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第三十五話 迷走
ヴィータ視点。
「畜生っ!六課がピンチって時に!」
(ヴィータちゃん!回避に専念するです!アイゼンが自爆するほどのウイルス攻撃ですよ!いくらユニゾンしても私達プログラム生命体の体じゃ…)
「…ここは退け。鉄槌の騎士。お前達では分が悪い」
(そうだひっこめ!バッテンちび!こいつはあたし等の獲物だ!)
陳述会の襲撃と同時に起こった六課への襲撃。
陳述会の襲撃。
それはティアナが乗用車破壊による((物理攻撃|きんきゅうしょち))をやらかしたお蔭でなのはとフェイト。シグナムといった六課の隊長陣に思った以上に早く手渡すことが出来たので、私とリインが先行して六課の救助に行く途中でそいつ等は現れた。
「…邪魔だ」
「くそったれ!当たったら即アウト攻撃なんか卑怯じゃねえか!」
私とリインとユニゾンして強化された機動力で、目の前の((紅色の水晶|・・・・・))を回避する。
この水晶は今では秘匿とされた『闇の書の欠片事件』で遭遇した…。
「そういうお前等だってデバイスを壊されたじゃねえか!」
シグナムに似た炎の魔力を撒き散らせながら長躯の魔導師が『偽りの黒羊』。
そして、あらゆる方面で防御に特化したガンレオンがコンピュータウイルスに置かされて動作不良に追い込んだ悪魔。アリエティスと戦っていた。
「…お前と同じ心強い相棒がいるからな」
(なら、そちらも同じじゃないですか!)
(うるせぇっ!気に食わねえけどこっちには対スフィアの武器を持っているんだ!)
長躯の男性が持っていたデバイスはヴィータの言う通り、一分前までは男の手の中にあったが、その地球にある薙刀に似ていたそのデバイスは、アリエティスの攻撃を受けて間もなく爆散した。
それから男は懐に入れていたのかデバイスを取り出してセットアップを行う。
西洋の重騎士が持つような円錐状の銀の槍だった。
そして、妙に機械じみたその機械的な槍はその金属の接続部分からはスフィアの光にも似た緑色の光をこぼしていた。
(あれって、D・エクストラクターですか?!)
ヴィータはまだアサキムが襲撃していることを知らされてなかった。
ザフィーラにシャマル。それに『傷だらけの獅子』がいればそう簡単に落ちるはずがないと判断して、目の前で行われている高出力の魔力を放つ二人を止めようとして二人に攻撃を仕掛けたが、リインの言うようにヴィータの持つハンマー型のデバイス。グラーフ・アイゼンもアリエティスの攻撃を受けて爆散した。
その数秒後、管理局本部から直接、その戦いを止めるように指示を受け、はやてからも頼まれたヴィータは二人と戦っていた。
前回、アリエティスの攻撃を見たこともあり、その情報もあったので数秒はグラーフ・アイゼンも その現状を保つことが出来た。
だが、そのウイルスの凶悪さは『夜天の書』の守護騎士((プログラム|・・・・・))であるヴィータを巻き込むと判断したアイゼンは自爆することでヴィータがウイルスに感染することを防いだ。
それからはリインとユニゾンして、今はリインの魔法で作り出した氷の鉄槌。メイスでアリエティスと戦っている。
一度攻撃したら即破棄して次のメイスを作り出して戦っている。
使い捨ての戦い方で効率は悪いが、こうでもしないとアリエティスとは戦えない。
「…スフィアの存在を知っている。そして、その危険性を目の前で見た。今退かねばお前も巻き込みかねんぞ」
「舐めんな!こちとら十年も前からスフィアと戦うことは覚悟しているんだここで引けるか!」
『悲しみの乙女』。リインフォース。
彼女がスフィアに巻き込まれて、苦しんでいることを誰よりも身近で理解している自分達、守護騎士。そして主であるはやて。
彼女達と共に生きるにはスフィアの因果を乗り越えなくてはいけないことを。
彼女は理解していた。
「…ふん。巻き込んでも知らんぞ」
(構うな旦那!こいつらもろとも吹き飛ばしてやれ!)
長躯の男。ゼストはスカリエッティから渡された槍型のD・エクストラクター。『ゲイボルク』に魔力以外に何かを込める。
それと同時にゼストは自らの体から何かが抜けていく感覚に襲われる。が、それを顔には微塵にも出さずにその銀の槍を振るう。
ユニゾンしている炎を司る古代ベルカ式のユニゾンデバイス。アギトはユニゾンしているからこそ、ゼストの感覚を共感することが出来るからこそ、このD・エクストラクター『ゲイボルク』がやばい物だと感じ取った。
そうだっ、旦那は手加減するような状態じゃないんだ。と。
手加減なんてできるはずがない。目の前のアリエティスは戦闘技術では自分達よりも数段劣る。だが、そのデバイスすらも自壊させるほどの攻撃。
かすればユニゾンデバイスである自分やリインはとてもじゃないが無事では済まない。
だが、スカリエッティから受け取ったゲイボルクはアサキムから貰ったスフィアのデータを元とにしている為、アリエティスの攻撃を受けても戦える。
代わりにゼストはその代償として自らの命を僅かに削りながら戦っている。
プレシアが作り出した物は使用者への負担を限りなくゼロにした((安全性|・・・))に徹底した造り。対してジェイルが作り上げたのは攻撃力力に特化した((攻撃性|・・・))に特化した物だ。
連続で使用すれば、命を落とすか確実に寿命を血締める。
ユニゾンしている、炎を司る古代ベルカ式のユニゾンデバイス。
アギトはそれを感じ取っていた。
(…回避は任せてくれ旦那!旦那には指一本触れさせはしない!)
アギトはゼストのその強い意志をくみ取って彼をサポートする。
彼女もまたゼストにそのような危険な槍を使って欲しくない。
ユニゾンは二人で一つの体を使う物だ。
数年という短い期間ではあるもののアギトはゼストの体に炎の繭を纏わせるように己の魔力を放出させる。
これでいつでもジェットエンジンのブースターのように一直線に加速できる。
緊急回避や一気に距離を血締めることが出来る。
「…お前にも迷惑をかけるな。アギト」
(気にするな旦那!旦那は私の恩人で、戦友で、相棒なんだ!これからもこれからも、ずっと!)
「…そうだな。唸れ!星槍!ロックバスタァアアアアア!」
ゼストはアリエティスから放たれた紅い水晶の弾丸をゲイボルグの穂先から噴き出した光で横薙ぎに払う。
その斬撃。いや、砲撃にも似たその槍の軌跡はその斬撃軌道上から回避したヴィータとアリエティスの背後に莫大な熱と光を感じさせる物だった。
ビシリッ。
「っ?!」
完全に回避したと思われたがアリエティスの方がヴィータよりも近かったせいか背中を覆っていた水晶の翼に亀裂が入り砕けた。
その隙を見逃すことなくゼストはゲイボルクを構え直すと一直線に飛び出す。
「貫けぇえええええええ!」
銀の槍全体からゼストの命を吸い、力に変えたD・エクストラクターの光が吹き荒れる。
その光の槍と同化したかのようにゼストは一筋の弾丸のようにアリエティスとぶつかり、そして…。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!」
咆哮迫撃。
遠目から見ていたヴィータにはゼストがアリエティスの体を貫いたようにも見えた。。
攻撃を受けたアリエティスはその全身をボロボロにしながらもD・エクストラクターの光に焼かれたように体のあちこちから煙を立ち込めさせながら何とかその宙に浮いていた。
そして、その隙を逃すヴィータでもなかった。
「リインッ!全力で叩き潰すぞ!」
(ハイです!)
メイスの先端を巨大化させると、ヴィータはそれを思い切りアリエティスに叩きつけた。
(アイシクル・ギガントォオオ)
「シュラァアアアアアアクッ!!」
リインの作り出した巨大なメイスと、そのメイス自体から発せられる冷気で全身を凍らされたアリエティスにそれを躱すことは出来なかった。
ガギャアアアアアアアンッ!!
氷の爆砕音と急激に冷やされて生まれた雪を辺りに撒き散らせながら、ゼストとヴィータは攻撃が直撃したアリエティスを見やった。
アリエティスの全身は殆どボロボロだった。
前『偽りの黒羊』のリアクター。ユーリとは違い戦闘向きではないのか思った以上に攻撃が通ったヴィータは慢心することなくアリエティスの動向を見守る。
と、攻撃に耐えられなかったのかアリエティスの悪魔の顔を模した兜が砕け散った。
それを見たヴィータ達には衝撃が奔った。
ヴィータとリインは『どうしてこの人が?!』と。
対するゼストの方は少しばかり動揺しながらもどこか覚悟していたかのような顔をしていた。
「…レジアス。やはりお前か」
「…ゼスト」
ゼストの方はアリエティス。いや、かつての友。レジアスに話しかけるように声尾をかけた。
「…お前は。お前とはこの世界の平和を。正義を貫いて行こうと((袂|たもと))をわかったつもりだ。それは今でも変わっていない」
「…いつから気づいていた」
「そこの鉄槌の騎士が来る前だ。数合も攻撃を交わしているうちに気が付けた。たとえ、武人でなくてもお前の気概を。何十年も隣にいたお前に気づかないほど俺は薄情でもなければ、付き合いが浅いつもりもない」
「・・・」
「そんなお前だからこそ問いたい。どうして戦闘機人などにっ。人道的にも倫理的にも反するような行いをした!お前が俺に語った正義はそういうものだったというのか!」
「…そうする事でしかこの世界を。いや、広くなりすぎた世界を守ることが出来なかったのだ!たとえ、この身を邪道に落としても俺は犠牲にしていった同志達の為にも!」
向かい合う二人は何やら大声で張り合っている。
蚊帳の外になりかけたヴィータは二人に声をかけようとした瞬間。
―――――!!!
『傷だらけの獅子』の心が砕け散った衝撃がその場にいた全員に感じ取れた。
「なっ?!なんだ、今の爆発…」
(これは…。機動六課の方から?)
ヴィータとリインは爆発の起こっただろう場所に目を向ける。
それはスフィアに似せた兵器を持つゼストも同様の動きを見せた。
「っ!?ゲイボルクが反応した…」
(旦那!あいつが逃げる!)
そんな彼等の隙を見てアリエティスは転移した。
「…儂は、儂はここで終わるわけにはいかんのだ!」
レジアスはそう言い残し、その姿を宙へと消していった。
???視点。
管理局本部のとある一室で、まるで洞窟の中で話しているかのように、声を反響させたような声が響く。
『何が起こっている!どうしてスカリエッティがこのような動きを!?』
『馬鹿な!?奴につけている『枷』は働いているのにぎぃ?!』
その声は三つ。
そのうちの声の一つがガラスの割れる音共に乱れる。
「簡単ですよ。そちらが受信しているのはダミー。貴方達が彼に施した『枷』等とっくの昔に外れていますよ…」
その一室には三つの透明な試験管のような柱が鎮座していた。
そのうちの一つが長髪の女性に砕かれていた。
だが、その女性の右手から異様に伸びた爪。
それは透明な柱を砕き、中にあった物を飛び散らせていた。
柱の中にあった保存液のような液体。そして、その液体が保護していた脳みそが飛び散っていた。
『き、貴様!あのジェイルのぐぉっ!』
「狂った天才。そして、『知りたがる山羊』の存在と力を知っておきながら何もしていないからこうなるのですよ。いつまでも言うことをきく傀儡だと思っているからこうなるんですよ」
バリンッと音がなると同時に部屋の中に響いていた声の一つがまた消えた。
管理局の制服を纏っていた女性の服はいつの間にかダイビングスーツのような代物へと変化していた。
「…まあ、これもまた『白歴史』のほんの一ページなのでしょうけどね」
アサキムから知らされたなのは達が迎える犠牲を払いながらも勝利を掴むという未来。『白歴史』の存在を知りながらも女性はつまらなそうに慌てふためいている脳みそを見る。
今、飛び散った二つの脳みそ。そして、眼前にある最後の脳みそ。
この三つの脳みそが管理局の創立後、裏で非人道的なことを行いながら管理局を支えてきた存在。
ある意味、脳みそだけになってでも管理局を支えてきた。と、聞こえはいいがこのミッドを中心とした世界を優先して、管理外世界と評して非人道的な行いをしてきた。
その中には実験の事故で娘を亡くしたプレシア。ヒュードラ事件も噛んでいる。
『ま、まて!我々はっ、我々はこの世界の為に!』
「この世界を守る為に。と、続けたいのですか?まあ、貴方達。いや、貴方達が作り上げた組織から見れば犯罪グループでしょうけどね」
冷めたものを見るような目で女性は脳みそに見せつけるようにその手を振り上げた。
『や、やめろぉおおおおおおおおおおお!』
最後の脳みそである声がその一室に鳴り響いた。
『ア〜イラビュ〜?ドゥーエちゃん、やめなさい?』
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