ショタ一刀のお祭めぐり 『アナタの心に矢を放てw』
[全6ページ]
-1ページ-

「それじゃぁね……これ!」

 

一刀が選んだのは…左右に弓矢のイラストが描かれた【射的街】と言う項目だった。

 

射的街:街の一画を、全て射的系の店で埋め尽くしたもの。

    輪投げ、ボール、ダーツ、豆鉄砲、吹き矢、弓矢等種類は多数あり、

    屋台の的屋のようなお遊びのものから、遠当てや流鏑馬など種目も盛りだくさん。

    参加資格などは特になし。老若男女、誰でも参加可能!!

 

武将達の中で、これに参加するメンバーは、蜀から紫苑(+璃々)・桔梗、呉から祭・小蓮、魏から秋蘭。

 

自分が参加する種目が選ばれ、上記のメンバーは喜びガッツポーズ!それ以外のメンバーは、かな〜り落ち込んだ。

いつもならば、涙目の上目遣いで見つめたり色仕掛けで一刀を堕とすことが出来たかもしれないが、

残念なことに、今は堕とされる側にいるため諦めるほかなかった…

 

が、諦めきれないものはいるわけで…一刀がダメならば武将のほうにと考えるものもいるが、

 

〜蜀の場合〜

 

「ね〜紫苑さん…どうしても代わってもらえないですか?」

「ええ。ご主人様が一刀くんがお決めになったことですから♪」

「う〜〜〜…やっぱりダメですか…OTZ」

「お見苦しいですぞ、桃香殿。皆で話し合い決めたことなのですから、ここは素直に引かねばなりませぬよ」

「って…他の奴ならともかく、参加者に言われると嫌味にしか聞こえねぇぞ!」

「はっはっは!」

「うっわ…認めやがった!!」

「お姉さま〜、言うと余計悔しくなるから…もうやめましょう…」

「……だな。仕方ねぇ、たんぽぽ!行くぞ!!このイライラ、競馬(走者として)で解消してやる!!」

「おおーーーーー!」

 

〜呉の場合〜

 

「ねぇ祭…私と代わらない?あなたお酒好きでしょ、飲み放題よ!!」

「はっはっは、魅力的ではありますが…こればかりは代われませんな」

「ぶーー…それならシャオ!妹は姉の言うことを聞くものよ、代わりなさい!!」

「そんな理屈通用し〜ません♪」

「ぶーーぶーー!!」

 

〜魏の場合〜

 

「なぁ〜、秋蘭…」

「くどいぞ、姉者。何度頼まれようと代わりはしない」

「ならば、私も参加s「天下一品武道会に出るのだろう?」……」

「前回は一回戦で負けてしまったのだから、今回は絶対に優勝するぞ!…と言っていたではないか」

「う〜〜〜…」

「すまないな姉者。かわりに姉者の分までしっかりと面倒を見ていよう」

「私自信が見たいのに〜…」

 

 

 

と…誰が何を言っても代わってもらえることはなかった。

 

一刀を射的街に行く一行に(不本意ではあるが)任せて他は各部署に戻っていく。

そしていよいよ、ショタ一刀と三国の弓使いたちとの祭が始まる…

 

これより先、短編集が続きます。

 

-2ページ-

 

『危険物、子供の手の届かない所に置きましょう!!』(オリ設定含みます)

 

「あ、そや…桔梗はん」

「ん?なんじゃ真桜」

 

いざ出発しようとしたところで、桔梗は真桜に呼び止められる。そこには布に包まれた巨大な物体があった。

 

「例のモノ、仕上がってんで〜(ニヤリ」

「ほぅ…見せてくれ(こっちもニヤリ」

 

言われ布を引き剥がし、出てきたのは桔梗の武器”豪天砲”の進化したものだった。

かなり前から、桔梗の使う豪天砲に興味を持っていた一刀は、現代の銃の知識を応用すれば、もっと強くなるのではと提案し、桔梗はこれに賛同。

アレはこうしてここはこうしてと、相談しあって出来た設計図をもって魏のメカニックこと真桜に改造を依頼。

その設計図は、真桜の職人魂に火をつけてしまった…

やるき満々で改造依頼を承諾し…その完成品がこれだ!

 

「対敵対戦力壊滅用武具”豪天砲・弐式”。近接戦闘用武具と高圧式連射機能を搭載。

 通常装弾数9発。専用の連鎖弾倉の使用で、弾倉続く限り弾は無限。

 前のと違うて、連射の速度・威力、両方とも上がってんで〜」

 

スラスラと説明をして、豪天砲・弐式(以後弐式で…)を桔梗に手渡す。

受け取った桔梗は、それを振るい、接近戦用としての感触と、砲へ切り替えるときの構え具合を確認し…満足そうな笑みを浮かべる。

 

「弾の装填方法は?」

「専用の弾倉による自動装填や」

「弾倉の交換は?」

「弾切れしたら自動で外れるようになってるから前より速くて簡単やで」

「先についている槍と下についている剣、砲として以外の使用法は?」

「弾切れん時に撃つと前にあるもんを思いっきりぶっ飛ばせんで〜」

 

説明が終わり、試し撃ち用に俵が一直線に並んだ的が用意され、弾が一発入った弾倉が渡される。

桔梗の手により、弐式に弾が込められ、それを的に向けて構える。

引き金を引き、以前とは比べ物にならないほどの音を発し、銃口から弾が飛び出す。

弾は、的である俵のど真ん中を吸い込まれるように貫いていく。

並べられた俵をバラしてみると、4個目の俵に到達した所で止まっていた。

 

「完璧だ、真桜よ」

「お粗末や〜」

 

依頼人に紹介と受け渡しを終えたことで満足し、真桜は去っていく。

 

 

 

その全てを横で見ていた一刀はかなり興奮していた。

 

「キキョウお姉さんかっこいい〜!ねぇねぇ、触らせて持たせて!!」

「かなり重いが…持てるかな?」

「ぶーーー!ボク男だもん!」

「ははは、そうであるな。では…」

 

一刀に持たせてみたが、手を話した所で…予想通り、かなり無理があった。

何とか支えようとあっちにフラフラこっちにフラフラ。

重いものを頑張って持ち上げようとする姿に萌えていたが…

 

カチッ!ボオゥン!!「わーーーー!」

 

一刀は誤って引き金を引いてしまい、弐式と共に後方に吹っ飛んだ。

本来ならば、桔梗が構えて持ち、それを支えとして、弾を飛ばす圧力を利用して前方のものを吹き飛ばすのだが…

今の一刀には不可能であり、結果こうなった。

 

「お館様!!??」

 

一刀の身を案じて慌てて駆け寄る。下手をすれば腕が吹っ飛んでいたかもしれないのだ。

で、肝心の一刀は…

 

「……すげー、スゲーーー!ねぇねぇ、もう一回いい!?もう一回やっていい!!?」

 

めっさ楽しんでいた。弐式の上に乗って公園においてある揺馬(正式名所忘れました)のように揺らしながら聞いてくる。

その無邪気な表情やしぐさに、無意識のうちに許しかけるが…さすがにもう一度やらせるわけには行かないので止めることにした。

 

「いぃやダメですぞ。これは子供には危ないですからな」

「え〜…でも面白かったし、気持ちよかったよ」

「絶対にダメです。もしかしたら肩から先がなくなってしまうかもしれませぬぞ」

「………お手てが?」

「そう、お手てが…」

 

暫く思案し、やがて自分がどれほど危険なことをしていたのかを知った一刀は、

「うんっしょ」と可愛らしく弐式を持ち上げながら、桔梗に渡す。

 

「ゴメンナサイ…キキョウお姉さん」

「うぅむ、分かればよろしい…そう落ち込まずとも良い、大きくなって強くなれば使えるようになろう」

「ほんとう?」

「もちろんよ」

「…うん、わかった!早く大きくなって強くなる!!」

「うん、その意気!」

「それでね…」

「ん?」

「大きくなって強く…お姉さんより強くなってお姉さんをまもってあげるね!!」

「/////////!!」

 

それは、まだ10歳にもならない子供の言葉…だが、

その可愛らしく告げる嘘偽りなき曇無き心からの言葉に、不覚にも桔梗は堕とされてしまった…

顔が赤くなってると指摘されたが、可愛さの所為だとごまかした。

 

-3ページ-

 

『【おとな】な子供』

 

さて、射的街にやってきました、三国の弓使いの武将一行。

城下町の一画を丸々射的系にし、奥に行けば行くほど難易度が上がる。

今いるのはその端当たり、弓未経験者でも出来る…ま〜、一言で言えば遊び用の場所だ。

用意されたものは玉入れや輪投げなど人に向けても(進んでやるものはいないが)害がないもの。

店を経営しているのは、普段は服屋や玩具屋、雑貨屋など弓とはあまり縁がない人達で、

今は普段商品として売り出しているものを、祭の景品にして参加している。

 

店を、正確には店においてある商品を見て、気に入ったものがあれば、射的をして景品を取る。

景品目的であれば、今頃武将達の手には山のような景品の数々があるだろうが…

店側もそこまで高価なものを用意できないので、頑張って取ろうと思える景品はそれほどなかった。

 

保護者勢は景品を取ることよりも、祭を楽しんでいる一刀と璃々を見ることを楽しんでいた。

上手くいったとき喜んでいる姿や、逆に上手くいかず悔しがったり涙目になる姿を…

 

そんな感じでいろいろと回っていると璃々がある商品に釘付けとなっていた。

 

「うわーーーー……」

「リリちゃん、どうしたの?」

「うん、これみて!」

「どれ?…わーーー!」

 

知れは1つの指輪だった。ラインによる模様が彫られた白く輝く指輪だった。

シンプルだがそれ故に、カッコいいとも可愛いともいえるデザインだ。高級らしく他のと違い小箱付き。

 

「ねぇねぇ、おじちゃん!このゆびわちょうだい!!」

「はっはっは、お嬢ちゃん、これは景品なんだ。残念だが売り物じゃないんだな」

「そうだった…ねぇ、おかあさん、これやっていい?」

「いいわよ、頑張ってね♪」

「うん!!」

 

その店の種目はダーツ。何故この世界にダーツがあるのかと言うと、広めたのは北郷一刀だったりする。

以前、天界の遊びについて話し、実演して見せた所、弓矢に代わる飛び道具としてかなり有効だと言う意見を貰った。

遊びにも競技にも戦闘にもできるので、一部の間で流行っていたり…

ルールは一緒。ボードは中心が50点、その周りに1〜20点お枠があり、

その中間地点は3倍の得点を、50点の周りは2倍の得点を得ることが出来る。

 

璃々に5本の矢が手渡され、いよいよ彼女の指矢をめぐる勝負が始まる。

 

「えい!」

 

一本目の矢が放たれるが、力が足らずにボードの遥か下に刺さってしまう。

 

「む〜〜、えい!」

 

二本目はボードに当たりはしたが、まだ少し力が足らず、刺さらずに地面に落ちる。

 

「え〜〜い!」

 

三本目、腕を大きく振るい力を込めて放つ。矢は低ポイントではあったがボードに刺さった。

刺さったことに喜び、見守っていた一同も褒めたが、このままやっても指輪を得るには得点が足りない。

四本、五本目とやったが…もらえた景品は木彫りの花の飾りだった。

その後も何回か挑戦したが…結局指輪は得られなかった。

 

自分達がやって取ってあげると言う考えもあったが…弓の名手の人がやると景品が足りなくなると言うことで不許可。

指輪をゲットするまでやらせたい所だが、金の無駄遣いになってしまうと言うことでやらせられなかった。

 

 

北郷一刀…体や頭脳が小さくなろうとも、悲しむ少女を見て何もしないような男ではない。

手持ちの、ここで使っていいと渡された金の残金を確認する。後2回分…2.5回分払えば特別に3回出来る。

本当は後の為に少し残しておこうとしたが…ここで使わずしていつ使う?

 

「おじちゃん…3回分おねがいします」

「おう!がんばれよ!!」

「あれ?でも一刀ちゃん、それじゃ後であまり遊べなくなっちゃうよ?」

 

一刀のこの後を気にして小蓮が問いかけるが…

 

「シャオお姉ちゃん…」

「??」

「オトコにはね…やらなきゃいけないときがあるの…それがいま!」

 

そこには、一人の少女のために戦地に向かう一人の漢がいた。

彼は、店主より武器(矢)を受け取り、敵(的)を見据える。

 

一回目、狙いをろくにつけず、強めだったり弱めに矢を放つ。

二回目、狙いを定めて先ほどより良くなるが、指輪を得る得点には到底届かない。

 

大丈夫?と小蓮が問いかけるが…

 

「だいじょうぶだよ…いまのはね力かげんと狙いとボクのくせをしらべてたの…」

 

と言った。小生意気なことをいうガキンチョだなと思っていたが…次の瞬間考えを改める。

 

三回目の一本目。驚くことに、ど真ん中に当たった。見守っていた誰もが驚いた。

続く二本目。これも真ん中に当たった。一本目が刺さり幅が狭くなった真ん中に。

三本目。既に二本の矢が刺さり、さすがにこれはと思ったが…これも真ん中に刺さった。

皆がもしかしたらと思いながら見守る中、四本目が放たれるが、

三本の矢にはじかれ、狙っていた中心から外れて20点の2倍、40点の場所に刺さってしまった。

指輪を得るには250点が必要で、現時点で190点…最後は20の3倍、60点の枠に当てねばならない。

さすがに無理かと思われたが…神は彼を見捨てなかった。

放たれた最後の矢は、針一本分の差で…60点の枠に刺さった。

 

璃々や保護者勢、店主、周りにいて一刀の勝負を見守っていたものが歓声を上げた。

そして、店主より景品の指輪が手渡される。受け取った指輪を、一刀は璃々に差し出した。

 

「リリちゃん、うけとって」

 

璃々は、何故自分に渡そうとするのか、わけが分からないといった表情だ。

 

「なんで?カズトくんが欲しかったんじゃないの?」

「うん、リリちゃんにあげたくてほしかったんだ」

「/////////!?」

 

自分のために、貴重なお金を指輪を得るために使ってくれたその優しさに、璃々は頬を赤らめる。

その眼差しは、その表情は、まさしく恋する乙女…

一刀のセリフに璃々の反応、保護者勢は唖然としてみていたが…一刀は更に追い討ちをかける。

箱を開けて、璃々に指輪を見せるようにし、片膝をついて…まさしくプロポーズのような(無意識)…

 

「リリちゃん…このゆびわ、うけとって?」

「カズトくん//////うん!!」

 

頬を赤く染めながら、満面の笑みで指輪を受け取り、璃々が喜んでいるので一刀も喜ぶ。

店主は「こんなガキンチョなのに…青春だね〜」と呟いたその時…

 

「よ、よかったわね璃々ちゃん!さ、次行きましょう!?」

 

桃色の小悪魔の介入行動を受け、一刀と璃々の二人だけの空間は砕け散った。

二人は特に怒るわけでもなく、祭をもっと楽しもうと言う考えに賛同した。

 

一方、保護者勢は…かなり安心していた……

 

-4ページ-

 

『AISHA'S DRUGの影響!? その1』

 

ここは射的街の半ば当たり、中級者向けの場所。

一つ一つの店に設けられたスペースもそれなりにある。

中級者向けに設けられたこの地帯は、弓兵の体験の場でもあったりする。

 

で、一行がその辺りを回っているときに、一刀はあるものを発見してしまった。

 

「あーーーーーーー!!」

 

大声を上げながら驚き、指を刺すその先にあるモノは…

 

「りぼるばーだ!!」

 

そう…回転式拳銃、通称リボルバー。

何故この場にあるのかと言うと、一刀が現代の武器を魏の真桜に(以下略

 

「おう坊主、こいつに目を付けるたぁ、なかなかじゃねぇか!

 そう!こいつは天の国の武器、『りぼるばあ』ってぇ飛道具よ!!」

 

一刀の声に反応したのは、店長のオヤジだった。スキンヘッドに、受け狙いなのか顔に的の絵が書いている。

 

「魏のカラクリの姉ちゃんに作らせてな…で、出来たのがこれよ!

 そんで、祭のこの場でいろんな奴に撃ってみて貰おうってわけだ!!」

「ほおぅ、真桜が作った天の武器か…」

 

身内が作ったと言うだけあって、秋蘭はかなり興味を持った。

 

「おう、姉ちゃん!カラクリの姉ちゃんの知り合いか?」

「ああ。店主、試させて良いか?」

「おぅよ!!」

 

秋蘭は金を払い、オヤジかたリボルバーについて説明を聞く。

リボルバーの構造、機能、撃ち方、効果、注意点などなど…

ちなみに、今回は体験の場であるため、弾丸は塗料弾だ。

 

説明を聞き終え、いよいよ秋蘭のリボルバーの初体験が始まる。

 

ホルスターから銃を抜き、衝撃に備えて右足を少し下げ、体を正面に向ける。

両手で銃を構え、サイト越しに標的の的を狙って…引き金を引く。

 

手首から肩まで来る反動に驚き、一瞬顔をしかめるが、すぐに持ち直した。(ちょっと快感…

的を見てみると…魏の弓神の名は伊達ではない。初弾から5つある内の向かって正面にある的の真ん中に命中した。

 

親指でハンマーを引き、次弾を装填し、二発目を撃つ。

3、4、5、6発と撃っていき、いずれも同じ的の真ん中に命中した。

 

「スゲェな姉ちゃん、本当に初めてか!?」

「ああ。しかし…やはり弓のほうがいいな。どうもコレは好きになれん…」

「ま〜、弓使う奴にゃあまりお勧めはできねぇかもな…」

 

その後、暫く弓と銃についてオヤジと話していると、ちょっと放置され気味になっていた一刀が話しかけてきた。

 

「ねぇねぇ、おじちゃん、シュウランお姉ちゃん。ぼくにもやらせて〜」

「…なに?」

「おいおい坊主、これはガキの玩具じゃねぇんだぜ」

「だいじょうぶだもん!!」

「いくら天の御使いさんの格好してたって、本人にはなれねんだぜ!…ま〜やってみな」

 

呆れ、小馬鹿にしながら弾丸と銃を渡す。

それを受け取り…瞬間、その場の空気が、一刀の醸し出す空気が一変した。

オヤジは何が起こったかわからず、秋蘭は強敵に遭遇したような感覚に襲われる。

その空気を生み出した一刀…俯き気味でその表情を見ることはできない。

 

一刀は、左手に握っていた弾丸を直上に向けて放り投げる。

右手に持つリボルバーを右から左へ動かし弾倉をはじき出し、

重力の法則に則り、弾丸は落下し、それは吸い込まれるように弾倉に装填される。

先ほどと逆の動作で、弾倉は本体へと収まる。

そこで一刀は標的を見るために顔を上げ…その眼は、まさに獲物を狙う鷹の眼…

横で見ていた秋蘭とオヤジは、その眼をみて金縛りにあったような感覚になる。

 

狙うのは6つの的…銃を握る右手は腰に…左手はハンマーに…

照準、構え、ハンマーコック、発砲!ハンマーコック、発砲!(×4回

次々を塗料弾は右の的から左の的の中心に当たり、最後に…オヤジの顔に描かれた的の中心に命中する(笑

一瞬の出来事だった…

 

撃ち終えた一刀は、銃を指に掛け勢いよく回転させながらホルスター…は無いので、ポケットに収める。

そして、銃から手を離し、

 

「あれ?ぼく何してたの?」

 

元に戻った。何故か自分が何をしたのか覚えていなかった。

秋蘭が不思議に思っていると、一刀は自分のポケットに納まった銃に気づき、それを手にとって、

 

「…オヤジ、いい銃だった。ありがとうよ(CV:黒田崇矢)…あれ?おじちゃん、何でお顔汚れてるの?」

 

この時、秋蘭(とオヤジ)は、初めて二重人格と言うものを目の当たりにした…

 

 

後日、元に戻った一刀に銃を持たせてみたが…二重人格は出なかったとか…

 

-5ページ-

 

『狙撃手の性』

 

場所は、射的街の半ば。一行が歩いていると、ある店で、一刀は奇妙な形の弓を発見する。

 

隣にいた祭に聞いてみたところ、長距離用の弩弓と説明された。

反動や負担も少なく、普通の弓のように狙いを定める間、ずっと弦を引いている必要は無く、

矢をセットして、撃ちたい時に引き金を引くだけ。

普段、弓を引くことに慣れていないもののために開発されたものだ。

 

どのようなものかを調べるべく、祭は金を払って試し撃ちをする。

 

一射、二射…と合計五射して結果は…全てど真ん中。

正確には、最初に真ん中に当てた矢を引き裂くように当てているので、

後には、矢の材料である木で作った花の飾りのようにになった…無駄に器用だ…

 

「ふぅむ…やはり物足りんの」

 

弓を自分の体の一部とし、弦を引き絞り、心を無にして、世界を自分と標的だけにして、撃つ…

それに比べてコレは、性能はいいものの、普段弓に慣れていつものにとって物足りない。

 

これならば…と考え、横で見ていた一刀を見下ろす。的に刺さる花の飾りを、目を輝かせながらみていた。

 

「どうじゃ、北郷。コレならば特に危なくは無いが…やってみたいか?」

「いいの!?」

「おう!」

 

金を払い、一刀に弩弓が渡され、いざ撃…とうとした所で、台が邪魔をして的が見えない。

一旦弩弓を台の上に置いて、自分もその上によじ登る一刀。

 

さて…ここで祭が手伝えばいいのではと思うだろうが、今彼女は一刀の姿を見て、

彼女の心の中では二つの意思が争いあっていた…

 

「(なにをやっておる?さっさと手伝ってやらんか!)」

「(そっちこそ、なにを考えておる…このように必死になって上ろうとする姿、目に焼き付けておかねば(笑))」

「(悪趣味なやつめ…それではこやつが、可愛…可哀想ではないか!)」

「(お?いま可愛そう…と、言いかけなかったか(ニヤリ))」

「(い、いや!言っておらんぞ!!)」

「(はっはっは、隠さずとも良いではないか、それとも…可愛いとは思わんのか?)」

「(いや…か、可愛いのは…否定は出来ぬが…)」

「(ならば、ここは放っておくが得策じゃろうて)」

「(そ…そうであるな)」

 

…そして良心は崩れ去り、一刀のこの萌える行動を堪能することに。

 

ようやく上半身を台の上に持って行くことができ、いよいよ狙いをつけるのだが、中々定まらない。

横にずれたりするのにホフク横進したりするのだが…この時、可愛らしいヒップがゆらゆらと…

 

「(…………)」

「(何を考えておる?(ニヤリ))」

「(っ!いやいやいやいや…触りたいなどと思っておらんぞ!!)」

「(無駄無駄!元々心は1つ、可愛いと思ったことは隠せぬぞ)」

「(じゃが…可愛いからといって触るなど…それでは…)」

「(よいのか?)」

「(ぅう…)」

「(今を逃せば、次はもう無いかも知れぬぞ?)」

「(それは…そうじゃが…)」

「(な〜に、助言のために触るなら問題無かろうて!)」

「(そ、そうじゃな…コレはあくまで、助言のため。助言のため…よし!!)」

 

またも良心が敗れ去ってしまった。意を決して、いざ触ろうとしたその時、

 

「よう、姉ちゃん…そんなガキじゃなくて、俺の相手してくれや」

 

99%断られるようなセリフをはきながら祭に近づく輩(こんな時代にいるのか?と言う突っ込みはスルー)が気分をぶち壊した。

機嫌を悪くし、不機嫌さを露にしながらきっぱりと断るが…しつこく食い下がり、近づいてくるので実力行使に移ろうとして、

 

「…ぼくの後ろに、立つなーーーーーー!!」

 

軟派男が真後ろに来た所で、一刀の弩弓による攻撃が行われた。

矢は男の袖を貫通し、腕と一緒に壁に縫い付ける。

慌てて、反対側の手で矢を抜こうとした所、二射目が放たれ、もう一方の手も縫いつけられる。

その光景を見て唖然とする祭(と店主)…とりあえず、ということで祭に止めをさされた。

 

一刀が取った行動…それは狙撃手としての本能がこうしたのだった。

普通、狙撃手というのは、味方の後方より敵を狙い撃ち援護する役目を担っている。

その更に後方に立たれること…それは狙撃手にとって死を意味する。

故に、背後より悪意、害意を感じ取った一刀は、それを排除すべく即座に反転し、敵を無力化。

 

軟派男に絡まれている女性を助けると言う(普通と違うのは、絡まれてる本人も強いこと)シチュエーションを体験した祭。

めったに出来ない体験をしたことで、祭の一刀に対する好感度は上昇。

 

「北郷に助けられてしまったな…普通なら儂の役目じゃというのに…」

「それはちがうのーーー!」

「??」

「『オトコはオンナをまもるもの』だよ!だから祭お姉さんもボクがまもるの!!」

「……///!…はっはっは!儂を護ると言うのなら、儂よりも強くあらねばならんぞ!!」

「うん!!」

 

(いい意味で)むず痒い感覚を誤魔化すように言ったが、一刀はこれを肯定。

その反応を見て祭は思うのだ…自分の手で育て上げ(あわよくば自分色に染め上げて)、一刀の言葉を実現させようと…

今の状態でも…元に戻った後でも…(ニヤリ)

 

-6ページ-

 

射的街のいろんな店の催しに参加した一同は、とある豪邸に到着した。

4階建て、真ん中は吹き抜け、各階ごとに橋があるそこは、来賓客のための建物だった(ホテルのようなもの)。

 

そこは、決戦の場所…ショタ一刀と祭の期間中の同伴を賭けた勝負が開催される場所だ。

 

種目は叉刃射場琉外獲無(サバイバルゲーム)。三国の弓使いの武将だけでなく弓兵も参加している。

ルールは、参加者でチームを組んで、全チームでぶつかり合い、生き残ったチームの勝ちだ。

武器は弓矢、矢じりは赤黒い塗料で当たるとまるで出血したような感じになる。

気を付けなければいけないのは、普通の矢と違い矢じりに触れるだけで塗料が付くので、その時点で失格となる。

傷を負った者(塗料をつけられた人)は、豪邸から退場していく。もちろんこのときに攻撃することは許されない。

チーム全員がやられたらそのチームの負けとなる。逆に言うと、一人でも生き残っていればいいのだ。

 

「………いよいよね…」

「あぁ。お館様との祭の日々を過ごすための…」

「誰が勝っても、文句なしだからね〜♪」

「もちろんじゃ。負けた者は潔く引き、勝った者が北郷を得る」

「ふ…では、参ろうか…」

 

 

受付を済ませて、それぞれのチームに分かれていく。主催者側の配慮なのか、全員がばらばらのチームで組まれた。

8人のチームが8つ、チームリーダーは紫苑、桔梗、小蓮、祭、秋蘭、各国の弓兵部隊の部隊長3人。

 

指定の弓が渡され、一同は試し撃ちを行う。

弓兵はともかく、普段自分が使い慣れている武器で戦えないのでちょっとしたハンデとなっていた。

にもかかわらず、試し撃ちでは一発も外れることは無く、皆かなり好調だった。

 

その風景を目を輝かせながら見守る一刀と璃々。子供を参加させるわけには行かないので、

紫苑たちは試合中味わうことが出来ない一刀エネルギーをここで蓄えていた。

 

試し撃ちの時間が終わり、一刀と璃々を預けに行くのだが…ここでひと悶着。

 

「それでは…私の璃々と一刀を、お願いしますわね♪」

「…おい紫苑、それは聞き捨てならんぞ!確かに璃々はお主の娘じゃが、お館様は違うであろう」

「そーよそーよ!それを決めるのは今からやる勝負でしょ!」

「そうじゃ!北郷はこの後、儂と一緒に祭の時を過ごすのであるからな!」

「ほぉ…まるで勝つことが決まっているかの物言いで…だが、それは否定させてもらおう」

 

自分の腕を、自分の勝利を疑わない人達…互いに向ける眼光はさながらプラズマのようだ。部隊長3人は眼中になしw

只ならぬ雰囲気に思わず涙目になり一刀にすがる璃々。やがて耐えかねた一刀は止めに出る。

 

「もう!お姉ちゃんたち、ケンカしちゃダメーーー!!」

 

豪邸全体に響き渡るかのような大声で叫ぶが…その返答は、

 

「……一刀くん…それは大丈夫よ」

「ぅえ??」

「そう…これはケンカではござらんからな」

「??」

「これはね、ケンカじゃなくて…勝負なのよ」

「ショウブ!?」

「そう…子供だろうと男であるならわかるであろう?」

「………(コクリ」

「傷つけあうことは無いから心配は要らんよ。それより…応援してはくれないか」

「…うん!お姉ちゃんたち、頑張ってね!!」

 

一刀からの応援の言葉を受け取り、全員の闘志は燃え、背後からは炎が立ち上る!

 

全員に10本の矢が渡され、各チームは所定のスタート地点へと分かれ、そして今…決戦開始を知らせる銅鑼が鳴らされる…

 

はたして、このゲームで勝利し、一刀と祭を過ごすのは誰になるのか…あなたは誰を望む?

 

次回に続く…

説明
さて…短編小ネタのつもりで始めたのに、いつの間にかシリーズ化してしまっていたww が、悔いはなし!!
いよいよお祭本番。今回は三国の弓使いの皆さんのお話。
今までとはちょっと作風も変えて小ネタ集にしてみました。1つの話にするとやたら長くなりそうなので…
以後、お祭編は、今回のように団体の分岐のあと、その中の個人の分岐、と言う風にしていく予定です。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
25101 16808 155
コメント
璃々と一刀がかわいかったな〜。桃色にははやいぜ!!(motomaru)
今更ですが、誤字報告です。1n目の春蘭の「私自信が見たいのに〜…」自信→自身ではないでしょうか?て言うかいい作品過ぎて今の今まで全然気付きませんでしたがwww(タンデム)
リボルバーはピースメーカー?(零壱式軽対選手誘導弾)
続きに期待しています。あの華琳がどう萌えるのか。(tomato)
このショタ一刀はどこのゴルゴですか?あれですか?デューク北郷とでも言うつもりですか(マーサ)
>munimuniさん 黒田崇矢は実在する声優の名前です。この人格ならこの声が合うだろうと思いまして。wikiで調べれば出演作品がわかります(MiTi)
>カツオ武士さん いや〜…ホントあんなのが憑依しちゃったときはどうなるかと思いましたww(MiTi)
カズト君に何者かが憑依したみたいですね…ってまたんか!と思わずツッコミw入れちゃいましたw(カツオ武士)
>>コウさん 本当に人気あるな〜秋蘭…(MiTi)
>>ヒギィさん またも出ました!秋蘭さんのリク…頑張ります!(MiTi)
>>Kさん 子供が苦手な彼女…実は意外といじりやすかったりww(MiTi)
それぞれを見てみたいけど・・・秋蘭が一番見たいお願いします(コウ)
普段見れなさそうな秋蘭が見れそうなので秋蘭をお願いします(ヒギィ)
祭さんに頑張って欲しいです。ショタ一刀がどうやって祭さんを悶えさせるのか・・・。(K)
>>Reoさん 皆がギャップを求めている…のかな?秋蘭人気っすね〜… 了解しました!普段見れない彼女を目指して頑張ります!(MiTi)
秋蘭が勝ってほしいですね、どのような絡みで一刀を攻めるのかが楽しみですwww(Reo)
>>nemesisさん さて…桔梗の余裕をどう崩そうか…悩みどころですな〜…ま〜自分なりに頑張ります(MiTi)
>>八神 祐さん 隠すな隠すな(ニヤリ キャラの内1/5以上バインバインなんだから、真・恋姫やってそうなったっておかしかないって(MiTi)
>>kainさん ……ありなのかな?読者ルートって…実現しちゃったらどします?(MiTi)
>>超級覇王さん ぜ、全員!?これはハーレムと言う意味でか?個人の話でコンだけ難しいのに更に…が、がんばります(MiTi)
>>F905iさん リクエストの結果を見て順番が左右しますが、絶対に書きますので…お楽しみに(MiTi)
>>FUJIFUJIさん 今回の話で正直この一刀はどうかな〜…って思われるかもと不安だったけど、気に入っていただけたようで。ヨカタ〜(MiTi)
>>YUJIさん 誤字報告ありがとうございます。他のキャラは…まずはこのメンバーを終わらせてから…(MiTi)
>>ティリさん どんな顔を見せようかな〜…悩むね〜(ニヤニヤ とにかく頑張ります! それから『弩弓』ありがとうございます。勉強になりました(MiTi)
>>マイソロジー12さん これ以上堕としていいのか…イイに決まってますよねー!やっちゃいますww!(MiTi)
>>メカニさん 笑いを取りながら勝利…できるかな?ま、頑張ります。今の所秋蘭希望してる方が多いので、彼女が先かな?(MiTi)
>>DDDさん 全員書く予定ですが、リクエスト結果によっては順番が変わるかもです。ですが…書かないと言う予定は無いのでご安心を!(MiTi)
見た感じでは…1:秋蘭 2:紫苑・桔梗(セットじゃないよ) 3:祭 4:小蓮 かな?…ロリ×ショタって、あまり人気無いのかね〜…とりあえずこの順番で書いていきたいと思います(MiTi)
桔梗でお願いしたいですね。ショタの力を最大限生かし、普段大人の余裕たっぷりの桔梗を弄り倒して欲しいです。(nemesis)
う〜ん・・・紫苑、桔梗、祭に頑張ってもらいたいですね〜。いや、巨乳スキーというわけでは・・・(サワディー(・ω・))
私自信?私自身ではないですか?(kain)
更新待ってました!!誰を望む? 勿論全員ですwww嘘です(本当です)(超級覇王)
ショタ一刀さいこ〜(FUJIFUJI)
最後のページの秋蘭の誤字を発見! 他のキャラの反応も楽しみw(YUJI)
ここはゲームと違う顔を見せてくれると思う秋蘭でw  ちなみに、クロスボウの漢字名は弩弓ですよー(ティリ)
誰が勝っても笑えるのでしょうが秋蘭をよろしくお願いします(メカニ)
桔梗をよろしくお願いします(DDD)
タグ
真・恋姫†無双 ショタ 一刀 璃々 紫苑 桔梗  小蓮 秋蘭 

MiTiさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com