超次元ゲイムネプテューヌmk2BURST
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「…此処も行き止まり、か…ハァ。仕方ない、引き返そう」と、シンヤはため息をつきながら来た道を引き返し始めた。

 

ネプギア達と別れて探索を開始してから数十分、シンヤは未だにゲイムキャラらしき物は見付けられなかった。

だが、その代わりに見つけるのはモンスター達だけである。

巨大な茸の様なものであったり、リスに猫のパーツを付け加えたものであったり、

さらには、スー○―○リオブラザ○○に出る土管から出てくる人食い草みたいのだったりと様々である。

 

中でも驚いたのは巨大な狼型のモンスターである。それはヴァジュラと同じ様な大きさで、攻撃も引っ掻き、噛み付き、飛び掛り、タックル…とヴァジュラの攻撃方法と良く似ていたので、一瞬、新種のアラガミか?と疑ったものである。

が、一つ一つの動作はヴァジュラよりも遅く、それに特殊な能力も有しておらず、倒した後、直に消滅してしまった事から、アラガミでない事が分かった。

 

♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜

 

すると、シンヤのジャケットに仕舞ってあるNギアから着信音が聞こえてきた。

(Nギアは協会を出発する時に、イストワールから予備の物を渡された)

 

Nギアの通話ボタンを押してその電話に出る。

 

「此方シンヤだ」

 

『あ、シンヤさん、私です』電話の相手はネプギアだった。

 

「ネプギアか、如何した?」

 

『えっと、ゲイムキャラの事なんですけど…』

 

「あぁ、こっちは収穫ゼロだ。そっちは?」

 

『こっちも駄目でした。でも、アイエフさんがゲイムキャラらしきものを見つけたと言っていて、直に其処へ来て下さいとの事でした』

 

どうやら、アイエフがゲイムキャラらしき物を発見したようだ。

 

「本当か? …だが、アイエフが何処に居るのかなんて分かるのか?」

 

『えっと、多分Nギアにアイエフさんの携帯電話のデータが登録されているはずです。そこから電波を逆探知すれば、アイエフさんの場所が分かるはずです』

 

いわゆるGPSと同じ原理である。

 

「分かった、調べたら直にそこへ向かう。…それと、アラガミを見たか?」

 

『アラガミですか?いえ、見かけませんでしたよ?』

 

確認するように尋ねたが、どうやらアラガミは見なかったようだ。その言葉に安堵するように息を吐く。

 

「良かった。なら、良いんだ。なら、気をつけろよ」

 

『分かってます。シンヤさんも気をつけて』

 

そう言うと電話は切れた。シンヤはネプギアに言われたとおりにNギアを操作すると、アイエフの現在位置が表示された。

どうやら場所はそう遠くなかったので、シンヤは急いでその場所に走って行った。

 

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「遅いわよ」着いて早々、そんな言葉がかけられた。

 

シンヤはアイエフが指定した場所へ向かう途中、オウガテイルを見つけたのだ。それも三体も、だ。

その三体全て討伐していたら到着に大分時間が掛かってしまったのだ。

 

「いや、アラガミが徘徊しているのを見たんでな、それを倒していたら遅くなってしまったんだ。本当にゴメン」

 

「ま、理由は大体予想できていたけど、もう少し早く来なさいよね」とアイエフが言葉を掛けると

 

「まぁ、善処するさ」と苦笑しながらそう答えた所で、シンヤは話題を切り替えた。

 

「ところで、ゲイムキャラは何処にあるんだ?」と、尋ねるとアイエフはちょっとした広場くらいの足場の先を指差した。

 

「ほら、あそこにそれっぽいのがあるでしょ?」

 

指された方向を見ると、確かに台座のような物の上に、何かが置いてあるのが見えた

 

「あぁ、確かに…? あれは、誰だ?」

 

ゲイムキャラらしき物の近くに、誰かの人影があった。そしてそこから、何かを壊そうとして、硬い物を叩き付けるような音が聞こえてくる。それが、ゲイムキャラに対して行われていると分かるまでに時間は掛からなかった。

 

「なっ!? おい、何やってんだ! やめろ!」

 

そう大声で叫ぶと、人影はゆっくりと振り向いた。

緑色の髪に、鼠色の肌。肌と同じ色のパーカーを着て、手には取っ手を木で保護した鉄パイプを握っている少女だった。年齢はネプギア達と同じか少し高い位だろう。

 

「ああ? ジャマすんじゃネェよ。誰だテメェら!?」

だがその口から発せられたのは、少女にしてはかなりドスのきいた声であった。

 

「そういうお前こそ何者だ? それにゲイムキャラを如何する気だ?」

 

「消すに決まってんだろ?こいつぁ、我々マジェコンヌにとって目障りなヤローらしいからな」

 

今の発言からするに、彼女はマジェコンヌの一員らしい。

 

「アンタ、マジェコンヌの一味なの?」警戒しながらアイエフが問う。

それを待ってました、と言うように少女は笑みを浮かべる。

 

「へっ、教えてやる義理はネェが…まあいい、耳かっぽじって良く聞きな!」

 

…教える義理が無いなら、別に教えなくても良いじゃないの?

と、シンヤは心の中でそう呟いた。

 

「犯罪組織マジェコンヌが誇るマジパネェ構成員、リンダ様たァ…」

 

と、言葉を続けようとした時、シンヤの頭の中に何かが引っ掛かった。

 

「…構成員?はて?」

どこかで聞いた様な?と、シンヤは自分の記憶を読み返すと、その答えは直に出てきた。

 

それは以前、コウタに昔のヒーロー物の特撮を見せられている時だった。

 

シンヤは画面の中の登場人物が気になったので、コウタに聞いてみることにした。

 

「なぁ、コウタ。あの周りにたくさん居る奴らって何だ?」

 

シンヤが指差したのは全身を黒いタイツで覆っていて

顔には悪趣味なマスクを被っている男たちが居た。

 

コウタはそれを見てこう答えた。

 

「ん?あぁ、あれは構成員って言うんだ」

 

「構成員?」聞きなれない単語に首をかしげる。

 

「うん。まぁ、構成員にも色々あるけど、あいつ等はその一番下、つまり下っ端って事」

 

「下っ端…と言うと一番弱い奴って事か?」

 

「そう。で、下っ端の役目だけど…」

 

そこで言葉を切って画面の方を向きなおすとそこには、仮面をつけたヒーローが構成員を吹き飛ばしていた。

 

「…あぁやって、主人公を目立たせる為のやられ役だよ」

 

「…なるほど、答えてくれてありがとよ」

 

コウタの答えを頭の片隅に置き、再び画面を向いた事を思い出していた。

 

その時の答えが今になって役に立つなど、夢にも思わなかっただろう。

 

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「そうだ、思い出した、下っ端だ」

 

「下っ端ね」

 

「下っ端ですね」

 

「下っ端さんです」

 

口々にそう言うと、その少女―――――下っ端の顔が真っ赤に染まる。その表情を憤怒に染めながら、大声で叫ぶ。

 

「なっ…!? 誰が下っ端だぁ!? 誰が!?」

 

「うるさいわよ、下っ端のくせに。ほら、さっさとそこを退きなさい。下っ端のクセに生意気よ」

 

「下っ端さん、お願いですからジャマをしないでほしいです」

 

「下っ端が相手なら、勝てるかもしれない…」

 

ネプギア達の言葉により、下っ端の体はわなわなと震えていた。

そして、シンヤが止めの一言を口にした。

 

「下っ端は主人公を目立たせる為のやられ役だと聞いている。だから、大人しくやられてくれないか?」

 

すると、ブチッ。と言う音が下っ端の方から聞こえてきた。

 

「テメェ等…下っ端下っ端連呼しやがって…」

 

そして下っ端は鉄パイプを構えなおすとシンヤ達に向かって走り出す。

 

「もうガマンできネェ! 下っ端呼ばわりしたこと、後悔させてやらぁ!」

 

と、シンヤに向かって鉄パイプを振り下ろす。それを見たネプギア達が悲鳴を上げる。

 

「シンヤさん、危ない!」

 

が、それをシンヤは片手で難なく受け止める。

 

「ま、動きが単純だ」すると、鉄パイプからメキ、メキと変な音が響いてくる。

見ると、シンヤが握っている部分から少しずつ捻じ曲がっているではないか。

それを見た下っ端の顔が驚愕に染まる。ネプギア達も同様に、だ。

 

「なっ!? テ、テメェ、人間かよ!?」

 

「勿論、人間だ。ただし、人間の前に『ちょっと変わった』が着くけど、な!」

 

言葉を切ると同時に鉄パイプから手を離し、下っ端を蹴り飛ばす。

 

「ダアアアアアアアアアアアア!!」

 

蹴り飛ばされた下っ端は絶叫を上げ、ノーバウンドで十数メートルほど飛ばされ、そこから数回バウンドしながら進んで、ようやく停止した。そして、倒れている下っ端に対しこう言った。

 

「さて、下っ端君。大人しくやられてくれ…とは言わないが、大人しく引いてくれないか?

退いてくれたら見逃すからさ」

 

すると下っ端は

 

「はい、分かりました…なんて言うわけネェだろうが!こうなったら最初の目的だけでもっ!」

 

最初はシンヤの言葉を聞くと思っていたが、相手は下っ端でも悪の組織の一員。

そんな言葉を聞く筈も無く、ゲイムキャラを壊すべく走り出した。

運悪く、シンヤが蹴り飛ばした場所はゲイムキャラの近くであり、直に其処へ到着した。

 

「なっ、止めろ!」

 

そう叫ぶがもう遅い。下っ端の持っていた鉄パイプが振り上げられ、今にも振り下ろされそうであった。

 

「だからテメェの言うことなんざ聞かネェっつの! うおりゃああ!」

 

そして、鉄パイプが振り下ろされ、ゲイムキャラは粉々に砕かれ―――――る事無く

変わりに、見えない何かによって下っ端の体が真横に十数メートル吹き飛ばされたのであった。

 

「ダアアアアアアアアアア!?」

 

本日二回目の絶叫。ネプギア達は吹き飛ばされた下っ端の方を、シンヤはその反対方向を向いていた。吹き飛ばされた下っ端はシンヤと同じ方向を向いた。

 

「ちっくしょう…何だってんだ!」

 

其処には、体長は三メートル程で、逞しい体に背中にパイプを背負った猿人の様なアラガミ―――――コンゴウが佇んで居た。それを見た下っ端は

 

「アァ? 何だこのモンスター?」と、首を傾げた。すると

 

「グラァアアアアアアアア!」コンゴウは何かを発射する動作をした。しかし其処から何も出ては居ない様に見えたのだが、数秒後、下っ端の体が今度は真後ろに吹き飛ばされた。

 

「ダアアアアアアアアアアアア!?」

 

本日三回目の絶叫。最早、吹き飛ばされ続けた下っ端は肉体的なダメージと精神的なダメージでボロボロであろう。

 

「ち、畜生…もう此処のゲイムキャラは諦めるしかネェな…。

なら、次はラステイションか…。おい、お前ら!次に会う時は覚悟しとけよ!」

と、見事な三流の悪党の台詞を吐きながら逃げていった。

 

「待ちなさい! くっ、逃げ足も速いのね」

 

アイエフは逃げた下っ端を追おうとしたが、逃げ足が速く追いつけないと判断したらしく、

追跡を諦めた。

 

「放っておけ。それより、問題はアイツだ」

 

シンヤの視線の先にはシンヤに威嚇を行っているコンゴウが居た。

 

「あ、あれは?」

 

「コンゴウ。アラガミの一種だ。俺はアイツを片付けてくるから、お前たちはアイツに見付からない様に何処かに隠れていてくれ」

 

それだけ言うとシンヤはコンゴウに向かって走り出した。

 

「グラァアアアアアア!!」それに反応し、コンゴウもシンヤを迎え撃つべく走り出した。

 

説明
今回も駄文ですが見てください。
なお、構成員と仮面のヒーローについては『仮面ライダー』を参考にしました。

第六話(中篇)その1 ゲイムキャラを求めて…
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