IS 飛翔する白き翼 第10話 |
学年別トーナメントから1週間後の日曜日
休日の為、学園に残っている生徒はほとんどおらず教師も当直だけである織斑 千冬と山田 真耶しか残っていない。
「この間の学年別トーナメントは大変でしたけど、あれから平和ですね〜」
「そうだな・・・これがずっと続いてくれればよいのだが・・・」
そう言って千冬はコーヒーカップに口をつけた。
IS学園上空600フィート
マントを羽織ったISがその場で浮遊していた。
「できれば穏便に終わらしたいものだが・・・」
男の声がそういうと、機体はスラスターを吹かして学園に向けて急降下した。
IS学園教員室
突如として鳴り響く警報に千冬と真耶は身構えた。しかも、この警報はIS学園地下特別区画での異常を告げる警報音だ。
「山田君確認を!!」
「はい!!」
さすがにIS学園の教師だけあって対応が早い。10秒もかからず画面に表示させた。
「織斑先生、地下特別区画への入り口が何者かに破壊されました!また、侵入者にあっては・・・これは、IS!?侵入者はISを装備しています!!」
画面の中で特別区画の通路をマントを羽織ったISが進んでいく。背中からは機械的な大きな赤い翼がマントからはみ出ているが、顔に当たる部分や体のほとんどは隠れて見えない・・・だが、目に当たる部分は緑に光っていた・・・
「山田君、直ちに学校長と政府、IS委員会に連絡を」
「わかりました!」
千冬は真耶に指示を出して、教員室から出た。
(あの姿に、光る瞳・・・まさか・・・)
ある確信をもった千冬はIS格納庫に向かう。
特別区画
不明機はゴーレムのコアが保管されている特別区画第5保管庫の強化扉の前に立っていた。
「・・・・」
不明機は、右腕を持ち上げると、右手に持ったケーブルの突いた柄を強化扉に突き立てる。柄から出された大出力のビームが、一瞬の内に強化扉を貫く。
「5層もの電磁強化装甲を一瞬!?」
監視カメラからみていた真耶は驚愕を隠せない・・・
この強化扉に使われている電磁強化装甲は、1枚でもシュヴァルツェア・レーゲンのレールガンの直撃を受けて傷一つつかない強度を誇っている。それを5層にしているにも関わらず、一瞬にしてそれを貫いたのだ。
不明機はビームソードで強化扉を破壊すると、第5保管庫に苦も無く侵入した。
「これか・・・」
不明機は、ゴーレムのコアに手に取った。手に取ったコアは量子変換され、粒子状となって掌から消えた。不明機は、それを確認すると他に保管されているゴーレムの残骸などには目もくれずその部屋を後にした。
特別区画入口
「そこまでだ・・・手に入れたものを私に渡し、ISを解除しろ。抵抗するならそれなりの目に合わせる・・・」
打鉄を装備した千冬の言葉に不明機は、右手に持った柄から緑のビームを発振させた。
「ほう・・・この私に挑むというのか・・・面白い!」
「・・・・・」
だが、千冬の言葉に不明機は答えない。
(マントで見えないが、この感じはヒイロと戦った時と同じ・・・手を抜けばやられる)
千冬がブレードを構えて斬りかかる。不明機は、それをビームソードで切り払う。千冬と不明機の間で数回剣が交わる・・・・だが、そのうちに打鉄ブレードは柄を残し、鍔から先が消えた。
「なに!?」
それだけで、ビームの出力が異常なほど高いことは明らかだった。だが、それだけで退く千冬ではない。千冬は残った柄を不明機の顔に投げつけ、不明機は左腕に装備されたシールドでかばう・・・それこそが、千冬の狙いだった。相手の視線が外れた隙に瞬時加速で不明機の後ろに回り込む。機体の各部から悲鳴のような機械音が鳴りながらも展開した打鉄小太刀を振るう。
だが、不明機は瞬時加速と同等、もしくはそれ以上の速さでそれを避け、残った朱い残光を刀が斬る。
「動きが読まれた!?」
千冬は、剣撃を避けられると後方に一度退いた。不明機も追撃することなく、そのまま空中で静止する。
(追撃していたら確実にやれていたはずだ・・・何故だ?)
疑問に思ったが今は不明機を逃がすわけにはいかない。
「なっ・・・」
だが、千冬の動きにもはや打鉄が耐えられなくなっていた。スラスターからは火が噴き、各部装甲にひびが入る。千冬が打鉄などの従来機を使用する場合はリミッターを切り、それに合わせた設定にかえなければならない。今回は緊急事態ということで設定を変更できていない。
「くっ・・・機体が持たんとは・・・」
動けなくなった千冬を不明機は攻撃することなく上空から見下ろしていたが、千冬に背を向けるとそのまま南の空に消えて行った。千冬はそれをただ見ていることしかできなかった。そこに、真耶から通信が入る。
「織斑先生!大丈夫ですか!!」
「大丈夫だが、侵入者には逃げられた・・・即刻、委員会と自衛隊に連絡をしてくれ」
「わかりました!」
(無意味だろうだがな・・・・)
そう言って千冬は、不明機の去って行った方向を見つめた。
千葉県沖南東100キロ沖上空500フィート
(やはり、この程度のものか・・・・)
不明機の周りには、自衛隊のIS4機が武器やスラスターが破壊されて浮かんでいた。
「なんなんだ・・・この強さは・・・」
スクランブルを受け出撃した自衛隊のIS部隊の隊員は全員が、IS日本大会での優勝者か世界大会でも上位に入ったような者が入隊している。しかも、今装備しているISは沙紀が使っている神識であり、自衛隊に試験的に先行配備されている機体である。にもかかわらず、不明機は戦闘開始5分間で一度も攻撃を当てられることなく、武器やスラスターだけを破壊したのだ。
「こちらの動きがすべてわかっているとでもいうの・・・」
未来を読まれているとでしか考えられない不明機の動き、もし本気で攻撃してきていたらと考えると隊員たちは戦慄を覚えていた。
そんな自衛隊員たちを不明機は一瞥すると、その場を去って行った。
とあるラボ
「目的の物は回収した・・・もう一仕事終わらしてからそちらに戻る」
「りょうか〜い」
通信が終えると、束はディスプレイにあるデータを表示させた。
「こっちももう動かないといけないね・・・・・」
画面に表示された2機のIS・・・・その名も「紅椿」と「緋桜(あけざくら)」。
お久しぶりです。仕事のために更新がかなり遅くなってしまいすみませんでした。
いよいよ次回からアニメ1期の最終話の部分に入ろうかと思います。(2話に分けようかまだ考え中ですが・・・)そして、その時には不明機(誰もがわかっていると思いますが・・・)を表だって出す予定です。
他にも少し考えていることがあるのでお楽しみにしててください!
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