魔法先生ネギま〜疾風物語〜 第二十四話 |
いきなり頭に響いた激痛は、疾風の意識を強制的に覚醒させた
しかしその華奢な拳に秘められた力は凶悪といって差し支えない物だった
結果として疾風は地面に突っ伏し、頭を両手で押さえ唸っていた
「い、一体何が…?」
半べそをかきながらも辺りを見回す疾風
その目に入ってきたのは、白く艶やか―しかしどこか幼さを感じさせる脚だった
疾風はハテナマークを浮かべてそのまま視線を上げる
次に目に入ってきたのは何者かの掌だった
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック『((魔法の射手|サギタ・マギカ))((連弾|セリエス))・((闇の7矢|オブスクーリー))』」
目前の掌の周りに、黒く禍々しい魔力が現れ七つに分かれる
それは数瞬の内に矢の形を取り、疾風目掛けて射出された
「ちょっとぉぉぉ!!?へぶっ!ごはっ!?目ぇぇぇ!?」
何とか七本のうち三本は((抵抗|レジスト))して防いだ物の、残りの四本は直撃
しかも最後の二本は眼球に直撃だ。明らかに故意で狙っている
「貴様良い度胸だなぁおい?((闇の福音|ダーク・エヴァンジェル))たる私の下着を覗こうとするか?」
エヴァンジェリンは真祖の吸血鬼の恩恵である大魔力を開放
その禍々しさたるや、吸血鬼などではなく最早悪魔ではないかと錯覚すらするほどだった
疾風が感じた恐怖は以前『武装解除呪文』の暴発でヴィルヘルミナとテオドラの服を引っぺがしたときに匹敵する
―――なおこの時の話が語られていないのは、あまりの恐ろしさに疾風の脳が防衛機能として記憶を消去したからである
最も体に刻み付けられた恐怖は消えなかったようではあるが…
「ま、待て待て!わ、わざとじゃないって((キ|・))((テ|・))((ィ|・))!!」
その言葉を聴いたエヴァンジェリンは魔力の放出をぴたっと止めた
自身をキティと呼ぶ人物は後にも先にも一人しか居ない
目に涙を浮かべながら、震える声で疾風に問いかける
「ハヤテ…まさか記憶が戻った…のか…?」
疾風は苦笑しながら口を開く
「はは…少しだけだけどね。久しぶり、キティ」
そう答えた途端エヴァンジェリンの目尻からは滝のような涙があふれ、駆け出した
エヴァンジェリンは涙でくしゃくしゃの顔を隠すかのように、顔を疾風に押し付けて抱きついた
「うっくぅ…。わたしのことを、忘れちゃったのかと思ったじゃんかぁ…!!」
「…ごめんな」
疾風はエヴァンジェリンの頭を慈しむように撫でる
会えなかった間の埋め合わせをするように
「もう、わたしのそばから離れないで…。ずっと一緒に居てよ…」
「…当たり前だ。それと口調が戻ってるぞ」
「今キャラを作れるわけ無いよ…」
疾風は撫でる手を止めようとはしなかった
そしてエヴァンジェリンもまた、とめどなく流れる涙を止めようとしなかった
疾風の魔力によって荒れ果てたこの場所には、しばしすすり泣きの音しか聞こえなかった
十数分後
エヴァンジェリンは泣き止み疾風から離れる
その顔は真っ赤で目の周りは赤く腫れてしまっている
ふと見ると、彼女が着ている黒いゴシックロリータ服の脇腹辺りに穴が開いていた
「キティ?もしかして、その脇腹は…俺がやったのか?」
赤い染み―――血が付いている上に周りの惨状では、その推理は容易なことだった
疾風は顔を蒼白にし罪悪感を顔に滲ませる
「ん。まあそうだな。気にするな、一つだけ条件はあるが」
エヴァンジェリンは口調を作り、さもどうでもいいように答える
条件?と疾風が首を傾げて尋ねる前にエヴァンジェリンが口を開く
「一発だけ殴らせてくれればそれで良い♪」
え、と声を出したときにはもう遅かった
既にエヴァンジェリンの拳は疾風の顔面に唸りを上げて迫ってきており、逃げ出すのは至難の業だった
あ、俺死ぬかも。と思考したときには拳は顔面にめり込み、めきゃと音がした後だった
当然の帰結として、少し時がたったその場所には鼻血を流し顔がへっこんでいる疾風と
その周りでおろおろしながら治癒の術をかけているエヴァンジェリンが居た
第二十四話でした
今回は記憶を一部取り戻した疾風とエヴァンジェリンの再開でした
エヴァの口調は作っているという設定です
素は10歳くらいの女の子を想定しています。が、おかしくってもスルーしてください
10歳の女の子なんて接したことが無いのでほぼ想像(妄想)です
妹が居ますが生意気なので素は甘えん坊なエヴァには妹の口調は合わないし…
ま、そんなことは水洗便所か下水道にでも流しましょう
この小説を投稿する前に、ほんの数行ですが『魔法先生ネギま〜疾風物語〜 第四話』に追記しました
追記したところは行を区切っていますので、よろしければお読みください
さて、次回の投稿をお待ちください
説明 | ||
第二十四話です。お楽しみいただければ幸いです | ||
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コメント | ||
摩天楼さん、いやその…マジですんません(土下座)…ちょうど良い各話の切り方が余り分からず…(ディアーリーズ) なぜだんだん話が短くなっているのか(阿修羅姫) |
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