IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode167 太古の遺跡
隼人達は編隊を組んで南極を飛行していた。
「それにしても。本当に束さんは凄いなぁ」
「あぁ。姉さんの作った全身型のスーツのお陰で寒さが殆ど感じない」
ベルリンの時は多少寒さを感じていたが、今回はそれ以上の寒さの南極だが、それでも殆ど寒さを感じていない。
「大したもんだよ、本当に」
「そうだな。まぁ、少し反応は鈍いかもしれんな」
「確かに・・・そうかもしれないな」
「後で束さんに言っておくか」
「あぁ」
(ねぇ、隼人)
(なんだ、シャル?)
するとシャルロットよりプライベートチャンネルで隼人に通信が送られる。
(隼人の前の世界の南極って・・・今じゃなくても少し前みたいな状態だったの?)
(・・・さぁな。前の世界で世界中を旅したってわけじゃない。テレビで見る限りじゃほとんど同じだったかな)
(そっか・・・。やっぱりどこでも同じなんだね)
(そうだな・・・)
しばらく飛行して、目的の場所に到着する。
「これは・・・」
誰もがその光景に息を呑む。
南極の地面に、ポッカリと巨大な穴が開いていた。
「結構大きい穴だな」
隼人は穴の端から端を見渡す。
「よくこんな穴で4000年前の遺跡だって言うのが分かるね」
「いや、恐らくバインドが遺跡侵入の為に開けた穴だろう。その前には遺跡の入り口らしきものがあったんだろうな」
「あっ、そうか」
「でも、むしろ好都合ね。お陰で進入する手間が省けるものね」
「確かにそうですね。問題は――――」
隼人は巨大な穴の中を見る。
「どうやってこの中に進入するかどうか・・・」
「そうね・・・。見る限りじゃかなりの深さはあるわね」
楯無も隼人の隣に立って穴を見る。
「いくらISがあっても、このまま降下して入るのは危険過ぎる」
「・・・・」
隼人は少し考えて、通信を入れる。
「神風隼人からネェル・アーガマ。ワイヤーの準備を頼む」
『分かった。すぐに準備に取り掛かる』
「なるほど。ワイヤーで内部に降下し、帰りにも使うと言う事か」
「えぇ。道標がある方が無難ですから」
「そうだな。だが、誰が最初に行く?」
「俺が行きますよ」
「お前がか?」
「えぇ」
と、隼人はスラスターを噴射して飛び上がると、ネェル・アーガマが穴の上に止まってワイヤーを下ろしてきて、その先端を掴み取る。
「合図を送りますので、その後に来てください」
「あぁ」
そうしてワイヤーが穴の中に下ろされていき、隼人も穴の中に入っていく。
「・・・・」
千冬は腕を組んでワイヤーを見る。
「隼人君・・・以前より危険を顧みなくなりましたね」
隣に楯無が立ってワイヤーを見る。
「まぁ、あんな事があれば、より一層仲間の事を気に掛けるだろうが・・・・・・」
全身装甲なので千冬の表情は見えないが声に少し不安の色があった。
「・・・自らの犠牲にしかねないな」
「確かに、今の隼人君なら、自らの身を犠牲にすることも厭わないと思いますね」
「・・・・」
「しかし、前世の隼人君ねぇ・・・」
「お前は信じないのか?」
「いいえ。隼人君があんな嘘をつくとは思えませんね」
「そうか・・・」
「それに、一つ一つの言葉に嘘偽りは無かった。全てが真実と言う事ですよ」
「・・・・」
「波乱の人生を歩んでいるからこそ、今の隼人君があるのかもしれませんね」
「今の神風、か・・・」
すると揺れていたワイヤーが真っ直ぐに引っ張られると、それが左右に揺れる。
「どうやら終わったみたいだな」
「そうですね」
そうして千冬は一夏達のほうを向く。
「・・・では。これより内部に進入する。付いて来い」
そうして千冬達は飛び出すとワイヤーを掴んでそのままゆっくりと穴の内部へと降下していく。
「・・・・」
一足先に中に入った隼人は周囲を見るも、真っ暗であった。
「何にも見えないな。くそっ・・・」
暗視ビジョンで見てもわずかにシルエットが分かる程度しか映らなかった。
隼人は左手に照明弾の入った銃を展開し、上に向けて放つと、光を出す。
「・・・こいつは」
少しの光に照らされて、周囲の景色が浮かび上がる。
すると張ったワイヤーより千冬達が次々と降りてきた。
「・・・・」
そしてその光景を見て千冬達も息を呑む。
「な、何だ?これは・・・」
「・・・・」
照明弾の光に照らされて浮かび上がったのは、何らかの設備と思われるもので、よく見れば足元は金属で出来ていた。
「どう見ても大昔にありそうなものじゃないな」
「あ、あぁ・・・」
「・・・・?」
するとレギナより取り出したデータの解析が終わった。
「どうした?」
「どうやら量産機から取り出したデータの解析が終わったようです」
「それで、何かあったか?」
「・・・・」
隼人は解析されたデータを閲覧する。
「さすがにバインドに関するデータは得られませんでした」
「・・・そうか」
「やっぱり量産機程度じゃそんなデータがあるわけ無いか・・・」
「だが、少なくともあいつらがやって来たここの名称は分かった」
しかし隼人の声には少し緊張味があった。
「ここの名称だって?」
「と、言う事は、ここがバインドに関連する場所で間違いなさそうね」
「・・・・」
「それで、この遺跡の名は?」
「・・・『Gシステム78』」
「Gシステム78?」
「それが・・・この遺跡の・・・?」
「何て言うか・・・機械的な感じが・・・」
一夏達は少し戸惑いがあったが、ユニコーンとバンシィは目を見開いて驚いていた。
「嘘・・・でしょ!?こんなことって・・・」
「まさか・・・ここにこれがあったなんて・・・」
「・・・・」
「知っているのか?」
「・・・え、えぇ」
ユニコーンはゆっくりと頷く。
「そもそもGシステムって一体?」
「・・・・」
「・・・・」
ユニコーンとバンシィは少し黙ったが、息をゆっくりと吐く。
「Gシステム・・・・・・それはありとあらゆるものを作り出す事が出来る・・・創造システム」
「ありとあらゆるって・・・」
「情報さえあればどんなものでも作り出せる。それが兵器でもね」
「・・・・」
「でも、別の世界でGシステムは暴走を起こし、世界の半分を火の海に飲み込ませた・・・後に『大破壊』と呼ばれる災害を引き起こした」
「大破壊・・・」
「そんなものが、どうして南極の地下に?それも4000年も昔に・・・」
「それは分からないよ。少なくともバインドの手によって持ち込まれた可能性は無いはず」
「どうして?」
シャルロットが聞き返す。
「もしあいつらが持ち込んでいるとしたら、最初からこの場所を知っていたはず」
「でも、仮にもバインドの先祖が持ち込んだから、今のバインドには知られて無かったって言う事もあるんじゃ・・・」
「例え先祖でも場所を示したデータぐらい残しているはずだよ。でも現にあいつらはここを発見するのに時間を有した」
「つまり・・・あいつらも知られて無い場所だってことか」
「そういうこと」
「・・・・」
「どちらにせよ、ここに何かがあるから、あいつらは来ている」
「何かがここに隠されている、か」
「・・・・」
「このまま立ち話しても時間の無駄だ。急ぐぞ」
「・・・了解」
そうして隼人は照明弾をもう一発上に向けて放つ。
「・・・あそこから降りるみたいですね」
隼人が指した方向には、降り口らしき所があった。
「うむ」
全員がその方に向こうとしたが・・・・・・
『っ!』
すると隼人や輝春、シャルロット、ユニコーン、バンシィ、リインフォース以外は躓きそうになる。
「・・・・?」
隼人は後ろを向いてみんなを見る。
「どうしたんだ?」
「そ、それが・・・」
「なぜか進もうとしたら・・・突然・・・」
「・・・こいつは・・・」
千冬はその原因をすぐに発見する。
「PICが・・・正常に働いていない」
「え・・・?」
一夏達もすぐにコンソールを見る。
「た、確かに、PICが正常に働いていない・・・」
「通りで躓きそうになるわけだわ。PICが稼動した状態のまま進もうとしたから・・・」
「でも、なんで・・・」
「ここは南極にある地球の自転だ。それが影響しているのか、もしくはここの影響があるのか・・・」
「どっちもありうる話だな。だが、どっちにせよPICが使えないのなら、歩いていくしかない」
「歩いて・・・ですか・・・」
「別に問題は無いですよ」
と、隼人は歩いて降り口へと向かうと、輝春、シャルロット、ユニコーン、バンシィ、リインフォースも後についていく。
「・・・・」
他のメンバーも若干ぎこちないが、後に続く。
「そういえば、ユニコーン」
「なに?」
歩いている最中に、一夏はユニコーンに聞いてきた。
「Gシステムは何でも作れるって言ったよな」
「そうだけど?」
「作れる限度ってやっぱりあるのか?」
「そりゃ・・・あると思うよ」
「思う?」
箒が怪訝そうな表情を浮かべる。
「Gシステムは確かに色んなものを作れるけど、基本的に限度があるってわけじゃない。あるとすれば大きさだね」
「大きさ?」
「うん。少なくとも小型と大型の二種が存在するの」
「その大きさにあったものが作れると?」
「そういうこと」
「・・・・」
「でも、このGシステム78は・・・大型より大きい超大型のものになるね」
「超大型って・・・」
「まぁ何を作るのかは、全く想像が付かないけど・・・」
「・・・・」
「まぁ疑問に思う事と言えば、どうしてこんなものが南極の地下に隠されていたかってことだね」
「そりゃ・・・まぁ」
「・・・・」
隼人はその会話を聞きながら周囲を見渡し、前方斜めに照明弾を放つ。
「お前的には、この遺跡にどう思う?」
後ろを歩いていた千冬が隼人に聞いてくる。
「見当が付きませんね。誰が何の目的でこんな巨大なものを作ったのか・・・」
「・・・・」
「ユニコーンがさっき言ったように、Gシステムは希望と絶望、そのどちらにもなりうる存在。バインドなら絶望の方を選ぶでしょうね」
「お前も知っていたのか」
「えぇ。その恐ろしさも・・・」
「・・・・」
「そして・・・その凄さも・・・」
「・・・・」
(それにしても、なぜこんなものが南極にあるのでしょうか?)
(さぁな。バインドの手によって作られて無いとすれば、見当が付かん)
リインフォースは内心で隼人と通信をする。
(仮にもしこいつが神々の手によって作られているとすれば・・・あいつらが調べに来るのも理由が付く)
(・・・・)
(まぁ、出来ればその推測が当たってほしくは無いがな)
(・・・そうですね)
(あいつらの事だから・・・・・・何か凄い物を隠してそうだ)
(・・・・)
そうして隼人達は広い場所に出る。
「ここで行き止まりか?」
「いや、違うな」
隼人は真上に向けて照明弾を放つと、その広場が照らされる。
「ここが入り口だ」
隼人の視線の先には、扉と思われる所があった。
「ここがGシステム78の入り口か・・・」
「だが、どうやって入るのだ?」
「それを今から調べるんだろ」
隼人は扉の前に近付くと、銃を収納して左手で壁に触れる。
「恐らくどこかに扉を開ける装置があるはず」
「そんなものがあれば――――」
と、箒が言い終える前に、バンシィ・ノルンの左手は何かに触れて、そのまま扉が左右二つに割れて開いた。
「何か意見があるか?」
「・・・い、いや」
「・・・・?」
隼人は扉が開いた先を見て首を傾げる。
通路の床の隅が僅かに光っていた。
「どう言う事だ?なぜ光が・・・」
「さぁ。恐らく何らかの影響でGシステム78が動いているか・・・」
「動いているだと?」
「まぁどっちにせよ、光があるのは歩くのに助かりますよ」
「・・・・」
「でも、ここからはいつバインドに遭遇するか分からない。警戒しながら進みましょう」
「・・・そうだな。各員も気を引き締めろ」
そうして隼人達は警戒しながらGシステム78内部へと進入する。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
596 | 569 | 2 |
コメント | ||
Gシステム78ってAGEでいうエグザDBみたいですね(はらっぱ) トゥルーオデッセイですね。(mokiti1976-2010) |
||
タグ | ||
ユニコーン バンシィ ガンダム インフィニット・ストラトス IS | ||
ファントムさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |