無題
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春の陽気に誘われて、ふらりふらりとお散歩へ。

 

花は咲き乱れ、虫も目覚め、木々には緑が宿る。

 

春風は優しい暖かさを含み、太陽は少しばかり、元気が有り余っていた。

 

「?♪」

 

鼻歌を軽く、自然の音に耳を傾け、人と自然のアンサンブル。

 

楽器は無いけど、これはこれで立派な音楽。

 

ボーカルは勿論、私で、虫の声はコーラス。

 

木々の揺らめく音は、楽器の音とすると、風は演奏者。

 

そして花達は…お客さんというところかしら?

 

「??♪?♪」

 

果て見えぬ、どこまでも続く一本道、水平線。

 

この道がどこへと繋がっているのかは、私は知らない。

 

もしかしたら山へと向かうのかも知れないし、海へ出るのかもしれない。

 

それともこのままずっと、ずぅっとこの道が続くのかも。

 

それはそれで、まぁ、いいかしら?

 

「?♪???♪」

 

自然に溶け込み、音を楽しみ、ひたすらに道を歩いていく。

 

目的なんかあるわけなく、気の向くまま風の向くまま。

 

だって、散歩なんだから。

 

 

 

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鴉がカァカァと鳴き、宵闇の訪れを告げてきた。

 

気が付けば、辺りはもう薄暗く、太陽も眠りの時間になっていた。

 

「…」

 

時間が流れるのは早いものね、なんて。

 

そんな事をふと思い、踵を返し、歩いて来た道を戻る。

 

「…?」

 

戻る…戻ろうとしたが、道がよく分からない。

 

何も変わらず、一本道のままだったはずなのに。

 

何故か、道は入り組み、どこへと進めばいいのか分からなくなっていた。

 

とりあえず、適当な道を選び歩いてみる。

 

どうせ、何も分からないのだから、考えても仕方ないと思って。

 

 

 

?????????????????????????????????

 

 

段々と、周りの道が木々に覆われていく。

 

闇は深くなり、辺りは殆ど見えない。

 

とはいえ、目が慣れて来ているから、ほんの少しは見える。

 

カァカァと何かが鳴く声。ホォホォと何かが鳴く声。

 

風に揺れ、音を立てる木々のざわめきが、どことなく怖さを演出している。

 

何故、この道を選んでしまったのだろう。

 

と、思ってみても、時既に遅し。

 

引き換えそうにも、後ろはあまりにも深い闇で、何も見えない。

 

目が慣れていても、本当に見えない、深い深い、闇。

 

真っすぐにただ、歩き続けるしかない。

 

 

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どれぐらい歩いただろうか、少しずつ、闇が晴れていっている。

 

木々も少しずつ数を減らし、さっきまで聞こえていた声も、聞こえない。

 

もう少しで出口、なのかなと、少し足を早めて、歩く。

 

そして、遂に木々の間を抜けると、そこには色とりどりの花が広がる場所があった。

 

夜のはずなのに淡い白い光に包まれ、とても静かな世界。

 

神秘的、いや、幻想的…とでも、言えばいいのかしら?

 

とりあえずは、綺麗だなぁなんて、疲れながらもそんな事を思う。

 

「?」

 

花がぽっかりと無く、柔らかそうな青く茂った草で覆われた場所があった。

 

そこまで行って、しゃがみこんで、その草に触れてみると、とてもふかふかしている。

 

疲れたし、もうこれ以上歩くのも無理みたいだし、ここで休む事にしようと考えて。

 

「…」

 

その草の上に座ると、優しく私の体を受け止めて。

 

自然のお布団みたいね、なんて思って、横になってみる。

 

「…」

 

柔らかく、ふわりと、私の体を優しく抱きしめてくる。

 

なんとも、心地がいい。

 

その感触と、疲れから、眠気がやってきて。

 

そうだわ。

 

もう、疲れたからここで寝てしまいましょう。

 

明日もまた、こんな一日を。

 

 

 

それじゃあ。

 

 

 

おやすみなさい。

 

 

 

 

 

「…お疲れさま」

 

 

 

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目が覚めると、太陽の光が、木々の間から差し込み私を照らしていた。

 

「…?」

 

私は、何をしていたのかしら?

 

どうにも、昨日の事が思い出せない。

 

…まぁ、いいかなと、そっと立ち上がって。

 

自然の音に耳を傾けて、鼻歌まじり、私は歩き出した。

 

「?♪」

 

目の前には、大きく広がる水平線。

 

どこまでも続く一本道。

 

それがどこへと繋がるのかは私は知らない。

 

もしかしたら、川や森に繋がるのかもしれない。

 

それか、ずっとこの道が続くのかもしれない。

 

でもまぁ、それでもいいかと。

 

私は、鼻歌をまじえながら、散歩を始めるのだった。

説明
かなり久しぶりに、ただ思いつくままに。
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