SAO〜黒を冠する戦士たち〜 第百二十三技 存在しない事件
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第百二十三技 存在しない事件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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キリトSide

 

俺はそれに気付いた……この場合は気付いてしまったと言っても過言ではない。

 

「どういうことだ……いや、っ、そうか…これが、絶対である一次情報の真実なのかっ!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

いきなり大声を上げた俺にアスナが驚きながらも聞いてきた。

 

俺は大きく深呼吸をして心を落ち着けてから言った。

 

「間違っていたんだ。俺達が見ていたのは…一次情報に見せかけた二次情報で、見ているつもりで見ていなかった。

 いや、そもそも圏内事件は……存在しないんだ」

 

「事件が、存在しない…?」

 

アスナは訳が分からないという表情をしている。

 

俺も理解したばかりなので実感が湧かないが間違いない。

 

「被害者は生きている……ヨルコさん、それどころかカインズ氏も…」

 

「そ、そんな……でも、二人が死ぬところを見たじゃない…」

 

俺はかぶりを振ってから説明した。

 

俺達が見たのは二人の装備の耐久値が無くなり、それと同時に転移したという消滅と移動のトリックである事、

ヨルコさん殺害の時に現れたローブの人物がカインズ氏であろうという事、

ヨルコさんに教えられていたカインズ氏の綴りが嘘であった事、

カインズと読める、既に死んでいた人物は去年の同日に死んでいた事、

二人の目的が『指輪事件』の犯人を見つけ出す事、

そして、シュミットが犯人となにかしらの関わりがあるかもしれないという事を伝えた。

 

「……それなら、シュミットさんはどうするのかしら?」

 

「おそらくだけど……グリセルダさんの墓があるとすれば、そこに行っているだろうな。

 多分、ヨルコさん達もそこに居るだろうな…」

 

俺の言葉に頷くアスナ。しかし、彼女は表情をやや曇らせて言った。

 

グリセルダさんの墓が圏外にある場合、二人はシュミットを手にかけるのでは、と。

 

それはありえると思ったが同時に無いとも思った。

 

俺はアスナにヨルコさんとのフレンド登録が継続しているかを尋ねたところ、継続していた。

 

「これに気付いていれば事件のカラクリが分かったんだけどなぁ…。

 でも、ここから手口がバレる可能性もあったのに、どうしてフレンド登録を……」

 

「俺達への謝罪と信頼、というところかもしれないな……。ヨルコさんの位置追跡、してみたらどうだ?」

 

「うん……19層の主街区から少し離れたフィールドにいるわ。

 ということは、ここがグリセルダさんのお墓なんでしょうね…」

 

「そうみたいだな……なんにせよ、今回はしてやられた…まんまと乗せられたよ」

 

「うん、そうだね…」

 

俺は大きく息を吐いてから脱力するように、椅子に深く座り込んだ。

 

圏内事件、並びに指輪事件はこれで終わりだ。そう思うのだが、何かが心に引っ掛かっている。

 

なにかを見逃している、そう思う。そこでふと疑問に思った事を口にした。

 

「そういえば……結婚してストレージが共通化されるけど、離婚するとどうなるんだ?」

 

アスナは少々驚いた様子を見せてから答えた。自動分配などの様々なオプションがある、と。

 

だが、これだけではどうにも違和感が消えない。

 

「……ヒースクリフに聞いてみよう。あいつならもっと詳しく知っているはずだ」

 

俺がそう言うとアスナはすぐにメッセージを飛ばしてくれて、返信はすぐにきた。

 

内容はこうであった。

 

ストレージの扱いは自動等価分配、交互選択分配、パーセンテージの分配が可能という。

 

無条件離婚は分配率を自分0、相手100の場合のみ可能らしい。

 

「自分0…相手100……自分は無し、相手に全てを……っ!? そう、か!!!」

 

「な、なに!?」

 

俺は気付いた、もう一つのトリックに。またもや驚愕する俺にアスナが訊ねてくる。

 

「自分100、相手0に分配を行える方法がある……死別だ…」

 

「え、それって…どういう…?」

 

疑問に思う彼女に喋っていく。

 

結婚相手が死んだ瞬間…つまりグリセルダさんが死んだ直後に、

アイテムは全て結婚相手であるグリムロックのストレージ、あるいは彼の足元にドロップされたはず、と説明した。

 

聞いていたアスナはみるみると顔を青くさせていく。彼女も悟ったようだ。

 

「指輪は奪われていなかった……いや、奪われていた、か。

 グリムロックは自身のアイテムを奪っていた……彼が指輪事件の、黒幕だ」

 

「そ、んな……」

 

ショックのあまりに立ち尽くしているアスナ。それでも俺はまだ腑に落ちないところがある。

 

凶器として用意された短槍と短剣、あれらを製作したのはグリムロックに間違いないのだ。

 

製作を依頼したのが圏内事件の計画者で実行者でもある、カインズ氏とヨルコさんなのも確実だろう。

 

だが、グリセルダさんを殺したのがグリムロックだとしたら、彼は((犯罪者|オレンジ))のはずだ。

 

それを知ってあの二人が製作を頼むだろうか…いや、ありえない。

 

それならば彼女への殺人の実行犯は((殺人|レッド))プレイヤーであると予測出来る。

 

グリムロックが依頼し、それなりの((金|コル))を用意すれば奴らは動く……金?

 

どこからそんな金を用意するんだ…指輪……売却した指輪の代金!?

 

ならグリムロックは事件を闇に葬る為にあの三人を!

 

全ての辻褄が噛み合い、理解した俺はすぐさま動き出す。

 

「アスナ、今すぐヨルコさん達のところに行くぞ! グリムロックは三人を始末するつもりだ!」

 

「なっ!?」

 

ショックから現実に引き戻されたアスナはいきなりの言葉に驚愕している。

 

「おそらくレッドをぶつけてくるはずだ。同時にグリムロックも現場付近に現れる。アスナは彼を捕らえてくれ」

 

「キ、キリト君は!?」

 

「俺は……現場に乱入する」

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

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後書きです。

 

ついに謎が解き明かされた・・・キリトぱねぇ〜。

 

次回はついにラフコフトップスリーの登場です、皆さんお待ちかねですね。

 

原作と違い、ちょいといざこざがありますので少しだけ期待を。

 

それでは、また・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
第百二十三話です。
ついにキリトが事件のトリックに気付きました。

どうぞ・・・。
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コメント
アサシン様へ キリト「やってみましょう」(本郷 刃)
ラフコフの三人衆到来、ブッた切れ♪(アサシン)
神薙様へ 拷問道具ですか・・・それもいいですね〜。ま、そこまではしませんよ、少しばかりのいざこざですw(本郷 刃)
な…ならば俺もベヨネッタのごとき拷問道具を用意せねば…あっ、なんだか楽しそうだな…くふふふふ(神薙)
神薙様へ なのことでしょうか・・・・・・・・・ふっ(ニヤリ)(本郷 刃)
怖っ!?(神薙)
神薙様へ ・・・・・・・・・ふっ(ニヤリ)(本郷 刃)
サイトさん>いや、それがもしも馬に乗って上からの落下攻撃っていう方法だったら、色々な法則を律儀に再現しているSAOだと即死ですよ!?(神薙)
サイト様へ それはそれで面白そうですねww(本郷 刃)
魅沙祈様へ ええ、すこしばかりです・・・(ニヤリ)(本郷 刃)
RevolutionT1115様へ そこらへんは次回で確認を・・・(ニヤリ)(本郷 刃)
Poh「standby....standby」→Poh「it's showtime」  キリト「イッツショーターイム」・・・こんな感じですか?ww(サイト)
すこしばかり、ですか…(うふふ…♪)(魅沙祈)
頭の回転早ww問答なしでいきなりラフコフに討ちかかりそう。このキリトさんは巧みな乗馬スキルで現場到着するんだろうなぁ、落馬じゃなくてwww(RevolutionT1115)
不知火 観珪様へ すこしばかり、ですよ・・・(ニヤリ)(本郷 刃)
プーさん登場! さてさて、ハイスペックキリトくんとラフコフメンバーはガチで刃を交えるんですかね? 交えるんでしょうなーあんだけ怒らせちゃったしww(神余 雛)
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