ゼロのチェスゲーム |
4歳の時すっ転んで頭を打った拍子に前世の記憶に目覚めた。
帝国暦486年の帝都オーディン((新無憂宮 | ノイエ・サンスーシ))でのことだ。
父の名はルードヴィッヒ。祖父の名はフリードリヒ。
僕の名前はエルウィン・ヨーゼフ。
5歳でラインハルトに傀儡の皇帝として即位させられる子供だ。
おまけに詩人さんに攫われた挙句最終的に行方不明になる。
どうしよう?
期限は一年。
権限はない。子供だし。
全くどうしたものかな……
……6年後。
どうにかなりました。
いや事態は原作どおり進行したよ?
転生特典とか特別な能力のない子供の事、回りに流されるまま原作のルートを辿り
最終的にはハイネセンで詩人さんの所から逃げ出しました。
相違点は原作と違って中身が一度天寿を全うした人なので、
大人しくして周りに迷惑をかけることが無かったことぐらいか。
あと、個人的には詩人さんの詩はかなり良かった。
ラインハルトはヘボとか言ってたけど、ビッテンフェルトを観劇のお供にしてたし、
感性が違ーうのかね。
((閑話休題 | それはともかく))。
現在俺はアーウィン・ノエルベーカーと名乗っている。
同盟滅亡後、帝国に逆らって投獄、ラインハルトに赦されるも
仕事を干されて気落ちしていた公務員のノエルベーカーさんに
拾われ養子として育てられたからだ。
迷惑になるだろうから自分が廃帝だとは言ってない。
義父は堅物で融通の利かない不器用な人だったが、
皇族時代には得られなかった普通の家庭的な幸せをくれた。
感謝してもしきれない。
無理して寒い冗句を言っては場を盛り下げなければ完璧でした。
そのうち「ヤン提督が植木を植えんリー」でも披露してみようか?
長ずるにつれ俺はルドルフさん並の優れた体格を有するようになった。
実父や祖父があまり頑丈な人でなかったので、
貧弱な坊やになるかと心配したが杞憂だった様だ。
何のことはない、運動不足と不摂生が祟っただけで、
ゴールデンバウム朝500年の血の濁りなど大層なものではなかったようだ。
先祖でもユリウス帝とその曾孫のカールは90歳を超えていたし、
マクシミリアン・ヨーゼフ2世などは体力が暗殺から命を救った。
逆に早逝したオトフリート2世は過労。オトフリート3世は疑心暗鬼による衰弱。
オトフリート4世は「元気すぎ」など、原因がはっきりしてる。
ごく簡単な事だ、それを回避すればいい。
とにかく俺は天分を生かして、帝国軍に入り装甲擲弾兵となる道を選んだ。
義父は微妙な顔をしたが、ここなら政治に巻き込まれることも無く、
平和な今、海賊討伐等の治安出動以外には危険も少なかろうとの判断からだ。
退役したら警備会社でも興そうかなどと将来設計を描きつつ、
今日も今日とて星系間航路の警備に従事していた。
ついさっきまでは。
気が付け俺は草原の只中にいる。
海賊船の中で無双をやっていたはずなのに。
目の前にはマント姿に杖を持ったピンクブロンドの少女がいる。
横にはシャフトさんやラングさんを彷彿とさせる頭部の人物がいる。
「サモンサーヴァントで平民の兵士を呼び出してどうするの!」
「ちょっと間違えただけよ!」
などというやり取りも聞こえる。
ゼロの使い魔ですかそうですか。
始祖ブリミルだか、大神オーディンだか知らんが
よっぽど俺のことが嫌いらしい。 漸く掴み取った平凡な日常をどうしてくれる。
このままテンプレで物語が進めば、俺はガンダールヴ×リーヴスラシルに成り果てる。
子供のときと違って力もあり原作知識もあるが、そうなると今度は原作との乖離が怖い。
俺は所詮一兵士に過ぎず、例えばヤン提督のように政府が全力を上げて助けに来てくれる見込みはない。
何か生徒の一人が「Panzer Grenadiere……」とか
帝国公用語で言ってるがあいつ転生者か。
抱いてる使い魔の猫も怪しいな。
「golden Lowe?」とかやっぱり帝国公用語で言ってるし。
もう滅茶苦茶だな。
ああ、コルベールと言い合いをしていたルイズが
何か言いながらこちらに近づいてきます。
全くどうしたものかな……
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