魔導師シャ・ノワール 無印偏 第十二話 区切りと決意
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「「ノワールッ!」」

「おわっ!?」

 

セーフハウスへと戻ると玄関に控えていたフェイトとアルフの

二人に抱きつかれそのまま押し倒されてしまった。

 

「ノワール!怪我とかしてない!?」

「あ、ああ大丈夫だ。戦っても無いからな」

 

「それはよかったよ〜!フェイトとずっと心配で玄関で待ってたんだからね!」

「アルフもフェイトも心配性だな。大丈夫、追跡もないよ」

 

ポンポンと二人の頭を優しく撫でる。

心配してくれるのも嬉しいが・・・過敏すぎないか?

 

「とりあえずは、夕食にしよう。その後でこれからどうするか考えようか

 管理局も出てきたんだ。これまでと同じようにはできない」

 

「うん・・・」

「わかったよ・・・」

 

管理局という言葉で二人ともやや元気をなくしてしまった。

 

管理局は次元世界の中でもとても巨大な組織だ。

それに狙われ抗うとなれば生半可な覚悟では入られない。

 

エングレイブ傭兵団でさえ回避している相手なのだ。

だからと言って、二人に元気が無いのは俺も悲しい・・よし、単純だが。

 

 

「そうだ、今日は二人の好きな物作ってやるよ。なにがいい?」

 

「前に作ってくれたシチューが食べたい・・・」

「あたいは肉ならなんでも・・・」

 

「あ、ああ。フェイトはシチューでアルフが肉ね・・・」

 

好物作戦はあまり効果はでなかった。

子供なら食べ物で釣れると思ったのだが...以外だ。

 

 

「はぁ・・・ちょっと汗も掻いたし埃にも塗れてる夕食作りは風呂の後でいいか?」

 

良く考えればいつも以上の高速機動で。埃塗れで汗も掻いていた。

シュトゥルムモードは肉体酷使が酷い為で。こんな状態では食事は作れない。

 

「「!?」」

 

「じゃあ、さっさと入って「「わたし(あたし)も一緒に!」」え?」

 

「じゃあ行こうか」

「もう決まったもんね〜♪」

 

「いやっ!何時決まったんだ!?って待て待て!え・・わっ!」

 

両腕を二人に抱きかかえられ、無理やりに風呂場まで連行されて行く。

 

セーフハウスの間取りは高級マンションのそれで

お風呂も三人で入っても大丈夫なくらい広い。

 

だが、今まで三人で一緒に入ったことなど一度もなかった。

フェイトとアルフはいつも一緒に入っているし。

最近では、よく一緒に入ろうと誘われていたが全て断っている。

 

フェイトは兎も角、人間姿のアルフの裸体は直視できない・・・。

家では温泉の時と違ってタオルも体に巻かないだろう。

 

「嫌だ!やめろ!俺は一人で!「「ノワール・・・」」え?」

 

脱衣所に入ったところで腕は開放されたのだが。

俺の言葉でまるで嫌いだとでも言われて心の底から傷ついたかのような表情になる二人...

 

「ご、ごめんなさい・・わたしなんかと一緒じゃ嫌だよね・・・」

「あたしもノワールが本当に嫌だっていうんならやめるよ・・・」

 

見る見る内にアルフの尻尾が垂れ下がり。フェイトも頭のツインテールが心なしか垂れ下がった

そして、二人とも小さな涙を目に溜めて「だめ?」と訴えて来ている。しかも二人とも屈んで上目遣いで・・・

 

いや、これは明らかな罠・・・。でも、だからと言って無視していいのか?

まるで自分が一方的に悪いかのような罪悪感に精神が削れ押しつぶされて行く

 

そして、結局....

 

 

 

 

「どう?かな?・・上手く洗えてる?」

「あ、ああ・・気持ちいいよ・・・・」

「やった♪」

 

「そっちはどうだ?アルフ」

「う〜ん♪気持ちいいよノワール♪」

 

結局あの二人の訴えに耐え切れず。3人で一緒にお風呂に入ることとなっていた

自分の長い黒髪をフェイトに洗われており。俺はというと前に座っているアルフの頭を洗っていた

所謂洗いっこというやつである。もちろん髪と背中限定とい制約を何とか設けたのはせめてもの救いだ

 

ただ、俺の髪はフェイトが。背中はアルフが洗うことが決まっていて

俺の担当は二人の髪と背中という単純計算で倍の量を洗うことが決まっていた

これは少し、長風呂になりそうだ....

 

「わーん!目に入ったよ〜!ノワール助けてー!」

「なっ!こらアルフ!こっち向くな!抱きつくなー!」

「わっ!ちょっと二人ともこっちに!?」

 

パニックになったアルフが振り向いてこちらに抱き付き

押し倒された俺は後ろのフェイトを将棋倒しの如くに倒れ

二人に挟まれる形で浴室に寝転がってしまった

アルフのやわらかな物に顔が埋まり。背中には細い腕で抱きついて弄ってくるフェイトが居た

 

「んぐ〜!(離せー!)」

「ひゃうん!そんなところで喋らないでよ!ノワ〜ル〜///」

「うわ・・ノワールの背中・・温かい///」

 

しばらくの間、二人にいいようにそのまま弄ばれ。その日に行った戦闘より疲れたのは言うまでもない。

さらに、もう二度と二人と一緒に風呂には入らないと心に決めたのも言うまでもない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?なにかここまでで言いたいことはありますか?」

「えっと・・・ノワール?」

「もしかして怒ってるのかい?」

 

 

お風呂騒ぎも終わり。夕食も食べ。

今はリビングのソファーにフェイトとアルフと向かい合いながら座り、お茶を飲みつつ。

現状の確認報告をし合っていて、そして俺の声は二人と会った当初の冷たい声になっていた。

 

「ハハッ?俺が怒ってる?いったいなにに対して?俺は仮に風呂で弄ばれても怒ることのない人間だよ?」

 

「あ、えっと・・・ごめんなさい」

「ごめんよ・・ノワール」

 

「ん?別に仮にの話をしただけで。二人になにも怒ってないから。ああっ全然ッ!怒ってないッ!から!」

 

ガシャン!と派手に音を立てながらティーカップをテーブルに置き。

二人がシュンと反省したのを見てから改めて話を始める。

 

 

「さてと・・冗談はこれくらいにして真面目な話、これからどうする?」

 

「えっ?」「あれ?」

 

冗談だったの?という顔で二人が見つめてくる。

生憎とお風呂で遊ばれる経験には慣れている。もっと酷いことも散々経験していた俺には

まさに子供の戯れのようなものだった。嫌なものはどうやっても嫌だが(単に恥ずかしいだけである)

 

 

「管理局も出てきた。俺も居るから簡単には捕まらないだろうけど

 これからジュエルシードを探すのにはこれまで以上に危険を伴うことになる

 それでもフェイトはジュエルシードを集めるのか?」

 

変装もなく。すでに管理局には顔や魔力資質などのデータが取られているが

まだ、どうにかできるレベルだ。ここでジュエルシードを集めるのをやめれば

容易に逃げることもできる。だが・・・

 

「私は・・・母さんの願いを叶えてあげたいの・・・優しかった頃の母さんに戻ってほしい」

 

優しかった頃の母さんか・・・二度しか会っていないがあの姿からは想像も出来ない。

フェイトを見つめていた冷たい目が笑っていたころがあったのだろうか・・・

 

「アルフはどうだ?使い魔とは言え、希望はあるだろ?」

 

「あたしは・・フェイトに幸せになって欲しいだけなんだ・・・

 でも、できたらこのままフェイトとノワールとあたしの三人で、

 どこか静かなところで暮らしたいって思う・・・・」

 

このまま三人で....それもいいな。

魔導師として表の世界は歩けないが。静かに暮らすほどの稼ぎならどうにでもできる。

そんなことは考えたこともなかったが今ならそういう幸せもいいと思える。

だけど、俺は雇われの身だ。契約をそして何より傭兵団を裏切れない。

最近は危うくなっていると思うが。

普段は理性と感情は切り離して仕事をしている、プロ意識という奴だ。

 

「わかった。フェイトの希望通りこのままジュエルシードを集めよう

 管理局の相手は俺がやる。フェイトとアルフはこれまで通りに動いてくれ

 大丈夫だ・・・二人は俺が守ってやる」

 

「ノワール・・・」

「あんた・・・」

 

俺の仕事はフェイト達がジュエルシードを楽に集められるようにサポートすること。

なのはには手を出せないが。他ならば、特に管理局相手なら手加減する必要がない。

むしろ手加減できる相手ではない筈だ。

 

「なに、給料分の仕事をするだけだ。気にするな」

 

安心させるように微笑みながら二人に語りかけると

不意に俺が座っているソファーに二人が来て、俺を挟むように抱きしめられる。

 

「ありがとう・・でも、私もノワールを守るから」

「あたしも守られてばかりじゃ嫌だから。フェイトのついでにあんたも守ってやるよ」

 

「ああ。そうだな・・・・頼りにしてるよ二人とも」

 

何とかしてこの二人には無事に暮らして行ってもらいたい。

例え、この身が朽ち果てようとも・・・・。

 

 

 

説明
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。
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