仮面ライダーエンズ 超決戦!ベリアル銀河帝国 PART4 |
どこかの惑星。夜空の下で、父と兄と弟が、語り合っていた。
内容は、兄と弟の将来の夢について。まだ幼い二人の兄弟の夢は、大げさだけど大真面目な夢。熱心に語る二人を見て、父は自分が着けていた首飾りを見せる。
「二人を守ってくれるお守りだ。」
「お守り?」
弟が首を傾げた。
「一族に代々伝わる宝物だぞ。」
「宝物?」
今度は兄が尋ねた。
「二人だけじゃない。この世界も守ってくれる、すごい宝物だ。いつかこの世界がピンチになった時、必ず力を貸してくれる。だから二人で大切に持っておくんだ」
「「うん!わかった!」」
二人は返事をし、
「兄貴が持っててよ!」
「うん!」
兄は首飾りを受け取って眺めた。
と、
「そこの夜更かし三人組さん!そろそろ家に戻ってきてくれないかな!?おばあちゃんが心配してるよ!」
三人の存在に気付いた母が、即席のメガホンを使って帰宅を呼び掛ける。
「「「はーい!」」」
返事をする三人。その後すぐに老婆が出てきて、
「心配なんかしとらんよー!」
と言う。三人はすぐに駆けつけ、そのまま家族揃って家に帰っていった。
「…!」
ゼロは目を覚ます。
「…今のは…」
彼は今、不思議な夢を見ていた。だが、ゼロはそれが夢ではないことを知っている。この身体の元々の持ち主、ランの少年期の記憶なのだ。
「う…ん…」
すぐ側から聞こえた呻き声に気付き、ゼロは声をかける。
「ナオ!」
「…兄貴。気が付いたんだね」
ナオはジャンバードに帰還して早々に気絶したゼロを、付きっきりで看病しているうちに、一緒に眠ってしまったのだ。
「ねぇ兄貴。グレンとブロリーって、どうなったのかな…」
グレンの命を懸けた突撃によって、一行は危機を脱した。だが、グレンは行方不明になってしまっている。同時に、命令を無視したため爆発に巻き込まれたブロリーも行方不明になり、パラガス達も必死に捜索したが、結局発見できなかった。
「あいつらは無事だ。きっと」
ゼロはナオを安心させる。もちろん二人が無事だという根拠はなかったが、なぜかゼロには二人が生きているように感じられたのだ。
「そうだよね。大丈夫だよね…」
ナオも気持ちを落ち着かせる。落ち着かせて、
「…僕はあんなに強くない…」
と落ち込んでしまった。まぁ、実際あの二人、特にブロリークラスの実力者がゴロゴロしていたら、それはえらいことになるのだが。
「…でもやらなきゃ!ね!」
すぐ立ち直るナオ。
「おう。」
ゼロもそれを見て安心した。
「やぁぁぁぁぁぁ!!!」
ナオはゼロに突撃し、手刀を放つ。ゼロは自分の腕を真上で交差させ、それを防いだ。
「おっとぉ!やるな!」
「父さん直伝の、名付けてアヌー拳法さ!」
今ゼロは、ナオからの申し出で稽古をつけてやっている。ナオ曰く、少しでもゼロの強さに近付きたいそうだ。エメラナはそれを、微笑んで眺めている。
と、エメラナはゼロのブレスレットに点灯している三つの光の一つが、消えていることに気付いた。
同時刻、光の国のプラズマシンクロ装置からも、光が一つ消えていた。
「ゼロ」
セブンはそれを見て、息子の名を呟く。
しばらくして、ジャンバードと宇宙船は、不思議な場所にたどり着いた。水晶の柱が左右に、まるで王宮の廊下のように立ち並び、その先に一枚の巨大な鏡が浮いているのだ。そして、鏡には惑星が映っている。この鏡に映っている惑星こそ、バラージの盾が祀られている聖地、鏡の星なのである。
「着いたか?」
そこへ、今までずっと姿を消していた皇魔が戻ってきた。ゼロは驚く。
「お前!今までどこ行ってたんだよ!?」
「仮眠を取っていた。それより、あれが鏡の星か?」
エメラナが説明する。
「はい。私達エスメラルダ人の先祖は、二次元の民と交流があったのです。」
二次元の民とは、鏡の星の住人のことだ。エスメラルダの王宮を守っていた戦士、ミラーナイトは、二次元の民とエスメラルダ人を両親に持っていたという。
ジャンバードと宇宙船は、着陸許可の信号を出す。すると、鏡の星の紋章が現れ、ジャンバードと宇宙船は紋章に向かって進み、鏡の中に入った。
鏡の星。
大地に湖が広がり、空には紋章が太陽のように輝く、幻想的な惑星。一同はそこへ着陸し、エメラナと皇魔は二次元の民に呼びかけた。
「二次元の民よ!聞こえますか!?」
「ベリアルを倒すため、バラージの盾を借り受けたい!」
すると、空に輝く紋章から、応えが返ってきた。
「我々は、三次元世界で起こることに干渉しない。」
つまり、協力しないということだ。ゼロは紋章に向かって言う。
「ベリアルはいずれここにも侵略に来るぞ!」
「知っている。我らの鏡は、宇宙のあらゆる場所を映す。」
二次元の民は、その気になればベリアルの居場所を知ることもできる。いつでも仕掛けられるのだ。しかし、二次元の民はベリアルと戦わなかった。
「じゃあなぜ動かない!?」
「…誰がやろうと同じこと。滅びる時は滅びればいい」
「ふざけんなよ!!」
多くの人々がベリアルの暴挙に苦しむ中、それでも生きようとしている。ナオは、それを真っ向から否定した二次元の民に、憤りを感じずにはいられない。
「見るがいい…」
そんな彼に、二次元の民はあるものを見せることにした。紋章が輝くと、湖の一部が透明になり、湖底のが見えるようになる。
湖の底には、銀色の巨人がうずくまっていた。エメラナはその巨人の名を呼ぶ。
「ミラーナイト!!」
そう、この巨人こそ、エスメラルダの王宮を守っていた、ミラーナイトなのだ。
「彼はどうしたの!?」
エメラナは二次元の民に、ミラーナイトの現在の状態を訊く。
「ミラーナイトは、エスメラルダの王宮を守るため、持てる力の全てを使ってしまった。ミラーナイトの魂は、ベリアルの闇に侵され、自らを封印するしかなかった。もうどうにもならぬ…」
ミラーナイトはベリアルから、ベリアルウイルスという細菌を注入されたのだ。これを注入された者は自我を奪われ、ベリアルの手下にされてしまう。ミラーナイトは自分の心が完全に支配される前に自分を封印することで、ベリアルの手下になることを防いでいる状態なのである。そしてこの宇宙に、ベリアルウイルスを浄化する方法はない。つまり、ミラーナイトを救えないのだ。自分達が誇る最強の戦士であるミラーナイトを倒されたことも、二次元の民が打倒ベリアルを諦めた原因と言える。
だが、この男は諦めない。
「諦めるんじゃねぇよ!!」
ゼロだ。
「ゼロ!?」
エメラナはゼロを見る。
「このままにしていいわけねぇだろ。」
思ったら行動に移すゼロは、早速ウルトラマンの姿に変身し、湖底に降り立つ。
「ミラーナイト!聞こえるか!?」
呼びかけるゼロ。ミラーナイトはそれに反応してゼロを見るが、
「……見ないでくれ」
すぐ顔をそむけてしまう。
「醜い姿を…見ないでくれ…!!」
ミラーナイトの銀色の皮膚はすっかり色褪せてしまい、黄色い目も赤く染まっている。彼にとって今の自分の姿は、さぞ醜く映ることだろう。しかし、ゼロは違った。
「馬鹿言うな!!正義のために戦った、勇者の姿だ!!お前は、立派なやつだぜ!!」
外面よりも内面を見るウルトラ戦士。ゼロもその一人であるため、ミラーナイトがどんなに醜い姿になっても、絶対に罵ったりはしない。
「くっ…ううっ…!!」
苦しむミラーナイト。
「俺は光の国のウルトラ戦士、ウルトラマンゼロだ!!お前を助ける!!」
「…ゼェェェロォォォだぁぁぁとぉぉぉぉぉぉ…!!!」
その時、ミラーナイトが突如として豹変し、ゼロに襲いかかった。ミラーナイトの心は、ベリアルウイルスに完全に支配されてしまったのだ。二人は互いに組み付き、湖から飛び出す。
「わっ!!」
「キャッ!!」
驚くナオとエメラナ。皇魔は二人を守るように庇う。
(…この場はゼロに任せた方が良さそうだ)
皇魔の力は、闇。闇で闇を浄化することはできない。闇を浄化できるのは、光だけだ。皇魔はゼロの光がミラーナイトの闇を浄化できると信じて、見守ることにした。
(それにしても…)
皇魔はミラーナイトをゼロに任せ、もう一つの問題の解決法を考える。そのもう一つの問題とは、
「だから、孫悟空号にしようって!」
「ふざけるな!ベジータ号に決まっている!」
「スペースシップ仙豆だ。」
「ウルトラセクシーパラガス号しかないと言ってるだろう?」
「僕は」
「名前なんていりませんって。」
「!!」
未だに宇宙船の名前のことで言い争っている悟空達のことだ。名前というものがいかに大切なものであるかは皇魔も理解しているのだが、
(それでもここまでもめるものか?)
悟空達の喧騒に関しては、全く理解できなかった。
この喧騒を止める方法は一つ。宇宙船の名前を決めることだ。
(さて、何がいいか…)
自分の力が役に立たないとはいえ、こんなことに時間を使うなど皇魔にとって馬鹿馬鹿しいにもほどがあるのだが、実質それ以外にやることがない。
(付き合ってやるか…)
なので考える。
皇魔の頭の中には様々なワードが飛び交っていた。
(連中は確か、サイヤ人とナメック星人だったな…だがこれを宇宙船の名前にするのはいくら何でも…)
作者は思う。皇魔はどんどんキャラ崩壊していると。
「黙れ。」
すいません。
「…よし、決めたぞ。」
皇魔は宇宙船の名前を決めた。
「ラウンドGTだ。」
それを聞いて一同は、
「おっ、いいんじゃねぇか?」
「…ふん、よかろう。」
「好きにしろ。」
「いいぞぉ!」
「いいですね!」
「はい!」
賛同した。ちなみに、このラウンドGTという名前。ラウンドは昔皇魔が見た雑誌に載っていた宇宙船から、GTはギャラクシーツーリングを略したものを合わせて作ったものだ。
その頃、暴れ回るミラーナイトを後ろから羽交い締めにしていたゼロは、
「俺の光で、お前を浄化してやる!!」
全身から光を放ち、その光でミラーナイトを包んだ。あらゆる闇を浄化するゼロの技、ウルトラゼロレクターだ。あまりの輝きに、エメラナは目を覆う。
そして光が消えた時、エメラナは見た。
元の輝きを取り戻した銀色の皮膚と、赤から黄色に戻った目を煌めかせる、ミラーナイトを。
「ミラーナイト!」
エメラナは再び彼の名を呼んだ。
「もう大丈夫!彼のおかげです!」
ミラーナイトが見る先には、ランの姿に戻り、
「どうだ参ったか!」
意気揚々と凱旋してくるゼロがいた。
「ありがとう!」
ゼロのおかげで自分を取り戻すことができたミラーナイトは、ゼロに礼を言う。
「ありがとうゼロ!本当にありがとう!」
「見事だったぞ。ゼロ」
続いてエメラナからも礼を言われ、皇魔から褒められたゼロは、
「べっ、別に大したことねぇよ…」
照れる。ナオはそれを見て、ゼロの腹を軽く小突く。
「何だよ!」
ゼロはナオにからかわれて、ナオの頭を力強く撫でた。微笑ましい光景に、思わず笑みをこぼすエメラナ。
しかし、彼女は見てしまった。ブレスレットの光が、また一つ消えているのを。
「あなたのブレスレットのその光…まさか…」
もう疑う余地はない。ブレスレットの光は、ゼロが変身できる回数を示していたのだ。
「ウルトラマンゼロ。そなたの光我らにも届いた」
二次元の民はゼロを呼ぶ。
「そなた達は希望やもしれぬ。バラージの盾を掴むがいい!」
「やった!!」
二次元の民の心をも動かしたゼロの光。ナオは二次元の民がやっと協力的になってくれたことに喜ぶ。
だが次の瞬間、鏡の星全体が揺れるような、地響きが起こった。
「何だ!?」
ミラーナイトが驚き、二次元の民が空に外の状況を映し出す。
「ベリアル軍か!」
皇魔は映し出された映像を見て、ベリアル軍が攻めてきたことを知る。
「ここは私に任せて、バラージの盾を!!」
「余も迎撃に出る!!」
出撃を申し出るミラーナイトと皇魔。ゼロはミラーナイトに訊いた。
「バラージの盾はどこにある!?」
「地下の神殿へ!!川の流れを遡るのです!!」
「「「川!?」」」
聞き返すゼロ、ナオ、エメラナ。と、三人の姿は皇魔達を残して湖に消えた。
三人は鏡の星の地底に転送され、そこそこに流れていた川を遡っていった。
「シルバークロス!!」
両腕を横に開き、十字の光弾、シルバークロスを飛ばすミラーナイト。皇魔も負けじと剛掌波やレゾリューム光線を連発し、戦艦やレギオノイドを殲滅していく。パラガス以外のメンバーはデカビタンを服用して巨大化し、同じように素早く敵を倒していく。ミラーナイトはベリアル軍に言い放った。
「鏡の星を汚すことは、この私、ミラーナイトが許さない!!」
川の流れを遡り続け、神殿にたどり着いたゼロ達三人。神殿の奥には、巨人の石像が祀られていた。
「これは…?」
ゼロは石像を見て、何かを感じる。ナオは説明した。
「伝説の巨人、ノアの石像だよ。」
「…ノア…」
ゼロは思った。こんなことがあるのかと。なぜならこのノアという巨人の石像、光の国でウルトラマンキングと並び称される伝説の戦士、ウルトラマンノアにしか見えないからだ。ノアには次元を自由に行き来する能力があるため、過去にノアがこの宇宙に来たことがあるのかもしれない。
いろいろと気になるが、今は何よりもバラージの盾である。よく見ると石像の近くに、巨大な石の盾があった。これがバラージの盾らしい。
「確か、欠片を嵌めるくぼみがあるはず…」
バラージの盾を調べるナオ。と、盾の中心にくぼみがある。しかも、ナオが持っている欠片と同じ形状だ。
「ここだ!」
ナオは欠片を嵌め込む。すると、バラージの盾が一瞬光った。
「よし!これで蘇る!」
ナオはバラージの盾の復活を喜ぶ。
しかし、地響きが起こったかと思うと、バラージの盾は復活せず、砂になって崩れてしまった。
「…そんな!石の盾は、光り輝くはずなんだ!!」
だが、盾は輝くどころか原型もなくなるほどに壊れたのだ。ナオはショックを隠せない。
「…父さんが言ってたことは、間違いだったの?」
「…ナオ。お前の父さんが言ってたことだろ?間違ってなんかないさ。」
「そうです。きっと何かわけが…」
ゼロとエメラナは、ナオを励ます。それを聞いて、ナオはノアの石像を見た。バラージの盾はどこにあるのか、ノアなら知っているかもしれないと思って。
(…――――っ――)
「ん!?」
ナオは、ノアが今何かを言った気がした。
なかなか鏡の星を破壊できないことに業を煮やしたのか、ベリアル軍の艦隊を率いる隊長が出てきた。
「俺は!!鋼鉄将軍アイアロンだ!!」
アイアロンと名乗った怪物は、頭部にパワーを集中し、
「アイアロンソニック!!」
鏡の星に向けて衝撃波を放つ。
「うわっ!!」
巻き込まれるミラーナイト。
「ミラーナイト!!」
駆けつけようとする皇魔だが、レギオノイドが邪魔をする。
「邪魔だ!!」
皇魔はレギオノイドを粉砕していくが、後から後から次々に出現し、数が減らない。
「貴様は、セル!!」
「やめろセル!!」
ベジータと悟空はアイアロンをセル呼ばわりする。
「俺はセルじゃねぇ!!」
否定しつつも攻撃をやめないアイアロン。
ちなみにロストグラウンド学園では、
「パァァァァァクることはぁぁぁぁぁ!!!許されんんんんんりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
カーネルがカオスに変身して暴れていた。
アイアロンとベリアル軍艦隊の攻撃の影響で、崩壊を始める神殿。ちょうどゼロがいる場所はナオとエメラナから少し離れており、その間にある道が割れて分断されてしまった。
「ナオ!エメラナ!」
とっさにウルトラゼロアイを出すゼロだったが、
「いけないゼロ!!それを使っては!!」
エメラナはもうゼロがあと一回しか変身できないことを知っているので、やめるよう呼び掛ける。すると、まるで役目を終えたかのようにブレスレットが消滅してしまった。そして、ナオとエメラナの上には石柱が倒れてくる。
「くっ!」
ゼロはウルトラゼロアイをレーザーガンに変形させて、石柱を狙撃。二人を守った。しかし、落ちてきた石がゼロの腕に当たり、ウルトラゼロアイは割れ目に落ちてしまう。
「美しいものなど壊れろ!!割れろ!!消えてしまえ!!」
攻撃を強めるアイアロン。
「くっ…どこかで聞いたような台詞を…!!」
「みんな!!」
皇魔はミラーナイトの代わりに攻撃を受け、ミラーナイトはゼロ達を救うべく鏡の星に向かう。
「やめろーっ!!やめろったらやめろセルーっ!!」
「だからセルじゃねぇって言ってんだろ!!」
悟空は相変わらずアイアロンをセル呼ばわりし、アイアロンは否定しながら激怒し、
遂に鏡の星は割れてしまった。
「うわあああああああああああ!!!!!」
ゼロは深い闇の中へ、鏡の破片とともに落ちていった。
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次回、決戦開始!
説明 | ||
作者は思う。皇魔はどんどんキャラ崩壊していると。 「黙れ。」 すいません。 |
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