魔導師シャ・ノワール無印偏 第二十一話 転機
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このまま落ちれば俺は虚数空間が広がる次元に落ち。重力の井戸で死ぬだろう。

 

なぜか分からないがこれで良かった気がする。

 

いや、これでいいんだ。俺は普通の人とは違い二度の人生を幸せとは言わないが生きた。

 

そんな俺よりフェイトのような純粋で優しい子供が育ったほうが百倍いい。

 

それに、俺が無事だったとして。犯罪者集団の構成員である俺を管理局が黙っているわけがない。

 

「どちらにせよ。俺に未来は・・・」

 

《ガシッ!》

 

「!?」

突如として、足が掴まれ落下が止まる。

 

「なに馬鹿なことを言っているんですかマスター!」

「アリスッ!?」

 

見るとアリスの腰には実体の鋼鉄の鎖が巻きついており・

それを辿るとユーノ・スクライアがまだ崩れていない床から魔方陣でその鎖を召喚していた。

 

実体物を召喚する高難易度の魔法。

 

それなら俺の今いる虚数空間がある場所でも魔法のキャンセルはされないだろうが。

一歩間違えればアリスごと落ちてしまう。

 

「馬鹿なのはお前だアリスッ!一緒に死にたいのかッ!?」

 

「ええっ!マスターとならそれも本望ですが!生憎と二度とマスターを失わないって私は決めたんです!

 だからッ「そんなことはいいから!大人しくしててよ二人とも!上げれないよ!」ご、ごめんなさい!」

 

 

余程、制御も魔力消費も辛いのだろう。

ユーノ・スクライアは歯を食いしばりながら息を荒くして。手を鎖に向けていた。

 

「ぐぬぬぬっ!お、重い!」

 

「ユーノくん!手伝うよ!」

 

「ああもう!犯罪者とは言え見捨てられないな!」

 

「アルフ!わたし達も!」

「ああっ!当たり前さね!」

 

必死に踏ん張るユーノ・スクライアに皆が集まった。

 

というか、なのはまで居たのか・・・。そんなこと言ったら後で怒られそうだな。

 

皆の力も加わって虚数空間から引き上げられ無事に崩れかけの時の庭園に上がると。

すぐさま転移魔法が広がり俺達は管理局の船、アースラへと転移された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーノ side

 

 

 

 

彼の第一印象は最悪だ。

 

最初には行き成りデバイスを殺傷設定でなのはを襲い。

 

そして、忠告を何度もしたり。なのはを傷つけたり。

 

かと思えば、なのはと友達になってしまうし。

 

だけど、彼は有名な時空犯罪者のエングレイブ傭兵団の一員で

正直言うと、彼は良く分からない。

 

あまり話したことも無ければ一緒に過ごした時間も少ない。

 

だけど...

 

「お願いです!手を貸してください!」

 

アリスと名乗る彼の使い魔に懇願され。使い魔の術式の補助を借りて。

今までに一度も行ったことの無い高等魔法の物質召還魔法を使った。

 

結果から言えば彼は助かったし。なのはも他のフェイトやアルフは喜び。

それに管理局のクロノやリンディ艦長なども彼が助かったことを素直に喜んでいた。

 

僕は正直、戸惑っている。彼は犯罪者であり。

 

捕まれば恐らく二度と日の下を歩くことが出来ないだろう。

 

時空犯罪の刑は軽いものもあるが罪の重いものが殆どだ。

 

物によっては世界の崩壊に繋がるような犯罪もあるからで。

 

今回の事件もそれに当たる。幸い、次元震は小規模で。次元段層が崩壊することも無く。

 

次元にやや嵐のような歪が一時的に発生しただけで済んだ。

 

だからと言って。彼の罪がなくなる訳ではない。

 

雇われていたからと言っても。今回の事件の罪だけで数百年の幽閉はありえる。

 

 

 

 

 

 

「ねぇユーノくん・・・。ノワールくんどうなっちゃうんだろ?」

 

「なんとも言えないね・・・」

 

「そっか。そうだよね・・・」

 

ああもう!事件が解決してアースラへ戻ったはいいものの!

なのはがすごく落ち込んでいる!

 

すぐさま彼とその使い魔。それにフェイトやアルフは護送室送りになって

クロノからはフェイトやアルフの処遇については大丈夫だろうと言ってくれたが

彼に対しては首を横に振るだけだった。

 

そして、すでに事件から二日が経過していた。

 

 

なのははアースラの食堂でずっとトレーに乗っている。

ハンバーグをフォークでつついたまま。食事が進んでいない。

 

 

はぁ・・・もう、見てられないよ。

 

そんな時だった。

 

『高町なのはさん。ユーノ・スクライアさん。至急ブリッジまで来てください』

 

艦内放送で二人揃ってブリッジに呼ばれてしまう。

 

「なんだろう?」

 

「・・・なんだろうね」

 

食事も片付けて二人でブリッジへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人がブリッジに呼ばれる、その少し前....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちわ〜。ノワール君 アリスさん」

 

「「・・・」」

 

リンディ・ハラオウンというこの船の艦長がニコニコしながらワゴンを押して部屋(牢屋)に入って来た。

 

「あらあら〜?相変わらずですか?事情聴取もフェイトさんに関することだけ

 それも、自分に罪があるように取れる言動しか取らないつもり?」

 

「さあ?俺は事実を言っているだけだ」

 

「あらあら、そうですか。まあ、いいでしょう。それより食事にしましょ♪」

 

「マスターの分は私がやります」

 

「あら?ありがとう」

 

 

ワゴンから食事を二人が用意を始めた。それも囚人に与えるような質素なものではなく。

一般の局員などが食べているであろう、おいしそうな食事をトレーに乗っていた。

 

「ささっ。マスター?あ〜ん」

 

「・・・」

 

「あ〜ん♪ですってば〜」

「おい・・・」

 

右からスプーンを差し出すアリスを無視しつつ座っているベッドの左に腰かけた。

リンディ・ハラオウンをにらみ付けた。

 

「なにかしら?」

 

「これを何とかしてくれ。毎回、毎回と面倒なんだよ。それになんであんたがここで食う?」

 

手首からジャラと音が鳴る。分厚い手枷を持ち上げる。

色は白っぽく。手首から腕の肘近くまで手枷は伸びていた。

 

魔法を封じる為の装置も組み込まれていて逃げることはおろか。

食事なども自分で取ることが難しい。

デバイスのクローシュも取り上げられている。

 

 

 

 

「それはダメですよ。船の規則ですから。それに私がどこで食べても私の勝手でしょ?」

 

「はぁ・・・まあいい。そういえばフェイトもこんなゴツイの付けてるのか?」

 

「いえいえ、もっと簡素なものよ」

 

「・・・・」

 

「・・・ますた〜」

 

右を見ると涙目になってスプーンを構えているアリスが映っていた。

 

「はぁ・・・あ〜ん」

「はいっ!あ〜んです!」

 

スプーンを口に放り込まれ。情けない事にアリスに食事を食べさせられる。

 

「べつに不自由はないでしょ?そんな可愛らしい使い魔さんがいるんですから」

 

リンディは俺に嬉しそうに食事を食べさせているアリスを見て微笑んでいた。

 

俺と違いアリスの方はというと。手枷と同じ白い色のブレスレットのような物を手首に嵌めている。

俺と同じく魔法の使用が制限される道具らしい。

 

「いや、明らかに不自..「マス」い、いや!アリスは本当に頼りになってるぞ!「〜♪」」

 

正直に答えようとして泣きそうになったアリスを見て、褒めると

頬を緩ませてニッコリと眩しいばかりの笑顔を向けてきた。

 

「はぁ・・・それで?いい加減、俺をどうするか決めたのか?」

 

捕まえている相手に素直に教えるとも思えないがダメ元で聞いてみる。

 

「フェイトさんのことはあなたが関わらずともいい結果になるでしょう。

 あんなにいい子ですもの。悪いようにはしません。ノワール君、あなたことは」

 

「ことは?」

 

「この食事の後に具体的に決まる予定です♪」

 

「は?」

 

正直、この女の言っている意味が分からない。

 

「まあまあ。食事が済んだら一緒にブリッジまで行きましょうか」

 

そう呟くと微笑みながらこの女は食事を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時間は進み。手枷は付けられたまま

リンディ・ハラオウンにアリスとの微笑ましい姿を見られつつ食事は終わり。

二人と共に船のブリッジへと向かった。そこで映し出されていたスクリーンに俺は眉を顰める。

 

「よう、元気そうだな〜!ってほどでもないか」

 

「なんで団長が・・・」

 

スクリーンに映し出されていたのは、やさぐれたサラリーマンのような黒髪中肉中背の男。

目は濁っているが。獣のように鋭く光る目が僅かに見える。

それはまさしくエングレイブ傭兵団の団長だった。

 

「久しぶりね。ジェネル」

 

「ああ、久しぶりだねぇリンリン」

 

「はっ?」

 

親しげに呼び合う団長とリンディ・ハラオウン。

ジュネルって・・・団長の名前か!?

 

「ああ、そういや〜お前に俺の名前ちゃんと言った事なかったっけかな?」

 

「貴方は相変わらずその辺が適当ねぇ。それからリンリンってあだ名はいい加減やめてくれないかしら?

 訓練学校時代から何時まで呼び続けるのよ」

 

「ははっ!悪い悪い!・・・改めて久しぶりだなぁリンディ。あの事件以来か」

 

「・・・そうね」

 

二人は少しだけ目を瞑りそれからすぐにまた口を開く。

 

「まあ、あの話は今さら掘り返すものじゃねぇな。とりあえずこっちの用件でも済ませるか」

 

「そうしましょうか」

 

団長とリンディ・ハラオウンが俺に視線を合わせる。

 

「ノワール、おまえな・・・クビだ」

 

「・・・」

 

 

 

 

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『あとがき』

 

 

 

年も明けてから改ページなるものを知りました。

 

これであとがきが書けるじゃないか!

 

 

昔に投稿していたサイトではあとがきをよく書いていたのでまた書こうかと思います。

前に投稿していた話にも、あとがきを追加しようと思います。

という訳で恒例でしていた挨拶を最後に入れさせていただきます。

 

 

 

※読んでくれてありがとうございます!感想などなどはお気軽に!

※誤字脱字などの指摘もどんどんお願いします。

※また誤字脱字や妙な言い回しなど見つけ次第修正しますが特に物語りに大きな影響が無い限り報告等は致しませんのであしからず。

 

 

説明
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。
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