魔法少女リリカルなのは〜ゼロから始まる転生者達〜15話「放課後の図書館」
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「――というわけで、高町さんと狩谷さんは家庭の事情で何日かお休みするそうです」

 先生から告げられた言葉で教室は少し騒然となった。

 僕は、昨日メールでなのはちゃんから直接知らされているけど、ジュエルシードがまだ全部集まっていようだし、おそらくそれに関係することかな。けど休んでまで探さないといけない状況なのかな……

「高町さんと狩谷さんがいない間、ノートとプリントは」

 すると、後ろの席から誰かが席を立って名乗りをあげた。

「はい!あたしがやります」名乗りをあげたのはアリサちゃんだった。

「あ、じゃあ僕はつぐ――じゃなくて狩谷君の方をやります」

 その後に、名乗りをあげたのは、……えっと、たしかつぐみち君と一緒に居たような気が……

「じゃあ、バニングスさんと三島さんお願いしますね」

 あーそうか、三島君だったね。つぐみち君の友達の。名前は思い出せないけど……

 

 学校の会議で授業は昼までで終わったし、これからどうしようかな。教科書をランドセルの中へと片付けているとすずかちゃんが歩み寄ってきた。

「みつる君これから私、図書館へ行くんだけどみつる君本好きそうだし、一緒に行かない?」

 図書館か。そういえば、この間学校の図書室で借りていた小説の続き、借りられていたから一緒に行こうかな。アリサちゃんも誘ってみよう。

「ア、アリサちゃん、一緒に図書館に行く?」

「ごめん。午後から映画を見に行くからまた今度ね」

 そうか……じゃあとしみつ君は、っとたしか友達との約束があるんだっけ。だめ元で聞いてみるか。

「としみつ、つ君、一緒に図書館に行かない?」

「わりぃ。友達との約束があるんだ。じゃあな」

 冷淡な口調で答え、としみつ君はさっさと教室を出てしまった。

 ……どうしたんだろうとしみつ君、不機嫌そうだったけど、なにかあったのかな。

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 僕とすずかちゃんの二人は図書館に入り『海外文学』の棚の前へ行くとすずかちゃんが話しかけた。

「私、海外文学の方に読みたい本があるけどみつる君は?」

「ぼ、僕は、歴史の本を読みたいから別々になるね」

「じゃあ、あそこの机でまた会おうね」

 すずかちゃんと一旦別れ目的の本を探し始める。

え〜と、『ヤッホー、龍馬』5巻はどこだろうな。歴史本だから歴史の棚にあるはずだけど。

 本棚の側を歩きつつ、本の種類が書かれているネームを一つずつ見る。

 一つ目……『絵本』違う。二つ目……『地理・統計』違う。三つ目……『天文・星座』違う。四つ目……『日本文学』違うな。――おや?

 『日本文学』の棚を一瞥して移動しようとしたら、車椅子に座っている茶髪の女の子が上の法にある本を取ろうとしているのを見つけた。だけど、車椅子に座っているせいか、上の本まで手が届いていなかった。あのまま放って置くわけにもいかず、彼女のところへ近づき彼女が取ろうとした思う本を取り、その本を見せる。

「ねえ、こ、これかな?取りたい本」

「うん。ありがとうなぁ」

 ん?関西弁?関西の子かな?まあ、アリサちゃんみたいに海外からの子もこの町にはいるし、関西人がいたとしても不思議じゃないか。彼女に本を渡して僕は目的の本を探す。

「ちょい待って。自分何の本探してんの?」

「『ヤッホー、龍馬』だけど」

「それなら、ここから二つ隣の棚の左下にあるよ」

 彼女に教えてくれた通りに二つ隣の棚の左下を探すと『ヤッホー、龍馬』のシリーズがあり、丁度僕が探していた5巻もあった。その本を取って待ち合わせの所へ行こうとすると茶髪の女の子に再び出会った。

「さ、さっきはありがとう」

「ええんよ。本取ってもろうたんやしお互い様や。私、八神はやて言います。はやてって呼んでな」

「ぼ、僕は、冨士ヶ崎満。僕の方も、な、名前の満でいいよ」

「何かの縁やし、ちょっと話そうか」

「うん。じゃ、じゃあ車椅子押していくね」

 八神さんを待ち合わせの机の傍にまで押していき、僕は横の椅子に座る。

「そういえば、その服聖祥の制服やろ。私も一応聖祥の生徒なんや」

「そっ、そうなんだ」

 見た目は同い年ぐらいだけど八神さんの顔は一度も学校で見たことがないけど、車椅子だから休学中なのかな。けど、学校側は車椅子の子でも応対するはずだけど……

「私、男の子と話すん初めてでなあ、気になることがあるんやけどええか?」

「ど、どんな事?」

 男の子に聞きたい事ってなんだろう?

「男の子は、おっぱいが好きって聞くんやけどそうなんか?」

 お、おっぱいす、好き……

「な、なに恥ずかしい事言っているの!!」

 はやてちゃんのハレンチな言葉に思わず大声を上げて椅子から立ち上がってしまった。

「おわっ!?ビックリしたわ」

「公共の施設でお、お、おっぱいの話をする方が驚くよ!!」

 女の子が男の子に、お、おっぱいの話をするなんて恥ずかしくないのかな!?聞いたこっちが恥ずかしいよ!

「みつる君、しー声大きいよ」

 聞き慣れた女の子の声が聞こえ、振り向くとすずかちゃんが口元で指を一本立てて『静かに』のジェスチャーをしていた。

「周り、周り」

 さっきの話で頭に血が上って気づかなかったが周りの人たちが僕に注目していた。

「ご、ごめんなさい」

 周りの人たちに謝り静かに椅子に座った。

「あれ、みつる君その子……」

「ん?し、知っているのすずかちゃん?」

「うん。よくここで見かける子だから顔を覚えているの。私、月村すずか」

「すずかちゃんいうんか。私もときどきここの文学の棚の方でよく見かけてたんや。私、八神はやて言います」

 しばらく三人の本の趣味や雑談を続けたが、すずかちゃんとはやてちゃんはかなり意気投合しているな。二人の本の趣味が文学系や恋愛系だからかな、それに関しての話も弾んでいるようだし。まあ、僕は主に歴史系の本が好きだからまったく話についていけてないけど……今度文学系の本でも読んでおこうかな。

「そういえば、みつる君ってウブなんやな。私がおっぱいの話したらあっちゅうまに顔が真っ赤になったし」

「む〜その話を蒸し返さないでよ」

 なんでそんなに軽く言えるんだろうな。はやてちゃんってそういう話が好きなのかな、変態行為に走らなきゃいいんだけど。

 ふと、時刻を確認してみるとそろそろ自主練の時間に近かった。そろそろ帰らないといけないな、まだ本を読み終えてないから借りていくか。

「僕、よ、用事あるから先に帰るね」

「あ、じゃあ私も。はやてちゃんは?」

「私はもう少しおるわ。ほな、二人ともまたな」

 僕達は、はやてちゃんにさよならを言い、図書館を出た。一ヶ月に二回は図書館に行こうかな。興味がある本が結構いっぱいあったし、はやてちゃんとまた話をしたいしね。

「ところで、さっきの話のことなんだけど――みつる君はおっぱい好きなの?」

「違う!!」

 なんで堂々と言えるんだろうね女の子は……

 

15話「放課後の図書館」 終わり

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