【ゆゆ式】かぶ式
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【お金が欲しいゆずこ】

 

ゆずこ

「お金がほしい」

 

ゆかり

「お金がほしいの〜?」

 

ゆい

「…働け」

 

ゆい

「っていうか、なんでお金が欲しくなったんだ?」

 

ゆずこ

「いろいろ物入りでさぁ。この年頃になると、

 お金がかかるっつーか?」

 

ゆい

「…そうか。じゃあ働け」

 

ゆずこ

「わたし、働きたくないです!」

 

ゆかり

「じゃあ楽して儲けようか?」

 

ゆかりは、パソコンのマウスをいじり、なにやら検索を始める。

パソコンの画面に表示されたのは、ネットオークションのページだった。

 

ゆかり

「ネットオークションっていうのがあるよ」

 

ゆずこ

「ネットオークション? いいね。

 でも何を売ろうか」

 

ゆかり

「自分が持ってるもので、売れそうなものない?」

 

ゆずこ

「うーん…あ、そうだ!」

 

ゆずこ

「髪の毛!」

 

ゆい

「…どうしてそういう発想になった?」

 

 

【自分(の髪の毛)を売る】

 

ゆずこ

「わたしの髪、ピンクだよ! レアだよ! お高いよ!

 ピンク色の髪してる人なんて、普通いないよ!」

 

ゆい

「そうだな。普通いないな。でも、どうでもいいな」

 

ゆいは冷たく言い放つ。

 

ゆずこ

「ひどいよ、ゆいちゃん! どうでもいいなんて」

 

ゆかり

「女子高生の髪の毛なら、オークションで高値つきそうだねぇ」

 

ゆい

「…気持ち悪いからやめろ」

 

 

ゆずこ

「ねえ、ゆかりちゃんの髪の毛、きれいだよね」

 

ゆずこは、ゆかりの長い髪の毛を、やさしく指で触り始める。

 

ゆかり

「えへへ、きれいでしょ」

 

ゆい

「たしかに、ゆかりの髪の毛はきれいだな。

 長くて、黒くて、さらさらしてて…。

 ちょっとさわらせてくれ」

 

ゆかり

「あっ……」

 

ゆい

「どうした? …嫌だったか?」

 

ゆかり

「ううん、なんでもない。

 もっとさわって」

 

ゆい

「あはは」

 

ゆかり

「うふふ」

 

ゆずこ

「あ、あのー、お二人さん?

 なんか、二人のまわりがピンク色に染まってるんだけど…

 気まずい…」

 

ゆかり

「ゆいちゃんの髪もきれいだね」

 

ゆい

「そうかー? わたし、そんなに髪きれいか?」

 

ゆかり

「きれいな金髪で、とっても魅力的だよ♪」

 

ゆい

「あ、ありがとう…」

 

ゆかり

「うふふ」

 

ゆかり

(ゆいちゃんは、本当は、髪の毛じゃない毛のほうが魅力的なんだけど…)

 

 

【かぶ式】

 

ゆかり

「かぶ式しよう! かぶ式!」

 

ゆずこ

「かぶ? ああ、あの…ポトフとか」

 

ゆい

「そっちのカブじゃない。株式会社の株だ」

 

ゆかり

「株はいいよ株は!

 うまくいけば大金持ちだよ、ゆずちゃん!

 私みたいに!」

 

ゆい

「…いやらしいこと言うな」

 

ゆずこ

「そっかー。株やればもうかるのかぁー」

 

ゆかり

「ほら、ネット上でも、株で儲かったっていう人がいっぱいいるんだよ」

 

ゆかりはマウスを操作して、パソコンで検索していく。

株で成功した人たちのWEBサイトが表示される。

 

ゆずこ

「わぁ、この人、1000万円もうかったって! すごぉい!」

 

ゆかり

「1億とか20億とかの人もいるよ〜」

 

ゆい

「ほうほう…そんなに儲かるのか」

 

ゆかり

「ゆいちゃん、興味ありそうな目してるね? 気になる?」

 

ゆい

「い、いや、それほどでも…」(本当はお金が気になるなんて言いづらい…)

 

ゆかり

「本当に? 目が泳いでるよ?」

 

ゆい

「…こほん。

 たしかに儲けはすごいけど……なんか怖いな。

 逆に失敗する人だっているんだろ?」

 

ゆかり

「うふふ、うふふ…」

 

ゆい

「不気味な笑いやめろ!」

 

ゆずこ

「あっ、この人…1億儲けたのに、失敗して借金1000万円になったんだって!

 怖いよ! これからこの人どうするの!?」

 

ゆかり

「線路に飛び出すんじゃないかな」

 

ゆい

「シャレになってないからやめろ!」

 

 

【処理】

 

ゆずこ

「私たち情報処理部だから、情報を処理して稼げばいいんじゃないの?」

 

ゆい

「またワケのわからんことを…。情報処理って結構むずかしいんだぞ。

 プログラムの本を読んだが、さっぱりわからん」

 

ゆかり

「情報以外のことを処理すればいいんだよ」

 

ゆずこ

「おおう!? なんと大胆な発言を…。

 ナニを処理するんですかね!?」

 

ゆかり

「ナニを処理すると、気持ちよくなるよね!」

 

ゆい

「おいおい…。

 お前ら、自分が何を言っているのか、わかっているのか。

 男子がいたらドン引きだぞ」

 

ゆかり

「男子相手には処理しないよ〜。

 私たちは、女子相手に処理するんだよ〜」

 

ゆい

「なおさらまずいわ!」

 

ゆずこ

「処理する最初の相手は、ゆいちゃんでもいいよ」

 

ゆかり

「私も私も〜」

 

ゆい

「お、おい! お前ら! なんだその目は!

 正気か! やめろ!」

 

ゆかり

「うふふ」

 

ゆずこ

「えへへ」

 

ゆい

「触るな! こ、こら、離れろ!

 あはは、く、くすぐったい!

 おいやめろ! いい加減、部室から追い出すぞ!」

 

嫌がるゆいの体を、無理やり触る、ゆかりとゆずこ。

 

お母さん先生

「みんなー元気にしてるー?

 ……え?」

 

ゆい&ゆかり&ゆずこ

「あ」

 

沈黙。気まずい空気が流れる。

お母さん先生の目の前には、3人が、密着した状態で抱き合っていた。

 

お母さん先生

「…な、仲がいいのね? 皆さん、何してるの?」

 

ゆずこ

「ナニをしてます」

 

ゆい

「お前は黙れい!」

 

ゆかり

「お金儲けしてたんだよ、おかあさん!」

 

お母さん先生

「お、お金儲け…?」

 

意味がよくわからず、お母さん先生は首をかしげた。

 

 

【中だるみ】

 

お母さん先生

「あなたたちは、お金のことはあまり考えないほうが

 いいんじゃないかなと思いますよ、先生は。

 どっちかと言うと、勉強や将来のことを考えてほしいというか」

 

ゆずこ

「勉強かぁ…苦手なんだよね」

 

ゆい

「おいお前。勉強得意なんじゃなかったのか?」

 

ゆずこ

「最近、勉強に力が入らないというか、なんというか」

 

ゆかり

「そういえば、ゆずちゃん。最近授業中も寝てなかった?」

 

ゆずこ

「えへへ…」

 

ゆい

「えへへ、じゃないだろう。大丈夫か?」

 

ゆずこ

「高校2年にもなると、中だるみしちゃうよね〜」

 

ゆずこは遠い目をしながら、腕をだらりと伸ばす。

このところ、勉強に身が入っていないようだ。

 

ゆかり

「…このまま成績おちつづけて、留年しちゃったりなんかして?」

 

ゆずこ

「ええ!? 私、留年しちゃうの!?

 もし私が留年したら、ゆいちゃんとゆかりちゃんは…先輩!?」

 

ゆずこ

「ゆい先輩! ゆかり先輩! ちーっす! 元気っすかー!?」

 

ゆい

「うざそうな後輩だな…」

 

ゆかり

「ゆい先輩!」

 

ゆい

「後輩が増えた!?」

 

お母さん先生

「ゆ…ゆい先輩」

 

ゆい

「先生まで後輩に!?」

 

お母さん先生

「じ、冗談ですよ。本気にとらないでね」

 

ゆい

「あ、はい。わかってます」

 

 

< おわり >

説明
ゆずこが突然「お金が欲しい」と言い出したが…
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