IS-インフィニット・ストラトス- きゅー組物語 4
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体育館の壁に沿うように並べられた教師用の椅子の上で理事長の長い長い演説を聞いていると、なにやら眠たくなってくる。

 

 

ココ最近、碌に眠れていない。

 

国連のIS救助隊設立反対派のお偉いさんとやりあって、ロジーナと憂さ晴らしに飲みに行ったり。書類上のミスが見付かって遅くまで作業してたら、一升瓶抱えたロジーナが尋ねてきたり。ふつーに仕事が終わらなかったり。

 

 

………こうやって思い返してみると、結構飲みに行ってるなぁ。

 

今や完全に飲み友達と化しているロジーナは、現在隣で爆睡している。

あーあ、涎が垂れとる。気持ちは解らなくもないが、流石にマズイだろう。

 

「おい、ロジーナ。起きろ、起きろー。」

 

「んー?んー………zzz」

肩を揺らして起こそうと試みると、その手を払いのけられる。

 

はぁ、俺は起こしたからな。知らねーぞ?

あ、教頭が凄い顔でこっち見てるし。

 

「それでは次に。当学園の一年生担当教師の紹介に移ります。」

やがて式も進行し、教師陣のお披露目が始まった。

 

「1年1組担任、織斑千冬。副担任、山田真耶。」

名前を呼ばれた二人が、立ち上がって頭を下げる。

 

織斑先生の名が呼ばれた途端に、新入生たちからざわめきが起こる。

微かに届く生徒たちのこえは、軒並み憧憬のそれだ。

流石は初代ブリュンヒルデ、人気があるなぁ。

 

 

 

………ヤバイ、ロジーナまだ寝てるし。

後で文句を言われるのも癪なので、本格的に起こしにかかる。

 

「おいこら、ロジーナ。起きろ、起きろ!!!」

 

「ん?うー、あー?」

一応起きたが、まだ覚醒してないようだ。

 

先生達の名前を読み上げている教頭の顔がやばい事になっとる、夢に出そう。

 

「1年2組担任、御厨美緒。副担任、草薙楓。」

 

生徒のうちの何人かが、寝ているロジーナに気付き始めている。

 

「おーい、ロジーナさーん。ロジーナせんせーい。しっかりしろー。」

 

「あ、あー。悪い春告。助かった。」

やっと頭が覚醒したらしい、小声で礼を述べるロジーナ。

 

 

いや、教頭の表情を見るに、お前助かってないからね。

 

 

そうこうしているうちに、教師たちの紹介は進み次は俺達の番だ。

「最後に、今年から新設される事になりましたクラスの担当教師を紹介します。このクラスは一般のクラスと異なり、ISを用いた事故や災害の救助活動を教えていくことになります。1年9組担任、ロジーナ・ピアリー。」

ロジーナがすっと立ち上がる。

あ、こいつ涎に気付いてない。口元がテカテカ光ってる。

ガッカリ美人、本領発揮だ。

 

 

 

そして遂に俺の名前が呼ばれる。

「副担任、出雲春告。」

立ち上がると、会場にまたざわめきが広がる。

 

 

「男!?何で!?」「え?あの人先生なの?」「副担任?用務員の間違いじゃなくて??」「あれ、前ニュースでやってたニャンコ消防士じゃない??」

こちらに流れてくる囁きは、織斑先生の時とは違い否定的なものと戸惑いだ。

 

そりゃ、こういう事も覚悟はしていたが………いざ直面するとヘコむなぁ。

例の件も、もう生徒達にばれてるみたいだし。

 

 

「ゴホン!以上があなた達を指導してくれる先生です。皆さんが、しっかりと勉学に励む事を期待します。それでは皆さん、各教室へ向かってください。」

 

 

 

 

 

「あー、憂鬱だなぁ。」

無事に入学式が終わり、俺は廊下を一人で歩いている。

 

 

今から9組の教室で、生徒たちと顔を合わせることになる。

ロジーナはというと、あの後教頭に捕まりお説教を喰らっている。

全く、間の悪い奴め。

 

 

「………ま、考えても仕方ない。」

そう自分に言い聞かせ、たどり着いた教室の扉をあけた。

 

 

 

 

「「「………。」」」

教室の扉を開けた俺を出迎えたのは、歓声でもざわめきでもなくて、沈黙だった。

 

 

ツカツカと教壇に向かう俺と、視線で追いかける生徒たち。

無言の圧力、ココに極まれり。

 

 

「………あーっと。」

何をすれば良いんだ??………あ、自己紹介。

 

カツカツカツ

と、黒板にチョークが当たる音が響く。

 

出雲春告。

 

自分の名前だ。

 

書き終えた所で、生徒たちに向き直る。

 

「これから君達9組の副担任をやる、出雲春告です。知ってる人も居るかもしれませんが、少し前まで消防士をやっていました。ISを動かせる訳ではないので、私がISについて皆さんに教える事はありません。その代わりに人の助け方を、皆さんに教えることになります。これから、よろしくお願いします。」

 

 

そこまで一息で話し終え、顔を上げる。

 

そんな俺を待っていたのは………沈黙。沈黙ですよ、プロデューサーさん。

あ、あれ?リアクション無し??と、とり合えず何か話さないと。

連絡事項連絡事項………あ、ロジーナのこと話さないと。

 

「ち、ちなみに担任の先生はもう少し遅れて」

と、そこまで話した所で教室の扉が勢い良く開かれた。

 

「カタい!カタいぞ春告ー。そんなリアクションとりづらい事言われても、困るってーの。」

そう言いつつ、教室へと入ってくるロジーナ。

 

「ロジーナお前、来てたんならとっとと教室入れよな!!」

 

「うっさい春告!大体、お前がちゃっちゃと起こさないのが悪いんだ!!」

逆ギレ!?今、凄い理不尽を目の当たりにした!!!

 

「俺はちゃんと起こしただろうが!」

 

「担任のサポートくらいしっかりやれよ!この童貞が!!」

 

「童貞は関係ないだろう童貞は!!!しかも生徒たちの前で………あ。」

 

ついつい何時もの調子で言い合いを始めてしまってから、今置かれている状況を思い出す。

………ざわざわざわ。ワンテンポ遅れて、教室が騒がしくなる。

 

「え?童貞!?」「年上童貞、そういうのもあるのか………」「さくらんぼニャンコ。いや、チェリーニャンコか。」「先生はどうていなのかー。………で、どうていって何?」

 

初日に生徒に童貞がばれる。

 

え?何コレ。何なのコレ。

いやいやいや、あの火事からこっち俺の人生の難易度ハードになってね?

 

「あー、ゴホン。静かに、しーずーかーにー。」

 

 

ロジーナがわざとらしく咳をして、教室のざわめきを鎮める。

そして、何事もなかったかの様にチョークを走らせ、黒板に

 

ロジーナ・ピアリー Rogina Piary

 

そう書くと

 

「アタシがこのクラスの担任教師、ロジーナ・ピアリーだ。アンタ達にISの操縦を教える。お前らは運が良いぞー、なんせこのアタシが教えるんだ。大船に乗ったつもりでいるといい。じゃ、今度はアンタ達が自己紹介する番だ。えーっと、じゃ、お前からな。」

 

といって、一人の生徒を指差した。

 

普通にさっきの一件が流されている。くそっ、後で酒を奢ってもらうぞ、ロジーナ。

 

「はーい、私は南アメリカ出身の“アンナ・メンデイ”です。先生ー、質問でーす。」

 

「んー?何だ、アンナ。」

 

「どうていって、何ですか?」

………もうヤダ。お家かえる。

 

 

つづく。

 

説明
パトレイバーとISのクロスSSとか無いかな?後藤さんが教師ポジションとか胸熱で俺得なのに。とか思ってる、かーる・おかめごっちです。
ISに乗らない主人公、バトルなんて有りませんよ?オリジナル機体は………どうしよう。ISの見所を悉く失ったまま、このSSは果たして何処に向かうのか………
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コメント
何でか分かんないけど、ロジーナさんのヒロイン化はサクサク進むんですよねー。不思議!技術応用かぁ。何か一本丸まるSSの題材になりそうです(汗)使わせて頂くかもですw(かーる・おかめごっち)
なにやらやけに可愛くなったなぁ〜wwwそういやISってコアがエネルギー源として使われているだけであって、必要な分のエネルギーを確保出来たらISの技術(絶対防御とかパワーアシスト等)って男でも使える筈なんですよね〜。そういうのを使ってみるのはどうでしょうか?(神薙)
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