戦極甲州物語 拾肆巻
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「門を閉めよ!」

 

 喉の痛みを無視して門番の兵に指示を出す。最後に通過した小幡虎盛・昌盛父子を確認し、兵たちはすぐに門を閉じてしっかりと閂をする。

 大きな城の門ともなればその分巨大なものとなり、多数の兵で開閉し、守らねばならない。だが岩殿城の門は大手門もこの揚木戸門も非常に小さいものだった。大手門でもせいぜい5人が通れる程度で、この揚木戸門に至っては2、3人でもいいところだ。鎧甲冑を着込んでの戦ともなれば1人通るだけで一杯一杯。左右を巨岩に挟まれた揚木戸門はそれ故に出入りや物資搬入の便は最悪だが、防衛においてだけは都合がいい。

 

「くそっ、緒戦で大手門を失うなんて……!」

「落ち着け、昌盛」

「ですが父上……! あまりにも口惜しうございます!」

「口惜しいのならば次の戦にて揚木戸の門を守りきるがよい」

 

 まだ年若い娘だが、?武田の鬼虎?として知られる自身の娘の勇壮ぶりには虎盛も父として喜んでいた。

 血気盛んなのは臆病な者よりはいい。初陣を含めて戦の初心者というものは、大きく分けてこういう突っ込みがちの死にたがりか、腰が引けて戦えない不心得者のどちらかだと虎盛は思っている。昌盛もまたその例に漏れないが、初陣を経てまだそう時間も経っていないにも関わらず、最前線で戦える気概には満足していた。

 ただしこれは『武士』に対してのみの区分けだ。虎盛が民にまで覚悟を強要することはなかった。民には生き残ってもらわねばならない。自分のように、武士とは戦って民を従えることしかできない。だからそのために武士は命をかける。逆に民には生きてもらわねばならない。民がいるからこそ武士の存在価値はあり、民あってこそ武士は存在できる。民がいなくなれば年貢もないし、不器用な虎盛は稲作の知識もなければ草鞋を編む技術の1つもない。あるのはただ?武田の鬼虎?とまで呼ばれるようになった戦の腕だけである。

 

「せめてここがもう少しなりとも暴れやすい場所であれば……」

「馬鹿者!」

 

 虎盛は背後でぶつぶつと不平を漏らす娘を振り向きざまに一喝した。かすれ始めた声でもその咆哮は周囲で疲れて座り込んだ兵たちをびくつかせる。ただ虎盛配下の武士たちは殺気をまだ色濃くその身に纏い、険しい瞳でややうるさそうにチラリと視線を向けるに留まっていた。不遜であるかもしれないが、?鬼虎?直属の兵ともなれば鬼の兵らしく、戦の際は1人1人がこんなものである。

 息子であるなら拳骨の1つでも落とすところだが、娘となると虎盛もやはり引けてしまう。その分、一喝には力がこもっていた。昌盛も俯かせていた顔を上げて驚きに目を開いて。

 

「限られた戦場でしか力を発揮できない将など、如何に腕の立つ猛者であろうと器が小さい! 己が未熟さを他に転嫁するでない! 恥を知れ、昌盛!」

「も、申し訳ありません、父上!」

 

 昌盛はすぐに虎盛に頭を下げた。普段なら「わかればよい」の一言でもかけて労ってやるところであるが、今は虎盛もそれで背を向けて本丸の方へと歩んでいく。その後を昌盛はやや控えめに、もう黙ってついてきた。

 昌盛の気持ちを虎盛もわからないではない。何せこの緒戦の戦いは虎盛自身、不満たらたらだからだ。

 大手門に攻め上がってきた北条軍を蹴散らしはしたが、主力を向けてきた北条の勢いに大手門の守備に回った武田軍小幡隊も大手門を守りきることができなかった。

 岩殿城は?鬼虎?にとってこの上なく戦いにくい場所だった。狭い山道、横はすぐ断崖ときており、敵味方問わず何人もの兵たちが押し出されて落ちていった。そんな場所では虎盛も槍を振り回すわけにもいかず、こじんまりとした戦いを強要された。それでもこれまでの経験が虎盛の強さを支え続けたが、結果として大手門を守れなかったのは事実。恥じるべきことであると思っている。だからこそ昌盛に対する思いやりも少々欠けてしまったのかもしれない。まあ、戦の時にいちいち思いやりや気遣いなどしてはいられないし、昌盛も親に一喝されただけでそれをいつまでも引き延ばすほどいじけている娘でもないが。だからあれは、自らへの叱咤でもある。

 

「御苦労様です、小幡殿」

「上原殿」

 

 本丸に向けて歩いていると、右側から声をかけられた。振り向けばそちらから兵の一団が。その先頭に上原昌辰がいた。鎧甲冑を着けない袴姿は、やはり戦の最中にある軍中では目立った。しかしそんな彼女もやはり今回の戦いで砂と埃に塗れている。よくよく見れば着物の裾から時折見える手首には青痣ができている。髪も乱れており、汗で張り付いた髪を昌辰は払いもせずにいた。疲れているのだろうか……否、疲れているに決まっていよう。

 

「申し訳ない、上原殿。大手門を守りきれなんだ」

「そうですか……北条は主力を大手門に向けてきていたのですね」

「兵の数は多かった。ただ名のある将は見かけなんだ。せめて1人2人の将の首くらいは引き換えにしたかったのだが」

「ふふ、頼もしいこと。見れば昌盛殿もご無事の様子。安堵しましたよ」

 

 昌盛は頭を下げるだけだった。不貞腐れているのか、叱責が効いて自らの情けなさに意識が向いているからか。

 昌辰はそれをいちいち気にすることもなく、その汚れた姿でもどこか優雅さを残す動きで髪を払い、そして少し険しい顔を浮かべた。

 

「こちらは敵の総大将、北条氏康殿と副将の松田憲秀殿を確認しました」

「なんと。緒戦から総大将と副将が自らとは……」

 

 この険しい岩殿の山を登り、そして信龍や昌辰と一戦やり合ったというのだから、虎盛の驚きも決して小さいものではない。

 昌辰が言うには、まだ緒戦であるし、率いてきていた数からしてもいきなり攻め落とそうというつもりでもなかったとのこと。聞きながらも虎盛は最初こそそうであっても戦い始めてからはどうだったろうかと思った。昌辰の姿を見るに、結構激しくやり合ったのはわかる。昌辰が正面切って戦って首級を上げた節がないあたり、敵将もさるもの。

 

「それに、頭も回るようでして」

 

 昌辰がふと顔を向けた方に虎盛も従うと、そこには武田兵に地に押さえつけられ、縄をつけられている複数の兵の姿が。

 捕まえた敵なのだろうが、中に入ってきた敵だろうか。

 

「戦の前に上原家秘伝の勝利の呪いのかかった具足をお渡ししましたでしょう?」

「これのことかな?」

 

 虎盛は片足を少し上げて示して見せる。虎盛は具足を脱いで脚絆を晒した。それは戦いの前に昌辰が兵の全員に渡していた紺色の脚絆だった。上原家の紋章が入っており、2本の橙の線が模様としてついている。

 

「失礼ながら、呪いなんて嘘なのです。北条の情報力はさすがでして。すでに風魔衆から話が行き届いていたのでしょうね。同じような模様が入った脚絆を履いていました。ただ……我が家の紋章は用意できなかったのでしょうね」

「すると……競り合いのどさくさに紛れて城内に乱破を潜り込ませてきたと?」

 

 無理やり起こされて連行されていく兵を見つつ、虎盛はあれがそうなのかと尋ねた。昌辰は静かに頷く。

 

「此度の攻撃はむしろそういう手回しの方が目的だったのでしょう。失礼ながら、揚木戸の門を守る我が家の兵にはそちらの兵の脚絆を確認させておきました。とりあえず3名ほど捕えたようで。いちおう、後で確認をお願いいたします」

「……乱破対策も抜かりなしか。さすがは上原殿」

 

 虎盛の賛辞に昌辰は静かに笑って返すだけだったが、虎盛はその笑みに言い知れない圧を感じた。味方でありながらこの抜け目のない武将に、虎盛は改めて頼もしさを感じる。きっとこの将の頭の中にはもう次の戦が描かれているのだろう。守るために、時間を稼ぐために、ありとあらゆる手段を考え尽くし、敵の思考を読もうとしているのだろう。

 

「して上原殿。信龍様はいずこに?」

「信龍様なら門の所におられますわ」

 

 昌辰が門の方を指さすと、そこには背中を向けたまま閉まった門を見続けている信龍の姿が。虎の着ぐるみもかなりすすけており、持っている薙刀は真中から折れている。肩も大きく上下しており、僅かに見える横顔からは汗が滴り落ちて。

 

「……初陣の熱、未だ冷めやらぬといったところかな?」

 

 あの姿だ。おそらくは昌辰同様に勇敢に戦っておられたのだろう。

 虎盛はこういうところはさすが信虎様の娘だなと思ってしまう。虎盛にとって信虎は決して悪いだけの主君ではなかった。戦の腕しか誇るもののない虎盛にとって、戦に明け暮れる信虎の気概はどこかで通じるものもあったからだ。それでも信虎がやり過ぎていたという思いも強い。何より民に対する意識がまるでない信虎の思考だけは虎盛にも受け入れられるものではなく、だからこそ虎盛も追放計画に悩みに悩み抜いた末に名を連ねることとなった。

 信龍が岩殿城守備隊の大将になったことに不満はない。実質は昌辰が指揮するものであっても、兵にとって武田一門の将がいて最前線で共に戦ってくれることは特に意味がある。信龍の垢抜けた明るさや楽観的とも言える陽気さも相まって、民の兵たちには特に受けもよかった。まあ、歴戦の将兵たちには少々冷めて見ている部分もあったけれど。だがあのような姿になるほど奮戦したというのならば、彼らの目も少しは変わるだろうと虎盛は思った。

 

「逆ですわ」

「逆?」

 

 どころが昌辰から帰ってきた答えは虎盛に疑問を浮かばせるものだった。だが昌辰の顔には困惑や不満、不安といったものはない。むしろ彼女はおもむろにふっと笑い、本丸へと歩き始める。

 

「戦う時には勇敢、されどそうでないときは冷静な思考を取り戻す。戦っている最中も冷静な思考を保てるのが理想だと私は思いますが、信龍様にいきなりそこまで求めてはおりません」

 

 虎盛も頷ける考え方だった。だからこそ虎盛は先ほど昌辰を叱ったのだから。いつまでもグチグチと言っているなと。

 昌辰は何が言いたいのだろうか。虎盛が図りあぐねて――

 

 

 

 

 

 突然、鈍い轟音が響いた。

 

 

 

 

 

 続けて兵たちの驚いた声。戸惑いに溢れたその声に、昌辰は足を止め、虎盛と昌盛は咄嗟に顔を向ける。

 するとその先には……城門脇の木に頭を思い切りめり込ませている信龍の姿が。相当な勢いがつけられていたのか、木は折れ曲がり、なんと少しずつ倒れていくではないか。

 木が大きな音を立てて信龍の脇に倒れ、砂煙が舞う。周囲の兵たちは驚きに声が上がらず、額から血を流す信龍を、喉を鳴らしながら呆然と見ていた。

 虎盛や昌盛もさすがに言葉もない。なんという力か。そしてなにより……その目に宿る迫力は――

 

 

 

 

 

 なんという『鬼気』か。

 

 

 

 

 

「信繁様――御館様がなにゆえ信龍様をここに差し向けられたのか疑問でしたが……深いお考えあってのことだとは思っていました」

 

 昌辰はそんな中でも振り向くことはなく、止めていた足を再び前へと。

 

「信龍様のあのご気性です。北条氏康の掌の上で踊らされる危険性は確かにありましたが……いったい御館様はどんな術をお使いになられたのでしょうね」

「……不思議なお方だ」

 

 同感です、と昌辰は面白そうな声で返してそのまま去っていく。虎盛もまた、信龍の姿をしかと目に焼き付けてから踵を返して彼女の後に続く。

 ふと昌盛がついてくる気配がなく振り返ったが……目に映った昌盛の姿に笑みを浮かべて頷くだけで留め、その場を辞す。

 

「…………」

 

 昌盛はただ、顔を上げて空を見る信龍を、じっと見ているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大したことは何もない。

 ただ必ず生きて帰るという約束があり、そしてそのときに1つだけ心に留め置いてくれと言われたことがあっただけ。

 

――『信龍よ。怒りに身を任せるな、自分を見失うなと、私は何度もお前に言ってきた。お前もそれをよく理解してくれていることと思う』

 

 ただ、やはり信龍はまだまだ自己を制御できない。感情のままに走るところを御すことができないままだ。だから情けないと思っている。こんなことでは信繁や信玄、信廉に追いつくことなど夢のまた夢だと。

 

――『だがお前は私とは違う型の将。信玄とも信廉ともまた違う。お前の直情、その感情に素直すぎる部分は困りものでもあるが、しかし長所でもある』

 

 そう言って頭に置かれた手はとても優しく、もう元服を済ませて初陣に立つという歳の者にすることではないとわかっていても、信龍は決して拒まずにいた。拒みようがない。どうしても、この手は拒めないのだ。いつになっても。

 子供扱いされていると思わないでもないが、けれど兄が自分を決して子供だ子供だと決めつけているわけではないことはよくわかっている。大人として見てくれてもいる。信龍に意見を求め、そして将に抜擢されたのは子供だと決めつけていたらできないことだ。

 

――『私が知る武田信龍という存在は、まさに武断派であった。おそらくお前もそうなのだろうと思う。お前のその直情ぶりは、今も昔も変わらぬからな』

 

 何だか別の人物のことを言っているような言葉であったが、信龍には難しいことはわからない。この兄はそういう不思議さがある。信龍はただ、彼の言葉に何かしら意味があると思って聞くだけだ。馬鹿なのは自覚している。でも馬鹿は馬鹿なりに考えているのだ。馬鹿なりに、必死に信龍は耳を澄まして考える。

 

――『こうと決めれば即行動。その判断にはまだ疑問が尽きぬが、しかし即断即決という点ではお前は信玄にも勝ろう。お前の感情に正直なところはそこにも大きく作用していよう。ならばそれをただ抑え込むは逆に長所を潰すだけ。何事も過ぎれば害毒。ゆえに信龍、1つだけ心に留め置いてくれ』

 

 怒りが込み上げてきたとき。我慢できぬとき。感情が爆発しそうなとき。

 そんなときに、ほんの僅かでいい。

 

 

 

 

 

 この兄の顔を思い浮かべてくれ。

 

 

 

 

 

「兄上……ごめんなさい」

 

 信龍は血が流れる額を拭うこともなく、空を見上げた。すでに夕焼けも過ぎ、夜の帳が下りている。こんな戦の最中だというのに、空は満天の星だ。

 

「あのときは兄上も頷いてくれたから、ノブタツも思い切りやった。でも、それが正しかったかどうか、今はわからない」

 

 兵が死んだ。戦だから仕方ないとはいえ、氏康と正面切って戦ったあの判断が本当に正しかったのかどうかはわからない。真横の兵が突かれて死んだのを覚えている。せめて一矢報いようとした兵が脳天を矢で射られて事切れたことも。

 

「ノブタツが思い起こす兄上の顔は、本物の兄上の顔じゃない。だからノブタツが勝手に頷かせただけかもしれない。戦ってよしって言わせたのかもしれない。兄上、ノブタツはやっぱりまだまだだな」

 

 いっそ憎いほどに透ける満点の夜空だったが、信龍はむしろそれでいいと思った。透けるからこそ、そこに思い浮かべた信繁の顔はきっと本物の兄が今の自分を見たときに浮かべてくれる顔と同じである気がするからだ。この夜空の下、別の場所で戦っている信繁がこの空を見上げていたら、そして自分を思い出してくれていたら、その顔がこの透ける夜空を通して見えるのではないか。雲が張っていればそれも見えないだろうが、今は満天だからこそそんなことも可能ではないかとさえ思う。

 そして信龍の目には、その夜空に浮かぶ信繁の顔は……穏やかに笑っているように見えた。

 

――それでよい。

 

 そんな言葉が聞こえたような気がしたのは、さすがに信龍の願望でしかないのかもしれないが。

 

「兄上。ノブタツは絶対に負けないぞ」

 

 戦への恐怖はある。体験して、やはりそう思った。怒りで突き進んだほどのこの直情こそが戦の最中はいい方に働いてくれたが、終わってみればやはり恐れが湧き上がる。

 信龍は手を頭に置いた。信繁の手の感触とはやはり違うけれど、信繁の穏やかな顔を思い出しながら手を動かすと、ほんの少しだけ満たされた気がする。心が鎮まっていく。第三者から見れば馬鹿みたいな姿かもしれないが、信龍にはそんなことは気にならなかった。だって馬鹿だから。自分は馬鹿だから。だから、馬鹿は馬鹿なりに強く生きる。

 

「絶対に、生きて兄上の下に帰るからな!」

 

 信龍はその手を、天に突き出した。

 

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 七里岩は甲斐の西、韮崎より信濃に至るまで続く丘だった。この七里岩が横断しているおかげで、韮崎から信濃に至る地は七里岩を挟んで南北に分断されており、韮崎とは、地図に表すと七里岩の終端がまるで韮の葉の先のようになって終わっているため、そこから取られた地名だった。

 信濃からの侵攻経路は韮崎に至るまで大きく3つに分かれる。すなわち、七里岩の北側と南側、そして七里岩の上を通ってくる道だ。ただしどこを通ったとしても、韮崎にて合流することになる。

 信玄は四千の兵を率い、この韮崎に陣を敷いていた。

 

「信玄様、伝令が参りました。小笠原と諏訪の信州勢は台ヶ原口より進軍しているとのことです」

「そうですか。して、笹尾砦は?」

「あの娘が一歩先んじたようで。小尾衆は中山砦へ撤退しました。笹尾砦は信州勢の手に渡った由」

「そうですか。虎繁、中山砦の撤退準備は?」

「順調っす!」

 

 床几に腰を落とし、赤い甲冑を着込んだ信玄は満足そうに頷いた。信玄たちの前には机。そして信玄の右には信方、その奥に原虎胤。左には諸角虎定、その奥に初鹿野忠次。最後に机を挟んだ向こう側には秋山虎繁が座っている。机の上に広げられているのは戦場の地図。敵に見立てた将棋の駒に似た形の木片を信方が動かし、中山砦を示す記号が入った近くへと置いた。

 中山砦には今も武川衆と小尾衆が籠もっている。合わせても五百に達するかどうかという兵力だが、彼ら精鋭は失わずに温存させ、合流して兵力の集中を図るのが信玄の意図だった。それは信繁の意思でもあり、笹尾砦の破棄は信繁の決定事項だ。ただ中山砦に関しては信玄の一存に委ねられていた。

 信繁は信玄に対して主力部隊のほぼすべての指揮権限を委ねており、信玄の好きにやらせていた。それだけ信頼されているということなのだろうし、そして信玄は信繁から課せられた試験のようなものであるとも受け取っていた。今まで自身の力を抑えることに集中していたが、もうその必要はない。とは言え、全開にしたらどれほどの力を示せるのか。それを御せるのかはまた別の問題だ。それをこの戦いで試せということなのだと。

 とは言え、この状況。1つ判断を誤れば武田の命運は尽きるやもしれぬ。だと言うのに試しをやれとは、受け取り様によっては暴君の所業である。兄はいったい何を考えているのかわからなくもなるが、その大胆を超えて無謀と言った方が適当かもしれないことをやらせながらも、信繁の提示した戦略は実に綿密に用意されたものだった。

 

「しかし信玄様、笹尾砦はともかく、中山砦まで破棄するのは如何なものでしょうか?」

「アタシも同感だねえ。中山砦は笹尾砦よりはまともな造りだよ。少しは戦える」

「五百で持ち堪えられるのですか?」

「あ〜、そう言われるとねえ……」

 

 虎胤は癖の激しいはねた髪をかきながら信玄の視線から逃れようとする。女性でありながら虎昌と並ぶほどの長身をがっちりと甲冑で覆い、この腕のどこに?鬼美濃?と呼ばれるほどの剛力があるのかと言いたくなるほど細く長い腕を肩口から露出させ、そして獣の毛皮を右肩に巻き付けた豪快な女傑。肩にかけた槍は普通の槍よりはるかに長く、長柄隊の持つ槍のものである。馬上での戦闘には適さないが、この虎胤は下馬して戦闘をする猛将であり、この槍を戦場で豪快に振り回して戦う姿は実に?鬼美濃?の名に相応しい。

 

「それに今回はとにかく時間との勝負。籠城戦で時間をかけるわけにはいかないのです」

「信玄様の御意見は御館様の御意思でもありますのでそこに異論はありませんが……兵力差がある現状で平地にてまともにぶつかっては不利かと」

「虎定、信州勢の兵力は?」

「八千です」

「それは総数でしょう。現状でこちらに向かっている信州勢の兵力を聞いているのです」

「は。伝令では六千です」

 

 虎定は信玄の不興を買ったかと少々身を縮めたが、信玄は別に気にしているわけではないようだった。虎定の回答に1つ頷くと、信玄は立ち上がって駒に手をやろうとして……届かないため、1つ咳払い。信方、と声をかけた。信方は何も言わず、少し慌てて返事をして駒を持つ。

 

「確かに現状の兵力差でぶつかればこちらも大きな損害を被るでしょう。兵をできる限り温存して対北条戦に残したい以上、真正面からぶつかるのは得策ではありません」

 

 できることなら一戦で済ませたい。欲を言えば勝利し、兵の損害も最小限に抑えて。そして取って返して北条との戦に臨む。

 それが理想の予定というものである。が、早々上手くいくわけもないし、信玄もそんな楽観論で物を考えられる性格でもない。

 現在、小笠原・諏訪の信州連合軍は総兵力八千で甲斐に侵攻し、小尾衆が籠もっていた笹尾砦を包囲。だがこれに全軍を向けたのではなく、精鋭とは言えただの小さな砦と思ったのだろう。これに二千を割き、残る六千で進軍を続けた。一揆勢が警戒していることが功を奏したか、これと争いたくないようで、信州勢は七里岩の南側、台ヶ原口方面を進んできている。釜無川に沿って韮崎へと向かってくる道だ。その途上にあるのが中山砦。ここにも精鋭の武川衆がおり、撤退してきた小尾衆と合わせて五百。

 だが信玄はこの中山砦も放棄を指示。すでに使者を出し、武川衆と小尾衆は撤退の準備を進めている。武川衆と小尾衆が無傷のまま信玄率いる武田軍主力に合流すれば兵力は四千五百。少しは差が縮まるし、精鋭で知られた彼らの存在は武田軍の士気を上げることにも繋がろう。

 

「忠次。笹尾砦に残った信州勢の数は?」

「二百〜三百ってトコですかねえ」

「まあ、そんなものでしょうね」

 

 城や砦を占領した場合、ここをどうするかが問題になる。焼き払って無力化してしまうか、それとも兵站として利用するか。信州勢はこれを利用することにしたらしい。

 だがそれは信繁や信玄の想定通りだった。

 笹尾砦は小さいが、信州からの侵攻を防ぐための国境守備のための砦であり、逆に攻め込まれて占領された場合もここを奪われると困るのは信州勢の方である。何しろここを奪取されれば信州勢は背後を武田に取られ、しかも信州からの補給物資が届かないということになるからだ。兵站の確保は軍事行動の必須事項。さすがにこれがわかっていないほど小笠原も諏訪も愚かではなかった。

 そしてそれが狙いでもあった。信繁も信玄も砦を破棄することで兵力の温存と集結を測ったわけだが、それ以外にも敵兵力を少しでも減らしていくこと――つまり敵兵力の分散にあった。占領するには兵が必要。守備兵を割けばどんどんと侵攻する軍の兵力は少なくなっていく。

 ただ過大な期待はしていない。小さな砦なのだからさほど兵を置くことはないだろうと思っていた。

 信州勢とてせっかく上回る数という要素を無駄にはしたくないだろう。予想通り、彼らは笹尾砦を包囲した二千のうち、数百の兵を砦に残して本隊の後を追わせている。彼らが中山砦にも同じくらいの兵力を置くと仮定して、本隊はおおよそ七千〜七千五百。武田軍主力の四千五百でもまだ開きがある。

 

「虎胤、忠次。2人で中山砦へ行きなさい。そしてできる限り慌てたふうを装って撤退してきなさい」

「このアタシに猿芝居しろってことかい、信玄嬢?」

「?鬼美濃?が必死で逃げ回る……小笠原長時や諏訪頼重からみれば実に愉快なことでしょうね。特に小笠原長時は」

「信玄様、俺まで行かんでもいいんでは?」

「怠け者の貴方までもが?鬼美濃?と一緒になって逃げ惑っている。一層真実味が出ていいではないですか」

「あらら。これはまた痛いところを突かれたもんで」

「ええい、虎胤! 忠次! 貴様ら信玄様に何という口の聞き方か!」

「いや、今更だし」

「そうカッカしなさんな、板垣の姐さん。これでもやるときはやる男だぜ。逃げろってんなら必死こいて逃げてやらあな」

「貴様は殿として残って果てて来い!」

「あ、姉上、落ち着かれよ。信玄様の前です」

「虎定の言う通りですよ。落ち着きなさい、信方」

「くっ、信玄様がそう仰るのであれば……」

「ここでいくらふざけようと構いませんよ。ただ……結果までふざけていたらそのときは容赦なく処罰しますが――いいですね、虎胤、忠次?」

「お、おお、了解だ」

「あっはははは! この覇気を浴びてはアンタも怠けてはいられないか!」

 

 信玄が一瞬発した覇気に、忠次は床几ごと倒れそうになるところをなんとか耐えながら返事をした。虎胤はさすがにその程度では応えないようで、横で信方が不服そうに睨みつけてくるのにも構わず机を叩いて忠次の醜態に笑いこける。こんなロクな軍議にもなりそうもない状況で、1人真面目でいることが馬鹿らしくなりながらも、虎定はどうしたものかと頭を抱える。将来は確実に禿げてしまいそうであり、すでに白髪がたまに混じってしまっている虎定としては堪ったものではない。

 しかし虎定の心配も杞憂のことで、信玄は平然としている。普段なら一括して黙らせるところなのだが、今の信玄は心に余裕というものができていた。

 もう隠す必要がない。そしてどんなに自分の実力を出しても信繁から疎まれる心配もない。

 信繁の作戦はよく考えられたものではあるが、出来すぎである部分も多く、綱渡りじみているところも多々あった。何か1つ上手くいかなかっただけで崩壊しそうな危うさも秘めている。完璧な作戦などありはしないが、それでもこの作戦は前提とする条件が多すぎた。修正すべき点は修正したが、それでも応急的なもの。時間もなく、充分な準備もしている余裕がない中である。やむを得ないと言えばやむを得ないのだが。信龍がいつまで岩殿で北条を抑え続けていられるか、信繁が綱成を防ぎ続けていられるか……それができることが前提での作戦など、危ないことこの上ない。それでも武田はこれを実行に移した。

 

――『皆、やらざるを得ないと思うな。悲観的に考えるはこれまで。行動すると決めたなら楽観的に考えようではないか。我らならばやれるからやるのだ。そう思うがよい』

 

 信玄は思い出し笑いをする。あの控えめを装っていた兄がああも自信家の如く振る舞うとは。

 

――『兄上には似合いませんね』

――『む……そうか?』

――『ええ。強い兄上もいいのですが、やはり私としては普段の兄上の方が落ち着きます』

――『そのようなものか』

――『そうでないと兄上をからかって楽しめませんし』

――『やれやれ。あの頃の純粋なお前はいったいどこへいったのか……』

――『失礼な』

――『どの口がそのようなことをぬかすか、この兄不孝者め』

 

 そんな会話を軍議の後に交わしたくらいだ。信繁もどこかで自覚しているような節があるが、信玄はやはり普段の信繁の方が好きだった。たまに強いところを見せられるとグッとくるものがあるのも事実だが、信玄としてはやはり信繁が自分の無茶に困っている姿の方がいい。

 

「どうかなさいましたか、信玄様?」

「いえ、何もありません。とりあえず伝令はこまめに、かつ欠かさぬよう。伝令役にもよく気付ける者を使いなさい」

「承知しました」

 

 信玄の情報への拘りは強い。信玄の命令に今でこそ信方たちも素直に従っているが、当初はここまで伝令や物見をいっそ執拗と言えるほどに放っている信玄に、臆病の表れと馬鹿にされかねませんと進言する将もいた。だが信玄はそれを「したければさせておけばよい」と返すだけ。

 信玄からすれば執拗とは思わない。むしろ信玄の頭の中には今後の武田の情報力に関しての策やその実践方法が模索されていた。

 孫子を是とし、兵法の師と仰ぐ信玄ゆえに、情報の重要性は信繁以上に考えていると言ってもいい。戦略を練るにも謀略を繰るにも、情報がなければ話にならないのだから。先ほどからくる早馬や伝令に対しても同じだ。信玄は表だって文句は言わないまでも、今しがた信方に注文を付けたくらいに目利きの優れた者に飢えている。目利きが優れていることはもちろんだが、持ってきた情報を如何に正確に相手に伝えることも重要だ。相手が頭の中で想像しやすいよう、豊富な語彙力と語りの才があるとなおよい。

 

(数多の方向に意識を傾け、手を伸ばし、情報を掴みとって脳に伝える…………そう、百足のような)

 

 幸い虫の1匹に怯える信玄ではないので、自らの足下をもぞもぞと動く生物を見ても信玄は別に引くことはなかった。むしろそれを見てそんなことを思ったくらいだ。

 

「あ〜、笑った笑った。んじゃ、アタシらは行くとすっかねえ」

「笑われたこっちはやる気激減だぜ」

「アンタにやる気があったなんて驚きだね」

「おい、虎繁。黙ってないで虎胤の姐さんに何か言ってやってくれ」

「グダグダ言ってないで早く逝ってくださいよ」

「……何でお前はそう御館様や信玄様以外には口が悪いんだよ。つか今、死ねって意味で行けと言ったよな?」

「聞き違いじゃないですか?」

「さっさと行け、貴様ら!」

「ほらほら、いい加減にしないと信方のただでさえ短い堪忍の緒が切れるから早く行くよ」

「世知辛い世の中だねえ」

 

 ぶつぶつと不平を言いながら虎胤の後に続いて陣を出ていく忠次。

 横で荒い息を吐いている信方を横目に、信玄はこうも変わるものかと黙って眺めていた。

 

(……父上のときは忠次でさえ一言も発さずにいたものですが)

 

 それだけ皆、内に不満を抱えていたということだろうか。それとも単純に信繁や信玄が緩すぎるのだろうか。

 信繁ならば気にしないのかもしれないが、信玄としては優しくしすぎるのも問題かと思っていた。縛り付けすぎることはしたくないが、かと言って不満を溜められても困る。厳しさを見せつつも懐の広さも見せる……言うが易し、行うが難し。今でさえ大変なのに、自分がいずれ当主となったとき、この凸凹な家臣団を率いていけるものだろうか。不安がないわけではないが、それ以上に予想される難題ぶりに早くも疲れたため息が漏れる。

 信玄は立ち上がり、どちらへと問う信方に少し1人になりたいだけだと告げて陣の奥へと向かう。新たな知らせがきたらどんな些細なことでも必ず知らせるようにと念を押すことを忘れない。

 

「さて、中山砦と笹尾砦で布石は打たせてもらいましたし。あとは信廉と勘助が上手くやってくれるだけでしょうか」

 

 信玄は夜空を見上げる。篝火が横で暗闇を照らし出す中、遮るもののない夜空は実によく見える。

 

「勘助が上手くやってくれれば一番いい結果になるでしょうが……最悪でも信廉がやってくれれば問題なし」

 

 信繁の意図するところは今のところ問題なし。だが決定的な部分では賭けに近いものがあるからこその補足策。そしてその補足策にしても機を上手く合わせなければならない。ずれれば効果は著しく減少し、作戦全体に及ぼす影響も甚だしい。これを可能とするには、こまめな情報と連携、そしてそれが可能な人員配置。その中心となるところに自分が指名されたことを、信玄は自身にかかる期待と重圧を感じると共に誇りにも思っていた。これが兄の自分への信頼を示すと思えば、俄然やる気も出てくるというもの。

 勘助を派遣したのは実に見事な人選と言えよう。勘助の知略ならば必ずや高遠を揺さぶることだろう。信廉との連携も問題はない。信玄と信廉の連携は双子でもないのに実に通じ合っている。顔が瓜二つというだけではないところを見せるいい機会だ。

 信繁がこの配置にしたのは、それが大きいのだろう。信玄と信廉、そして勘助。信玄と信廉は同性同士、そして互いに瓜二つだからか通じるところも多く、昔から一緒にいた。信繁が勘助を信玄のそばに置いたことにより、信玄と勘助も互いがどういう人間でどういう考え方をするのかを知る機会も多かった。機を合わせるとは息を合わせること。そのためには相手を深く知っておくことが大事だ。だからこの配置は実に適当ということになる。

 信繁と信玄でもよかったかもしれない。だが信繁は信廉を配置した。そして自身は時間稼ぎの任に当たった。

 

「……本当に当主としての自覚が足りませんね、兄上」

 

 総大将としてはそぐわない行動だ。

 結局、信繁は建前だけの総大将であることを選んでいる。

 

 

 

 

 

 この戦、真の総大将は信玄に他ならない。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 喉が鳴る。

 信玄はそうして初めて自分が緊張していることに気づいた。

 自らこそが作戦の根幹。自分が敗れれば武田家が滅亡する。これが総大将としての、当主としての重み。

 これを1人で背負うことは……信玄にはやはり難しい。少なくとも今は。

 けれどそれだけ立っていられるのは、やはりあの言葉があるからだろう。

 

――『私は、お前たちのために、生まれてきたのだ』

 

 何度その言葉を思い浮かべたことだろうか。馬鹿らしくなるが、信玄にはそれだけ大切な言葉である。

 そして大切に思うだけでは満足できない。今度は信繁を喜ばせたい。

 何をすれば信繁が喜んでくれるかと考えれば、今はとにかくこの現状を打開すること。武田軍の主力、集まった六千の兵力の半分以上を預けてくれた兄の期待を裏切らぬこと。その期待以上の働きをしてみせることに他ならない。

 本当に信繁は自分たちのために在ってくれている。こうして重圧にも耐えて立っていられるのは偏に彼の存在に他ならないのだから。

 

「必ず……勝ちましょう、兄上」

 

 ここにはいない、けれど同じ夜空の下にいる信繁に、信玄は語りかけるように呟いた。

 揺らがぬ覚悟と毅然とした決意と……そして穏やかな笑みと共に。

 

 

 

 

 

――続き――

 

-3ページ-

 

【後書き】

 本当は信廉と信繁の視点でも描き、彼ら全員が夜空を見上げている光景を描こうとかいう、戦の最中にロマンチックに浸ってんじゃねえと叫びたくなるが如き展開を思い描いていた私こと武田菱でございます。とりあえず信龍と信玄のシーンだけで結構な量になったので、これ以上長々となると1話分としてはダラダラし過ぎと思って泣く泣く諦めました。

 ……未練たらたらですね、泣く泣くって自覚してるあたりが。

 

 さて、そんなロマン主義的展開は脇に置いて。

 とにもかくにも戦なわけで、信龍の対北条戦から信玄の対信州勢戦へ。まだ衝突してはいませんが、信繁たちの作戦は刻々と進んでいます。史実にある、信玄が当主就任直後に起こった韮崎合戦では信玄が夜のうちに回りこんで信州勢の虚を突き、これを撃破したとあります。甲陽軍鑑にある記述通りならば、ですが。いちおうこの韮崎合戦が基になっている拙作ですが、作戦は北条軍と一揆勢のこともあってかなり変わっています。かなりと言うか別物ですかね。

 七里岩というのがどういうものなのか、私は見たことがありません。なので一度見に行ってみたいものですね。ググったり航空写真をネットで見てこんな感じかと想像して書いていますが。実物を見て書くとやはり違うでしょうし。

 台ヶ原口を通って進軍する信州勢。これも史実通りです。信春の旧名である教来石は現在でも地名として残っているようで、現在信州勢はそのあたりを進軍しているというイメージでおります。

 笹尾・中山の両砦を放棄する信繁と信玄。これを血気盛んな甲州兵や精鋭の武川衆や小尾衆が許すのかという問題もありますが、その辺りは今後の展開で。

 次回は信繁と信廉の視点での展開を考えております。

 

 以下は前回頂いたコメントへの返信となります。コメントありがとうございます!

 

>鳴海 匡様

 二次ふぁんの頃からとのお言葉、ありがとうございます。信龍を気に入って頂ければ何よりです。前々回の信虎に関しては反省すべき点もありますが、あの展開でいいという方もやはりおられるものなのですね。賛否が出るのは当然ですが、だからこそ難しいものですね。

 

>Leon様

 某漫画を意識したわけではないのですが、ちょっと前にジャンプで某漫画の本編前を描いたものが載ってたのでそれの影響を受けたのかもしれません。(笑)

 

>通りすがりのジーザスルージュ様

 信龍は武田の武を示す象徴といった紹介分が確か公式サイトかどこかで載ってた気がするので、それを少し(?)誇張したらああなりました。(笑)

 化け物にはしたくないですが、戦極姫では宇宙人だか未来人だかみたいなキャラも出るわ、3では主人公が天狗の弟子だったりするわ術使うわなので、これをどう扱うかが課題です。まあ、なぜ信繁が転生しているのかという解決していない問題もありますし、そのあたりでこういうちょいとファンタジー的な要素を上手く取り込めたらなあとも思います。あくまで歴史モノであることを逸脱し過ぎないように、ですが。3でも合戦で術使って圧倒とかいうことはなかったですしね。その辺りは守りつつやっていきたいと思います。

 

 他にも支援などして頂いている方、重ねてありがとうございます!

 近々資格試験を受けるので、その間は執筆を中断します。そのため更新がいつもより遅くなると思います。すいません。

 それでは今回はこれにて失礼します。

 

説明
戦極甲州物語の15話目となります。
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コメント
何でしょうね、兄は一切出てないのにこの兄妹のシンクロ具合は。見ていて胸が熱いですw 信廉や信龍が嫉妬するも道理ですねw 3の天狗の術は意外とシナリオ的には無理なく盛り込めていたと思いました。なんであの突拍子もない設定をぶっ込んできたのかはよくわかりませんけど(通りすがりのジーザスルージュ)
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