砂時計 |
――時間と空間の神が再び笑いだすし奇跡を呼び起こす――
「……いいね。約束は守ってくれよ?」
銀髪色の青年に言われるまま俺は、コクリと頷き承諾した。
「それじゃ行ってくるよ……」
俺は、彼と別れるとそのままあの場所へ向かった。
――――某広場コンサート会場控え室
「ふぅ〜ようやく終わった〜」
地和が疲れきった顔で控え室に現れ、その後ろに他の姉妹も入ってくる。
「もうクタクタだよ〜〜」
天和も地和と同じく疲れきった顔でそのまま床に倒れこんでしまい、その光景を末妹、人和は溜め息をつきつつ、着替え始めた。
「姉さん達、今日のスケジュールはまだ終わってないないのよ?早く着替えて次の会場に行かないとダメなんだから……」
「いや〜〜!!疲れた〜〜!!もう動けな〜〜い〜〜!!」
長女、天和は泣きながら足をバタつかせ駄々を始めてしまう……こうなってしまうとしばらくの間、まったく動いてくれないためどうする事もできない。さらに、いつもは地和も姉に続いて騒ぐはずが、今日は疲れてしまったのかそのままの服装で寝ていた。
「もう……」
もはや溜め息でない気を紛らすしかない人和であった。
そんな中で、控え室の扉を叩く音が聞こえた。
「……天和さん、地和さん、人和さん、ファンからの花束が届きましたよ?」
「ファン?……今日は贈り物とかは禁止にしたハズなのだけど?」
「はい。私もそう言ったんですが『どうしても花束を渡して欲しい』……と」
「はぁ……わかったもらうわ。それで、相手の名前とか聞いていないの?」
「ええ……と、確か『一刀」と言えばわかると……」
――――時は移り、魏の本国城内。
「ぐーぐー……」
……よし、風は寝ているな。名残惜しいがこのまま通り過ぎよう。
俺は、風の後ろをゆっくりと歩いた。
「……久しぶりにお会いになるのにお兄さんは、挨拶もしないですね〜〜」
「っ……!!」
「それとも、あなたは偽者ですか〜?」
「……えっと、その……」
……マズイ。ここで風の顔を見たら彼との約束を破ってしまう。
「お話は聞いてきますからそのままでいいですよ〜?」
「え?」
「華琳様はあの場所で待っていますから早く行ってくださいね〜〜」
「風……」
一瞬、風の顔を見てしまいそうになるがそこは堪え俺は走った。
……しばらくして、風は顔を一度拭いたあと声を上げた。
「もう、出て来てもいいですよ〜?皆さん〜」
風のかけ声と共にどこからともなく魏の英雄達がズラリと風の前に現れて、彼が走り去っていく方へ無言のまま見続けるのであった。
―――あの日の場所。
彼女は、あの時のままだった……いやあの日の格好で俺を待っていたんだ。
「……遅いわよ?」
彼女はそういいつつも俺を見ようとはしなかった……いや見れないのだ。振り向いた瞬間、俺が消えてしまうのを知っているから。
「でも、アナタの声が聞けただけでも満足よ?」
声が震えている。彼女はきっと振り向いて抱き尽きたいのだろう。しかしそれをじっとガマンしているのが見てわかった。
「……」
「……」
……沈黙が流れ時間だけが過ぎていく。そして、俺の体はあの時のように消え始めた。
「もう行くの?」
「ああ……誰とも顔を会わずに半日間だけ滞在するという約束で来たからね」
「……最低」
「…うん。ごめん」
徐々に彼女の体がぼやけてくる……もうすぐ何もかも見えなる。
「……町を見たよ。以前と比べて全然違っていたよ」
「……」
「天和達のコンサートも凪達もがんばりも見れたしもう満足かな?……」
「……」
……もう彼女がほとんど見えない。
「……私は?」
「えっ?」
「……私は見てくれないの?一刀」
そして、彼女は振り向く。その顔は大陸の王ではなくただの少女の顔だった。
「……はは、見てたよ一番最初に。だから泣かないでよ華琳……」
そっと、涙まみれで濡れた華琳の顔を手で拭いてあげた。
「きっとまた会えるさ。……だからその日まで元気でね」
―――そして、砂はすべて消えるのであった。
説明 | ||
一刀が魏の世界で消えて、1年がすぎたころのお話。 | ||
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コメント | ||
。・゚(゜´Д`゜)゚・。 。゚(゚´・Д・`○゚)゚。ヒクヒク ...(森羅) 一刀悲しすぎです〜〜〜〜〜!!!!(号泣)(水上桜花) うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお(感涙)(峠崎丈二) |
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