魔法少女リリカルなのは〜原作介入する気は無かったのに〜 第四十五話 入局する事になりました
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 3学期が始まり、少し経ったある日の事…。

 クロノに呼ばれてアースラに来た俺。亮太と椿姫は『暇だから』という理由で着いて来た。

 

 「《わざわざ済まないな勇紀。それに亮太と…つ、椿姫も》////」

 

 おーおー、椿姫を見て頬を染めてるよこの執務官殿は。

 この様子だと、エイミィさんと結ばれる事はもう無いな。

 

 「気にしないで。私と亮太が着いて来たのは暇だったからだし」

 

 「そうだね。でも『迷惑だ』とか『僕達にも話せない』とか言う内容ならすぐにでも帰るけど?」

 

 「いや、そこまで気にする必要は無いよ」

 

 亮太達と何か話してる様だが俺としては何で呼ばれたのかが気になるのでクロノに本題に入ってくれるように促す。亮太達は一定の距離を取ってこちらを見る。

 念話で話すのだから別に距離を取る必要は無いのに。

 

 「《それで、俺に用ってのは?》」

 

 「《ああ。君がなのはを治してくれた件についてだ》」

 

 「《あの時の事が何か?》」

 

 「《君がなのはを治した一件で本局の上層部は君を『絶対に管理局に入れよう』という方針で決めたみたいなんだ》」

 

 「《何その勝手な結論!?》」

 

 俺の意志完全に無視してるじゃねえか。

 

 「《済まないな。だが、今回なのはが負った傷はリンカーコアの完全破損…それに下半身機能の完全麻痺。それは君も知っているだろう?》」

 

 「《ああ》」

 

 「《病院の医師やシャマルを含めた管理局の治療魔法の使い手が『もう二度と治らない』と断言してた程だ。それだけ重い状態だったと言える。だがそんななのはを君はあっさり治してしまった事が完全に上層部の目に留まってな》」

 

 「《あっさりって…言っとくが何の代償も無く治せた訳じゃないんだぞ》」

 

 一時的にとは言え今の俺は何も聞こえないんだし。

 

 「《知っている。君の聴力の事についてはなのは達から聞いたからね。確かに日常生活に支障が出るが、それも一時的なモノであって時間を置けば完全に戻るのだろう?》」

 

 「《まあ、そうだけど…》」

 

 「《管理局ではただでさえ人手不足な上、治療魔法が使える魔導師はそれ程多くは無い。特に前線でも戦え治療魔法が使えるタイプの魔導師は尚更だ。シャマルや((フェレットもどき|ユーノ))も基本的には後衛タイプだからね。その点君は十分それらの条件を満たしているだろう?レアスキルの能力を抜きにしても君の治療魔法の腕は日々上達しているとシャマルも言ってるぞ》」

 

 まあ確かに、シャマルさんのおかげで大分、治療魔法の腕は上がってきたと自覚は出来る。

 …前線で戦え、治療魔法が使えるタイプか。

 

 「《今や君という存在は管理局にとって『喉から手が出る程欲しい』ぐらいの価値なんだ》」

 

 「《あまり持ち上げられてもなあ…》」

 

 「《それにこれからは僕達以外の管理局員が君を勧誘しに地球へ来る可能性が高いんだ。半ば強引に君を引き込もうとするかもしれない》」

 

 …正直、それは困るな。もし家に押し掛けられでもしたらメガーヌさんと鉢合わせになる可能性が高い。俺がメガーヌさんに渡してる常時認識阻害発動用のデバイスがあるとはいえ、万が一という事もある。

 

 「《それでも断ったら?》」

 

 「《……管理局は君を『放っておけない』と判断して常時監視する事になるかもしれない》」

 

 「《…嘱託魔導師として協力ってのは?》」

 

 「《それも言ってはみたが却下されたよ。『嘱託魔導師という役職で扱うのは勿体無い』との事だ》」

 

 随分と過大評価されてるな俺。

 クロノは『すまない』と謝ってくれる。コイツが悪い訳でもないのに律儀だねえ。

 …とはいえ、管理局を敵に回すのも面倒だな。

 今、管理局と敵対すれば、それはなのは達と戦う事にもなるだろう。

 もしなのは達と出会ってなかったら確実に敵対してでも拒否していたが、アイツ等はもう俺達長谷川家の面々にとっても大切な友達だ。こんな理由で争い合いたくは無い。

 ……つまりは潮時って事か。まあ自分が管理局に入る可能性も一応考えてはいたからな。出来れば入らずに過ごしたかったのだが致し方あるまい。

 

 「《……分かった。家にまで押し掛けられるのは面倒だし、犯罪者なんかに仕立て上げられても困るからな。入局するよ》」

 

 「《本当か!?》」

 

 「《ああ、本局のお偉いさん達は管理局に入ってほしいって言ってるんだろ?だったらお望み通りに入ってやるさ》」

 

 もっとも上層部の強引なやり方は気に入らんからちょっと意趣返しぐらいはさせて貰うがな。

 

 「《本当に迷惑を掛けて申し訳無い!》」

 

 「《気にするな。で、入局するって事は当然なのは達みたいに試験受けたり仮配属研修とかしないと駄目なのか?》」

 

 「《試験は当然だな。と言っても君が受ける試験は筆記だけで実技やその他の試験、そして仮配属や訓練校での研修は全て免除される》」

 

 「《何でだ?いくら高ランク魔導師でもそこまで優遇するか?》」

 

 「《さっきも言ったがそれだけ君の価値が本局に認められてるんだ。それに君にはレアスキル所持による特例措置が適用される。それもきわめて有用で強力なレアスキルを複数所有してるからね。後、君には悪いが時々訓練室でシグナムやフェイト、アリシアや僕と模擬戦している映像を提出させて貰った。それを見て((上層部|うえ))は『筆記以外の試験や研修なんかは必要無い。正式な局員として即採用』との事だ》」

 

 あー…勝手に提出してたのか模擬戦のデータ。

 クロノの言う通り、自主鍛錬以外に実はごく稀にシグナムさんやフェイト、アリシア、クロノなんかと模擬戦してたりする。

 それとレアスキルの特例措置…原作ではやてが上級キャリア試験を受ける際に適用されたっていうヤツか。

 

 「《何か楽して受かりそうだな。というかここでワザと筆記落ちたら俺、局員にならなくていいんじゃね?》」

 

 「《多分無理だろう。もしも白紙で出せば間違い無く再試験になるだろうし、あと一歩という所で点数が届かなくても((上層部|うえ))は確実に合格扱いするだろうね。仮に不合格を言い渡されてもすぐに再試験を受けさせられるだろうし、それでも無理なら合格ラインを更に下げてくると思う》」

 

 ……そこまでして俺を入局させたいのかよ。

 

 「《入局するのに必要な書類が届いたらまた連絡するよ》」

 

 「《分かった。俺も家に帰ってシュテル達に言わないといけないし》」

 

 そこで俺とクロノの念話による会話は終わる。

 シュテル達、どんな反応するだろうか?

 丁度、そんな事を考えていたら亮太と椿姫がやってきた。

 

 「《話の内容は何だったの?言える事なら教えてほしいのだけど》」

 

 「《ん?俺が管理局のお偉いさんに目をつけられてな。家に勧誘とか来られたら鬱陶しいから入局する事にした》」

 

 クロノと話した内容を隠す事無く言うと驚いた表情を浮かべた亮太と椿姫。

 

 「《入局するの!?てっきりフリーのまま原作介入すると思ってたのに…》」

 

 俺だって出来れば入局したくは無かったし、原作介入も正直したくねえよ。でもそれはもう叶わぬ願いだし。

 

 「《そういえば以前、クロノに尋ねられた時は『もしかしたら入る可能性がある』って言ったらしいね(第二十二話)。あの後クロノから聞いたよ》」

 

 「《ああ。ま、俺には原作介入確定の運命が義務付けられてるしな…ハア〜》」

 

 『ガクリ』と肩を落とす俺。『大変だね』と言って慰めてくれる亮太。

 

 「《でも勇紀は管理局に入るんだね。じゃあ僕も入ろうかな》」

 

 「「っ!!?」」

 

 まさかの言葉が返ってきた。

 

 「《本気か亮太!?お前は俺みたいに介入が確定してる訳じゃないんだぞ!?》」

 

 「《うん。でも僕のこの世界での最終目的はアイシスちゃんとラブラブになる事だよ。なら早い内から管理局に入っておくのも悪くは無いし、民間人のまま介入すると面倒臭いかもしれないしね。だから勇紀が入るなら僕も一緒に入局しようかなって》」

 

 「《…まあ俺がお前の意思を決定する権利なんてないから、自分で納得出来る上での結論なら良いけどさ》」

 

 「《後悔なんてしないよ》」

 

 そう言ってクロノの方に行き、話し始める亮太。

 

 「なっ!?それは本気で言ってくれてるのか亮太!?」

 

 「うん。勇紀が入局するなら僕も入局するよ」

 

 「確かに君も上層部に多少評価されてるけど勇紀程じゃないぞ!?」

 

 「でも有能な魔導師は一人でも多いに越した事はないんだよね?それに勇紀は親友だし…。親友を手助けしたいという理由もあるから」

 

 「…そうか。なら君にも管理局へ入局するための書類を渡す事になるからその時に連絡するよ」

 

 二人で話し、どうやら纏まったっぽい雰囲気から察するにクロノも亮太の意思を尊重したみたいだな。

 

 「じゃあ今日の用件h「待ってクロノ」…つ、椿姫!?//」

 

 何やら椿姫がクロノを呼び止めた様だがクロノに用事でもあるのか?

 

 「ぼ、僕に何か用事でもあるのか?(むしろあってくれた方が嬉しい)////」

 

 「私も管理局に入局するわ」

 

 「「ええ〜〜〜〜〜っっっ!!?」」

 

 椿姫が何か言った後、亮太とクロノが同時に驚いている。

 何だ?椿姫の奴、何を言いやがったんだ?

 

 「《亮太、椿姫の奴何を言ったんだ?》」

 

 「《……椿姫も管理局に入るって…》」

 

 「はあ〜〜〜〜〜〜ッッ!!?」

 

 思わず声を出して驚いてしまった。

 

 「《ちょっと待て椿姫!お前、管理局に入る理由なんてあるのか!?》」

 

 「《勿論あるわ》」

 

 即答してきた。

 

 「《その理由は聞いても良いものか?》」

 

 「《別に構わないわよ。その理由は…》」

 

 「「《理由は?》」」

 

 俺と亮太は椿姫の言葉の続きを待つ。

 

 「《勇紀の側で起こる騒動やトラブルを見て楽しみたいからよ♪》」

 

 「やっぱりそんな理由かコノヤローーーーッッ!!!」

 

 再び声を出して叫ぶ俺。

 そうだよ。コイツにマトモな理由なんて期待出来る筈がない。期待した俺が馬鹿だったよ!

 

 「《もう、勇紀ったら。嬉しいなら嬉しいって素直に言えばいいのに。相変わらずのツンデレね♪》」

 

 「燃やすぞコノヤローーっっ!!」

 

 大体『トラブルを見てくれてありがとう』なんて言う奴が何処にいるんだよ!

 

 「(まあ、椿姫らしいよね)」

 

 「(つ、椿姫が管理局に……。なら今後は僕と局内で顔を会わせる機会もあるという事に……。だとしたらかなり嬉しいぞ)////」

 

 亮太は『やっぱり』みたいな表情してるし、クロノは何か頬を赤らめて考え込んでるし。

 

 「《デ・レ・て♪デ・レ・て♪》」

 

 椿姫の『デ・レ・て♪』コールにプッツンした俺。

 そのまま追いかけ始める。

 椿姫は逃げながらこの状況を楽しんでいる様なので更に腹が立つ。

 ここが訓練室なら最近((天火布武|テンマオウ))の炎を上手く操り、自分の技として扱える様になった『火拳のエース』の技を椿姫の奴に全力全開でぶつけるのに。

 ちなみにその事を亮太に教えたら『是非見せてほしい』と瞳を輝かせながらせがまれた。

 …本当に『ONE PIECE』が好きなんだな。

 

 

 

 「《…つー訳で管理局に入局する事になりました》」

 

 家で夕食を食べた後、皆をリビングに集めて今日クロノに呼ばれた理由と俺が管理局に入る旨を伝えた。

 ちなみにルーテシアは現在テレビ番組に夢中で、こちらを見向きもしない。まあ会話に加わる事が出来る内容じゃないからな。

 

 「《…ユウキが決めた事ならとやかく言いませんが、本当に良いのですか?》」

 

 「《ああ》」

 

 シュテルの言葉に頷く。

 

 「《…その、ゴメンなさいね勇紀君》」

 

 「《別にメガーヌさんが謝る必要は無いですよ》」

 

 『ここに居たらメガーヌさんの生存がバレるかもしれない』…その事で迷惑を掛けていると感じている様だ。

 でも俺としては滅多に顔を見せられないさくらさんの代わりに保護者代理人になってくれてる事に、本当に感謝している。だからメガーヌさんに謝って貰う必要など微塵もない。

 

 「《それで亮太と椿姫も入局する事になったんですよね?》」

 

 「《アイツ等も上層部に多少目を付けられてたらしいからな。俺程じゃないけど》」

 

 光人間にMランク魔導師。俺の所有するレアスキルの数が多くなければ間違い無く亮太と椿姫の方が優秀だろうし。

 

 「《むう…》」

 

 「《どうしたディアーチェ?》」

 

 何やら考え込んでいるディアーチェ。

 

 「《いや…》(普段からユウキをからかっている椿姫だが本当に奴はユウキの事を何とも思っておらんのか?もし奴がユ、ユウキの事を好きで管理局に入る事を決意したのなら…それに小鴉達も局員である以上、今後はユウキと接する時間も増える筈。もしそうなれば…)」

 

 何か腕を組んで『うーん』と唸っている様子で色々考察している模様。

 少ししてから顔を上げたディアーチェが俺の目を見てハッキリと告げた。

 

 「《…決めたぞユウキ!我も管理局に入局する!!》」

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 「「「「はあああぁぁぁぁっっっ!!?」」」」

 

 思わず大声を上げた俺。シュテル、レヴィ、ユーリも同様に大声を上げて驚いてるみたいだ。

 

 「おにーちゃんたち、うるさい」

 

 「「「ゴメンなさい」」」

 

 何か不機嫌そうなルーテシアに謝ってるシュテル、レヴィ、ユーリ。

 どうやら『テレビを観てる最中に俺達が叫んだので怒ってる』とユーリが教えてくれたので俺も『ルー、ゴメンな』と謝っておく。

 

 「《我が入局すると言っただけでそこまで驚く事か!?》」

 

 「《だってディアーチェって命令されるの嫌そうな感じじゃん》」

 

 「《レヴィの言う通りですよディアーチェ。誰とも知らない上司に命令されてコキ使われるなんてあなたが最も嫌いそうな事じゃないですか》」

 

 レヴィとユーリの言い分に俺とシュテルは頷く。

 誰かに命令されるのは元『王』のマテリアルであるディアーチェのプライドが許さんと思うのだが。

 するとディアーチェはリビングの隅にシュテル、レヴィ、ユーリを連れて行き何やら話し始めた。

 

 「ならお前達はこのまま家でのんびりしておくつもりか?」(ヒソヒソ)

 

 「だって、管理局に入ったら遊べる時間減っちゃうじゃん」(ヒソヒソ)

 

 「自由に過ごせる時間が減るのは私としても少し嫌ですね」(ヒソヒソ)

 

 「ディアーチェ、考え直した方が良いのではありませんか?」(ヒソヒソ)

 

 俺の耳は聞こえないんだからヒソヒソと話さなくてもいいのに。

 

 「だが、このままだと我等のいない間に小鴉達がユウキとの距離を縮めてしまうかもしれん」(ヒソヒソ)

 

 「それは無いと思うのですが…。そんな簡単にユウキと距離を縮められたら私達もこんなに苦労しませんし」(ヒソヒソ)

 

 「その言葉に絶対の自信を持って言えるかシュテルよ?人生何が有るか分からんぞ?それに…」(ヒソヒソ)

 

 「「「???」」」

 

 「小鴉達以外にもユウキの事を好きになる下郎共が現れるやもしれん」(ヒソヒソ)

 

 「「「!!!」」」

 

 ……アイツ等一体何話してんだろ?

 

 「ユウキはとにかく女を引き寄せるからな。これ以上放っておくと何人がユウキに惚れるのやら…」(ヒソヒソ)

 

 「それは一理ありますね。気付けば堕ちてますから」(ヒソヒソ)

 

 「それにもし僕達の知らない所でユウが知らない女と付き合う事になるのは、流石に我慢出来ないよ」(ヒソヒソ)

 

 「ライバルは少ないに越した事はありませんからね」(ヒソヒソ)

 

 …いい加減戻って来てくれないかなあ。ルーテシアはテレビに夢中だし、メガーヌさんは四人を微笑ましく見守ってるし。俺一人寂しいです。

 …っと、どうやら話し合いが終わった様で四人が戻ってきた。

 

 「「「《そういう訳で私(僕)も管理局に入局します(入局するよ)》」」」

 

 「《どういう訳!?》」

 

 一体何がどうなってそういう結論に至ったのだろうか?

 

 「《気にしないで下さい。これは私達自身の意志で決めた事ですから》」

 

 「《いや、自分で決めたのならとやかく言わんけど》」

 

 「《なら問題無いじゃん》」

 

 「《はい。別に強制された訳ではありませんからね》」

 

 「《そういう事で我等も入局するぞ》」

 

 「《クロノへの連絡は私がしておきます》」

 

 シュテルがそう言って締め括り、この話題は終わりとなった………。

 

 

 

 次の日…。

 

 「《それでシュテルさん達も入局する事になったんだ?》」

 

 「《本人達も何故か入局する気満々みたいでな》」

 

 俺は亮太と授業を受けつつ、念話で会話をしている。

 ちなみに学校側には『冬休みに事故に遭い、一時的に聴力が低下してる』と説明している。

 その後、俺に何か言いに来た男子生徒がいたのだが、その直後にレヴィのタイキックが炸裂した。

 念話でディアーチェに聞いた所、『本当に耳が聞こえてないのか確認するために俺の悪口を言った』という事らしい。

 その男子生徒にとっては冗談半分のつもりだったのだろうがウチの家族はそれを快く思わなかった様で……。

 しかしタイキックに味を占めたなレヴィ。そんなに気に入ったのだろうか?

 

 「(大体彼女達が入局する理由の想像はつくけどね)《それでクロノはその事を知っているのかい?》」

 

 「《昨日シュテルが連絡するって言ってたからもう知ってると思うぞ》」

 

 これで俺、亮太、椿姫だけでなくシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリの四人も入局する事が決まったので管理局側からすれば高ランク魔導師が七人も入る事になる。

 本局のお偉いさん達にとっては嬉しい誤算だろうな。

 

 「《それにしても試験かあ…。実技はともかく学科は勉強しないといけないね》」

 

 「《まあ、小学校の授業なら予習、復習しなくても大丈夫だろ?》」

 

 「《うん。それは大丈夫》」

 

 昨日の帰り際に『管理局の筆記試験に役立つような資料と過去の問題集もこちらで準備しておくよ』とクロノが言ってくれた。

 後は、試験まで勉強あるのみだな。

 普通にマルチタスクをフル活用するか((高速思考|ハイパーハイスピード))を使えば充分頭の中に叩きこめるだろう。

 

 「《実技の方は自信あるだろ?》」

 

 というか亮太が負ける姿を想像出来ん。光人間だし。

 

 「《相手がどんな人か気になるぐらいかな。勝っても負けても勝敗自体は採点の基準にならないらしいから。でもやるからには勝ちたいね》」

 

 いや、勝てるだろう。お前に攻撃当てるなんてまず無理だし。

 俺だって((唯我独尊|オンリーワンフラワー))の範囲内に亮太を捉えないと攻撃を当てる事が出来ない。俺は武装色の覇気使えんから遠距離攻撃はまず無意味だ。

 否応にも近接戦闘を挑まざるを得なくなるが、その前に光速移動とか八咫鏡で距離取られるからなあ。

 

 「《まあ、頑張ってくれ》」

 

 「《そっちこそ、筆記で落ちたりしない様にね》」

 

 落ちてもどうせ管理局側が救済措置を取るだろうからそれ程心配する必要が無いんだよな。

 

 「……ではこの問題を大槻君、解いてみて下さい」

 

 「はい」

 

 どうやら亮太が指名された様で立ち上がって黒板の前まで行き、問題を解き始める。

 それからは俺も念話を止め、授業に専念するのだった………。

 

 

 

 更に2日後…。

 クロノから『書類と資料が準備出来た』との事で俺達はアースラにやってきていた。

 シュテル達の分も纏めて貰うつもりだったが本人達は『自分で取りに行くから』と言い、俺と一緒にアースラに来ている。

 

 「《……で、お前は何でそんなに疲れてるんだユーノ?》」

 

 「《あははは……ハア〜。クロノに『過去の入局筆記試験の資料を数年分纏めて用意しろ』って言われてね。連絡があってから今日まで一睡もしてないんだよ》」

 

 ユーノの目元には隈が出来ており、それが『眠っていない』という事実を物語っている。

 

 「《…迷惑掛けてすんません》」

 

 「《気にしないで。僕もその……椿姫には合格して貰いたいからね》////」

 

 チラチラと見る視線の先には椿姫の姿が。

 …うん。ユーノもクロノ同様、椿姫にベタ惚れですな。

 つーかクロノ、ちょっとユーノを酷使し過ぎじゃね?そこまで急いで貰わなくても良かったのに。

 

 「《まあ、何にせよ助かったよユーノ。今度何か奢らせてくれ》」

 

 ここまでして貰ってタダという訳にはいかんね。

 

 「《そう?なら時間が空いたら連絡するからその時はよろしく頼むよ。今日は流石に寝たいから》」

 

 そうして仮眠室にでも行くのかユーノが移動しようとすると

 

 「ユーノ」

 

 突然ユーノが凄い勢いで振り返り、俺……と少し視点のズレた場所を見ていた。

 俺も振り返ると椿姫がこっちに近付いて来ている。

 コイツが声を掛けたみたいだな。

 

 「ゴメンなさいね。私達のために苦労をかけたみたいで…」

 

 「全然!!この程度、苦労の内にも入らないから!!」

 

 「ありがとう。今度何かお礼させてね」(ニコッ)

 

 「〜〜〜〜〜〜〜っっ!!////////」

 

 良かったなユーノ。今日までの苦労が報われたじゃないか。

 

 「《でもユーノだけじゃなく、クロノとザフィーラも椿姫に惚れてるんだよなあ》」

 

 「《そうですね》」

 

 最終的に誰が椿姫と付き合えるのかは分からんが『精々頑張れ』としか俺は言う事が出来ない。

 

 「《じゃあ、帰るかな》」

 

 「《ユウキ、先に帰っていて下さい》」

 

 「《ん?何だ?用事でもあるのか?》」

 

 「《私達は訓練室を借りて訓練するつもりですので》」

 

 シュテルの言葉にレヴィ、ディアーチェ、ユーリが頷く。

 

 「《そうか?なら書類と資料だけでも持って帰ってやるけど?》」

 

 「《大丈夫です。自分で持って帰りますから》」

 

 「《分かった。夕食の買い物はやっておくから、もし何処かで食べて来るとかで夕食がいらないなら連絡くれ》」

 

 「《分かりました》」

 

 シュテル達と別れ、俺は一足先にアースラを後にする。

 そういえば今日は鶏肉が特売だって新聞紙の間に挟まってたチラシの載ってたな確か。

 なら照り焼きチキンか親子丼にでもしますかね。

 俺はメガーヌさんに連絡を入れてスーパーで合流する旨を伝え、自分も目的地に向かって歩き出した。

 その途中、

 

 「(ん?あれって…)」

 

 俺の前方に見覚えのある後ろ姿を発見した。

 小柄で銀髪の女性

 

 「《チンク〜》」

 

 念話で呼び掛けると目の前の人物…チンクは立ち止まり、振り返ってこちらを向いた。

 俺はチンクの側まで駆け寄っていく。

 

 「むっ?勇紀か?奇遇だな」

 

 何やら言ってくれてる様だが全く聞こえんので

 

 「《悪いけど今は耳が聞こえなくてな。会話するなら念話で頼む》」

 

 「っ!?《そうか、分かった。しかし何故耳が?何かあったのか?》」

 

 「《友達を助けるためにな…》」

 

 「《ドクターに診てもらうか?人造魔導師の研究もお前に会うまでは評議会の連中に命令されてしていた時期があるからな。案外治療法が見つかるかもしれんぞ?((私の目も治してくれた|・・・・・・・・・・))ドクターの腕だ。信頼出来る》」

 

 そう…、目の前にいるチンクは原作と違ってスカリエッティに治療して貰ったため、眼帯をしていない。

 

 「《いやいいよ。これは時間が経てば回復する症状だから》」

 

 それにスカリエッティに頼むと((魔改造|パワーアップ))されそうな気がしてならない。

 

 「《それよりチンクは((地球|ここ))で何してんの?》」

 

 「《以前お前が持ってきてくれたシュークリームを買いにきたんだ。アレは皆に好評で『また食べたい』と言うのでな》」

 

 チンクの手を見ると見知った箱が。

 

 「《納得。しかし良く地球の通貨持ってたな?》」

 

 「《ドクターに手渡された。『ミッドの通貨はここでは使えない』と言われてな》」

 

 何故スカリエッティが持ってるのか気になる。ミッドで換金でもしたのだろうか?一応、犯罪者だから顔は割れてるだろうに。

 …いや、管理局にはドゥーエが居るから彼女に頼めば出来なくもないか。

 

 「《そう言えば最近は来ないな。トーレもお前と模擬戦したがってたぞ?》」

 

 「《耳が治った頃にまたお邪魔させて貰うわ。今はちょっと勉強もしないといけないから忙しくてな》」

 

 「《そうか。もし来た時は私とも模擬戦を頼めるか?》」

 

 「《了解》」

 

 「《感謝する。では私はそろそろ帰る》」

 

 「《どうやってだ?》」

 

 「《ドクターに連絡を取って転移して貰うつもりだ。だから人気の無い場所へな》」

 

 「《そうか。スカリエッティにもよろしく言っといてくれ》」

 

 「《ああ。ではな》」

 

 俺とチンクは別れ、再びスーパーに向かって歩き出した。

 

 次の日、俺がチンクと一緒に居たのをクラスメイトが見ていたらしくシュテル達には

 

 『また知らない女を…』

 

 『その女はお前とどういう関係なのだ?』

 

 とか言って尋問された。

 スカリエッティのとこの子だと言ったら納得はしてくれたが、しばらく四人は不機嫌なままだった………。

 

説明
神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。
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コメント
管理局入りしましたか。自分としては入局時にひと悶着あって、原作キャラ+(真っ当な)転生者達と対管理局戦なんて展開も見てみたかった気も・・・・(海平?)
↓いや、だとしても今はスカさんのオリジナルが牛耳っていそうだからなぁ…更に面倒な事になりそうだな…。(神薙)
↓娘煩悩が多い管理局になりそうだ。(黒咲白亜)
脳味噌が死んでいるのだから、スカさん辺りに頼んで管理局をもう少しマトモに出来ないものだろうか。流石に無理か。(chocolate)
管理局に入ってしまいましたか。面倒事が増えそうですね。しかし、これでStS開始前にフラグ乱立の可能性も高くなりました。あとチンク登場嬉しい。(chocolate)
↓確かにもしかしたらクローンとか作りそうな気がしますね。最も転生特典だからコピー不可能なきがしますけど。(クロノ)
↓相手は『あの』管理局ですし、絶対裏で面倒な事を計画してきそうですけどね……(神薙)
もし、配属されるなら地上部隊でwできればゲンヤさんの部隊希望w(tenryu)
そういえば、レアスキルの副作用がどうして起きるのかスカさんに質問とかしたりしないんですかねぇ…?(神薙)
↓ 私も彼に同意する(deltago)
勇紀の事だから合格後に鳴海少将に掛け合って地上に配属してくれって言いそうだな。くえすや飛白と飛鈴の姉妹が如何するのかも楽しみです。(俊)
↓↓急上昇どころかすでに最大レベルな気もするんだが・・・・・・そして、椿姫ェ・・・・・・(黒咲白亜)
ところで勇紀の意趣返しってなんだ?(hikage961)
管理局の戦力が急上昇したが正直管理世界の平和?何それ?って感じのメンバーしかいないだろ。(hikage961)
主人公ハーレム第二段開幕だw(tenryu)
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