真・恋姫†無双 魏END 外伝第3章 後編
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真・恋姫†無双 魏END 外伝第3章 後編

〜永遠など何処にもなく〜

 

 

 

「そう・・・・・やはり、そうなるのね」

「華琳様?」

僅かに俯いたが、それも一瞬。顔をあげ、一心に春蘭達を見つめる。

「では、聞こう。その思いを持ってなんとする?先程のように悲しみに囚われるのではないか?志を引き継ぐ、夢半ばで散っていった者達の思いを背負い我らは覇道を夢を成し遂げた。そういう事なら、思い続けるのは大いに結構。その思いがあるからこそ、我らは此処に今立っているのだから。」

「確かに北郷一刀は我らの仲間だ。北郷一刀が目指していた事を、夢を引き継ぐそれだけなら結構。だが、今のあなた達にあるのは執着、北郷一刀に囚われているだけ。それは思いとは言わない。ただの我が侭。それを思いと言い換えているだけ・・・・・そうではないのか?・・・・・甘えるな!!」

華琳の一言が響きわたる。

「北郷一刀がそれを望むと思うか!?」

「自分の事を思い、悲しみ涙する我らの姿を見たいと思うか!?」

「北郷一刀の事を本当に思うなら、一刀のことは忘れなさい!!」

「それが、我ら残された曹魏の将たる者達の役目ではないのか!?」

華琳の発言に今度は誰も俯いたりすることはなかった、誰もが華琳を一心に見つめていた。

 

 

 

 

「せやな、華琳言う事も、よぉわかる。せやけど・・・・・」

霞は、そう言うと皆を見渡す。

 

「うむ。」

納得した表情をする秋蘭。

 

「あ、あぁ。」

どこか恥ずかしそうに、少し納得しきれていない春蘭。

 

「ですね。」

にこやかに返事をする風。

 

「(コクッ)」

腕を組み頷く稟。

 

「うぅぅぅ。(コクッ)」

「はい。」

まだ涙を瞳に溜め頷く季衣。

目を赤くし返事をする流々。

 

「せや。」

「うん。」

「はい。」

返事をして、互いの顔を見合わせる笑顔の真桜・沙和・凪。

 

「・・・・・・。」

桂花は抗うのをやめ大人しくしているが、納得していない視線を直に飛ばしている。

 

 

各々の思いを心で受け取り、

「うちら曹魏の将として以前に女・・・・・やから。女として一刀の事を思って過ごして、将として笑顔で一刀が天の国で悔しがるように過ごす。それが、うちらの答えや。華琳が何といってもそこだけは譲れへん。」

ひとつの答えを出した。

 

 

 

 

「えぇ・・・・・結構よ。」

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・・・・・・・。

 

・・・・。

 

・・。

 

「「「・・・・・っは?」」」

華琳の一言に思わず聞き返す。

 

「だから結構と言ったの。それなら構わないわ。」

「・・・・・華琳様?」

秋蘭が驚いた顔を向けている。

「まったくうちの子達はどうして素直じゃないのかしら?」

華琳は秋蘭に満面の笑みを返す。まるで何もなかったように。

「これはこれは、もしかしてー。」

「まったく、私達は一杯食わされたようですね。」

少し頬を膨らませる風と大きく溜め息を吐く稟。

「で、では、最初から?」

「さてね?それは各自の想像にまかせるわ。」

皆が目を丸くする。華琳の言動の真意に。

 

 

「だけど、これだけは忘れないで。私を含めて皆が北郷一刀に甘えていた。消えないと、傍にいると。戦国の世にいながらね。けどそれは絶対にない。人にはいつか終わりが来る、それが例え天の御遣いと呼ばれようと。永遠なんて何処にもないのよ、心の中以外わね。」

 

華琳はそういうと一つのため息を吐いた。その姿はどこか哀愁を漂わせている。

しかしそれも一瞬。不適な笑みを浮かべ春蘭を見る。

 

「それにしも面白かったわね。春蘭がそんなにも一刀の事を想っていたなんて。」

 

「!!にゃにゃんのことでうか?」

まるで唐辛子のように顔を赤くする春蘭。

「姉者噛んでるぞ。・・・・・しかし華琳様、いくら何でも今回は意地悪が過ぎたのでは?」

「あら?私のこと軽蔑した?それだけ皆が秋蘭が一刀の事を想っていたのでしょ?」

華琳の笑みに、

(まったく素直でないのは我が主が一番だな。)

口元が緩む。

「何か言いたそうな顔ね?」

「いえ、そんなことは。」

「そう。」

穏やかな会話。そして、秋蘭はいつも通り春蘭のフォローに向かう。

「ほら姉者、いい加減戻って来てくれ。」

「わ、私は・・・・い、今まで・・・・何ということを・・・・。(ブツブツブツ)」

赤くなった顔で何かを呟き続ける春蘭を介護する。

 

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「ほんまに華琳は意地悪やな。いじめっ子や。」

「「ぶーぶーぶー。」」

「霞様、真桜、沙和、華琳様にそのようなことを・・・」

なぜか猫目を光らせている霞、そして真桜・沙和は華琳に対して不満をもらしている。

凪はそれを止めさせようとしている。

「凪、いいのよ。それも仕方がないことでしょ。」

「ですが、華琳様・・・。」

「ふふっ、ありがとう。」

 

「なぁ〜華琳は一刀が天に帰った時、どないやったん?」

「せやせや、うちも聞きたい。」

「華琳様ー、どうだったの?」

猫目をキラキラさせ、霞が華琳の顔を覗き込む。

それに真桜と沙和も続く。

「そ、そんなことはあなた達には関係ないでしょ。」

顔には出さないものの、いつものキレが華琳から消える。

それが華琳は恥ずかしがっているという証拠になるには充分だった。

「華琳もかわええなぁ〜女の子しとるや〜ん。」

「ほんまやな。」

「華琳様も女の子なの〜。」

「華琳様、私にはどうにもできません。」

華琳を囲みキャッキャしだす霞、真桜、沙和。

凪は申し訳なさそうにも笑顔でその光景を見つめていた。

 

 

華琳は開放されると季衣と琉々のとこに行き一言。

「ごめんなさい。」

その一言には様々な意味が詰まっていた。

その一言を聞いて、泣き止んでいた季衣と琉々の目に涙がまた溢れる。

「「華琳さまぁぁ〜。」」

泣きじゃくる二人を見て華琳は今度は笑顔にしようとそう誓う。

 

 

このあと皆が解散するのに幾許か時間がかかった。

理由は簡単、華琳で遊ぶ霞を筆頭とした真桜・沙和

それを見てお茶をすする風・稟を中心とした桂花・凪・季衣・琉々・秋蘭

ちなみに、桂花は今度は風と稟に拘束されている。

凪は霞達を眺めているところを風に誘われ、季衣と琉々は稟が誘った。

季衣は調子を取り戻したのか(泣いてお腹が減った)と言って現在お菓子を食べている。

ちなみに季衣の後ろには山のようにお皿が積みあがっていたいりする。

琉々は皆にお茶を振舞っていた。

春蘭は未だに赤いまま。秋蘭は疲れそんな春蘭を見てお茶をすすっていた。

 

 

 

 

解散後、各々はそれぞれの天幕に戻っていった。

日も落ちて夜も遅くなったころ華琳の天幕に訪れる者がいた。

「あら、どうしたのこんな夜更けに?」

「・・・・・・。」

「今日は気分は良いけれど、そういう気分じゃないわよ?桂花。」

「あ・・・あの、華琳様。」

「どうしたの?そういった用件じゃないみたいだけれど。」

「あ、あの馬鹿が帰った時の話を私だけが知らないみたいですので・・・・・。」

そう解散前、華琳は皆に一刀がどのようにして逝ったのかを話していた。

桂花は風と稟に拘束をとかれた後に一人早く天幕に戻っていた。

「ふふっ、そうね。」

「別に他意があるわけではありません!!私はいつでも華琳様の―――。」

「分かってるわよ、桂花。」

華琳は笑みをこぼす。

「そうね、一刀は・・・・・・。」

そして華琳は語り出す。その胸に一刀を思い。

そして何より自分が愛した一刀と過ごした日々を思い出して。

 

 

 

第3章 後編 完

 

 

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〜おまけ〜 

 

日も暮れ、昨日と変わらない琥珀の月が川原を照らす。

そうそこは北郷一刀が天の国へ逝った場所。

「しかし、良かったのか?」

「何がや?」

「いや、さすがに華琳様も呼んだほうが良かったのではないか?」

「ええねん、ええねん。華琳は意地悪したから、その罰や。」

「まぁ、気持ちはわかるがな。」

「秋蘭・・・。」

「しかし、たまには良いのではないか姉者。」

川原で会話をしているのは霞・春蘭・秋蘭の三人。

何か作業をしている。

「それにしても霞。これは本当に北郷が一人でしてくれたのか?」

「うちは見てないし聞いただけやけど、一刀がそう言うたから嘘やない。」

「それもそうか・・・・。」

「あやつは霞にこんなことをしたくせ―――「なぜ、私にしてくれなかった。か?姉者。」―――っ!!」

「あははは、顔がまた真っ赤やで。」

三人は川原に提燈や蝋燭を並べている。

そうこれは、一刀が霞にした雰囲気づくりだった。

 

「霞、並べ終わったぞ。」

「こっちもだ。」

「おおきに、さて火つけよか。」

一つ一つに灯を灯していく。

「ほぅ・・・。」

「確かに凄いなこれは。」

そこには、蝋燭の薄明かりに映し出された川原広がる。

それは綺麗で幻想的で別の空間が急に目の前に現れたと思うほどだった。

「蝋燭一つで変わるものなんだな。」

「せやろ、凄いやろ〜。」

「で、霞は北郷にこれをされた時、どうしたのだ?」

「それは秘密やで。しゅ・う・ら・ん。」

「なんだ、もったいぶるな。」

「えぇ〜乙女の秘密やもん。それに、春蘭にも言えないことの一つや二つあるやろ?」

「それもそうだな。だが、もし姉者が話していいと言ってくれるなら話すが?」

「秋蘭!!!!?」

「嘘だよ、姉者。」

春蘭の恥ずかしがっている声と秋蘭・霞の笑い声が夜の川原に響き渡る。

 

 

「おぉ、これは凄いですねー。」

「本当に凄いですね。」

夜の森から風と稟が姿を現す。両手には手に余るほどの酒瓶をもっていた。

「おぉ、すまんな。力仕事は私や霞の仕事なのだが。」

「いえいえ、春蘭ちゃんは今日頑張りましたからー。それに霞ちゃんは今回の発案者ですので。」

「そうやで、春蘭。今回ばかりは皆の気持ち受け取ったり。」

「わかっている。」

「それにしても美味そうなお酒やなー。」

「えぇ、蜀の中でも指折りの酒屋から仕入れてきました。霞さまの好きな老酒もありますよ。」

「あんがとな、稟。」

「霞はすこし姉者を見習ってほしいのだが?」

「なにを?」

「姉者や稟と話しているのに目が酒しか見ていないぞ。」

「だって、楽しみなんやもん〜。」

 

 

「なんや、えらく楽しそう・・・おぉ!!なんやこれ!?むっちゃ凄いやん!!」

「真桜ちゃん待ってなのー。」

「そうだ、少しは考えて・・・・。」

「凪ちゃんどうしたの?・・・・すっごく綺麗なの。」

次にやって来たのは凪・真桜・沙和の三人。

こちらは両手に料理を持ってきていた。

「おぉ美味そうな香りや〜。」

「ちょっと姐さん、顔が近いて。」

「霞、少しは手伝わんか。」

「姉者の言うとおりだ。」

二人は三人から料理を受け取り手ごろな岩の上に並べてゆく。

「ありがとうございます、秋蘭さま。」

「春蘭さまも、ありがとうなのー。」

 

「えぇもん。うちはお酒並べておくから。」

「姐さん、そんないじけんでも。」

霞は、風・稟が持ってきた酒を種類別に並べる。

「さて、あとは季衣と琉々だが・・・・。」

「もうすぐ着くと思いますが。」

 

 

「やっと着いたー。」

「ちょっと季衣、料理こぼさないでよね。」

「大丈夫だよー、ほらなんともない。」

「もう、季衣ったら。」

タイミングよく季衣と琉々がやって来る。

そして、季衣は両手と頭の上に大きな皿をもっていた。

「季衣、それを走って持ってきたのか?」

「そうですけど、どうかしました秋蘭様?」

「・・・・・いや、なんでもない。」

「おぉ、それをこぼさないで持ってきたか!さすがだぞ季衣!」

「いえいえ〜、そんなことありませんよ〜。」

 

 

そんな二人を見て、

「なんや、えらい季衣と春蘭さまって似てきよったな。」

「そうですねー、まぁ犬は飼い主に似るって言いますしー。」

「せやけど、あれは両方犬やで。」

「そうなのー、どっちかって言ったら琉々ちゃんが可哀想な飼い主さんなの。」

「だが、春蘭さまの飼い主は・・・・。」

(((秋蘭さま(ちゃん)・・・・)))

「どっちも可哀想なのー。」

 

「先程から酷い事を話していますね、あなた達は。」

「おぉ、稟ちゃん。いつからそこに?」

「ずっとよ。まったく考えがわからいでもないけど。」

 

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「準備、終わったで〜。」

霞の声が響く。

「うむ。さて季衣・琉々も料理を置いてきてくれ。」

「はい。」「はぁい。」

 

 

 

 

「さて、今日は集まってもろうてありがとう。今いるこの場所で一刀が天に帰ったのは華琳から聞いてのとうりや。だから、この場所でぱーてぃーを開いた。理由は・・・・聞かんでも皆ならわかってくれるって思ってる。・・・・・・・・もぅあかんな、こういうのはなれへん。」

「そういうな。今回の発案者は霞だろ?姉者にやらせる訳にもいかんしな。」

「そうだ、そうだ気合でなんとかしてみせろ!」

「春蘭さま、それはさずがに無理ですよー。」

「春蘭さま、季衣も静かにしないと霞さんが話の続きができないですよ。」

「えぇと、桂花は誘ったけど断られた。んで・・・・・・・・・・。」

また言葉を詰まらせるが、

 

 

「もぅなんや!あれや!とりあえず、お酒は皆持ってるな!?では、天にいる一刀に向かって届くような大声で!!皆が元気やってわかる声で!!」

 

 

「かんぱ〜〜〜い!!」

 

「「「かんぱ〜〜〜い!!」」」

 

夜の川原に鬨のような声が響き渡る。

 

そして、各々が夜空に向かう満天の月と星に向かって

 

「かならず帰って来い!!」

「一刀〜!!約束破ったらしょうちせいへんからな〜!!」

「待っているぞ、一刀!!」

「お兄さん〜!!帰ってきてくださいね!!」

「待ってますよ一刀殿!!」

「隊長〜!!うち待ってるから!!」

「隊長〜!!早く帰ってくるの〜!!。」

「隊長、早く帰ってきてください!!」

「兄ちゃん、帰ってきたらご飯食べに行こう〜!!」

「兄様、料理をつくって待ってますから!!」

 

北郷一刀への想いを叫んだ。

 

笑顔の限り、泣かないと悲しまないと誓いを立てて。

 

心の底から。

 

愛する者へ届くように。

 

 

 

おまけ 完

 

説明
投稿が遅れて申し訳ありません。作品中に誤字・脱字やキャラ崩壊が見られるかもしれませんが、よろしくお願いします。
さて、なんだかんで3章後編。全部で5章で話を終わらせるつもりなので、それまでよろしくお願いします。メッセージ・支援・応援してくれている皆様に本当にありがとうございます。
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コメント
琉々ではなく流琉です。(ryujir2)
ええ話や〜〜〜(泣)(風見海斗)
感動しますね。春蘭の反応が可愛いっす(VVV計画の被験者)
いい話です。秋蘭に指摘されてあわてる春蘭が最高に面白かったです。図星をつかれる春蘭はかわいいですね。(ブックマン)
感動もんじゃあああぁぁあぁぁぁぁあ(零壱式軽対選手誘導弾)
って、指摘したくせに感想いってない俺駄目だな・・・orz   個人個人の個性などがとても良いです。 たしかに今一刀は何してんだろって思いますねw  続きが楽しみです^^。(Poussiere)
Poussieraさん 指摘ありがとうございます。はい、「そうね」ってことです。すみません(南風)
おもしろいですw続きを!(あっ、俺もか・・・・・・・w)(TOX)
『魏』っていう感じがしますね。個性が生きていてお見事です(タタリ大佐)
【ミス発見?】3ページ目の「ふふっ、そうねな。」って「ふふっ、そうね。」ってことでしょうか・・・・?(Poussiere)
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