真・恋姫無双 黒天編“創始” 外伝
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真・恋姫無双 黒天編“創始”   外史を終結させるために少女は弓を引く

 

第1章 「夏の思い出」 外伝  『推参ッ!!』

 

 

 

咲蘭トウキョウ滞在3日目の日

 

咲蘭は兄である北郷一刀となぜかついてきた及川祐とともにトウキョウ観光を楽しんでいた。

 

一刀も及川もゆっくりとトウキョウの下町や観光地は回ったことはなかったため、2人の地元の友人からもらった案内地図と咲蘭が持っていた観光案内を頼りに観光を楽しんだ。

 

そしてお昼の2時過ぎを過ぎたころ

 

「ほんとにもういいのか?」

 

「まだ時間があるんとちゃうの?」

 

トウキョウ駅の新幹線改札前で一刀と及川が残念そうに咲蘭に尋ねる。

 

「うん、もう十分だよ。いろいろ案内してくれてありがとね。お兄ちゃん」

 

「オレも楽しかったよ。お前が観光したいって言ってくれなかったら、多分オレもトウキョウを詳しく回らなかっただろうし」

 

「そやね。意外と地元の観光地って地元民は行かんもんやからね。厳密には地元じゃないけどな〜」

 

「それにしても急ぎの用事でもあるのか?」

 

「えっ?う・・・う〜〜ん。急用を思い出したというか・・・ほらっ!早く母さん達にお土産話とお兄ちゃん元気だったよ〜〜って報告したいしさっ!!」

 

咲蘭はなぜがどぎまぎしながら、言葉を紡いでいく。

 

額からもなぜか汗がにじみだしていた。

 

「あっ!なるほどな・・・」

 

すると、及川が何かひらめいたらしい

 

「ほらほら、かずっち。お邪魔虫は退散しようやないか」

 

「はっ?」「えっ?」

 

及川の言葉に一刀だけでなく、咲蘭も首をかしげる。

 

及川はあやしげな笑みを浮かべながら、一刀の背を押し始める。

 

「あれやろ?残りの時間はこの後待ち合わせてる彼氏さんとってことちゃうの?」

 

「ええっ!?そうなのかっ!?」

 

「ちっ!?違いますっ!!及川さん変なこと言わないでくださいっ!?」

 

「まぁまぁ、そう隠さんと・・・ほな、オレらはこれにて・・・」

 

及川はそう言いながら一刀の背を押して、改札から去っていった。

 

一刀の背中からはなにか哀愁のようなものが漂っている。

 

「ちっ!?違うんだからねっ!!ホントなんだからねっ!!お兄ちゃんっ!!」

 

咲蘭は一刀と及川の姿が見えなくなるまで、そう叫び続けるのであった。

 

「ほんとにあの及川って人・・・面倒ばかりおこすなぁ〜。はぁ〜〜、とりあえず・・・行きますかっ!」

 

咲蘭は大きなため息をひとつついた後、改札口を通らず一刀たちとは逆の方向へと歩みを進めるのであった。

 

 

 

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「えっと・・・これと・・・それにこれだったよね・・・」

 

咲蘭は携帯で何やら画像を検索しており、お目当てのモノを見つけるとそれを保存していく。

 

そして近くのコンビニに入り、コピー機の前で携帯に刺さっているSDカードを抜き取り、それをコピー機へと挿入した。

 

(誰も見てないよね・・・)

 

咲蘭は周りに誰もいないことを確認して、印刷する画像を2枚設定し印刷ボタンを押す。

 

コピー機から印刷されてでてきた紙を、すかさず手に取りサッと中身を確認する。

 

「よしっ!!」

 

中身を確認した咲蘭は挙動不審気味でそれを手持ちのカバンへとしまう。

 

「たとえ誰かに見られていても、旅の恥はかき捨てよねっ!」

 

そう小さくつぶやくと咲蘭はコンビニから出ていき、先ほど保存したばかりの画像をすかさず消去するのであった。

 

 

 

 

 

咲蘭が続いて向かったのは昨日来たばかりの聖フランチェスカ学園であった。

 

校門前にいた警備員らしき人に弓道部の顧問の先生を呼んでもらい、しばらく待つ。

 

すると、昨日会った顧問の先生が駆け足気味で駆けてきた。

 

「どっ・・・どうしたんですか!?北郷さん?今日は部活は休みなんだけど・・・」

 

「わざわざすいません。実はおばあちゃんから預かり物をしていたのを忘れていて・・・」

 

そういって、咲蘭は顧問の先生にある封書を渡す。

 

「これは・・・えっ!」

 

その中身を見た先生が分かりやすいぐらいのリアクションで驚いた。

 

「これ・・・ほんと?」

 

「私は中身を見ていませんので何とも・・・」

 

「フミ師匠が弓道部の指導をしてくれるって書いてあるんだけど・・・。それに鉄龍斎さんも・・・」

 

「えっ!?おばあちゃんがっ!?」

 

「これはすごいぞっ!国宝級の人の指導を受けられるんだっ!!分かったっ!ちょっと待っててっ!!すぐに理事長に許可取ってくるからっ!!」

 

「あ・・・じゃあ、弓道場で少し弓を練習していてもいいですか?」

 

「ああっ!!構わないよっ!鍵はそこの警備員さんからもらってねっ!それじゃあっ!!」

 

そう言うと、先生はニコニコしながら、そして軽やかなステップで校舎へと戻っていった。

 

話を横で聞いていた警備員さんはすぐに咲蘭に弓道場のカギを手渡す。

 

咲蘭はそれを受け取って大きくお辞儀をすると、そのまま昨日行った弓道場へと駆けて行った。

 

そして、心の中で思う。

 

“計画通り”と・・・

 

 

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フランチェスカ校舎 1年4組教室

 

今日、学園は休みのはずなのに、生徒が40人ほど集まっていた。

 

しかも、全員が女生徒である。

 

シンと静まり返った校舎だが、その教室だけは姦しさであふれている。

 

その女子が放つ熱気と外の陽気な気候が合わさってこの教室だけやけに温度が高い。

 

なので、教室の窓は全開放されていた。

 

その騒がしい教室に新しく2人の女生徒が入ってくる。

 

それを見て今まで騒がしかった教室が静寂に包まれた。

 

入ってきた女生徒の一人は教壇に立ち、もう一人は黄色のチョークを持って黒板をめいいっぱい使って何かを書いている。

 

そして、それを書き終わると女生徒は静かに開いている机へと着席した。

 

「これより・・・」

 

教壇の前の生徒がそう言って大きく息を吸い、そして思いっきり大きな声で・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「北郷一刀様を愛でる会の報告会を始めま〜〜すっ♪」

 

「「「「「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜♪」」」」」(パチパチパチパチ・・・・)

 

女生徒の大絶叫と拍手が教室全体に響き渡った。

 

「今回の報告内容は〜〜♪昨日のオープンキャンパスでの一刀様の行動についてで〜〜す」

 

「「「「「「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜♪」」」」」」(パチパチパチパチ・・・・)

 

 

・・・・・・

 

とまぁこんな具合である。

 

「昨日のオープンキャンパスに参加した人は前に出て報告してくださ〜〜い」

 

教壇の女生徒がそう言うと、次々と挙手して前へと歩いていく。

 

「それでは一番左にいる人から報告どうぞっ♪」

 

「えっと、私は正門でオープンキャンパスに来た中学生の皆さんにパンフを配ってたんですけど、正門で一刀様をみました」

 

「「「「「「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」」」」」」」

 

「もう、チョ〜〜カッコ良かったで〜す〜〜♪」

 

「「「「いいな〜〜〜」」」」

 

・・・・・・・・・・

 

第三者視点で話すがのバカバカしくなってきたのであとは会話だけどうぞ・・・

 

「でも・・・中学生らしき女の人が話しているのを見ました」

 

「「「「「なんですってっ!!!!」」」」」

 

「それだけじゃなくて、その子と話している時も他の女子中学生の子が一刀様に夢中になってました〜〜〜」

 

「くぅ〜〜〜〜・・・、やはり、毎年のように一刀様を狙うライバルは増えていくのね・・・」

 

「それに卒業生の先輩方も一刀様の後ろからあとをつけていました」

 

「チッ・・・年増が・・・」

 

「あと、いつも一刀様にくっついている金魚のフンも確認しました」

 

「関西に帰れよな・・・邪魔なんだよ・・・」

 

「私からは以上で〜〜す」

 

「はい、では次の方どうぞ」

 

「はいっ!私はフードコートのクレープ屋さんでアルバイトをしていたのですが、クレープ屋さんの前の席に一刀様が座りました」

 

「え〜〜〜」「いいな〜〜〜近くで働けて〜〜〜」

 

「ですが、生徒会長一行と白蓮さん、あとはフンと見慣れない女子中学生っぽい人が一緒でした・・・」

 

「生徒会長か・・・強力なライバルよね・・・引き抜きの件はどうなってるの?」

 

「駄目ですね・・・斗詩さんが引き抜けそうではあるのですが・・・やはり三人同時でないと難しいかもしれませんね・・・」

 

「白蓮さんは?」

 

「こちらも難しいです。生徒会長の息がかかっていますので・・・」

 

「そう・・・一刀様と地元が一緒という点で引き抜きたいのですが・・・」

 

「フンはともかく・・・中学生らしき子と言うのが気になりますね」

 

「引き続き捜査を続けます」

 

「お願いします。では、続けて次の方」

 

「はいっ!!私は数え役満シスターズのライブのお手伝いをしていました。一刀様も楽しそうにライブを見ていらしたのですが、サイリュームは薄紫を持っていて人和押しであることが分かりましたっ!」

 

「新しい発見ですねっ!」

 

「なので、一刀様の好みは眼鏡女子ではないかと・・・」

 

「やった〜〜〜♪」「私コンタクトやめよかな〜〜(泣)」

 

「おしゃれ眼鏡でもいいかな・・・」「度の入ってないやつ?」

 

「そしてライブが終わった後、裏口でシスターズ3人と密会をしているのをみました」

 

「「「「えっ!?」」」」「「「「うそっ!」」」」

 

「あの三人は前から狙ってるというのは報告にありましたね」

 

「ですが、こちらでも中学生っぽい女の子とフンが一緒でした」

 

「こちらでも例の女子ですか・・・」

 

「一刀様の周りのスパイを増やしますか?」

 

「そうしましょう」

 

・・・・・・・・・あっ、私の出番ですか、はいはい・・・

 

教室の女生徒達は一刀の話題で大いに盛り上がり、報告会を進めていった。

 

 

 

 

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「では・・・次の議題は・・・一刀様に話しかける口実作りについてですが・・・」

 

「きゃっ!!」

 

議長が次の議題を話そうとしたその時、解放されていた窓から何かが勢いよく飛んできて、一番窓から近い席の最前列の机に突き刺さった。

 

「どうしましたっ!」

 

「な・・・なんか飛んできました・・・」

 

全員が何度とかとその机に突き刺さっている物を見る。

 

「矢・・・ですか?」

 

「何かついてますよ?」

 

その机に突き刺さっているのは先が吸盤状になっている矢のようなもので、矢の後ろには紐が結び付けられ、その先には封筒がぶら下がっていた。

 

「矢文・・・かしら?」

 

議長を務めていた女生徒が矢から紐を外し、封筒を取り出すとその中身を確認する。

 

その封筒の中には3枚の紙が入っていた。

 

議長はその内の一枚をジッと眺めている。

 

「どうしたんですか?」

 

「・・・これ」

 

議長はみんなに見えるようにその紙を見せた。

 

『 “紳士のための教本vol.2ロリー○ニア!” 今月の特集!!お兄ちゃん、兄ちゃん、兄さん、兄様、にぃにぃ、主様(?)・・・あなたはどの呼び名で呼ばれたい?徹底討論!!!』

 

いわゆるロリ系のエロ雑誌の表紙がプリントされていた。

 

大きな巻物を持った魔女っぽい服装のかわいらしい女の子と大きな本を持った紫の帽子に緑のリボンがキュートな女の子が恥ずかしそうに写っている。

 

「・・・・・・えっ?」

 

「あと・・・これ・・・」

 

窓側最前列に座っていた女子は別の紙を皆に見えるように見せた。

 

『 “綺麗なお姉様の誘惑” 未亡人の黄さんが語る。『私はこういう理由で熟女ではありませんのよ』』

 

いわゆる熟女系のエロ雑誌の表紙がプリントされていた。

 

やさしい笑みを浮かべつつもなぜか弓を正面に向かって引き絞っている美しい女性が大きく取り上げられている。

 

その後ろで胸がかなりはだけたチャイナドレスっぽい服を着ている女性と、背中にはなぜかロケットランチャーのようなものを背負っている和服っぽい感じの服装をしている女性が妖艶な雰囲気を醸し出していた。

 

「何・・・コレ・・・」

 

「さぁ・・・」

 

多くの女生徒がこの突然の出来事の首をかしげていたが、その内の一人だけは様子が違った。

 

顔面蒼白で唇も青紫になっており、身体もがくがくと震えている。

 

「どうしましたのっ!顔が真っ青ですよっ!!」

 

「こ・・・これ・・・」

 

顔面蒼白になっている女生徒ががくがくと震えながら、皆に最後の紙を見せた。

 

それを見た女生徒は次々と顔の色を青に染めている。

 

その紙は今までの2つと違い、手紙になっていた。

 

その内容はこうだ

 

 

 

 

 

 

『一刀の番人 推参っ!!(キャハッ!)  見〜〜つけた♪』

 

『ストーカーはダメだよ〜〜犯罪だよ〜〜〜』

 

『やっちゃだめなんだよ〜〜〜。お仕置きが必要かなぁ〜〜〜』

 

『待っててね♪』

 

『あとね。一刀さんの好みのタイプを一緒に送っておきますねっ!』

 

『P.S こ れ 以 上 近 づ く な こ れ は 警 告 だ 』

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

「見つかった・・・」

 

「ついに・・・ついに・・・っ!?番人が・・・来たっ!!」

 

今までの姦しい雰囲気から一変して、北極のごとく寒い空気が教室に充満していた。

 

 

 

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「これでよしっ!!さて、弓道場にこれ返してお家に帰えろ〜〜っと」

 

窓の外から教室の空気が一変したのをみて、満足そうに咲蘭は踵を返す。

 

咲蘭が先ほどコンビニでこそこそプリントアウトしたのは、例のエロ雑誌の表紙をコピーするためだ。

 

それになぜ、咲蘭が今日一刀のファンクラブの集会があるかを知っていたかと言うと、昨日のフードコートで斗詩と話をしている途中、後ろに通りがかった女生徒がこのことを話していたのだ。

 

ファンクラブ潰しは自分が入学してからと思っていたが、白蓮をいじめていたあの二人が居る集会かもしれないと思い、今日の計画を考えるにいたった。

 

残念ながらその二人はいないようだったが、番人が現れたとなれば他のファンクラブも動きを慎重にせざるを得ないだろう。

 

(最後の追伸は私とお兄ちゃんの3日目の時間を潰した八つ当たりよ♪あ〜すっきりした♪)

 

咲蘭はすっきりした顔で弓道場に弓を返し、弓道部の顧問の先生からおばあちゃん宛の手紙を受け取り、弓道場のカギを返した後、スキップをしながら九州までの家路につくのであった。

 

 

 

ちなみに、一刀の番人が現れたことはその日のうちに学園中に知れ渡ったのはいうまでもない。

 

 

 

END

 

 

 

 

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第1章 「夏の思い出」 外伝その2 『冷戦ッ!』

 

 

これは夏休みに入る前に実際にあった夏の出来事

 

事の発端はとある女生徒がとある女教師に相談したことから始まる。

 

「雪蓮先生っ!どうか北郷一刀ファンクラブを正式な部活にできるよう進言してくださいっ!!」

 

体育教師している雪蓮にたいして、女生徒は深々とお辞儀をする。

 

雪蓮は今年フランチェスカ学園やってきたばかりの新任教師であり、その明るさから生徒からも人気がある。

 

「いいわよ〜。言ってきてあげる♪」

 

「ノリ軽いですね・・・。いいんですか?」

 

「いいわよ。その代わり、正式な部活にするなら顧問がいるよね。私が主顧問で副顧問は置かないわよ」

 

「かまいません」

 

「私がなるからには全力で狩りに行くわよ」

 

「かまいませんっ!」

 

「もし一刀君が私に擦り寄ってきてもあなた達は文句を言わないことっ!!」

 

「・・・か・・・」

 

「んっ?」

 

「か〜ま〜い〜ま〜せ〜ん〜〜(泣)」

 

「よしっ!交渉成立っ!」

 

女生徒は少し泣き顔で体育教官室から出て行った。

 

「じゃあ、さっそく。提出書類作りますかっ!」

 

雪蓮はそう言うと新クラブ設立のための書類を書くことにした。

 

 

 

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校長室

 

雪蓮は校長室のドアをノックし、入室の許しが出たことを確認して校長室へと入った。

 

「どうしたのかね?雪蓮先生」

 

「いや〜、生徒会の先生に新しいクラブ新設の書類を提出しようとしたら、この件は校長先生に許可をもらってくださいって言われまして・・・」

 

雪蓮はそう言って校長先生に一刀ファンクラブ設立の書類を提出した。

 

「・・・またですか・・・はぁ・・・」

 

「また?どういうことなの?」

 

雪蓮は首をかしげながら校長先生に尋ねると、校長先生は自分の机へと向かっていき、机の一番下の引き出しから何かを取り出した。

 

香料先生は扇子を広げるようにしてその書類を雪蓮へ見せつける。

 

それは雪蓮が校長に提出したものと同じ新クラブ設立願いであった。

 

「雪蓮先生と同じように他の先生からも同じお願いがありました」

 

雪蓮は校長先生からその書類を受け取り、顧問名が書かれたところへと目をやる。

 

国語教師(現代文) 冥琳

 

擁護教諭(保健室の先生) 紫苑

 

社会科教師(地理歴史) 桔梗

 

体育教師 祭

 

「名だたる人物ばかりね・・・」

 

「はぁ〜、大体ですね・・・って雪蓮先生っ!?」

 

雪蓮は校長先生の話を何も聞かず、校長室をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

職員室

 

雪蓮が勢いよく扉をあけると職員室の中にいた先生の視線が一気に集まった。

 

「どうしたのだ。雪蓮・・・もう少し落ち着けと・・・」

 

「冥琳っ!ひどいじゃないっ!!」

 

雪蓮は冥琳の席までドスドス足音を立てながら近づいていき、机を強くバンッ!と叩いた。

 

冥琳はタイトスカートで足を組みかえつつ、雪蓮の方へと体を向ける。

 

ちなみに、冥琳も今年フランチェスカにやってきた新任教師だ。

 

「教師の私たちが一刀君を誘惑するのは一刀君が卒業する2ヵ月前からってみんなで契約したじゃないっ!!」

 

「おい・・・そんな大きな声で・・・」

 

「それなのに一刀君のファンクラブの顧問なんか受けちゃってさっ!ずるいじゃないっ!!」

 

「ほぅ・・・それを知っているということは雪蓮。お前も頼まれたのだな。ファンクラブの顧問を・・・」

 

「うっ・・・」

 

「それでっ?もちろん副顧問は私を推薦してくれたんだろうな?」

 

「うっ・・・・・・」

 

「やっぱり・・・お前も人のこと言えんではないか」

 

「でも、冥琳だって私を副顧問に押してくれてないじゃないっ!」

 

「そ・・・それはだな・・・」

 

「あわよくば独り占めって思ってたんでしょっ!!ずるいっ!!卑怯だっ!!このエロ教師っ!!」

 

「そっ!そこまで言わんでもいいではないかっ!!」

 

冥琳と雪蓮との間に一触即発の空気が流れる。

 

「まぁまぁ、落ち着いてくださいお二人とも」

 

そこで間に入ってきたのは、養護教諭の紫苑であった。

 

胸元はもちろんぱっくりと開いた白衣を身につけており、スカートから伸びる太ももからは大人の女性の色香が漂ってくる。

 

「紫苑っ!あなたもよっ!」

 

「あらあら・・・、私のこともご存じでした?」

 

「それに〜〜〜、そこっ!私は関係ありませ〜〜んみたいな風を装っているやつ!」

 

ビシッと雪蓮が指さした方には机に向かっている桔梗の姿があった。

 

「何の騒ぎだ・・・ったく、まだ小テストの採点が終わってないんだぞ・・・」

 

桔梗は椅子だけを動かし、手に持っていたペンで頭をポリポリとかいた。

 

こちらもワンサイズ小さいのではないかと言いたくなるぐらいむちむちのスーツ姿で、胸元はざっくり開ききっている。

 

「一刀君ファンクラブの件よっ!!」

 

「ああ・・・あれか。確かに引き受けたな・・・」

 

「どいつもこいつも・・・ほんと抜け目ないわね・・・」

 

「いや・・・お前が言うな・・・雪蓮・・・」

 

「それにしても一体北郷君のファンクラブっていくつあるのかしら?」

 

「私に雪蓮、桔梗先生に紫苑先生・・・最低でも四つはありますね。さすがに全部認可はおりませんわね」

 

「いや・・・最低五つあるわよ」

 

雪蓮がため息交じりにそう言うと、職員室のドアががらがら開く音が聞こえてきた。

 

「こちらに雪蓮先生はおるか?」

 

職員室に入ってきたのは雪蓮と同じく体育を教える祭だった。

 

「・・・ほんとにナイスタイミングで現れるわね」

 

「なんのことじゃ?」

 

「一刀君の件よっ!!黙ってるなんてずるいじゃないっ!!」

 

「ああ・・・いやいや、頭を下げられては断れん体質での・・・」

 

祭はガッハッハと豪快に笑い飛ばしながら、4人のもとへ近づいてくる。

 

 

 

 

 

「だいたい同じ部活を二つもつくれないんだし・・・若い生徒達の面倒は“若い”私に任せておけばいいんですよ〜〜」

 

「なっ!」「ほぅ〜〜」「へぇ〜〜」「ふ〜〜ん」

 

・・・・・・

 

冷戦の幕が切って落とされた。

 

 

 

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辺りに冷たい・・・いや極寒の吹雪が吹き荒れた。

 

その辺りにいた他の先生方はワザとらしく何か用事を思い出したと言って職員室をあとにする。

 

他の先生は知っているのだ。

 

祭先生、桔梗先生、そしてとくに紫苑先生の前では歳の話はしてはいけないということを・・・

 

それをもちろん知っている冥琳は風貌に似合わないぐらいアタフタし始めた。

 

「お・・・おい、雪蓮。歳は関係ないだろ・・・歳は・・・。いくらお歳を召していても、顧問はできるんだから・・・」

 

「今は“若い”と言っただけで別に“歳を召している”とは言ってはおらんのではないか?冥琳先生?」

 

「あ・・・」

 

口は災いのもとである。

 

「それを言うのでしたら、雪蓮先生と冥琳先生では生徒たちの“若いパワー”に振り回されるんではありませんこと?ここは、わたくしみたいに大人でそのパワーを御せる経験豊富な者が顧問に就く方がいいと思いますけど?」

 

「ふふっ・・・、それこそお年を召している方が振りまわされるのではなくて?それにいいお年を召した人が高校生のファンクラブって片腹痛いですことよ・・・」

 

紫苑がめちゃくちゃ怖い笑みを浮かべながら雪蓮を見つめており、それに負けじと雪蓮も対抗している。

 

「お・・・おいっ!二人とも・・・落ち着け・・・」

 

「ほ〜ら、離れんか」

 

その様子を見た冥琳は雪蓮のもとへ行き、同じように紫苑のもとへ桔梗が行ってなだめる。

 

「冥琳だって隠れて一刀君にアプローチしてんの知ってるんだからねっ!この前授業中に一刀君が寝てる時、頭を撫でながらやさしく起こしたそうじゃない。他の子がそんなことしてたらチョークが飛ぶのにさ〜〜」

 

「なっ!なぜそれをっ!!」

 

「及川君から聞いたのよ〜〜ん」

 

(・・・ちっ、机をひっくり返すんじゃなくて、アイツをひっくり返すべきだったな・・・)

 

「生徒によって態度を変えるなんていけないんだ〜〜。このエロ教師っ!!」

 

「ほう・・・そこまで言われなければいけないのか・・・なら、私も言わせてもらうがなっ!!お前だってこのあいだの真夏のマラソン大会の時にワザと北郷の横を走って“ガンバレッ♪”て言いながら、ご自慢の胸をブルンブルンさせて誘惑してたそうじゃないか・・・」

 

「なっ・・・べっ!別にそんなこと考えて隣走ってたわけじゃないわよっ!純粋に頑張ってほしかったのよっ!!誰よっ!!そんなデマ流した奴っ!!」

 

実は図星である。

 

「エロ教師なのは雪蓮・・・お前じゃないのか?及川が言っていたぞ?そういう風に見えたってな」

 

(ふふふっ・・・次の剣道の授業・・・覚えておきなさいよ・・・及川・・・)

 

止めに入ったはずの冥琳がなぜか雪蓮とケンカ腰の話し方になっていく。

 

「おいっ!止めに入ったお前まで何をやっているっ!ほら、紫苑も大人げないぞ・・・」

 

「そう言いながら、桔梗も一刀さんを狙ってるのではなくて?一刀さんのクラスの授業の時はいつもより胸の露出が多くなってるらしいじゃない・・・」

 

「そ・・・そんなことは・・・ない・・・」

 

「そ・れ・に〜〜、一刀さんを当てるときはいつもより心なしか前傾姿勢になって胸を強調するんですってね〜〜〜」

 

「し・・・知らんな〜〜〜」

 

図星である。

 

「及川君が言ってましたよ」

 

(アイツ・・・たしか今回の小テストも悪かったな。たくさん課題を作ってやらんとな・・・)

 

「露骨に狙ってます感を出すのはどうかと思いますよ〜〜桔梗?」

 

「ふふっ・・・ふふふふふっ・・・、なら、お前は隠れて誘惑するのは止すのだな。先週だったか・・・北郷がハサミで指を少し切った時に保健室に行ったそうじゃないか。その時・・・お前、何したんだ?」

 

「なっ・・・何をって・・・それは・・・ほらっ!消毒して、絆創膏を張ってあげたのよ・・・。幸い傷は浅いみたいで血もすぐ止まったし・・・」

 

「はっ!当たり障りもないことぬかしおって・・・知っているんだぞ?お前・・・消毒と称して北郷の指を舐ったそうじゃないか。舐めた唾液で消毒か?いやらしい・・・」

 

「なっ!なぜそのことを!!」

 

「及川しかおらんだろう。そんなこと知ってるやつ・・・」

 

(及川さん・・・今度怪我してきたら、傷口に大量の塩を塗りこみましょうか・・・)

 

 

 

 

4人の空気が所間がたつにつれて重くなっていく・・・

 

「はぁ〜〜〜、お主ら・・・いい加減にせんか」

 

その様子を見ていた祭が4人のいがみ合いを仲裁しようと割って入ろうとする。

 

「「「「一番の年寄りは黙ってなさいっ!!」」」」

 

「・・・ほぉ〜〜・・・、なんじゃ・・・殺(や)るのか・・・ええ・・・どうなんじゃ・・・」

 

指をコキコキしながら祭は4人へと近づいていく。

 

暴力沙汰はさすがにダメなので、それから一時間以上相手のネガティブキャンペーンみたいなのが続いた。

 

その後、他の先生が仲裁に入ってなんとかその場は穏便に?済ますことができた。

 

しかし、この冷戦は未だに続いている・・・

 

なお余談であるが、実はこの後、祭は柔道の補習をすることになっており、その補習には及川がいた。

 

そこで及川がどうなったのかは言うまでもない・・・

 

 

 

 

 END

 

 

 

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どうもです。

 

一つ目の外伝は前から描こうと思ってたんですが、二つ目は急な思いつきです。

 

文章が少し拙いのですがご容赦を・・・

 

一つ目の外伝は実は第2章のはじめの方に使おうと思ってたのですが、少し構成が変わりましてこのような感じになりました。

 

なので、次の話から物語が進みます。

 

 

 

では、これで失礼します。

 

 

 

 

説明
どうもです。
2本立てです。
一本は前から描こうと思ってたもので、もう一本は思いつきです。
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コメント
Fols様>訂正ありがとうございます。訂正させていただきました(salfa)
nao様>及川を比較的に残念にしたほうが、一刀が目立つかと思いまして・・・(salfa)
続きが楽しみです。あと誤字発見です。アポローチではなくアプローチではないでしょうか?(Fols)
及川の扱いがひどすぎるwフン扱いってw続々恋姫がでてきましたな!続きまってます^^(nao)
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