、ランサーが弾き飛ばされ、バーサーカーが地面を転げ回って行った。

 

 

「そこまでにせい。ランサーのマスターよ。」

 

「これ以上ランサーの誇りを貶め、戦士の決闘を土足で汚すというのならば、我等はイーターに加勢する。」

 

 

 

……

………

…………どうなってんのこれ?(^◇^;)

 

 

 

 

俺が一人でフリーズしていると、ライダーが背中越しに言い放った。

 

 

「戦の華は愛でる質でな。無粋な幕引き方は見るに忍びなかったのだ。」

 

「騎士の道を志す者として、この様な形での決着を認める訳には行きません。」

 

「お前等……」

 

いつの間にやらギャラリーに熱が入ってたらしい、おかげで助かったんだが。

だけどさっきのシリアスムードどうするよ?俺の覚悟を返せ。(´Д` )

 

 

「やれやれ、初戦から敵に借り作っちまうとは、幸先悪いことこの上ないねぇ。」

 

「なに、この借りは次に剣を交える時に返せば良い。」

 

「その時には、互いに尋常なる勝負を所望します。」

 

あ〜……皆何て良い人達なんだ。

皆の笑顔が眩しいよぉ……涙で前が見えないよぉ!・゜・(ノД`)・゜・。

 

何て俺がホロリと来てる内に、ライダーの戦車に正面衝突されたバーサーカーが黒い霧になって消えて行った。

 

 

「バーサーカーは引いたか。さぁどうする?よもや我等三人を同時に相手取って勝ち目があるなどとは思うまいな?」

 

強い眼光でライダーが金髪を睨みつける。

征服王の凄みに当てられて思わずたじろいだランサーのマスターはどうにか落ち着きを取り戻して踵を返す。

 

 

「……退くぞランサー。もたもたするな。」

 

「はっ。」

 

 

そう吐き捨ててマスターはランサーを伴ってその場から立ち去る。その去り間際にランサーが俺達を一人ずつ流し見た。

その表情は安堵に包まれていて、非常に晴れ晴れとしたものだった。

そしてその視線は暗に告げていたのだ。

 

「次こそは正々堂々と戦おう」と

 

ここは再やっぱりニヒルな笑みで返しておく。

こういうのはあんまり慣れてないけど……悪くないな。互いに全力を尽くせる“好敵手”ってのは。

 

ランサー陣営が退いた事で、今晩の今夜の戦いはお開きになった。

もしかしたら雁夜が現れるかと思って期待してたんだけど、付近にそれらしき気配は無かった。

まぁいたら良いなって思ってた程度だから大してショックでもないけど、正直言ってかなり疲れた。

元の世界でも命懸けの戦いをそりゃもう嫌になる程経験して来たけど今回のはマジでヤバかった。

 

 

「対人戦に慣れてないってのがマズかったな。“バースト”すりゃぁ少しは違うんだろうけど、多用出来る手札でもないし……ったくよぉ。初日がこれじゃぁ先が思いやられるな。」

 

俺は反省の色を見せながらも密かに次の戦いに向けて気持ちを入れ替えるのだった。

 

 

 

 

 

 

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シナリオが滅茶苦茶に……
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