魔法少女リリカルなのは〜原作介入する気は無かったのに〜 第四十六話 管理局員になっちゃいました
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 今日は地球時間では日曜日の午前…。

 

 [という事で((地上本部|・・・・))に配属される事になりました長谷川勇紀三等陸士です。よろしくお願いします。それと、自分は今耳が聞こえないので会話をする時は念話での通訳か筆談でお願いします]

 

 現在俺は地上本部の一室に来ている。((陸士部隊|・・・・))の制服を着て…だ。

 スケッチブックに文字(勉強して覚えたミッド文字)を書いて目の前にいる人物…レジアス中将に見せてから敬礼する。

 

 [むう…。((本局|うみ))の連中が『有望な人材を見つけた』とまた騒いでいたが、それは君の事ではないのか?]

 

 耳が聞こえない理由を教え、それを理解してくれたレジアス中将も筆談で返してくれる。

 

 [多分俺ですね]

 

 筆記試験に合格した俺は晴れて管理局員となった。

 

 [ワシとしては高ランクの魔導師が来てくれるのは有り難いのだが何故((地上|おか))を選んだのか聞いても良いか?君程の魔導師ならばすぐに出世できる上、聞いた所によると((本局|うみ))に配属されれば最初から『准尉』の階級を与えられると言われておったそうだが?その話を蹴ってまで((地上|コチラ))を選んだ理由をワシは知りたい]

 

 [それに関しては((意趣返し|嫌がらせ))みたいなもんです。本局のお偉いさん達は『管理局に入れ』とは言いましたが『本局に所属しろ』とは言ってませんので。最初は『俺の意志を尊重する』みたいな事言ってたのに、俺が有能なレアスキルを所持してると知った途端に『入れ。さもなくば監視するぞ』と手の平を返されたのでついムカついて]

 

 『地上本部希望』とクロノに貰った書類…『入局志願書』に書いて提出してやると当然本局の上層部は黙っていなかった。

 レジアス中将が言ったように『准尉』の階級を与えると言われたり、通常の局員の給料より遥かに多い額を提示されたりもしたが全て蹴った。それでもしつこいから

 

 [これ以上、俺の事縛るつもりなら入局しませんから。監視するならこちらもそれなりの対応を取らせて貰いますから]

 

 とスケッチブックに書いて黙らせた。

 仮にここで本局が力尽くで俺を従わせようとしても、魔導師相手なら((唯我独尊|オンリーワンフラワー))で魔力、アフロディーテでデバイスを抑えればどうにでも出来るし、宝具の((支援|バックアップ))、最悪((乖離剣|エア))を振るえば多分本局の戦力相手にもある程度は戦えると思う。

 アルカンシェル?そんなモン撃たす前にアフロディーテでメインコンピュータをハッキングして艦の制御を奪ってしまえばいいだけだ。人間一人相手に撃つようなモンじゃないが。

 …まあ、上層部は諦めてくれた様なので争う事無く済んで良かった良かった。

 その代わり階級は研修生終了後の『三士』だが…。

 

 [後、出世なんて地上に配属されてても出来る事ですし、それに地上は本局以上に人手不足が深刻じゃないですか]

 

 [確かにな]

 

 [それに少し自分でも調べましたけどゼストさん、クイントさん、メガーヌさんが抜けた今、地上には高ランク魔導師がほとんど居ないのが現状ですから。俺があの三人の代わりになれたらなあと]

 

 地上の魔導師はほとんどがB〜Cランク、一つの部隊、部署にAランクが二人以上いる所はほとんど無くAAランク以上の魔導師なんて地上本部全ての部署を含めて数える程しか局員がいなかった。

 いくら何でもこれはいかんでしょう。これで『頑張って治安を守っていこう』とか無謀過ぎる。

 ゼストさん達ってどう考えても地上の主力だったよな?

 これはマジで深刻な問題だろう。こんな現状は見て見ぬフリ出来んよ。

 『ゼストさん達がいつか局員として復帰するまでは俺が少しでもミッドの犯罪率を減らさないと!』と心の中で誓う。

 

 [そこまで考えてくれていたとは…。ありがとう…ワシ等地上本部は君を歓迎する。それと君の様な子供の力に頼らねばならない事を謝らせて貰いたい。ワシ等は大人として本来ならば未来ある子供達を守る立場であると言うのに、逆に子供達の力を借りねばならないとは何とも情けない事であろうか]

 

 わざわざ長文を書いて頭を下げ、謝罪するレジアス中将。地上のトップが入局したての新人に頭を下げるなんて…。

 それにこの人、メッチャ良い人です。子供を働かせる現状に嘆いてるんだよ?本局の上層部とは大違いだな。

 ……いかんな。若干本局アンチになりつつある。少し落ち着かねば。

 

 [いえ、お気になさらずに。今後は俺がゼストさん達の分も頑張りますから。勿論自分の出来る範囲で無茶しない程度にですが]

 

 […本当に済まない]

 

 最後にもう一度謝ってレジアス中将は頭を上げた。

 

 [それで長谷川三等陸士。君は何処の部署を希望するのかね?]

 

 [最終的には首都防衛隊へ配属されたいと思っていますね]

 

 [最終的?では防衛隊以外にも他に行きたい部署があるのか?]

 

 [地上の部隊は一通り回ってみたいのが希望ですね。話に聞くだけなのと実際に自分がその場所で経験するのとでは、ものの見方や考え方が違ったりしますから]

 

 [なるほど、もっともな意見だ]

 

 深く頷くレジアス中将。

 

 [それで最初に行こうと思っているのは『陸士108部隊』です]

 

 [『陸士108』?あそこは確か…]

 

 [はい。クイントさんの旦那さんがいる部隊らしいので]

 

 ゲンヤさんにクイントさんの現状を報告しておこうと思った訳だ。もっとも直接会っている訳ではなく、俺の耳が聞こえなくなる前に電話越しで向こうの様子を聞いていた事を言うだけだが。

 

 [そうか。なら長谷川三士の最初の配属先は108にしておく様、ワシが人事部に伝えておこう]

 

 [よろしいのですか?中将にそこまでして貰わなくても自分で直接伝えに行けますが…]

 

 [気にするな。ワシは親友であるゼストとその部下であるクイント、メガーヌを助けてくれた君に感謝しておるし、信頼も持てる。これぐらいでは恩返しにもならんが少しはワシにも何かさせてくれまいか?]

 

 そこまで言われると無下には断れない。

 

 [お手数をお掛けします]

 

 [なに、構わんよ]

 

 俺は自分で持って行こうとしてた書類をレジアス中将に渡し、最後に一礼してから部屋を退出する。

 今日は書類を提出しに来たのと、その前に地上のトップであるレジアス中将に挨拶に来ただけで本格的な配属や任務等はもう少し先になってからだろう。

 とりあえず今日は地上本部内を軽く探索しようと思い俺は宛ても無く歩き始めるのだった………。

 

 

 

 〜〜レジアス視点〜〜

 

 「随分と嬉しそうですね」

 

 今日から地上本部の局員として配属となった長谷川勇紀三等陸士。

 彼が退出するのを見送ってからワシの娘であり秘書を務めているオーリスが声を掛けてきた。

 

 「そうか?」

 

 「ええ、近年見る事が無い程の笑顔ですよ。今の中将は」

 

 ワシはそんな表情を浮かべておるのか…。鏡が無いもんで自分で自分の顔を見る事は出来んが。

 

 「あの歳でAAAランク相当の魔力を誇る魔導師。((地上|おか))にとってはこの上ない力になるであろう彼が来てくれたことが中将は嬉しいのだと私は思うのですが?」

 

 「確かにそう言った思いもあるにはある。まだ子供の彼に頼るのが心苦しくもあるがな」

 

 『だが…』とワシは一呼吸置いて言葉を続ける。

 

 「((地上|おか))の現状を事前に調べ、十分に理解し、((本局|うみ))の提示した破格の待遇を蹴ってまで来てくれた事が素直に嬉しいのだよ。あれほどの条件を出されたら、まず((本局|うみ))への配属を希望するというのに…」

 

 「確かにそうですね。それだけ((本局|うみ))側は彼の事を評価していたのでしょう。まあ彼がコチラに来たのは((意趣返し|嫌がらせ))みたいなものだとも言っていましたが」

 

 オーリスも頷き、答える。

 

 「それに彼の目からも純粋にミッドの平和を憂いてる意思を感じられた。そして『自分がミッドを守る』という強い意志も…。あの目を見て昔を思い出したよ。ゼストと誓い合うよりも遥か前…ワシが管理局へ入局し始めた頃もかつて彼の様に『自分の力でミッドを守ろう』と強く自分に誓い、奮起していたあの頃の事を…」

 

 だがどれだけの年月を重ねても現状を変える事が出来ず、気付けば違法犯罪に手を染めてでも力を求める様になっていた。

 

 「ワシは…焦っていたのだろうな」

 

 自らの手で現状を変える事が出来なかった事に。

 

 「地上の犯罪を減らすために犯罪に手を染めるなど…本末転倒も良いところだ」

 

 「ですが中将は本格的に足を踏み外す前に、立ち止まる事が出来たのではないですか?」

 

 「ああ…ワシの唯一無二の親友のおかげでな」

 

 お互いに殴り合って本音を言い合った事…そしてその機会を作ってくれたのは、今し方部屋を退出して行った少年だ。彼がゼストを救ってくれなければ今頃ワシは…。

 

 「…彼ならば、ワシの様に焦る事も、道を踏み外そうとすることも無く、ミッドの平和を守り続けてくれるかもしれんな」

 

 何故かは分からんが確信めいたものを彼から感じ取った。

 

 「…オーリスよ。もしワシが現役を退いた後は彼をサポートしてやってくれぬか?」

 

 「…今の時点でそこまで言いますか?彼はまだ子供で局員になったばかりですよ?」

 

 「心配は要らぬよ。彼ならばすぐに上へやってくる。そんな気がするのでな」

 

 「…本当に気に入ったのですね。あの少年、長谷川勇紀三等陸士の事が」

 

 やや呆れた表情を浮かべながらも口を開く我が娘。

 

 「…さて、人事部に行くとしようか。彼の配属先の事などを伝えておかねばな」

 

 ワシは彼から受け取った書類を手に持ち、部屋を後にした………。

 

 

 

 〜〜レジアス視点終了〜〜

 

 さてさて、地上本部内を適当に探索していた俺は途中で一人の女性局員に声を掛けられ、そのまま地上本部内にある食堂へと一緒に足を運んでいた。その女性局員は食券を2枚買った後、俺の対面の席に座り、水を運んできたウェイトレスさんに渡す。

 時間はお昼前で、他にも昼食を食べに来た局員の人が徐々に食堂へやってくる。そんな中

 

 「顔を見るのはこれで二度目…実際に会うのは今日が初めてね」

 

 何やら話し掛けてくれてる。

 

 [すみませんが、今の俺は耳が聞こえないもので筆談か念話でお願いできますか?]

 

 そうスケッチブックに書いてみせると一瞬驚いた表情を見せるが

 

 「《そうなの?なら改めまして。貴方の顔を見るのは二度目だけど会うのは今日が初めてね》」

 

 「《そうですね。初めまして((ドゥーエさん|・・・・・・))》」

 

 女性局員の姿であるドゥーエさんと念話で会話する。

 

 「《まずはドクターを救ってくれた事に対して改めてお礼を言わせて。ありがとう。このままだとドクターはあの連中の言いなりになるしかなかったから》」

 

 頭を下げ、お礼を言うドゥーエさん。

 

 「《それにしても貴方が管理局員になったなんて聞いてないんだけど?それとも私みたいに潜入捜査でもしてるのかしら?》」

 

 「《今日から局員として働く事になったんですよ。スカリエッティには帰ってから言うつもりですけど》」

 

 「《なら私の方から言っておいてあげるわ。ドクターには定期報告もしないといけないから》」

 

 「《そうですか?じゃあお願いします》」

 

 「《でもどうして局員に?》」

 

 「《…すべては本局上層部のせいですね》」

 

 俺は局員になった経緯を話す。

 

 「《…ご愁傷様としか言い様がないわね》」

 

 「《自業自得と言えばそれまでなんですけどね》」

 

 ただでさえ高ランク魔導師なのに夜天の書を作ったり、なのはの怪我を完治させたりと色々やらかしたから。

 これで宝物庫の中の宝具の存在がバレたら俺、間違い無く面倒な事になりそうだ。

 出来るだけ宝具は使わない様にして、使う際も管理局には絶対バレない様にしよう、うん。

 

 「《そういや、例の評議会の殺害犯について何か分かりました?》」

 

 俺は尋ねるが、ドゥーエさんは力無く首を左右に振るだけ。

 

 「《正直、お手上げね。全く進展は無いわ》」

 

 「《評議会に繋がりのありそうな連中について調べたりは?スカリエッティやレジアス中将以外にもいるんでしょう?》」

 

 「《そちらも一応調べてみたのだけれどまず無理でしょうね。そもそも評議会の連中が居る場所どころかあんな姿だって知ってるのは誰もいないわ》」

 

 「《…ですよねー》」

 

 『ハア〜』と溜め息を吐いた様子のドゥーエさんに同意し、俺も首を縦に振る。

 

 「《とはいえ、弱音は吐いてられないわ。ドクターに危険が及ぶかもしれない以上、何か僅かな手がかりでも掴んで早急に調べ上げないと》」

 

 「《俺にも手伝える事があったら連絡下さい。微力ながら力になります》」

 

 「《ええ、人手が欲しい時は頼らせて貰っていいかしら?》」

 

 「《お任せあれ》」

 

 その時、丁度昼食が運ばれてきたので一旦念話での会話を止め食事を摂り始める。

 買ってくれた食券の代金は『後日返す』と言ったのだがドゥーエさんには丁重にお断りされた。スカリエッティを助けた事による感謝の気持ちらしい。

 そのまま俺達は二人で昼食を摂った後、ドゥーエさんと別れ、次は本局へ行くために転送ポートを目指して歩き出した………。

 

 

 

 「《そうか…。((地上|おか))の方へ入局したんだね。とりあえずおめでとう》」

 

 「《ありがとうございます》」

 

 ここは本局のとある一室。鳴海少将のいる部屋だ。

 入局した事を鳴海少将に伝えるため、俺は本局に来たのだ。後、耳が聞こえない事も最初に鳴海少将には伝えてある。

 今回俺がここに来た目的は神様に聞きたい事もあったからだ。

 

 「《しかし入局した事を報告するだけならハラオウン執務官を通じてでもよかったんだが…》」

 

 「《報告はついでみたいなものです。今日は神様に用があったんで》」

 

 「《神様に?》」

 

 「《はい。取り次いでもらえます?》」

 

 「《少し待ってくれたまえ》」

 

 そう言って連絡を取ってくれる。

 今思えば何故鳴海少将は神様と連絡取れるんだ?

 そんな事を思っていると、俺と鳴海少将の間の空間に一つのディスプレイが表示され、目的の人物(?)である神様が姿を見せてくれた。

 

 『《やあ勇紀じゃないか。私に聞きたい事とは一体何だい?》』

 

 出会い頭から念話で話してくれる。どうやら鳴海少将が連絡した際に俺の現状も言ってくれた様だ。

 

 「《俺のレアスキル、((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))なんですけど、原典以外の宝具が収納されているのは何故なんでしょうか?》」

 

 エクスカリバーやゲイボルグなんかがある理由が気になったので俺は神様に尋ねる事にした。

 

 『《あー、君の((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))は『中古品』だからね》』

 

 中古品?何じゃそら?宝具に中古なんてあるのか?

 

 『《君が転生の際に((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))を願ったのは良いけど丁度その時、転生者に本来渡す筈の『新品』の((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))がもう無かった事をうっかり忘れていてね》」

 

 「《はあ…》」

 

 『《だから悪いとは思ったが中古品の((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))を進呈した訳だ》』

 

 「《別に無いなら『無い』って素直に言ってくれれば他のレアスキルを頼んだんですけど?》」

 

 『《いやいや!神様にもプライドがあるんだよ。『進呈しよう』と言った手前『ゴメン、在庫無かった』なんて言える筈も無いだろう》』

 

 プライドねえ…。

 

 『《まあそれはさておき、君の((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))は生前、別の転生者が使っていたものでね。彼が第二の人生を全うし終えた際に回収したんだ。それでその転生者が『宝物庫の中身はギルガメッシュと同様+Fateシリーズに出てきた全ての宝具』と((改造|カスタム))したんでね。それが原典から派生した宝具も入っている理由だよ》」

 

 それが派生後の宝具が収納されていた真実という訳か。

 

 『《ちなみに全てといっても『((無限の剣製|アンリミテッド・ブレイドワークス))』や『((王の軍勢|アイオニオン・ヘタイロイ))』、『((十二の試練|ゴッド・ハンド))』みたいな一部例外の宝具は無いからね》』

 

 むしろあったらあったで怖いがな。

 

 『《その代わり『((騎兵の手綱|ベルレフォーン))』や『((斬り抉る戦神の剣|フラガラック))』なんかもちゃんと収納されているだろう?》』

 

 ……ええ、ありましたね。もっとも『((騎兵の手綱|ベルレフォーン))』は使うために騎乗できる生き物なんて俺の側にはいないし。それに『((斬り抉る戦神の剣|フラガラック))』は使い捨ての宝具で一回使ったら作らないといけない。作り方は((悪魔図書館|あくまとしょかん))使って調べれば作れるけど一つ作るのに時間が掛かると原作では言われてた筈だ。

 

 『《((斬り抉る戦神の剣|フラガラック))については心配ご無用だよ》』

 

 俺の心情を読んだ神様が言う。

 

 「《何故です?》」

 

 「《生前の転生者がもう一つ((改造|カスタム))してたのを思い出したんだ。彼は大層な酒好きだったんでね。Fate/Zero》でギルガメッシュが振舞っていた酒を毎日飲みたいがために消耗品に関しては宝物庫の中で勝手に消耗した分精製される機能も付けてたんだよ。だから酒を飲み終えたり、((斬り抉る戦神の剣|フラガラック))を使い終えたら勝手に宝物庫の中で自動精製されるから実質取り出す度に酒は飲めるし、((斬り抉る戦神の剣|フラガラック))は打ち放題だよ》』

 

 「《…じゃあ俺が普段から収納してる日常品なんかも?》」

 

 『《それは無いね。あくまで『転生直前に宝物庫に収納していた物』に限ってるみたいだったから》』

 

 チイッ!もし野菜や肉なんかが自動精製されたら食費がかからずに済んだのに。

 

 『《まあ、そういう事だよ。中古品とはいえ、オリジナルよりも強力なのは間違い無いんだから別に良いだろう?》』

 

 「《…そうですね》」

 

 ((騎兵の手綱|ベルレフォーン))はアレだな。Stsでキャロからフリード借りて試してみるか自分も召喚出来る生物を捕まえるかしないといけないな。((斬り抉る戦神の剣|フラガラック))はまあ…乱発して使う事は無いだろうけど自動精製されるのは有り難い。

 

 『《他に何か聞きたい事はあるかい?》』

 

 「《…そうですね。鳴海少将が何故神様と連絡を取り合えるのかは気になりますね》」

 

 チラリと鳴海少将を見るが当の本人は笑顔を浮かべているだけ。以前この人の願いを聞いた時には『神様と連絡取れる』みたいな事は言ってなかったし。

 

 『《それは私が転生させた最初の人物が彼だからね。まあちょっとしたオマケみたいなものさ》』

 

 『《そうだったんですか》』

 

 つまり神様のうっかりで犠牲になった人第一号ってとこか。

 …あまり良い気分じゃないよね。

 

 『《他には何かあるかい?》』

 

 『《じゃあ最後に…俺の((修正天使|アップデイト))の副作用ってどうにか出来ないんですか?》』

 

 『《君は((高速思考|ハイパーハイスピード))の脳に掛かる負荷を魔力で押さえ、上手くコントロールしているだろう?それと同じ事をすればいいよ。もっとも((高速思考|ハイパーハイスピード))に使用する魔力とは比べ物にならないぐらいの量の魔力が必要だけどね。分かり易く言えば椿姫以上の魔力が必要だ》』

 

 椿姫以上…Mランクは必須かよ。これは諦めるしかないか…。

 

 『《もう無いかな?無いならこれで失礼するよ。これから他の神達と新年会があるんでね》』

 

 「《あっ、はい。お手数を掛けました》」

 

 神様にお礼を言うと空間のディスプレイは消え、俺と鳴海少将の二人だけになる。

 聞きたい事は聞いたし、これでもう用は無いから後は帰るだけだな。

 

 「《じゃあ、俺はこれで失礼します》」

 

 「《気を付けて帰りなさい》」

 

 鳴海少将に一礼して俺は部屋を出て、本局を後にした………。

 

 

 

 やるべき事を終え、アースラに寄った俺。今日はシュテル達の実技試験があるからだ。

 実技試験の場所はとある無人世界。

 早速管制室に寄らせてもらうとリンディさん、クロノ、エイミィさんが居た。

 モニターにはシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、亮太、椿姫の六人の様子が映し出される。

 といっても亮太と椿姫は既に終わっている様でのんびりと他の四人の試験が終わるのを待っている様だった。

 俺が管制室に入ると三人が一斉に俺の方を振り向いた。

 

 「《勇紀か。初めての地上本部はどうだった?》」

 

 「(初めてじゃないんだけどな)《でかかったし広かった》」

 

 「《緊張したりはしなかったのか?》」

 

 「《特になかったぞ》」

 

 クロノと簡単なやり取りをする。

 

 「《あらあら勇紀君。陸士部隊の制服、よく似合ってるわね♪》」

 

 「《ありがとうございますリンディさん》」

 

 「エイミィ。彼の制服姿をしっかりと保存しておいてね//」(ヒソヒソ)

 

 「任せておいて下さい//」(ヒソヒソ)

 

 何かリンディさんとエイミィさんが話し合ってるけど、どうしたんだ?

 …まあいいか。

 それにしても…

 

 「《クロノ…。何でアイツ等がシュテル達の試験官をやってんだ?》」

 

 モニターの向こうに映るシュテル達に対峙する試験官は俺達も良く知る顔馴染み…なのは、フェイト、はやて、アリシアの四人だった。

 それぞれシュテルVSなのは、レヴィVSフェイト、はやてVSディアーチェ、ユーリVSアリシアとなっている。

 

 『ディバイーン…バスターッ!!』

 

 『ブラストファイヤーッ!!』

 

 シュテルとなのはの対決は無数の誘導弾と砲撃が飛び交うシューティングゲームも真っ青な弾幕ゲーと化している。

 

 『ハーケン…セイバーッ!!』

 

 『光翼ざーん!!』

 

 レヴィとフェイトは時折距離を取って相手を牽制しつつも持ち前のスピードを活かした近接戦闘主体でデバイスが交差し合う。

 

 『ラグナロク!!』

 

 『ジャガーノート!!』

 

 はやてとディアーチェは自分が使える最強魔法を長距離から放ち、互いに譲らないせめぎ合いを続けている。

 

 『ハ・リ・セーン…スマーーッシュ!!』

 

 『やああああっっ!!!』

 

 ユーリの魄翼とアリシアのハリセンがぶつかる。………ハリセン?

 

 「《全く…皆、これが実技試験だって事を忘れてないか?》」

 

 「《だよなー》」

 

 合格を目指すシュテル達はともかく、試験官役のなのは達も凄くやる気が漲っている。

 というかもう試験という事を忘れ、相手を全力全開でブッ倒す事しか考えてなさそうだ。

 

 「《…まあ、あそこまで彼女達がやる気を出してるのは君のせいでもあるんだがな》」

 

 「《は?》」

 

 どういう事だ?何で俺のせいで?

 そんな事を考えている間にもモニターの向こうで行われている実技試験は激しさを増していく。

 

 『いい加減…くたばりなさい!!』

 

 『シュテルも…しつこいの!!』

 

 砲撃主体の二人はお互いに放つ魔法の威力をどんどんと高めている。

 

 『むううう…落ちろー!!』

 

 『レヴィこそ…負けを認めなよ!!』

 

 いつの間にやらソニックフォーム、スプライトフォームと化したフェイト、レヴィは更にスピードを上げながら縦横無尽に駆け回る。

 

 『小鴉!!さっさと我の前に屈しろ!!』

 

 『王様こそわたしの前に跪きいや!!』

 

 はやて、ディアーチェは砲撃を止め、誘導弾の応酬を繰り広げている。先程のシュテルVSなのは以上の弾幕の数が戦場を飛び交う。

 

 『ええい!!とっとと私にやられちゃって下さい!!』

 

 『やられる訳にはいかないじゃん!!だって…』

 

 アリシアとユーリの戦闘も他のメンバーに負けず劣らずの様子。

 

 『『『『『『『『ユウキ(ユウ)(勇紀君)(勇紀)と一緒に寝る権利は私のものです!!(僕のものだよ!!)(私のものなの!!)(私のものだよ!!)(わたしのもんや!!)』』』』』』』』

 

 ……何だろう?凄く俺の知らない所で何かが起きてそうな気がするんだが…。

 

 「《クロノ、アイツ等今何て言ったんだ?》」

 

 「《……この試験の勝者は君と一緒に寝られる権利を貰えるらしい》」

 

 「《……済まん。どうやら上手く念話を受けとれなかったみたいだ。もう一度言ってくれ》」

 

 「《この試験で勝利を収めた者は君と一緒に寝られる権利を得られるらしいんだ》」

 

 うん。聞き間違いじゃなかった。

 そうかー。試験で勝った奴は俺と一緒に寝られるのかーAHAHAHAHA。

 

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 「はあああああっっっっ!!!!?」

 

 思わず声を出した俺は悪くない。

 アイツ等何勝手に人を景品にしてくれちゃってんの!!?立派な人権侵害だよコレ!!?

 

 「《一体全体何がどうなってそうなったんだよ!?》」

 

 「《???君が言い出したんじゃないのか?『勝者へのご褒美だ』って》」

 

 「《当たり前じゃ!!》」

 

 そんな事は一字一句言ってねえよ!

 

 「《だが彼女達はその言葉を信じ、今あそこにいる訳なんだが…》」

 

 「《そんなの知らねえし。誰だよ?んな事勝手に決めた奴》」

 

 「《君じゃないなら誰なんだろうか…》」

 

 首を捻って考える俺とクロノ。犯人は一体?

 

 「うふふ。だからシュテルさん達だけじゃなく、なのはさん達も気合が入ってたのね♪」(ゴゴゴゴゴッ)

 

 「何だか羨ましいですねえ♪」(ゴゴゴゴゴッ)

 

 ……とりあえず二人分のプレッシャーは無視しておこう。

 

 「《そう言えば試験が始まる前に椿姫が何か皆に言ってた様な……》」

 

 犯人ミツケターーーーー!!!!

 

 「《ふ…ふふふ……。そうか、今回も奴が関わってたのか》」

 

 モニター越しに犯人と思われる人物を見やる。

 当の本人は呑気に鼻歌を歌ってやがる。

 

 「(帰ってきたら焼いてやる)」

 

 俺は固く誓った。((犯人|つばき))を燃やし尽くしてやろうと。

 とりあえず椿姫のモニターから他の八人のモニターに視線を移すと

 

 『『『『『『『『キュウ〜…』』』』』』』』

 

 全員魔力の使い過ぎで目を回して気絶していた。

 

 「《……とりあえず実技試験は終了かな。僕は皆を回収して来よう》」

 

 クロノが転移し、俺はこれから制裁を下さねばならない相手についてどの技で焼こうか考えていた。

 

 「(ここは普通に火拳か?いや、火銃を連射するのも悪くないな。それか神火不知火で刺す方が…)」

 

 処刑方法を考えてる間に皆戻ってきてシュテル達は全員医務室送り、亮太には労いの言葉をかけ、悪びれた様子の無い((犯人|つばき))には弁解の余地を与えず、アースラの訓練室に連行して技を使いまくったが仕留められず((腑罪証明|アリバイブロック))によって逃げられた。

 …ついでに俺が習得した火拳のエースの技の数々も、((完成|ジ エンド))によって覚えられてしまった。

 その後、起きてきた連中に『ご褒美は?』と迫られたが『引き分けだったから今回は無し』と言う事で不服そうな顔をする八人を黙らせたのだった………。

 

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 〜〜あとがき〜〜

 

 アリシアのバリアジャケットはコンプエースで連載中の『魔法少女リリカルなのはINNOCENT』のジャケットと同一のものです。フェイトとお揃いなんかではありません。

 

説明
神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。
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コメント
椿姫もいっそハーレムに引きずり込んでやればいいのに、と思うのは自分だけ?www(海平?)
次はドゥーエかチンクにフラグがたつかな?(妖精の尻尾)
さあ、勇紀のハーレム物語第二部の開幕だw(tenryu)
勇紀はやはり地上でしたか。他のメンバーもついていったりするのだろうか。(chocolate)
王の財宝の謎判明。消耗品しか補充されないということは、「壊れた幻想」を使用するのは難しそうですね。特殊能力系の宝具は入っていないようなので、「騎士は徒手にて死せず」や「他者封印・鮮血神殿」あたりも多分入ってないっぽい。生物は解らないけれど「この世ならざる幻馬」が入っていれば「騎英の手綱」を使えるかも(でも勇紀の騎乗スキルがどれほどかは不明)。(chocolate)
バレンタイン話そろそろくるかな?(カルピスソーダ)
↓頭のなかは膿だらけなんでしょうね(頭翅(トーマ))
↓↓確か海だったかと…… (妖精の尻尾)
アリバイブロックってオンリーワンフラワーでのスキル封殺や広範囲への過密射撃か空間機雷式のバインドとかを仕掛ければ簡単に対応できそうな気がするんだけどなぁ(天城)
↓↓「F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)」や「青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)」何かも良いんじゃないですか?    あと本局の事をうみと呼んでいますが、海か膿のどちらでしょうか?(頭翅(トーマ))
椿姫は〆るにはアリバイブロックを何とかすれば・・・・・(tenryu)
どうせならアルティメットナイトみたいにアルティメットに騎乗して欲しいな、もしくはFFのバハムート(神薙)
勇紀なら『騎兵の手綱(ベルレフォーン)』を使う為の騎乗する生き物も直ぐに見付かるんじゃなかろうか?個人的には「遊戯王」に登場した「青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)」とか「紅眼の黒龍(レッドアイズ・ブラックドラゴン)」を希望したいですね。(俊)
ああ、なるほど [アリシアのバリアジャケットについて]. 私はそれについて興味があった. ありがとうございます.(deltago)
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