fate/zero ?君と行く道?
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8話 狂気と正義と

 

 

 

過ぎた愛は憎しみとなり

過ぎた憎しみは狂気となる

ならば狂気の先にあるものは?

その答えを知った者こそが

誠の愛を知るのだろう

 

 

 

 

冬木の街から少し離れた地点に建つセイバー陣営の拠点、アインツベルン城近郊の森を歩くいくつかの人影があった。

 

その内の殆どが、まだまだ幼い子供ばかり。

だが、その目に光は無く、まるで幽鬼のようにゆらゆらとおぼつかない足取りで先頭に立つ男に続いて行く。

 

子供達を先導するようにして歩く長身の男は、おもむろに視線をあげると、目を細めてニッコリと笑う。

 

彼の視線の先には夜空が広がるのみ。しかし男はしっかりと感知していた。

こちらを覗き見る千里眼の視線を。

 

本来ならば一流の魔術師でも容易に出来ることではない所業をやってのけた、飛び出た眼球が嫌でも目に付く男こそがキャスターのサーヴァント、ジル・ド・レェだった。

 

何を血迷ったのか、セイバーを嘗ての盟友ジャンヌ・ダルクと思い込み、彼女を手に入れる為にその拠点であるこの地まで侵入して来たのだ。

 

その醜悪な姿を千里眼で覗き見ていた当のセイバーは、悔しげに顔を歪めていた。

本来ならばさっさと出向いて叩き斬ってやりたい所だが、キャスターが暗示をかけて誘拐し、ここまで連れて来た子供達がいるせいで迂闊に動けない。

 

明らかな人質だ。

監視者すら討伐令を出した男の卑劣なやり口に、未だにランサーにつけられた傷の残る左手をきつく握り締める。

 

 

「取り次ぎはごゆるりと。私も気長に待たせていただくつもりでそれなりの準備をして参りましたからね。なに、他愛もない遊戯です。少々御庭の隅をお借りいたしますよ?」

 

すると、キャスターがパチンと指を鳴らした。

その音で夢現から目覚めた様に子供達はキョロキョロと辺りを見渡す。

 

 

「さぁさぁ坊やたち、鬼ごっこを始めますよ。ルールは簡単。この私から逃げ切ればいいのです。さもなくば………」

 

不自然に言葉を区切ってローブから手を伸ばす。

その先にいた子供はあまりの恐怖に身動き一つ取れなくなってしまっていた。

 

何をするつもりなのか?セイバーはそんな疑問など抱くまでもなくその先の光景を予期していた。

そして届く筈の無い声を上げる。

 

 

「やめろぉ!!」

 

悲痛な叫びも虚しくキャスターの掌が少年の頭を鷲掴みにする。

 

その直前

 

 

「やらせっかよクソがァッ!!」

 

怒声を上げながら飛来する人影があった。

次の瞬間、轟音と共に千里眼の映像が途切れた。

 

 

「い、一体何が……」

 

「今の声。もしかすると……」

 

先程の声の主には心当たりがあった。

つい先日、目の前で思わず見入る程の武技を見せつけてくれた男。

あの男ならあるいはこの場に駆け付けていても不思議ではない。

 

 

「切嗣。」

 

「……」

 

妻の懇願するような視線に、切嗣は無言で応える。

それを出撃許可の意思と受け取り、仮初のマスターは傍に立つ騎士に告げた。

 

 

「セイバー、キャスターを倒して。」

 

「承知いたしました!」

 

力強く答えたセイバーは全速力で駆け出した。今この時も危機に晒されている命を救う為に。

 

 

 

時は遡り夜明け頃。

勇希は冬木教会に何体かの分体を向かわせていた。

つい先程、教会から発せられた魔術的な信号をキャッチしたのだ。

内容は監視役からの緊急招集令である。

 

裏方に回っているはずの教会が何の用なのか怪訝に思いつつも、無視するわけにもいかず、大人しく招集に応じていた。

 

正直な所、勇希は教会に対して必要以上の警戒を抱いていた。

参加者二人と徒党を組んでコソコソと何かを企んでいる連中を信じろと言う方が無理な話だ。

 

そんなインチキなどしていなければ今頃は桜にマスター権を放棄させるなり、自分が自害するなりして保護を求めていたのだが、時臣と組んでいる以上そうはいかない。

 

その意味を知らず、桜を地獄に落とした男の仲間にみすみす彼女を引き渡せば、間違いなく教会経由で遠坂家に逆戻りだ。

もしそうなれば、少なくともまっとうな人生は期待出来ないだろう。

時臣が今の考えを改めでもしない限りは、奴に桜を預けることはしないと、勇希は心に決めていた。

 

そして、恐る恐る分体を教会の中に侵入させると、そこには虫やら蝙蝠やら、使い魔と思われる動物を何匹か確認出来た。

 

参加者全員の使い魔が集合したことを確認し、監視役の老人が説明に入る。

それを聞いて行く内に、勇希は思わず嘆息を漏らした。

 

最近巷を騒がせている連続殺人犯がマスターとなり、おまけにそのサーヴァントまでもが暴走して誘拐殺人事件を乱発しているのだという。

更に質の悪いことに、標的にされているのが丁度桜と同じ年代の子供なのだという。

 

 

勇希「どこの世界にもいるんだな〜。こういうクソ野郎はよぉ。」

 

呆れた口調の呟きだったが、その表情はまるで獰猛な肉食獣の様に殺意と敵意に満ちていた。

キャスターとそのマスターの所業は勇希にとっては流石に容認出来るものではなかったのだ。

 

弱者を平気で踏み躙り、まだ幼い純真無垢な生命を汚して辱めて奪い取る。

そのような暴挙を働く者達に対する怒りが湧く程度の情緒は持ち合わせている。

 

老人が言うには、キャスター陣営を討伐した者にはこれまでの聖杯戦争でマスター達が使い残した令呪を一つ進呈するのだという。

そんな物に興味は無いが、他勢力は喜んでこの条件に飛び付くだろう。

 

令呪一つで戦術の幅は大きく広がる。この機を逃す手は無いとばかりに参戦の意を唱える筈だ。

それに、もしも他の陣営に令呪を獲得されたらそれだけ後々の戦いが厳しくなる可能性があるのも事実。

そういう意味も含めて、ここは参加すべきだと判断した。

 

 

(しかし、連中の居場所もハッキリしてないって言うし、自力で探すしかないか……)

 

幸い自分には何千と言う分体で周囲の状況をくまなく把握する索敵能力がある。

獲物を見つけ出すのは得意分野だ。

 

他のマスター達も一旦戦闘を中止してキャスター探索に集中するだろうから全ての分体をキャスター捕捉に動員出来る。

そうと決まれば早速行動開始とばかりに分体に指示を出した。

その時、後ろで近づいてくる気配があった。

 

 

「桜……」

 

振り向いた先には、不安そうな顔をしてこちらを見るマスターの姿があった。

その目は少し怯えているようにも見えた。

 

 

「ゆーき、こわいおかおしてた……」

 

「え……」

 

「ゆーき、いつもはやさしいおかおなのに、さっきはちがった…どうしちゃったの?」

 

しまったと目を伏せる。

この子の前で何をやっているのだと。

 

 

「大丈夫だよ。何でも無い。」

 

「ホント?」

 

「うん。ホント。」

 

今出来る一番の笑みで答えると、桜は安心したように表情を咲かせた。それを見て勇希もホッと一息つく。

 

 

「なぁ桜、俺ちょっと今晩出かけるからさ。お留守番頼めないかな?」

 

「おるすばん?」

 

「うん。つってもすぐに帰って来るから。」

 

「うん、わかった。それじゃ、おでかけするまでにゲームしよ!」

 

勇希「おう。いいぜ、やったろうじゃないの。今度こそ負けねぇぞ!」

 

外道を成敗するのも大事だが、この幼い主の相手をするのも勇希にとっては重要な役目である。

キャスターが見つかるまでの間、勇希は桜と遊びながら時間を過ごすのだった。

 

 

これはその一幕。

某w○iのスポーツゲームのボクシングにて……

 

「ひ、一思いに右手で殴ってくれ!」

 

「NO NO NO♪(´ε` )」

 

「じ、じゃぁ左ですかぁ!?((((;゚Д゚)))))))」

 

「NO NO NO♪(´ε` )」

 

「もしかしてオラオラですかぁ!?((((;゚Д゚)))))))」

 

「YES YES YES(⌒▽⌒)」

 

「ひぃぃぃ!!」

 

 

何故かゲームでは最弱の勇希であった。

 

 

 

 

 

 

勇希side

 

 

時が経って夜も更けた頃、分体の一つが、数人の子供がとある場所に向かって集まって行くのを確認した。

その行き先がセイバー陣営の拠点であるアインツベルン城であることを突き止めた俺は桜に出かける旨を伝えてアパートの屋上に立っていた。

 

ここからアインツベルンの森まではかなり距離がある。何てったって街を挟んで反対側にあるのだから。

キャスターがいると思われる地点に急行する為に、俺は身体を変異させる。

 

背中の肩甲骨の辺りから金属質な表面を持ち、先端に手のようなものが生えた大きな羽を広げ、勢いよく屋上を蹴って宙に舞い上がる。

 

空中で風を掴むまでもなく、数十キロはありそうな速度で翼を生やした人型は飛翔する。

この羽って元々喰った奴の一部分なんだけどどんな原理でこんな速度出してるのか正直な所俺にもよく分かんない。

 

 

「便利だよね〜この身体。」

 

などと呑気なことを口走っている内にアインツベルンの森に差し掛かり、キャスターのいる地点に着地を試みた時、奴が側にいた子供に手を伸ばしているのが見えた。

 

 

「マズい!!」

 

キャスターが何をするつもりなのかは容易に想像出来た。

故にその行為を許す訳には行かない。

俺はフルスロットルでキャスターに突っ込んで行き、右足を前に突き出した。

 

 

「やらせっかよクソがァッ!!」

 

俺の放った某お面ヒーローの必殺技みたいな蹴りはキャスターの顔面に深々と突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

説明
何かクオリティ低く感じるなぁ〜
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