同居人達・三話 |
いろいろあったものの
我が家に水銀燈が帰ってきた
それはいいのだが、何故か彼女は最近
物置から使わなくなった枕を引っ張り出してきて
ひたすら殴ったり蹴ったりしている
『打倒真紅!!』という鉢巻をつけて・・・
J 「それじゃ、学校行ってくるな」
水銀燈 「ええ、いってらっしゃい」
首に巻いたタオルで汗を拭きながら答える水銀燈
なんか朝から気持ちいいくらい爽やかな汗流してるな
帰ってきたら家壊れたりしてないことを祈りながら
玄関を出ると、不意に日の光が目に入った
J 「まぶしっ」
今日は日差しがやけにきついな・・・ん?
ちょっと待て、何で太陽が二つあるんだ?
目を細めながら周囲を見渡すと
なぜか玄関の横の草むらに小さな太陽が
OH、朝から超常現象ですかい!?
俺は気づかれないようにゆっくりと太陽(?)に近づく
??? 「ふっふっふっ、25回の失敗を経てようやく見つけたかしら!
ローザミスティカはこの金糸雀が楽してずるしていただきかしら!」
なんか知らんがやけにに大きな独り言をしゃべる太陽(?)だな
そう考えて草むらをかき分けるとそこから水銀燈くらいの幼女が現れた
見たことない子供だな、近所のガキか?
その時、小さな発光体が俺の前を通過した
メイメイ姉御か?・・・いや違うな
俺の前を通過した発光体はそのまま草むらの幼女に近づく
金糸雀 「なにかしらピチカート?」
そう言って振り向いた幼女と俺の目が合う
J 「え〜と、なにしてんの?」
金糸雀 「かしらー!!!」
叫び声のようなものをあげて跳びあがる幼女
金糸雀 「見つかってしまったかしらー!
ピチカート、一時撤退よ!」
謎の発光体と一緒に幼女は脱兎のごとくその場から逃げ出す
J 「なんなんだ一体・・・?」
そんな朝の奇妙体験を経験してから学校へ行くと
秀吉 「おっはよー、マイフレン、ど!!」
外人並みの熱い抱擁をかまそうとしたエテモンキーに
後ろ回し上段蹴りをきめてから教室に入ると岡田がすぐにやってきた
岡田 「おはよっ」
J 「オッス、それにしても朝からあいつテンション高いな」
そう言って廊下で果ててる秀吉を見る
岡田 「ああ、多分あれだろ。今日からあの人が保健室の担当に戻るから」
J 「そうか、今日だったか」
だから朝からサカってるのか
岡田 「どうする?さっそく会いに行くか?」
J 「そうだな、あの人とは仲いいしな、それに色々世話になってるし」
岡田 「そんなわけで行くぞ秀吉」
その瞬間キョンシーのように立ち上がる秀吉
秀吉 「うっきーっ!」
ついに野生に目覚めたか・・・
そんな訳で保健室前
J 「いるかなー」
そう言いながらドアをノックすると
??? 「あ・・・開いとるぞー・・・」
なにやら取り込み中のような声が聞こえたんだが
J 「失礼しまーす」
ガラッとドアを開けるとそこには
??? 「あ、あと少しー・・・」
中に入ると、椅子の上に立って戸棚の物を取ろうとしている人物が1人
椅子がカタカタ揺れてどうも危なっかしい
仕方なく俺は後ろからヒョイッと取ろうとしてるであろう物を取ってやる
??? 「むっ?すまぬな」
顔を少し赤くして受け取った女性
それこそ我が校のある意味人気者の『チェルシー・モルガン』
生まれがイギリス人だ
親しくしてる俺達は『チェル』と読んでいる
特筆すべきは彼女の身長だ
年齢は確か今年で2?歳だと言うのになんと115cmしかないという
大体小学生低学年くらいの女の子と変わらない大きさなのだ
そして驚くべきことに身長に反比例して髪の毛は異常に長く
毛先は床に着くか着かないかという所まである
前にモップと言ってからかったら噛み付かれた
本人曰く、『この方が安心する』のだそうだ
ちなみに普段は髪でほとんど見えないが髪を分けて顔を見ると
かなりの美少女だ。
おそらく危ない趣味のおっさんがいたら涎を流して連れ去るほどの可愛さだ。
実際、この中学でもかなりのファンがいる
チェル 「なんじゃお主らか、久しいの」
このやけにジジ臭いしゃべりは、昔こっちに移り住んで来た時に
隣に住んでたおじいさんに日本語を習ったそうなんだが
何故かしゃべり方も真似てしまったらしい。
まぁ、『萌要素』としていいのだが・・・
J 「どうも」
岡田 「お久しぶりです」
秀吉 「いつ見てもかわいいなぁ〜」
若干1名、頭のおかしい猿がいるが、まぁほっとこう
J 「お勤めご苦労さんです。今は仮出所中ですか?」
チェル 「お主、ワシが今まで服役してたとでも言いたいのか?」
髪の間からジロリと睨むチェル
岡田 「確かこいつが前にチェルさんは子供料金で電車に乗ろうとして
捕まったって言ってましたよ。しかも知り合い全員に」
そう言って岡田は俺を指差す
秀吉 「あっ、俺もそれ聞いた。みんな信じてたよな」
続いて秀吉もウンウン頷く
チェル 「き、貴様〜・・・」
怒りに震えながらチェルは俺に近づく
J 「ははは、軽い冗談だよ、冗談。ね?許して」
チェル 「許すか馬鹿者ー!!」
絶叫して両手をバタバタさせて走ってくるチェル。
だがその攻撃はチェルの頭に手を置いてそのまま固定するだけで
アッサリと阻止された。
チェル 「〜〜〜〜!!!!?」
J 「はっはっはっはっ!」
両手をバタつかせてなおも向ってくるチェルを俺は笑いながら止め続けた。
そんな光景は予鈴が鳴るまで続けられた
放課後
秀吉 「あ〜、終わった〜」
カバンを担いで疲れた声を出す秀吉
J 「授業中に気持ちよく寝てたのは俺の見間違いか?」
岡田 「お前もだけどな」
そう言って岡田は俺にノートを渡す
岡田 「テスト近いんだから早く返せよ」
J 「謝々、岡田様」
秀吉 「そういえば、としあきの奴、今日来なかったな」
J 「どうせサボりだろ。今頃家でエロゲーやってんだろ」
秀吉 「あいつ、テスト近いのに大丈夫かよ」
J・岡 『お前よか大丈夫だ』
秀吉 「ひどっ!」
その時、窓から声が聞こえた
チェル 「気をつけて帰るんじゃぞ〜!」
そう言って手を振るチェル
岡田 「はーい」
J 「おーう」
秀吉 「先生もさらわれない様に気をつけてねー」
チェル 「ぬかせ小僧ー」
笑いながら答えて俺達は帰宅した
帰宅
J 「ただいまー」
そう言ってドアを開けると『どたどたどた』と
走る音が聞こえた
水銀燈 「おかえりなさー・・・いっ!」
言葉と同時に水銀燈が俺の胸に飛び込んできた
J 「ごふっ!」
突然胸に頭突きされて後ろによろめいて倒れる俺
J 「い、いきなり致命傷攻撃をしてくるとは・・・
貴様・・・俺に何の恨みが・・・」
水銀燈 「うーん・・・ちょっと距離が足りなかったわね
計算ではこの一撃で骨が肺に刺さるはずなのに」
殺る気だったんかい・・・
そう心で突っ込んだ後、俺はそのまま意識を失った
J 「で?つまり倒さなきゃいけない奴がいるから
俺はその実験台にされたんだな」
水銀燈 「・・・はい、ごめんなさい」
床の上に正座をして頭にタンコブを作った水銀燈が涙目で小さく答える
まったく、あと少しで逝くところだったじゃねぇか
辛くも一命を取り止めた俺は早速水銀燈に説教した。
J 「大体、いきなりt」
---ピンポーン♪----
その時、ちょうど呼び鈴が鳴った
J 「だれだ?」
巴が夕食を持って来たにしては早すぎる時間帯だ
俺はしょうがなくソファーの上から降りると
水銀燈 「ふー」
もう終わったと思ったのか水銀燈が両足を伸ばしてため息をつく
J 「説教はまだ終わってないぞ。それと今日は罰として夕飯抜き!」
水銀燈 「えー!」
思いもよらなかったのか水銀燈は驚きの声をあげる
それを無視して俺は玄関へ向う
---ガチャッ----
J 「はーい」
ドアを開けるとそこには誰もいない
J 「悪戯か?」
そう思いドアを閉めようとしたその時、
J 「まぶしっ!」
今朝と同じように今度は夕日が目にしみた
目を細めて周りを見ると、朝見たときよりも玄関に近づいていた幼女を発見
匍匐前進しながら近づいてくる。
何故か右手にドアストッパーを持っている
ちなみに顔も伏せているので俺にばれている事にまったく気づいてない
とりあえず幼女の前に立ち、頭を手で押さえて
前進できなくする
金糸雀 「お、おかしいわね、まったく進んでない気がするかしら」
ゴキブリのようにその場でカサカサ動いてるデコ幼女をしばらく無言で観察する
その結果わかったことがある。
アホだこいつ、真性のアホだ
面白いけどこのままってわけには行かないよな、さすがに
仕方ない声かけるか・・・
J 「おい」
金糸雀 「ん?」
顔を上げた瞬間硬直する少女
J 「・・・・・・」
金糸雀 「・・・・・・」
夕日をバックに見つめあう2人
ある意味絵にはなるが・・・ちょっとイタイな
デコ少女はいきなり立ち上がると
金糸雀 「一時撤退かしらー!!」
と、叫びながら逃げ出した
J 「最近のガキは騒がしいな」
などとつぶやきながら俺は家に入った
J 「ふーっ、ただいま」
水銀燈 「お帰り、誰だったの?」
いつの間にかソファーに座ってテレビを見ている水銀燈
こいつ叱られてた事忘れてんじゃねぇか?
J 「イタズラだった。そういえばお前の知り合いに
オデコ広くて語尾に『かしら』って付けてしゃべる奴いるか?」
水銀燈 「どうしたの急に?」
J 「いや、変な子供を見たんだがお前の知り合いかと思って」
すると水銀燈は頬を膨らませた
水銀燈 「どういう意味よぉ」
J 「よく言うじゃん、『類は友を呼ぶ』って」
水銀燈 「なによそれぇ!」
水銀燈は抱きしめてたクッションを俺に投げつけた
その夜
J 「あ〜、風がきもちええ〜」
湯上りでホカホカの肌を夜風が軽く撫でる
今俺は自分の部屋のベランダにいる
J 「あと少しで夏休みか・・・」
その前に期末テストがあるがそれは頭から除外
持っていたポカリに出来た水滴を頬に当てて外を眺めてると
J 「?」
家の前の路地を少女が歩いてるのが見えた
J 「あれは・・・」
俺は急ぎ1階へ向った
少女は周りをキョロキョロ見て何かを探しているようだった
警察 「お嬢ちゃん、こんな時間に1人で何してるの?」
??? 「・・・・・・?」
あちゃ〜、俺が声をかける前に警察に職質されてるよ
まぁ確かにこんな時間に子供が1人で歩いてたら捕まるわな
仕方ないここは『嘘をつく演技をさせたら宝塚級』と言われた俺が
助けてやりますか
J 「すいませーん」
家から出てきて声をかける
警察 「なんだね君は」
J 「そいつ俺の妹なんです。俺とケンカしたら、怒って外に飛び出したんで
回収しにきました」
サラリと今思いついた嘘を述べる
警察 「こんな時間に女の子1人にしたらダメだよ、以後気をつけるように」
J 「すんませーん」
そう言ってとりあえず少女の手を取って家へ入れようとするが
??? 「!?」
思いっきり振りほどかれた
警察 「?」
マヅイ、今動揺したら嘘がばれる、ここは冷静に・・・
J 「俺がプリン勝手に食べたのまだ怒ってるのか?もう謝るから許してくれよ
代わりに俺のアイスやるからさ、な?」
そう言ってもう一度手を取ると今度は大人しくしてくれた。
J 「それじゃ、お騒がせしました〜」
警官は俺達を黙って見送った。
J 「ふ〜、さすがに警察騙すのは心臓に悪いぜ」
今でもバクバク言ってる心臓を押さえてため息ひとつ
??? 「・・・?」
玄関でボーっと立っている少女を見る
J 「とりあえず名前教えてくれるかな」
??? 「・・・・・・薔薇水晶」
片方の目だけで俺を見た少女はボソリと答えた
そう、こいつを助けた理由、それはあの教会でこの少女を見たからだ。
聞きたい事もあったし
J 「そうか薔薇水晶、しばらく家で休んでいけよ。
今出て行くと警察にまた見つかるぞ」
言った事が理解出来たのか出来てないのか
俺の言葉を無視して薔薇水晶は俺のすぐ側にやって来て見上げてきた。そして
薔薇 「・・・アイス・・・」
右手を出して要求をしてきた
J 「は?」
薔薇 「さっき・・・アイスくれるって・・・言った・・・」
あ〜はいはい、つまりアイスにつられて俺について来たって、そういう事ですか
J 「わかった、とりあえず上がれよ。今持ってくるから」
コクッと頷くと俺に言われるがまま家に上がる薔薇水晶
しばらくしてアイスの棒を加えたままボーっとしてる薔薇水晶に
しゃべりかけてみることにした
J 「ところで何であんなとこにいたんだ?」
薔薇 「ちゅぱちゅぱちゅぱ・・・?」
お願い、あんまりエロい音出さないで
息子が起きちゃうじゃない!!
薔薇 「探してた・・・」
それだけ言うと再び棒をしゃぶりだす薔薇
J 「何を?」
薔薇 「・・・お姉さま」
その時、我が家のタダ飯喰らいが脳内を横切った
ま、まさか・・・、だけど、その可能性は特大
そんなことを考えて動揺してる俺は、薔薇水晶の
いきなりの行動に対応することが出来なかった
薔薇 「(くんくん)お姉さまの・・・匂いがする」
いきなり俺にしがみつくと
首筋に鼻を近づけて匂いを嗅いでくる薔薇水晶
ついでにアイスの棒が俺の喉を圧迫してる
薔薇 「・・・あなたお姉さまの・・・ミーディアム?」
J 「言ってる意味が・・・良くわか・・・んないんです・・・けど
そのま・・・えに、できれば・・・アイスの棒を除けて・・・くださ・・・い・・・
息・・・が・・・。」
薔薇 「??」
J 「ぜぇっぜぇっぜぇっ、よくわかんないけど、この家に
水銀燈っていう子はいるよ」
なんとか棒を除けさせて答える俺
薔薇 「そう・・・」
それだけ言うとまた棒をしゃぶしゃぶ
J 「2階で寝てると思うけど呼ぼうか?」
確か夕食を抜きにされて不貞寝してるはずである
だが、その瞬間ものすごい勢いで首を振り出す薔薇
薔薇 「いらない・・・見つかると攻撃されるから・・・」
なんかよくわからんが込入った事情がおありのようで
薔薇 「それと・・・今日あったことは・・・言わないで」
そう言って床に正座するとペコペコ頭を下げた
J 「う〜ん、別にいいけど理由とかは聞いちゃダメなの?」
すると頭を下げながら薔薇は咥えてたアイスの棒を俺に差し出した
薔薇 「つまらない物ですが・・・」
涎でべチャべチャの棒を受け取る。
これは口止め料のつもりか?
J 「わかったよ。 言わないよ」
薔薇 「・・・ホント?」
薔薇は頭を上げると首をかしげて聞いてくる
かわいいなぁチクショウ
J 「本当だ、俺に二言はない」
薔薇 「・・・約束・・・」
そう言うと小指を差し出してきた
J 「おう、約束だ」
俺と薔薇は小指を絡める
J 「指きりげんまん♪嘘ついたらh♪」
薔薇 「こーろーすっ・・・♪」
有無も言わさず死刑ですか
薔薇 「帰る・・・」
指を離した後、いきなり立ち上がるとそれだけ言って
さっさと帰ってしまった薔薇水晶
残された俺の右手には薔薇水晶の指の温かみと
その時交わした約束
それと涎でベタベタのアイスの棒だけが残されていた
J 「なんか今回新キャラ多くね?」
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