魏エンドアフター〜襲撃〜
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「伝令!蜀、呉両国に五胡軍の軍団が向かっているとの情報!その数凡そ200万!

 至急援軍を求むとの事です!!!」

 

桂花「な……!200万ですって!?一体そんな数の人間がどこから──!」

 

稟「今まで大人しくしていたのは軍事力を高めるためだったのかもしれません」

 

風「華琳様、魏からの援軍はどの程度出せますか?」

 

華琳「そうね……100が限界ね、この国にも襲撃があると考えて戦力は残しておくべきでしょう」

 

桂花「では、50万ずつ各国に向かわせましょう。風」

 

風「はいはいー。では秋蘭ちゃん、季衣ちゃん、流琉ちゃんは呉へ

  お兄さんを含め北郷隊と霞ちゃん、桂花ちゃんは蜀へ向かってください。

  風と稟ちゃんと春蘭ちゃん、詩優ちゃんはここに残ります」

 

春蘭「な、なぜ私がここに残らねばならんのだ!?私も行くぞ!!」

 

風「落ち着いてください。

  春蘭ちゃんまで行ってしまったらもしもの時誰がこの国を守れるのですか?

  春蘭ちゃんはこの国の要とと言っても過言ではないのですよ。

  お願いします、我慢してください」

 

普段のぽけーっとした雰囲気からは考えられないくらい真剣な表情で訴える

 

春蘭「……くっ!……わかった」

 

華琳「私も呉へ向かうわ、何か嫌な予感がするのよ」

 

一刀「…………」

 

胸の中で何かがざらつく。

五胡軍?本当にそれだけだろうか?

嫌な予感が胸の中を駆け巡る。

 

一刀「星、頼みがあるんだ」

 

星「明花はお守りします、一刀は蜀への援軍をお願いします」

 

一刀「ありがとう、明花は星に懐いてるからね。

   少しでも安心できる人の下にいさせてやりたいんだ」

 

星「くすぐったいものですね。

  ……おまかせを。

  この趙子龍、命に代えても守り抜いて見せましょう」

 

一刀「ちがうよ、星。君も必ず生きるんだ。約束だぞ」

 

正面からまっすぐに目を見て言う。

必ず生きると

 

星「……ふふ、承知しました。

  必ず皆で生き残るとしましょう」

 

一刀「ありがとう」

 

華琳「ではこれより呉、蜀へ援軍を出す!

   今こそ三国の誓いを果たすときだ!必ず友を助けるのだ!行け!」

 

一同『はっ!』

 

なぜいきなり攻めてきたんだ?

……それに五胡が攻めてきたのは呉と蜀のみ。

魏はまだ攻められていない。

何か狙いがあるのか?それともただ単に軍事力の低い国から潰そうとしているだけなのか?

今までずっと大人しくしていたのには何か狙いでもあったのか?

 

くそ……!なんなんだ一体……!!

 

各々が各国へ向かう。

なぜこの時期なのか。

なぜ魏は狙われていないのか。

わけの分からない気持ち悪さを抱えながら。

 

 

 

 

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数日後

 

「伝令!魏からの援軍凡そ50万とのことです!」

 

愛紗「50万か。

   我が軍は今30万。

   五胡の軍団は100万……いけるか?」

 

朱里「問題はないと思います、正直援軍はもっと少ないものだと思っていましたから。

   曹操さんのおかげで大助かりです!」

 

翠「まったく、なんだっていきなり大群で攻めてくるんだ?

  この前までは襲撃があってもかなり小規模だったのに……」

 

紫苑「そうね……何か狙いがあるのは確かなんだけど……」

 

桔梗「今までの小規模での襲撃は何かを探すためではないのか?そしてそのありかを突き止めた」

 

雛里「ですが呉にも向かっているようですし、……探し物はひとつではないのでしょうか?」

 

桃香「とにかく、今は街の皆を守る事を考えよう?皆も無理はしないで必ず帰ってきてね!」

 

一同「御意!」

 

 

 

 

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雪蓮「50万ね。

   思ったより多くて助かったわ」

 

冥琳「ああ、これなら何とか撃退はできそうだ」

 

穏「なんの兆候もなしにいきなり100万ですからね〜、助かりました〜」

 

明命「しかし魏は大丈夫なのでしょうか?蜀も攻められているのですから魏も時間の問題かと──」

 

祭「戦力は残してあるはずじゃ、今は我が国の防衛のみを考えよう」

 

蓮華「そうね、必ず民を守って見せるわ。

   呉への侵略を後悔させてやりましょう」

 

雪蓮「これより敵軍の撃退へ向かう!民を危険に晒すわけには行かない!

   なるべく街から離れた場所での戦闘を行う!!

   侵略者を許すな!平和を勝ち取れ!行くぞ!!」

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』

 

 

 

 

 

 

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一刀「五胡はあとどれくらいで蜀軍と衝突するんだ?」

 

桂花「あと2、3日ってとこでしょうね。

   あたしたちが到着するのと然程ズレはないから手遅れになる事はないはずよ」

 

一刀「そうか……」

 

どうしても嫌な予感が消えない。

それが蜀なのか呉なのかはわからないが、どうしようもなく胸が騒ぐ

 

凪「隊長、どうなされたのですか?顔色が悪いですよ」

 

真桜「何か思う事でもあるんか?それとも体調悪いんか?無理はせんほうがええで」

 

沙和「そうなの〜、隊長が倒れちゃったら元も子もないの〜」

 

一刀「いや、大丈夫だ。

   今はとにかく急ごう。

   相手は妖術使いだ、何をしてくるかわからない」

 

50万の兵を率いて馬を駆る。

只々先を急いだ

 

 

 

 

 

 

「そろそろですね、ふふふ。それでは皆さんには私の掌で踊っていただきますよ」

 

「ふん、さっさとしろ。貴様はいつも無駄な事が多いんだ」

 

「おやおや、相手が苦しみもがく姿を見るのは至高のひと時ですよ?」

 

「このサド野郎が。──兀突骨」

 

兀突骨と呼ばれた大男はゆっくりと立ち上がる

 

兀突骨「俺はどこを滅ぼせばいいんだ?」

 

「バカか。滅ぼすのではない、我らの私物を引き取りに行くだけだ」

 

兀突骨「おっとそうだったな。

    しかしそのついでに国が滅んだとしても、それは仕方ない事だよな」

 

「……好きにしろ」

 

「もう良いでしょう。

 それでは向かってください、良い報告を期待していますよ」

 

 

 

 

 

 

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数日後、すでに蜀は五胡の軍団と衝突していると報告が入った

 

桂花「戦局はどうなっているの?」

 

「はっ!蜀軍は敵との戦力差をものともせず均衡を保っています!」

 

……おかしいわね。

相手は100万、蜀軍は30万。

いくら諸葛亮でも70万の戦力差を埋めるなんて──

 

「敵軍はどうやら指揮するものが居ない模様。陣形などなく只突き進んでくるだけのようです」

 

桂花「そう、いくら数が増えても所詮は烏合の衆ってことね」

 

……いや、まさか。

 

桂花「五胡軍の動き。かなり遅いんじゃない?」

 

「そのようです。引けば押し、押せば引くといった状況のようです」

 

「伝令!洛陽へ進行する白装束の軍を発見!敵の数凡そ50万!至急応援を!」

 

やはり──!

しかし今から援軍を送ったとしても到着するのはどんなに急いだところで数日は掛かる

……あいつの言う通りにしておいて正解だったわね。

 

桂花「私たちはこのまま援軍に向かうわ。

   もう手は打ってある、私たちは自分の為すべき事をするのよ」

 

 

 

 

 

 

 

稟「とりあえず街の者は皆近くの街に避難させました」

 

風「はいはいご苦労様ですー」

 

春蘭「……?なぜやつらは攻めてこないんだ?」

 

星「ふむ、動く気配は無し。

  となれば……我らを見張っている。

  または何かを待っているということだろうか」

 

風「こちらもそれなりの数が居ますからねー、下手に攻め込む事ができないのでしょうか」

 

稟「それにしても……不気味ですね」

 

そう、ここから僅かに目視できるほどのところ、もうすぐ衝突というところで白装束は進行をやめた。

 

星「あちらが動かぬ限りこちらも下手に動く事はできない。しばらく様子を見るしか──」

 

稟「ええ、偵察隊によればまったく動く気配がないという事ですし、我々は──」

 

「で、伝令!!!」

 

いきなり後ろから叫び声とも取れる声。振り返ると伝令係の男は血にまみれていた

……なぜ街の方から来た者がこれほどまでに傷ついている……?

こういう時の予感というものはよくあたる

 

「じ、城内に敵が侵入!至急応援を求みます!」

 

案の定それはこちらにとってはあってはならない出来事だった。

 

稟「なっ──!そんなバカな事があるはずはない!敵はこの先にいるのだぞ!」

 

風「どうやらこの先の敵さんも動き出したようですね。これは少々まずいのです」

 

春蘭「くそっ……今すぐ洛陽へ引き返すぞ!」

 

星「待て!今我らが引き返せばこの先の敵がなだれ込んでくる、それは避けねばならん」

 

春蘭「ではどうするのというのだ!」

 

星「私が引き返そう。

  皆はこのまま目の前の敵を殲滅してくれれば良い、兵を少々借りていく」

 

風「……すみません星ちゃん。まさかこんな事になるとは思わなかったのです」

 

星「気にするな。

  魏の将でない私が残るよりも春蘭達が指揮したほうが兵の士気も高まるというものだ。

  それに一刀とも約束しているのだ。

  必ず守ると。

  ……では武運を祈る!!」

 

言うが否や馬に跨り踵を返す。

そして全速で城を目指した。

 

春蘭「ぬぅ……!さっさと目の前の敵を殲滅して戻るぞ!!」

 

 

 

 

 

城に残っている兵はどれくらいだ?なぜ侵入された?どうして鎮圧できない?

侵入を許すほど少数なら城に残っている戦力でも鎮圧は可能なはず。

それができぬというならば──

 

星「余程の強者が居るという事か」

 

それも多分尋常ではないだろう。

いくら一般兵とはいえ日々訓練は積んでいる。

それを踏まえて尚侵入を許し鎮圧ができないというのだから。

 

星「明花……!」

 

只ひたすらに駆けた。

あの無垢な笑顔を再び悲しみに染めてしまわぬように。

 

 

 

 

 

 

星「はっ、はっ、はっ──」

 

ようやく到着した。

街にはこれといって被害は見当たらない。

城内へ侵入ということは間違いない、狙いは明花だろう

城の門を潜るとそこには目を疑う光景が広がっていた。

所々壁や天井、床などが破壊され兵士や白装束の死体が転がっている。

その死体を見るにこの兵士は切り殺されたのではないということがわかった。

 

──潰れている。

 

鎧は砕け、武器は折れ、身体には殴打の痕と見られるものがある。

しかしそれは通常考えられないほどの腕力だった。

明花を探し回っている最中に見かける兵の死体は殆どがそのような状態だった。

 

星「明花……明花ッ……!」

 

どこにも見当たらない、一瞬最悪の光景が脳裏を過ぎる。

そんなことあってはならない、頭を振りその光景を打ち消す。

あの村の事件以来、こんな血生臭いことには一切関わらせるつもりはなかった。

城ならば安全だと思っていた。

全力で走り続けた、それでも尚見つからない。

残るは──王間か!

この広い城内を休み無く走り続けた。

そして王間の扉を開き──見つけた!!!

 

明花は王間の玉座の後ろで縮こまっていた。

その小さな身体を震わせて。

 

星「はぁ、はぁ──よかった……」

 

ようやく見つけた安堵からかどっと疲労感が押し寄せる

 

星「明花、大丈夫か?怪我は無いか?」

 

ぶるぶると震えている身体をそっと包み込み、怖がらせないように優しい声音で聞く

 

明花「……おねえちゃん?」

 

震える声で、ゆっくりと顔を上げ星を見上げる。

 

星「あぁ、私だ。

  よかった、本当によかった……!」

 

思わず抱きしめてしまう、少し苦しそうだったが我慢してもらおう

 

星「よし、早くここを抜けて安全な場所へ──」

 

 

 

 

「見つけたぞ。こんな所に居たのか」

 

星「!?」

 

王間を出ようと扉へ向かおうとした瞬間、扉の奥から大男が出てきた

 

その身体には返り血がべっとりと付着しており、

武器は持っていないものの拳には大量の血がついている。

 

星「……ここの兵の大半を葬ったのは貴様か」

 

???「ん?ああ邪魔してくるんだからしょうがないだろう?正当防衛って奴だ」

 

こちらは殺気をむき出しにしているというのに眉一つ動かさない。

 

星「貴様、何者だ」

 

???「あ?人に名を聞くときはまず自分からってお母さんに習わなかったか?……まぁいい。

    我が名は兀突骨。

    訳あってその嬢ちゃんを引き取りにきたんだが──お前も邪魔をするのか?」

 

兀突骨と名乗る男の身体は相当な強度の鎧でその体躯を覆っているようだ。

その上から羽織っている白装束は血に塗れ赤黒く変色している。

そしてその男が放つ殺気は尋常ではない、というよりも異様だった。

言葉では言い表せない気持ちの悪さが身体を包み背中には冷や汗が流れる、しかし

 

星「この娘を引き取りに来たと──そう言ったか?」

 

兀突骨「ああ」

 

こいつにこの子を渡したら間違いなく殺されるだろう。

あるいは直接的では無いものの何かしらに利用し殺すであろう。

……させるものか。

この娘はもう十分に苦しみを味わった。

母が殺されるというこの世で最も辛い苦痛を味わった。

その上この子までもが殺される?冗談ではない。

絶対にさせない。

何が何でも守り抜いてみせる。

この子の幸せを。

 

星「ならば、私を倒さねばこの娘は貴様の手には渡らんぞ」

 

兀突骨「そうか、お前も邪魔立てするのか。

    ──残念だ。

    あまり女を殺すのは気が進まんのだがな」

 

その言葉とは裏腹に嬉々とした表情を浮かべる。

この男は只殺戮を楽しんでいるだけなのか。

 

星「……下衆が。我が正義の槍で貴様を葬ってくれる」

 

兀突骨「ああ気が進まん。

    気が進まんが邪魔されちゃ仕方ないよな、正当防衛だもんな」

 

言っている事が滅茶苦茶だ、自分で攻め込んできて正当防衛とは。

この男は狂気に染まっている。

身体の芯からどっぷりと狂気に浸かっている

 

星「明花、この部屋を抜けて真っ直ぐに外へ向かえ。

  道中は誰もいない、ここよりは安全なはずだ」

 

明花「え……?お姉ちゃんは?」

 

星「私か?私はこの男に少し仕置きをしなければならんのでな。

  後からすぐに追う、気をつけるんだぞ」

 

頭に手を乗せぐりぐりと撫でる

 

明花「……うん!わかった!」

 

そう言ってたたたっと部屋の外に出る。

……これで安心だ。

外に出れば私が連れて来た兵が保護してくれるはずだ。

 

星は男に向き直る。

対峙したときからすでに分かっていた。

 

──この男には敵わないと。

 

しかしわかっていても武人の心が退く事を許さない。

何よりあの子を守りたいという意思は曲がらない。

 

……ふふ、私の命運もここまでかもしれんな。

戦いの中で死ねるなら武人としてこれ以上の名誉はない。

 

一刀。

貴方との約束はどうにも守れそうにありませぬ。

お許しください。

 

兀突骨「あーあ、勝手な事されちゃ困るんだよなぁ。どうしてくれんのよ」

 

星「言っただろう。

  あの娘を奪いたければ、私を倒すほか無いと」

 

兀突骨「そうか、なら仕方ない。

    ──お前を殺そう」

 

先程から放っていた殺気の比ではない殺気。

辺りの空気さえ飲み込んでしまいそうな異様な空気。

しかしそれに臆するわけでも、退こうとするわけでもない。

その男の前に立ちはだかる。

 

 

 

 

 

 

星「北方常山の趙子龍、いざ参らん!!」

 

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魏エンドアフター 魏√ 真・恋姫†無双 恋姫 北郷一刀 主人公強化 

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