英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 異伝〜”第六使徒”エオリア・フォーリア〜後篇 |
その後支部に到着したエオリアはミシェルから自分に割り当てられて最優先依頼の説明を聞いていた。
〜遊撃士協会・クロスベル支部〜
「……了解したわ。じゃあ、行ってくるわね。」
説明を聞き終えたエオリアは頷いた後笑顔でミシェルを見つめて言い
「え、ええ。それよりもエオリア、貴女、昨日何か良い事でもあったのかしら?」
エオリアの様子を見たミシェルは戸惑いながら頷いた後口元に笑みを浮かべてエオリアに尋ねた。
「え?どうしてそう思うのかしら?」
「だって、昨日まで貴女が纏っていた暗いオーラが全部吹き飛んでいるんだもの。正直、”グノーシス”に手を出すのかと心配していたぐらい、落ち込んでいたわよ、昨日までの貴女。」
「フフ、いくらなんでも私が”グノーシス”に手を出すなんて絶対にありえないわ。……でも、心配をしてくれてありがとう。これからは心配させた分の倍以上は働くつもりだから、期待していて。それじゃあ、行ってくるわ。」
ミシェルの言葉を聞いたエオリアは微笑んだ後支部を出て行った。
「フウ。何があったか知らないけどあの調子なら、大丈夫そうね。」
エオリアが出て行くとミシェルは安堵の溜息を吐き
「そうだな……だが………」
「………何となく感じたが……今のエオリアが纏っている空気………フェミリンスさんやセリカさんが纏っている空気にわずかにだが似ていないか?」
二人の会話を見ていたヴェンツェルは真剣な表情をし、スコットは不思議そうな表情で言った。
「エオリアが?よりにもよってあの二人に?そんなのありえないでしょ?だってあの二人は本物の”神”じゃない。まさかエオリアが”神”にでもなったっていうの?」
「そうは言っていないが……………」
不思議そうな表情で尋ねてきたミシェルにスコットは戸惑った様子で答えた。
「おはようございます。」
「今日は何をさせる気じゃ?」
「俺達にやってほしい依頼の説明を頼む。」
その時リタとレシェンテがセリカと共に支部の中に入って来た。
「っと、噂をしていたら来たわね。おはよう、3人共。今日貴方達に最優先でしてほしいのは…………」
入って来たセリカ達に気付いたミシェルは声をかけた後、近づいてきたセリカ達に説明を始めた。
〜中央広場〜
「あ、ティオちゃん、発見♪」
一方街を歩いていたエオリアはティオを見つけて嬉しそうな表情をし
「うっ…………」
エオリアを見たティオが表情を引き攣らせたその時、絶大な力を宿すセリカの”使徒”になった事で身体能力も大幅に上昇したエオリアは光の速さでティオに詰め寄り
「あ〜ん、相変わらず可愛い〜♪」
「く、苦しいです…………」
嬉しそうな表情でティオを抱きしめ、抱きしめられたティオは呻いていた。
「ハハ………」
「相変わらずね……」
「く〜……!俺もされたい!エオリアさん!俺ならいつでもオッケーですよ!!」
その様子を見ていたロイドとエリィは苦笑し、ランディは悔しそうな表情をした後、真剣な表情でエオリアを見つめて言ったが
「絶対無理。」
「即答!?」
笑顔で言ったエオリアの断りの意志の言葉を聞いて声を上げた。
「さてと……久しぶりにティオちゃんエネルギーも補給できたし、私はそろそろ行きますから、そちらも頑張って下さいね、皆さん。」
そしてエオリアはティオから離れてロイド達に微笑み
「あ……はい。」
「お疲れ様です。」
微笑まれたロイドとエリィは答え
「ああ、それと………こう見えても私、肉体関係の間柄にまで仲が進展した親しい男性がいるから、どれだけ声をかけても無駄よ。」
さらに何かを思い出したエオリアは笑顔でランディを見つめて言い
「へっ!?」
「ええっ!?」
「………………………」
「ガ――――――ン!!」
エオリアの言葉を聞いたロイドは驚き、エリィは頬を赤らめて声を上げ、ティオは呆けた表情でエオリアを見つめ、ランディはショックを受けた。
「フフ、それじゃあね。」
ロイド達の反応を見たエオリアは微笑んだ後ロイド達から去って行き
「い、意外すぎる情報だったな………」
「え、ええ………あのエオリアさんにまさかそんな深い仲にまで進展した恋人がいるなんて……………」
「おのれ………!一体誰が!いつ!あのエオリアさんを口説き落とした上、あのエオリアさんとそんなうらやまけしからん事をしたんだ!?畜生〜!セシルさんに続いてエオリアさんまでっ!!」
去って行くエオリアをロイドとエリィは信じられない表情で呟き、ランディは悔しそうな表情で声を上げた。
「………………………」
一方去って行くエオリアの後姿をティオは真剣な表情で見つめ続け
「ティオすけ?そんなにエオリアさんを見つめて何があるってんだ?」
「いえ……………何でもありません。行きましょう。(………どういう事でしょう……?エオリアさんからエクリアさんやマリーニャさん達――――セリカさんの”使徒”全員が纏っている”気”と全く同じ”気”を感じるなんて…………まさか………!……いえ、さすがにそれはありえませんね。ただの気のせいですね。)」
そしてランディに尋ねられたティオは首を横に振って答えてロイド達を促した後、考え込みながらロイド達と共に目的地に向かって歩きはじめた。
〜2日後・リベール王国・ロレント市郊外・メンフィル大使館〜
「……………………………」
エオリアがセリカの”使徒”となって2日後、セリカから来た便りの中に書いてあるエオリアを”使徒”にした部分を読んだエクリアは石化したかのように表情を固まらせ
「姉様?一体どうされたのですか?」
エクリアの様子を見たイリーナは不思議そうな表情で尋ねた。
「それが………この便りによるとセリカ様、エオリアさんという遊撃士の方を”第六使徒”にしたって書いてあるのよ………」
「まあ………」
「えっ!?」
「ハア………異世界に来てまで……しかもよりにもよってクロスベルの今の状況で何をやっているのだ、奴は……………」
信じられない表情で言ったエクリアの話を聞いたイリーナは目を丸くし、ペテレーネは驚き、リウイは溜息を吐いた後呆れた表情をし
「セリカ様……………私が貴方の元に戻ってくるまでに…………いえ、サティア様が生まれてくるまでに一体何人”使徒”を増やす気ですか………?サティア様が嫉妬したら、どうするおつもりですか………?フウ……………」
リウイに続くようにエクリアも呆れた表情をした後、疲れた表情で溜息を吐いた。
〜数日後・レウィニア神権国・王都プレイア・セリカの屋敷〜
「ん。”神殺し”からの届け物。」
「ご苦労様。せっかく来たついでにお菓子でも食べていく?何だったら泊まっていってもいいわよ?転移魔術でここまで来るのに疲れたでしょう?」
「別にいい。全く……なんで”魔神”のエヴリーヌが転移魔術使ってまで手紙なんかを届けなきゃならないんだか。しかもレウィニアみたいな遠い所に転移魔術で来るのはめんどくさいのに……………リフィアは人使いが荒すぎ。」
さらに数日後、エヴリーヌはマリーニャに手紙を渡した後文句を言い
「あたしもあの娘の人使いの荒さにどれだけ苦労させられたことか……………あんたの気持ち、あたしにもわかるわよ。」
エヴリーヌの文句を聞いたマリーニャは疲れた表情で溜息を吐いた。
「……でも、今のリフィアには弱点があるしね。仕返しにエリゼに言いつけて、しっかりと怒るように言っておこうっと。キャハッ♪―――じゃあね。」
そしてエヴリーヌは呟いた後転移魔術でその場から消え
「あのリフィアに弱点ねえ……?本当かしら??みんなー!ご主人様から便りが来たわよ!!」
エヴリーヌが消えると手紙を手に取ったマリーニャは苦笑しながら呟いて首を傾げた後、屋敷に入って屋敷内でそれぞれ掃除をしている2人に報告し
「本当ですか!?」
「マリーニャさん、早く聞かせてくださいです〜。」
掃除をしていたシュリは驚き、サリアは明るい表情で言った。
「今、読むから待ってなさい。なになに…………………へ??」
サリアの言葉を聞いたマリーニャは手紙の内容を読んだ後呆けた声を出し
「マリーニャさん、どうしたのですか?」
マリーニャの様子を見たシュリは不思議そうな表情で尋ねた。
「えっと……………異世界で”使徒”が一人増えたって書いてあるんだけど……………」
「……………え…………………」
「ふえ〜?」
そして表情を引き攣らせながら言ったマリーニャの言葉を聞いたシュリは固まり、サリアは首を傾げ
「「えええええええええええええええええ〜〜〜〜〜っ!?」」
我に返ったシュリとマリーニャは驚きの表情で同時に声を上げ
「わ〜……このお屋敷に住む人が増えるんですね!?サリア、嬉しいです〜。」
ある事に気付いたサリアは無邪気な笑顔を浮かべた。
”神殺し”セリカ・シルフィルの”第六使徒”となったエオリア・フォーリア。彼女の存在はセリカの他の”使徒”達やリウイ達を驚かせ………後に彼女はクロスベルで起こる大きな戦いに”遊撃士”として、”使徒”としてセリカ達と共に挑む事になる……………………
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異伝〜”第六使徒”エオリア・フォーリア〜後篇 | ||
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コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 ホント、できた女性ですよww(sorano) サティアは嫉妬はしないでしょう・・・彼女はセリカと自身の周りに理解してくれる人と想ってくれる人が増えるのを喜びますからね(本郷 刃) |
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