がちゆり-京子v結衣- |
がちゆり-結衣と京子-
いつものように授業に一区切りがつく昼休みの時に私の心が大きく揺れる事が起こる。
給食の配膳し終わった後に綾乃と千歳を呼んで4人で囲んでお喋りをしながら
食事をしていた時であった。
「もう、歳納京子ったら」
くだらないことばかり言っている京子に言葉とは違ってどこか嬉しそうにしている綾乃。
普段しっかりしている雰囲気のある綾乃にしてはめずらしくご飯の粒が頬についていた。
それを私が指摘する前に京子が対面にいる綾乃に向かって身を乗り出して驚くことをした。
ぱくっ
なんと、京子は綾乃のご飯粒を食べたのだ。私はもちろん綾乃も大袈裟ってくらい
驚くが。なにより一番びっくりしたのは失血死でもするんじゃないかってくらい
千歳が鼻血を噴出して教室内を騒がせて食事どころじゃなかった。
それから何事もなかったように時間が過ぎていって…帰宅途中で私は隣で
笑いながら話しかけてくる京子に対して空返事をしていた。
なぜだろう。いつも通りのはずなのに、ちょっとハプニングがあっただけなのに。
私の胸の内はもやもやでいっぱいになっている。
夕焼けの光が普段より眩しく感じて鬱陶しかった。
「結衣〜、どうしたんだよ。さっきから機嫌悪いぞ〜」
「そんなことないよ」
「いつもみたいに笑えよ、仏頂面過ぎるぞ〜」
「そんなに笑ってないだろ。私の顔はいつもこんなんだよ」
と、いつもよりも強めに叱ると京子は俯くように地面を見ながら考えてるような
姿を見せると、すぐに顔をあげてニカッと眩しいくらいの笑顔を見せてこう言った。
「結衣、もしかして嫉妬でもしてるんじゃない?」
なーんちゃってって。おちゃらけた言い方をする京子の言葉に私の胸に何か
鋭利な刃物が刺さるくらいの衝撃を受けた。言い当てられた。そんな気分だった。
「嫉妬・・・」
「冗談だって〜。そんな怒るなよ〜」
「冗談じゃない・・・」
「わぁっ・・・!?」
私は急に体の奥からこみ上げる何かに突き動かされるようにして京子を抱き締めていた。
京子はびっくりしたような気の抜けた声を発した後、小さな音を立てて二人のカバンが
地面に落ちた。
その後は怖くなるほどの静寂が訪れる。どうすればいいのかわからない私はいっそ
思っていたことを全部ぶちまけてやろうと思えた。
一瞬戸惑ったが、少しずつこの気持ちのことを京子に打ち明けた。
言葉にならないモヤモヤした気持ちと漠然とした不安。
京子の言葉によって言葉として表れたこと。
だけどそんなものは京子の一言で全部吹き飛んだ。
「バカだなぁ」
それはいつも私が京子に言ってることだ。
「私はずっと結衣のことを見てるよ」
「結衣だっていつも私のこと見てくれてるじゃん」
「私は何があっても結衣から離れないから」
風が吹き京子の髪が綺麗に靡いていた。
夕日の光を反射して神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「京子…ありがとう」
泣きたくなる気持ちを堪えていつものような口調で京子の前を歩き出す私。
視界に入る夕焼けが揺らいで見えるが私はそれを「拭う」ことはせずに京子へ話しかけた。
「何か今日手の込んだ料理作りたくなったから、よかったら来るか?」
「おう、行く行く〜!」
「よし、じゃあ材料買いにいくか」
気持ちが収まって気づかれないように涙を拭いた私はいつものように振り返って
微笑みながら京子に手を差し伸ばし、京子がそれを受け取ったことが全てを物語っていた。
前に部室で二人きりの時に告白したことが脳裏に浮かんでいく。
一緒にふざけあってたり、京子がふざけながら好きだと言っていたことを信じきることが
できなくて。私は真剣な眼差しを京子に向けて告白をするも「何を当たり前のことを」
と言われて呆気にとられ、実感する前に付き合っていて。
何だかようやく今回のことでその実感が湧いた。
私は本当に京子と付き合ってるんだ。そう思うと顔には出さずとも胸の内が
くすぐったくてニヤけたくなってしまうのだ。
「今度は嬉しそうだなぁ、結衣」
「まぁね」
今日ばかりは少し素直になってしまおうか。
その姿に京子はどういう反応してくれるのか、変な緊張と楽しみが入り混じっていた。
京子と手を繋ぎながらした買い物は今までのとはまた違った気分で楽しかった。
お終い
説明 | ||
ちょっとした嫉妬が芽生える結衣のお話。この話に限らず複数のカップリングのある話は関係性が大幅に変わってたりします。それを踏まえて少しでも楽しんでもらえれば幸いです | ||
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